「エホバへの信頼」を表わす人々

去る7月23日から神戸市と名古屋市の大会を皮切りに，全国31か所で，エホバの証人の「エホバへの信頼」地域大会が開かれました。一連の大会は熊本市で開かれた大会をもって8月21日に幕を閉じました。最高出席者の合計は23万2,904人に達し，3,416名がエホバへの献身を表わす水のバプテスマを受けました。

出席するための努力

三日間にわたる大会に出席するため，多大の努力を払った人は少なくありません。岐阜県御嵩町で聖書を研究している77歳のお年寄りは，大会に出席するため普段よりも早く朝4時に起きていつも通り朝刊を配達しました。8年間患っていた心筋こうそくも最近では快方に向かい，この人は感謝の念を抱いて大会に出席しました。

朝6時に起きて，たすきがけで二つのバッグを抱え，川崎の大会に通った80歳の老婦人もいました。この人はぜんそくの発作に気をつけ，白内障を患っての出席でした。これらの人たちはどうしてそれほどまでして出席したのでしょうか。

人々が引き寄せられる理由

最大の理由は，大会で提供される霊的食物にあります。所沢の西武園競輪場の管理者は，「他の宗教団体は教えというよりも，大方祭りという感じです。あなた方は同じ形式の話をずっとしています」との観察を述べました。そして，競輪の観客がわずかな時間座るためのいすに，子供たちも長時間じっと座って話に聴き入る姿に感心していました。

人々が引き寄せられるもう一つの理由は，会場にあふれるクリスチャンの愛です。川崎の港町駅の駅職員も，広島のサンプラザのガードマンも，西条の体育館の館長も，異口同音に，大会出席者たちは「紳士，淑女」ばかりだ，と語りました。それは，出席者各人がクリスチャン愛を体で表わしていたからです。

穂高町では，町議会の後，町の有力者二人が大会会場に立ち寄り，「甲信越のエホバの証人4,000人ほどの多くの人が，静かにしかも整然と秩序正しく振る舞っていたので驚いています」と伝えました。町長はじめ，皆で，「このような集まりは他に類を見ない。すばらしい」と話していたということでした。

エホバに信頼して霊的な益にあずかる

聖書の教えを受けるために人々が集うエホバの証人の大会はすべて自発奉仕者により運営されます。今年の大会では，大会の運営をできるだけ簡素なものにし，出席者がプログラムから十分益を受けられるよう取り計らわれました。しかし，運営を簡素化して本当に大会が成功するのでしょうか。

大阪の大会に出席した一主婦の言葉はそれに答えています。『簡素化されて交わりを楽しめるようになりました。一層霊的なことに重きを置いてくださったことをエホバに感謝しています』。

釧路大会に出席して自発奉仕に参加した人は，簡素化について，「その分プログラムに集中でき，教えを受けることができ感謝しています」と語りました。

エホバへの信頼が試みられる

しかし，出席者が本当に『エホバを信頼』しているかどうかを試みる事態が7月25日，川崎市での大会の二日目に生じました。午後3時すぎに空がにわかに暗くなり，雷を伴う大雨が降り，強い風が吹きつけたのです。大会は屋外で開かれています。一瞬のうちに，雨のため，演壇の講演者が聴衆から見えなくなりました。

プログラムは中断を余儀なくされました。一，二階席は吹きつける雨で使用不能になり，大勢の人が通路に避難しました。それでも人々は冷静に会場整理係の指示に従いました。

小学校2年生くらいの男の子が，「だいじょうぶですか」と言いながらハンカチを出し，避難してきた人の肩をふいています。雨が一段と激しくなると，その子の母親は，「エホバ神にお祈りしましょう」と言って子供と共に祈りました。

雨のために帰る人はほとんどいませんでした。40分後にプログラムは再開されましたが，あたかもその40分間に，「豪雨の中でもエホバへの信頼を示す」というプログラムが会場全体で行なわれていたかのようでした。

同じような事態が他の会場で生じたとしても，結果は変わらなかったでしょう。盛岡大会の会場の一警備員は，出席者の振る舞いを見て，「だれがこうしたことを教えているのか。不思議で仕方がない」と語りました。エホバの証人はそれに対して，イザヤ 54章13節の聖句を答えとして引用します。「あなたの子らは皆エホバに教えられる者となり，あなたの子らの平安は豊かであろう」。