Moment/Robert D. Barnes via Getty Images
だれかが設計?
ハチドリの舌
ハチドリは毛管現象(細い管の中を液体が移動する物理現象)によって蜜を吸い上げている,と以前は考えられていました。しかし最近の研究によって,ハチドリはもっと効率的な方法を使っているということが分かりました。
考えてみてください ハチドリの舌が蜜の中に入ると,舌の先端が水平方向に2つに分かれます。それぞれの先端に溝があります。その溝は普段は閉じていて,液体に漬かると開きます。舌の先端が開くと,ストローのように吸い上げなくても蜜を取り込むことができます。そして舌を引っ込める時には,蜜を捉えたまま先端が閉じます。
この一連の動きには「0.1秒もかからない」と,研究者のアレハンドロ・リコ・ゲバラ,タイシ・ファン,マーガレット・ルベイガは言っています。そして,「ハチドリの舌は液体に触れると……形が劇的に変化し,蜜を効率的に取ることができる」とも言っています。
さらに,この仕組みはハチドリのエネルギーを全く消費しません。舌を液体に出し入れすると複雑な力が働くので,舌の先端が開いたり閉じたりします。
液体をとても効率よく取り込むこの仕組みが分かれば,医学やロボット工学などの分野に応用できるのではないかと考えられています。また,こぼれた液体や石油を拭き取るのに役立つツールが開発できるかもしれません。
ハチドリが舌を伸ばす様子をご覧ください。
どう思われますか ハチドリの素晴らしい舌は進化によるものでしょうか。それとも,だれかが設計したのでしょうか。