約束の地の風景
ガリラヤの海を巡ってみましょう
聖書を読む人にとってガリラヤの海のようにすぐ思い浮かぶ場所は数えるほどしかないものです。しかし,目を閉じてこの淡水湖を心に描き,ヨルダン川が注ぎ込む場所や注ぎ出る場所,カペルナウムやティベリアの所在地などの要所を示すことができますか。
時間を取り,挿入されている数字と対照させながら,下にある,上から見た全体図を検討してみてください。数字の付されている場所の名前が幾つお分かりになりましたか。地名の分かる場所が多いほど,聖書はいっそう身近で意味深くなるでしょう。そのためにも,教訓的な小旅行に出かけることにしましょう。
これは上空から北東の方向を見たものです。それでは,#1から始めることにしましょう。これは湖のどの辺りでしょうか。ここは湖の南端です。ヨルダン川はここから流れ出し,サマリアとギレアデの間を流れ下って死海に注ぎ込みます。左側の写真は,湖の南端をもっと近くから見たもので,「1993 エホバの証人のカレンダー」にも載せられています。
ガリラヤの海は,地中海の海面より200㍍ほど低い地溝深くにあります。上空からの様子をよく見る際,湖の東岸(#7の周辺)から山がせり上がっていることに注目してください。丘陵や山は,手前,つまり西岸からもせり上がっているので,この湖が盆地にあることがはっきり分かります。湖は長さが約21㌔,幅は一番広いところで約12㌔あります。湖岸には,村々やティベリア(#2)のような都市をさえ築くことのできる場所がありました。群衆が船でティベリアから,イエスが5,000人の人々に奇跡的に食事をさせた場所まで湖を渡ったことを思い出してください。―ヨハネ 6:1,10,17,23。
ティベリアから湖岸線を北に移動すると,肥沃なゲネサレ地方を通過します。(#3)a イエスが山上の垂訓を話されたのはこの地域でした。またここに描かれているように,イエスがペテロとほかの3人を「人をすなどる者」とするために召されたのは,恐らくこの近くの浜だったでしょう。(マタイ 4:18-22)旅が進むにつれ,カペルナウム(#4)に至ります。ここは,イエスの活動の中心地で,「ご自身の都市」とさえ呼ばれています。(マタイ 4:13-17; 9:1,9-11。ルカ 4:16,23,31,38-41)湖の旅を東方に続けると,上ヨルダン川が湖(下の写真)に注ぎ込む地域(#5)を渡ります。それからベツサイダ地方(#6)に入ります。
このように幾つかの場所だけをとってみても,聖書の記述を理解し,思い描く上で,ガリラヤの海に関する知識がどのように役立つかを例証できます。イエスがベツサイダ地方で5,000人の人々に食事をさせ,群衆が彼を王にしようとした出来事の後,イエスは使徒たちを船でカペルナウムに遣わされました。使徒たちが船に乗っていると,突然,暴風が山から吹き下ろして荒波を起こし,使徒たちは恐れにとらわれます。しかしイエスは,海の上を歩いて彼らのところに来られ,あらしを静め,使徒たちが無事にゲネサレの近くに上陸できるようにされます。(マタイ 14:13-34)ティベリアから来た者たちはまたカペルナウムに渡って行きました。―ヨハネ 6:15,23,24。
湖の東岸に沿って旅を続けると,「ガダラ人[あるいは,ゲラサ人]の地方」と呼ばれたと思われる箇所を通ります。この地で,イエスが二人の男から悪霊を追い出したことを思い出してください。悪霊たちはサディスティックに豚の大群の中に入り込み,この豚の群れは突進して断崖から海に落ちました。その後,男の一人は,ギリシャ語が話される,近くのデカポリスの諸都市で証言を行ないます。イエスは,この地域に入られるときも,ここから出られるときも,船でガリラヤの海を渡られました。―マタイ 8:28–9:1。マルコ 5:1-21。
旅が終了するガリラヤの海の南端に向かうにつれ,下ヨルダン川に多量の水を運び込む主要な川(ヤルムク川と呼ばれる)のそばを通過します。
ガリラヤの海の周辺で起きた幾つかの出来事について,聖書はその場所を明確に述べてはいません。例えば,ペテロやほかの使徒たちが漁をしていた時に,復活したイエスが現われた場所などがそうです(下のさし絵)。それはカペルナウムのそばだったと思われますか。いずれにしても,この重要な湖について知っていればその可能性を思い描くのに役立つでしょう。
[脚注]
a 「ものみの塔」誌,1992年1月1日号,「ゲネサレ ―『驚嘆すべき美しい地』」という記事をご覧ください。
[24ページの図版]
1
2
3
4
5
6
7
北
南
西
東
[24ページの図版のクレジット]
Pictorial Archive (Near Eastern History) Est.
[24ページの図版のクレジット]
Pictorial Archive (Near Eastern History) Est.
[24ページの写真のクレジット]
Garo Nalbandian
[25ページの図版のクレジット]
Pictorial Archive (Near Eastern History) Est.