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目ざめよ! 1991
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見えないものを見る光学

きれいな風景,見事な夕焼け,かわいらしい花 ― 美しいものを見るのはいつでも楽しいことです。わたしたちは,どんな仕組みで物が見えるのかということをほとんど気にも留めませんが,見えるというのは確かにうれしいことです。

目は驚嘆すべきものですが,肉眼では実際に存在しているもののほんの一部しか見ることができません。光について研究する学問のことを光学と呼びますが,それは光学器械 ― 簡単な虫めがねから,望遠鏡,顕微鏡,特殊カメラ,分光器などに至るまで ― を使って,わたしたち自身や周囲の世界に関する知識を大きく広げてくれました。

これらの光学器械の中には読者がよく知っているものもあるかもしれませんが,その仕組みをご存じですか。例えば,虫めがねを使うとどうして物が大きく見えるのでしょうか。ある器具を使うと微生物の世界が目の前に現われ,別の器具を使うと広大な宇宙の広がりを見ることができるのはなぜですか。光学は,昔から人々の興味をそそる研究分野でした。

基本原理

虫めがねを手に持って太陽光線を集め,紙切れを焼いて穴を開けたことがありますか。読者がその時に手にしておられたものは,レンズという最も単純な光学器械だったのです。紙の上にできた小さな点は,実は手に持った虫めがねによってできた太陽の像でした。太陽光線のエネルギーをすべて一つの小さな点に集めると,紙を燃やせるほどの熱さになったのです。

また,多くの人がよく知っているレンズとして,カメラの前面についているレンズがあります。それが物体からの光を集め,フィルム上に像ができて写真になることはご存じでしょう。基本的にいえば,それがレンズの働きなのです。つまり,光を集めて適当な大きさや明るさの像を結び,観察したり記録したりできるようにするのです。しかし,レンズはどのように光線を曲げて集める,言い換えると焦点に集中させるのでしょうか。答えのかぎは屈折と呼ばれる光の現象にあります。

水をためてそこに棒を差すとどのように見えるでしょうか。棒が水面のところで折れ曲がっているように見えませんか。ありふれていても奇妙なこの現象からも分かるように,光線はある媒質から別の媒質,例えば水から空気に進むときには直進しないのです。境界面に直角に入る場合を除いて,光線は曲がってしまいます。科学者はこれを屈折と呼びます。光線がどのくらい屈折するかは,空気,水,油,ガラスなどの媒質と,入射角によって決まります。入射角とは,光線と境界面が交わる点で,境界面に直角な線と光線がなす角度のことです。

もう一度カメラのレンズをご覧ください。レンズの表面が平面ではなく,湾曲して球面,つまり凸面になっていることに気づかれるでしょう。ではここで,レンズに遠くから光線が入ってくるところを想像してください。レンズの中央では,光は表面に直角に入るので屈折せずに直進します。レンズの端に近づくにつれて,入射角はだんだんと大きくなります。これは,光の入る場所がレンズの中央から離れれば離れるほど,屈折も大きくなるという意味です。このようなわけで,レンズが正確に作られていれば,片側のある点から出た光線はすべて集められ,反対側に像ができます。

光学器具を設計する

しかし困ったことに,色の違う,つまり波長の異なる光は屈折する度合いも異なります。プリズムを使うと太陽光線の色が分かれて虹ができるのはこのためです。単純なレンズでも全く同じことが起きています。像の縁にはたいてい色がつき,ゆがみが生じます。

注意深く設計すればこの問題を克服することができます。例えば,科学者たちは,レンズに用いられるガラスに含まれる化学物質によって屈折の具合いが変わることを知っています。何種類かのガラスでできた,曲がり具合いの異なるレンズを組み合わせて器具を作ることによって,収差やゆがみを最小限にとどめることができます。

しかし,そのような器具を設計するのは容易なことではありません。以前は設計が完成するまでに大勢の人が何週間も何か月もかけて骨の折れる計算をしたものです。今ではコンピューターを用いて,光線の角度,レンズ間の距離,それぞれのレンズの曲がり具合い,その他多くの要素についてできるだけ多くの組み合わせの可能性をはじき出します。そのようなコンピューターは,最も精度の高い器具を作り出す組み合わせを選ぶようプログラムされています。

良いカメラのレンズは4枚から7枚,またはそれ以上のレンズでできていることがあります。それらのレンズの表面は何万分の1㍉の狂いしかないほど精確にできています。それぞれのレンズを互いに精確な位置に取り付けなければなりません。できるだけ多くの光を取り入れるためには,一枚一枚のレンズの直径を,実用範囲内でできる限り大きくしなければなりません。これらのことすべてには多くの費用がかかるので,精巧なカメラが高価なわけを理解できます。例えば,スペースシャトルに搭載されたカメラの一つは,240㌔以上離れた宇宙から,地上の10㍍四方の中にあるものを細かく撮影できます。このカメラのレンズは8枚のレンズが組み合わさってできたもので,何と900万㌦(約12億円)もしました。

見えないものを見る

広大で畏怖の念を起こさせる宇宙を見せてくれる望遠鏡に使われる光学器具を設計し,製作し,テストするのがどれほどたいへんなことか想像してみてください。遠い星からの光は非常にかすかなものなので,ほとんどは肉眼では見えません。望遠鏡はそうしたはるかかなたの星の光をできる限り集め,それを一点に集め,目に見える像を結びます。

かすかな光線を集めるために,ほとんどの光学望遠鏡には凹面鏡が用いられています。例えば,パロマ山の有名なヘール望遠鏡には直径約5㍍の反射鏡が付いていて,数十億光年のかなたまでのぞくことができます。ヘール望遠鏡がすばらしいのは確かですが,今ではハワイのマウナケア山上の望遠鏡のために影が薄くなっています。この望遠鏡の反射鏡は約10㍍で,光を集める能力はパロマ山の望遠鏡の4倍です。実際,その望遠鏡はたいへん性能がよいので,計画を支援して7,000万㌦(約95億円)を寄付した財団の会長ハワード・ケックは,「月と同じほど遠いところにある1本のろうそくの光を見ることができるようになるだろう」と述べました。

天文学者の目が別の種類の望遠鏡に注がれていた時期がありました。それは16億㌦(約2,200億円)もするHST(ハッブル宇宙望遠鏡)です。これはスペースシャトルから打ち上げられ,地上から約500㌔離れた軌道を回っています。地球の大気に妨げられないので,非常にはっきり見ることができ,理論的には,「2,500マイル(約4,000㌔)のかなたにある車の左右のヘッドライトを区別するほど」の分解能を持っている,とスカイ・アンド・テレスコープ誌は述べています。これほどの分解能を実現するため,2.4㍍というそれほど大きくない反射鏡の表面には,2万分の1㍉以上の狂いがあってはなりませんでした。しかし,HSTが宇宙から最初に送ってきた像がぼけていたときには,だれもがたいへんがっかりしました。それは明らかに製作上の欠陥によるものでした。ニュー・サイエンティスト誌には,「望遠鏡の主鏡を製作しているときに,測定装置から合成フィルムの砂粒ほどの大きさの破片がはずれ落ちた。結果として反射鏡が平らになりすぎた」という報告が載せられています。最先端の技術にさえ弱点がありそうです。

望遠鏡で遠くを見ることから,顕微鏡で近くを見ることに視点を移しましょう。初期の顕微鏡は虫めがねも同然でした。17世紀までに複合顕微鏡が使われるようになりました。それは一枚のレンズによって映し出された像をもう一枚のレンズでさらに拡大するというものです。普通最初のレンズは,観察する物体に直接向けられるので対物レンズと呼ばれ,2番目のレンズは接眼レンズと呼ばれます。

顕微鏡がうまく働くには,微小な物体からできるだけ多くの光線を集められるようにしなければなりません。そのため対物レンズは半球,つまりきのこのかさのような形をしています。直径はわずか1㍉以下ですが,表面に1,000分の1㍉以上の狂いがあってはいけません。

興味深いことに,小さな物体を観察する性能は,器具そのものより,物体を照らし出すのに用いる光に左右されます。観察する物体が小さければ小さいほど,波長のより短い光で照らす必要があります。可視光線を用いる光学顕微鏡の場合,直径1万分の1㍉以下の物体を見ることはできないという限界があります。初期の顕微鏡のおかげで,学者は植物が無数の細胞でできているという新しい事実を発見しました。今では,生物学の授業中に顕微鏡でバクテリアや血球の世界をのぞくことができます。

もっと小さな物体を見るには電子顕微鏡を使います。その名前のとおり,可視光線の代わりに,高エネルギーの電子線を100万分の1㍉という小さい物体に当てます。このようにしてウイルスや比較的大きな分子を見ることができます。

原子の構造や原子核についてはどうですか。これらのものを見るためには,科学者たちは原子を“砕き”,コンピューターを使ってその結果を映し出さなければなりません。ですからある意味では,最も巨大で最も強力な“顕微鏡”は,サイクロトロンやシンクロトロンなどの粒子加速器だと言えます。中には何キロメートルもの大きさの加速器があります。これらの器械を使って科学者たちは,宇宙を結び合わせている力の秘密をかいま見てきました。

視力は驚くべきもの

このような複雑な器械に比べると,人間の目は本当に原始的だと考える人がいるかもしれません。単純かもしれませんが,決して原始的ではありません。目は様々な色の光を難なく識別します。目の自動焦点装置は素早く,しかも効率的です。物を立体的に見ることができます。明るさや色合いの無数の違いを見分けることができます。10分の1秒ごとに新しい像を作り出し記録することができます。数え上げれば切りがありません。人間の目は何とすばらしい傑作なのでしょう。

光学装置を使うとしても使わないとしても,わたしたちは視力にとても感謝しています。大きなものや小さなもの,見えるものや見えないものについての知識が増えたおかげで,わたしたちは身近なところにたくさんの恩恵を受けています。しかし何よりも,視力という驚嘆すべき賜物と光学によって明らかにされた事柄のおかげで,これらのものを備えてくださった創造者エホバ神の知恵と愛が見えるようになるはずです。―詩編 148編。箴言 20:12。

[23ページの図版]

1,300光年離れた,壮大なオリオン星雲

[クレジット]

NASA photo

挿入写真: 米国アリゾナ州キットピーク国立天文台にある望遠鏡の一つ

[24ページの図版]

上: 電子顕微鏡で拡大したガの羽のりん粉のつけ根

左下: 4万倍に拡大すると,さらに細かなところまで見える。これは,すべての生物の組織に見られる複雑な仕組みの一例である

[クレジット]

上と左下: Outdoor Pictures

右下: フックによる初期の複合顕微鏡,1665年,ロバート・フックの「ミクログラフィア」より

[クレジット]

Historical Pictures Service

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