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世界一小さい鹿をご紹介します目ざめよ! 1987 | 5月8日
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プードゥーにはキツネ,ピューマ,ヤマネコ,フクロウなどの天敵がいますが,最大の敵は人間です。以前この小鹿は,略奪者の手を逃れる持ち前のスピードと知恵を用いて,もっと自由に歩き回っていました。プードゥーはキツネやピューマを欺くため,自分の足跡の上を逆戻りしたり,川上に向かって泳いだりすることで知られていたのです。しかし,今では,人間が森林を破壊してきたため,プードゥーの活動領域はじわじわと狭まりつつあります。そのため,こんもりしたやぶに作った穴の中で暮らすようになりました。プードゥーはきれい好きな動物なので,穴の中に食堂や寝室やトイレなどを別々に設けています。一生を通じてその場所は変更されません。穴になじむことが,プードゥーの生き残るかぎです。プードゥーは足が速く,かなり速く泳ぎますが,広々とした場所では容易に敵のえじきとなります。しかし,穴の中ではそうではありません。ある研究者によれば,穴の中のプードゥーは,「弾丸のように飛び回って」追跡者を振り切ります。
プードゥーの狩猟は禁じられていますが,このおとなしい小さな生き物を捕まえたり,殺したりするようになった良識をわきまえない人間たちもいます。その高価な毛皮やおいしい肉,また外国の動物園が傷のないプードゥーのために喜んで支払うお金を得ることが,そうしたハンターの動機となっています。ハンターたちは,穴から広い場所へプードゥーを追い出すように小型の犬を訓練してきました。
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世界一小さい鹿をご紹介します目ざめよ! 1987 | 5月8日
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今世紀に絶滅した68種類の哺乳類のリストに,間もなくプードゥーも加わるのではないかと危ぶまれましたが,「世界野生生物財団」で働くある研究員の最近の調査には,プードゥーが最終的に生き残る可能性が示唆されています。どのようにして生き残るのでしょうか。穴の仕組みを新しい環境に適合させる方法を学ぶことによってです。これは,絶滅の危機に瀕していることがはっきりしているチリのピューマのケースとは事情が異なります。緊張に満ちた環境や変化する環境のもとでは,荒々しく攻撃的であるよりも,順応性があって友好的であるほうがよいという場合は実に多いのです。
プードゥーが平和な新体制まで生き延びることを期待しましょう。新体制になれば,そのような動物たちは保護穴を離れ,何も恐れずに自由を楽しめる広々とした場所に出られるのです。
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