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サマリアの女に教えるものみの塔 1986 | 1月1日
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イエスの生涯と宣教
サマリアの女に教える
ユダヤからガリラヤへ行く途中,イエスとその弟子たちはサマリア地方を通ります。旅のために疲れた一行は,正午ごろ,スカルの町にほど近い,ある井戸のそばで足を止め,休憩します。この井戸は何世紀も前にヤコブが掘ったもので,今日まで残っており,今のナブルスという町の近くにあります。
イエスがここで休んでおられる間に,弟子たちは幾らかの食物を買うため,町へ出かけて行きます。ひとりのサマリアの女が水をくみに来たとき,イエスは,「わたしに飲ませてください」とおっしゃいます。
ユダヤ人とサマリア人は,根深い偏見があるために,ふつう交渉を持ちません。それで女はひどく驚き,「ユダヤ人のあなたが,サマリア人の女であるわたしに,水を飲ませてほしいとおっしゃるのはどうしてですか」と尋ねます。
そこでイエスは,わたしがどういう者かをあなたが知っていたなら,あなたは「生きた水」をくださいとわたしに頼むでしょう,とお答えになります。そして,この水は,「永遠の命を与えるためにわき上がる水の泉」となるでしょうと言われます。
「だんな様,わたしにその水を下さ(い)」と,女は答えます。
それでイエスは,「行って,あなたの夫をここに呼んできなさい」とおっしゃいます。
「わたしには夫がありません」と,女は答えます。
イエスは女の言ったことが事実であることを証明されます。「『夫がない』とはよく言いました。あなたには五人の夫がいましたが,今いるのは夫ではないからです」。
女はびっくりし,「だんな様,わたしは,あなたが預言者であることが分かります」と言います。そして霊的な事柄に関心のあることを示し,サマリア人はゲリジム山で崇拝を行なうけれども,ユダヤ人はエルサレムで崇拝を行なうと言います。
しかし,崇拝のための場所は重要な事柄ではないことをイエスは指摘し,「神は霊であられるので,神を崇拝する者も霊と真理をもって崇拝しなければなりません」と説明されます。
女は深い感動を覚えます。そして,「わたしは,メシアが,キリストと呼ばれる方がおいでになることを知っています。その方が到来されるときには,すべてのことをはっきりと告げ知らせてくださるでしょう」と言います。
「あなたに話しているわたしがそれです」と,イエスは宣言されます。考えてみてください。この女は,自分の生き方を軽べつする町の女たちと顔を合わせるのを避けるためでしょうか,真昼に水をくみに来て,イエスからすばらしい仕方で好意を示されました。イエスはほかのだれにも公然と話したことのない事柄を率直にその女に語られます。どんな結果になるでしょうか。
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サマリアの女に教えるものみの塔 1986 | 1月1日
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[9ページ,全面図版]
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