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  • 未確認飛行物体 ― 一体何なのか
    目ざめよ! 1990 | 11月8日
    • 未確認飛行物体 ― 一体何なのか

      ベティー・キャッシュとビッキー・ランドラム,それにビッキーの息子コルビーは,1980年12月29日,UFO(未確認飛行物体)の熱と煙と炎にさらされたと主張しました。ある新聞記事によると,その三人はその物体について,『テキサス州(米国)ヒューストンの北東にある,ハフマンの近くの,人通りのない農道を車で走っていた時に,前方の空に浮かんでいた,ダイヤモンド形の大きな物体』と説明しました。そして,この物体に出くわした結果,様々な健康上の問題を抱えるようになったと主張しました。―1985年9月4日付,マイアミ・ヘラルド紙。

      彼女たちは,「その物体がすぐに軍用機型のヘリコプター約23機に伴われて北の方向へ飛び去った」ので,これには米国政府が関係しているのだと思いました。この報告の中で,女性の一人,ビッキー・ランドラムは,「3人とも水ぶくれができ,髪の毛が抜け落ち,めまいや頭痛がするようになった」と述べました。「ランドラムは,3人が太陽光線に過敏になったのも,その装置が何らかの放射線を出していたからだと考えて」います。彼女たちは,政府を過失の罪で告訴しました。

      こうしたニュース記事によってUFOは繰り返し人々の注意を集めてきました。フィリップ・J・クラースが「UFO ― 欺かれている民衆」という本の中で書いているとおり,「地球の外に知的生物を発見するという期待は万人の興味をそそるもので,多くの有能な科学者たちがその知的生物を探すことに注意を向けており,そのための努力も払って」います。『しかし,どうして今さら』と,エドワード・ドルニクは,1987年8月号ニュー・リパブリック誌の,「接近遭遇」という見出しの記事の中で問いかけています。ドルニク自身は,「今日,そのことの最もよい説明となるものは,近づきつつある千年期[つまり,西暦2000年が近づいていること]と関連した,根強い終末論的な恐れと関係がある」と答えています。

      人々はUFOを信じているか

      あなたはUFOを信じていますか。夜空に何か正体の分からない物を見たことがありますか。終末論的な恐れに駆られているためか,あるいはほかの体験をしたためか,今日UFOを信じている人は少なくありません。ドルニクはその記事の中で,「大学教育を受けたアメリカ人の57%は地球外生物の存在を信じている」ことがギャラップ調査で分かったと述べています。そして,「大学教育を受けていないアメリカ人の場合,その割合は46%に低下する」と付け加えています。

      かつてのUFOに関する報告と言えば,天空に,時には近距離の所に,見慣れない不思議な物体を目にしたという話が一般的でした。しかし最近では,実際に人間的接触を持ったということが話の中心となっているようです。その中には,人間を誘拐すると言われている“異星人”と出会ったという話もあります。“異星人”は時に人間を生物学上の,さらには遺伝学上の実験材料にする意図を持っているということも同記事は示唆しています。こうしたことが言われるために,一般の人々の注意は再びUFOに関する話題に向けられるようになりました。

      UFOを目撃したとか,UFOに出くわしたという話は,国際的な範囲に及んでいます。例えば,一つの話にはスイスに住むある男性が関係しています。その人は5年以上にわたり,「鮮明で詳細な写真を何百枚も撮った」と言われています。「さらに,“光船団”の音を録音し,幾つかの金属片を集め,飛行中のその宇宙船をフィルムに収めた」ということです。説明は続きます。「その光船団の目撃証人は幾十人もいて,[その男性の]幻想的な話を確証した。その人の示した証拠は,ある退役米空軍大佐を隊長とするプロの警備隊が調査し,IBMの科学者たち,NASAのジェット推進研究所,アリゾナ州立大学,マクドネル・ダグラス航空会社などがそれを調べた」。

      このような話は今でも聞かれます。中でも興味深いのは,1989年1月30日付のタンパ・トリビューン紙が取り上げた話です。その記事には,米国フロリダ州のブリーズ湾付近で撮影された“宇宙船”のカラー写真が掲載され,エドと呼ばれる男性の体験談が載せられていました。最初の出会いについてはこう述べられています。「エドの話では,寝室のガラス窓から外をのぞいたとき,全身灰色の子供のような生き物と顔を合わせたということだ」。こうしたはっきりした出会いが,ある期間にわたって何度かあり,エドは多くの写真を撮りました。しかし,その新聞にはそれらの写真は一つも掲載されていません。

      人々は,新聞や雑誌,またベストセラーとされる本に出ている,未知のものとの遭遇に関するセンセーショナルな話を読んで,次のような疑問を抱いています。一体何なのだろう。UFOは実在するのだろうか,それとも空想の産物にすぎないのだろうか。そういう物に関する記録が歴史に残っているのだろうか。現代科学による説明よりも優れた説明があり得るだろうか。次の記事ではこうした疑問が取り上げられます。

  • UFO ― 古代と現代
    目ざめよ! 1990 | 11月8日
    • UFO ― 古代と現代

      空に不思議な物体を見たという話は遠い昔からあります。あるファラオは天に火の輪を見たとされています。アメリカ・インディアンには空飛ぶカヌーの伝説があります。初期のローマ人は空飛ぶ盾を見たと言いました。アステカ族の残した彫刻についてのある解説によると,神ケツァルコアートルはくちばし状の宇宙ヘルメットをかぶり,蛇のような飛行船に乗って地球にやって来たと考えられています。

      古くからの話によれば,1561年と1566年に,スイスのバーゼルとドイツのニュールンベルグの「多数の」住民が,空に見慣れない物を見たと伝えられています。しかし,1896年から1897年にかけて,米国で一つの珍事が生じました。国中の人々が,上空を飛行船のような物が飛んでいるのを見たと報告したのです。「アメリカでは,そのなぞの飛行船が引き起こしたような興奮は,それまでに一度も経験したことがなかった」と言われています。そういう目撃例は,カリフォルニア州をはじめ米国全土の大都市や村々にありました。「かの飛行船の大きななぞ」という本によると,興味深いことに,「1890年代の終わりごろに米国内を広く巡航した飛行船については,一般に認められている航空史の中に一言も触れられていない」ということです。

      多くの話が非常に詳しく,しかも広く報道されましたが,その中の一つは,1897年に米国カンサス州の小さな町であった話でした。それによると,その地域の住民であるアレグザンダー・ハミルトンは自分の牧場に着陸した1機の飛行船について説明しました。その飛行船がついに離陸するとき,その搭乗員は若い雌牛を1頭さらって行きました。後日,そこから道を五,六キロ行った所に住んでいる隣人が「自分の畑の中でその牛の皮と足と頭を見つけた」ということでした。しかし,何年か後に,その話は再び新聞に取り上げられ,でっちあげであることが暴露されました。

      以上のような話が,作り話であろうと,実話と考えられているものであろうと,最近出版されたUFO関係の本に再び取り上げられています。この20世紀に入る前の時代に生まれたそうした話の多くは,それから40年以上後に起き始めた幾つかの酷似した出来事がなければ,ほこりっぽい新聞のファイルの中に忘れ去られていたかもしれません。しかし今,人々はそれら初期の出来事を思い起こし,調査して,著しい類似点に注目するようになっています。

      現代のUFO

      この問題は,最近になってまたよみがえりました。それは第二次世界大戦中のことで,連合軍の爆撃機のパイロットたちが,「ドイツや日本の上空を飛行していた時に自分たちを付けて来た不思議な光の玉と円盤状の物体」を見た,と報告したときでした。アメリカのパイロットたちはそれをフー-ファイターズと呼びました。これは,「火」を意味するフランス語「フー」から来た語です。第二次世界大戦(1939-1945年)が終結し,それと共にフー-ファイターズも終息しましたが,不思議な物を見たという話は語り継がれました。

      西ヨーロッパやスカンディナビアの国々では,ゴースト・ロケットと呼ばれる,翼のない航空機が見られたということでした。それらは大抵の場合,天空を長く尾を引いて飛ぶ火の玉のようだったと説明されました。そうしたことが報道されたため米国までが,「二人の優秀な専門家をスウェーデンに派遣せざるを得ない気持ちになり」ました。ここに挙げた話は始まりにすぎませんでした。世間を驚かせるような,そして空飛ぶ円盤の時代を招来するきっかけになった話をしたのは,飛行機操縦の免許を持つ実業家,ケネス・アーノルドでした。それによると,1947年6月24日,彼は「変わった航空機が9機連なってレーニア山[米国ワシントン州]に近づく」のを見ました。それらは「円盤状の物体」で,「パイ皿のように平らで,鏡のように日光を反射して輝いていた」ということでした。彼はそれらの物体が「時速約1,900㌔で」飛んでいるのを測定したと言われています。それは当時のジェット機の飛行速度よりもずっと速い速度です。

      その「円盤」という語に報道機関の想像力はかき立てられ,今ではだれでも知っている「空飛ぶ円盤」という語が生まれました。この話が世界中に知れ渡ると,天空に不思議な物体を見たという人が大勢,各人各様の体験談を語り始めました。この話は他の色々な目撃談と共に軍事当局の注意を引きました。

      米国政府が調査に乗り出す

      軍のある高官に勧められたらしく,ついに米国政府は公式にUFOに注意を向けました。その結果,サイン計画が組織され,1948年1月22日から活動を開始しました。この調査団の任務は,米国オハイオ州デートン近郊にある航空技術情報司令部の管轄下で仕事を行なうことです。この計画の開始とほぼ同時に,悲劇が生じました。軍のパイロットであったトマス・マンテル団長が,当時の未確認物体を追跡している最中に,乗っていた飛行機の墜落事故で死亡したのです。補充用酸素を装備せずに高度を上げすぎて意識不明になったのかもしれません。団長が追跡していたのは観測用気球“スカイフック”だったかもしれない,ということが後になって分かりました。

      しかし,その空軍パイロットの死亡事故に加え,イースタン航空の二人のパイロットが新たな物体を目撃したと主張したため,UFOに対する人々の関心はいやが上にも高まりました。報道によると,イースタン航空機は米国テキサス州ヒューストンを飛び立ってジョージア州アトランタへ向かっていましたが,同機のパイロットは突如自分の右手をよぎった「翼のないB-29の胴体」をよけるため素速く回避行動を取らざるを得ませんでした。乗客の一人と地上にいた幾人かの目撃者の証言から,その話は信用できるものとされたようです。

      サイン計画調査団の最終的な報告は,一部の人を失望させるものでした。後に,UFO実在説に共鳴していた人が幾人か後任に選ばれ,その計画に「グラッジ計画」という新しい名称が付けられました。ところがそのころ,退役したドナルド・E・キーホウ少佐が「空飛ぶ円盤は実在する」という題の記事を書いたので,UFO実在に対する信仰は新たな高まりを見せました。その話は,トゥルー誌の1950年1月号に掲載され,その号の発行部数は相当な数に上りました。その後トゥルー誌は,すでに広まっていた関心をさらに高めるべく,海軍司令官R・B・マクロクリンによる続編記事を載せました。この記事の題は,「科学者たちはいかに空飛ぶ円盤を追跡したか」というものでした。その熱狂は長くは続きませんでした。コスモポリタン誌やタイム誌が,UFOのまやかしを暴露する記事を載せたからです。こうした新しい記事が出され,目撃したという話が出なくなったため,人々の関心は薄れてゆきました。その後,UFOの歴史の上で顕著な年,1952年が到来しました。

      1952年 ― UFOの年

      米国航空技術情報司令部に届いた,UFOを目撃したという報告の数が最も多かった年は1952年で,合計1,501件記録されました。1952年3月初旬に米空軍は,報告の数が増加したため,ブルーブック計画と呼ばれる別個の組織を設けることにしました。UFO活動が盛んだったその年,UFOを目撃したという報告は多かったものの,その内容は千差万別でした。

      特に際立った一連の目撃証言の一つは,7月19日から20日にまたがる真夜中のワシントン特別区の上空で始まりました。「ワシントン空港の管制塔にあるレーダースコープ2基に一群の未確認飛行物体が現われた」というニュースが流れました。「それらの物体は,最初はゆっくりと動いていたが,……その後『猛烈なスピードで』飛び去り」ました。レーダーの応答は,肉眼で見た状態と一致しました。その後の報道によると,迎撃が試みられましたが,「それらの物体は,ジェット機が近づくと姿を消し」ました。

      1966年,当時ミシガン州選出の議員であったジェラルド・R・フォードは,政府による再度のUFO実態調査を要請したと考えられています。その要請がなされたのは,ミシガン州で数多くのUFO目撃が報告されていたためでした。要請の結果,コロラド大学で改めて調査が行なわれることになり,著名な物理学者のエドワード・U・コンドン博士がその仕事の監督を引き受けました。そして1969年,調査が終了したときに,コンドン・レポートが発表されました。それには特に次のように述べられていました。「過去21年間のUFO研究からは,科学的知識を増し加えるものは何も得られなかった。……したがってUFOの研究をさらに広範に行なってみても,それによって科学が進歩するという期待にこたえることは恐らく不可能であろう」。

      これをもって米国政府の公式のUFO調査は終了し,それと共に一般の人々の好奇心も冷めてゆきました。しかし,それによってUFO論争が終わったわけでも,UFOを見たという報告がなくなったわけでもありません。ある報告によると,「その報告書の中で取り上げられた95の事例の2割は『未解明』のままになっている」ということです。

      UFOに対する関心は,目撃報告の波に応じて高まったり薄らいだりするようです。未確認物体が観察された1973年と1974年にはUFOへの関心は一段と高いものがありました。1980年代になって再び幾つかの報告が紙上をにぎわしました。では,科学者や他の専門家たちは最近は,結論としてどんなことを述べているでしょうか。

      [5ページの図版]

      アステカ族の神ケツァルコアートルは蛇のような宇宙船に乗ってやって来たと思っている人もいる

  • UFO ― 正体は見分けられるか
    目ざめよ! 1990 | 11月8日
    • UFO ― 正体は見分けられるか

      科学者たちはUFOをどのように説明しているのでしょうか。UFOの目撃例を研究してきた人々の中に,ハーバード大学の天文学者であった故ドナルド・H・メンツェルと,アビエーション・ウィーク誌の元編集長フィリップ・クラースがいます。彼らは,UFOは実際にはIFO(確認飛行物体)であると主張します。調査の結果UFOは,気象観測用気球,夜間の宣伝用飛行機やヘリコプター,流星,幻日などのような,実体をつきとめることのできる物もしくは作用であるということになりました。a

      フィリップ・クラースは,UFOを自然現象もしくは誤認であると説明しています。クラースによれば,その一つの例は,一種の球電もしくは電離気体ではないかと思われるUFOです。しかし批評家たちは直ちに,電離気体,すなわち極度にイオン化したガスは持続時間が非常に短いので,問題の十分な説明とはならないと反論しました。クラースによると,レーダー上に現われるUFOの中には,気象上の現象もあります。しかし,レーダー監視員の中には,それだけでは,時折観察される知的な行動と思われる事象の説明にはならないと言う人もいます。クラースの考えによれば,予想もしていなかった瞬間的な出来事に不意に出くわす人は,「見た事柄を詳しく述べようとするあまり非常に不正確なことを言う」場合があります。

      テレンス・ハインツは,自著「疑似科学と超常現象」の中でこう述べています。「非常に感動的に聞こえるUFO目撃の報告も,注意深い調査の結果,ごく簡単に無理なく説明できることが分かった。……そうした事例においてはいずれも,目撃者の報告は全くと言っていいほど信頼できないことが明らかになる。大抵の場合に,目撃証人の報告は実質的には人を興奮させるようなものではなかったが,ごく少数ながら証人が故意にうそをついていた例もあった。目の錯覚ということがある上に,UFOなら“当然”どう見えるかに関する知識も,その報告に影響していた」。

      UFO ― 宇宙人の誘導する物体か

      UFOは外界宇宙に存在する知的生物と関連があるかもしれない,というのが通説となっています。この結論に達した人たちのリーダーであるジェームズ・マキャンベル博士は,「スーパー知能を有する異星人はこの地球環境にとってますます卑近な存在になりつつあるようだ」と警告しました。「UFO ― 欺かれている民衆」という本の著者であるフィリップ・クラースによれば,「自由寄稿家に転向した退役海兵隊将校」のドナルド・E・キーフー少佐が「初めてUFOを大衆化し,それを地球外生物の宇宙船だと主張し」ました。キーフーも「宇宙人」説を唱え,「もし異星人の目的が地球への移民であるとしたら,恐怖と抑えのきかない恐慌状態の大波を引き起こすことになるだろう」と警告しています。

      UFOは「並列宇宙」に居住する優秀な生物であるという概念も,一部の研究者の関心をとらえました。この理論では,その生物は「人間の頭脳の電気回路を操作できる」かもしれないとされており,その能力によって人間の政府を支配することもできると考えられています。彼らは「世界の主要宗教の運動,奇跡,天使,幽霊,妖精,騒霊など[と関係を持つ]霊的存在」とつながりがありそうだと言う人もいます。―ロナルド・D・ストーリ著,「UFOと科学の限界」。

      UFOの正体はつかめるか

      これまで見てきたように,UFOの正体はすべて自然物かまたは既知の現象として説明できることを確信している研究者もいます。しかし一方,独自の特別な理論を提唱する人もいます。

      「目ざめよ!」誌がこの問題のあらましを,比較的華々しい幾つかの事例に関する論考と共に掲載したのは,コンドン・レポートとUFOの話題がまだ一般の人々の関心の的となっていた時でした。b 「目ざめよ!」誌は結論として次のように述べています。「調査された[UFOに関する]報告の大多数は,ブルーブック計画[政府による初期の調査]で指摘された,惑星・飛行機・気球・流星・蜃気楼その他に基づくものでした」。

      その記事はさらに次のように続いています。「徹底的な調査[コンドン報告の中にまとめられている情報]の結果,錯覚や一種の心理的な幻覚が関係していることもわかりました。つまり,空に見えるごく普通の物体でも,何か異常な状況の下でそれを見る人の目には異様なものとして映ります。目撃者はそれを大げさに人に話し,新聞がさらに尾ひれをつけて報道するうちに,それは緑色の小柄な火星人が宇宙船で飛来したという話になってしまうのです」。

      多くの人にとって,公式のコンドン・レポートと上記のような結論は,UFOに関する報告の減少と相まって,問題に終止符を打つかに思えました。ところが,20年後の今なおUFOは一般の人々の注意を引いています。最初の記事で触れたように,ある有名雑誌の記者は,新たな要素が加わっていると述べています。人々は,西暦2000年が近づいている今,「根強い終末論的な恐れ」を背景に生きています。

      最近では,米国も他の政府も過去においてUFOに関する幾らかの事実を無視もしくは隠蔽していたきらいがあると言われているため,半信半疑の気持ちが以前にもまして強くなっています。1988年のある出版物の著者は,彼の言う,「UFO問題の途方もない隠蔽工作を疑問の余地なく証明」する情報を集めるため,1966年に米国で制定された情報公開法と共に他の国々の資料をも利用しました。―ティモシー・グッド著,「極秘情報の上に」。

      ゲアリー・キンダーは,自著「明るい年月」の中で,UFOの存在を当局に納得させるのに必要な証拠についての疑問を提起しています。そしてある目撃者が次のように問いかけたことを指摘します。「一体何が[UFOの]証拠となるのか。UFOはペンタゴンに通じる場所であるリバーエントランスに,統合参謀本部に近い所に着陸しなければならないと言うのか。それとも,地上のレーダー基地がUFOを探知し,それを迎撃するジェット戦闘機を発進させ,戦闘機のパイロットがそれを目撃し,かつレーダーに捕らえ,結局はUFOがものすごい速度で飛び去ってしまうなら,それが証拠となるのか」。

      他方,ハインツ教授は,1949年から1979年までの期間の出来事を網羅する,発表された997ページの文書には,政府が隠蔽工作をしたということは示されていないと反論します。「UFOに関するCIA(中央情報局)の機密書類や文書を調べてみると,当局がその現象に幾らか関心を抱いてはいるものの,地球外生物存在説には懐疑的であることが分かる。これらの文書も……UFOについての“真実”を政府が隠蔽したという,よく繰り返される主張の反証となる」。

      証拠がない主要な理由の一つは,公然と現われたUFOは一つもなく,どんな地球外生物も一般の人々が認め得るよう公式に姿を見せた例がないことです。そのうえ,「おぼろげな形やぼんやりした光体ではなく,本物とみなせるUFOの写真は一つもない」と,ハインツ教授は主張します。専門家たちは再三,金星か他の天体がUFOと見間違えられたのだということを説明してきました。UFOの問題に関しては,すべての人を納得させる解答がないことは明らかです。

      コンドン・レポートがニュースの種になっていたころ,「目ざめよ!」誌のある寄稿者は,コロラド州ボールダーで働いていた科学者団の一人とその研究結果の一部について個人的に対談しました。その科学者は,説明できない幾つかの事例の場合,UFO体験には何らかの「精神的知覚」が関係している,と考えているようでした。ですから,多くのUFO目撃は自然界に生じる事柄あるいは誤認として科学的に説明できますが,中には精神的または心理的な体験や知覚が関係したものもあるかもしれません。

      オカルトの影響があるか

      UFOとの遭遇を報告した人の精神的もしくは心理的な体験を調べてみると,心霊現象や他の超常現象との類似性を認めることもできます。その一つの例は,ジョン・H・アンドリューが自著「地球外生物とその現実」の中に記している自分自身の証言です。彼はその本を書く際に助けとなったものがあることを認めてこう述べています。「私に自分たちの身の上話をし,名を明かすことを望まなかった四名の宇宙人[「我々の間でだれにも気づかれずに動き回っている,人間の肉体を付けた地球外生物」],私のいろいろな実験を援助してくれた多くの霊媒ならびに伝達経路,そして多くの有益な音信を伝えてくれた地球外生物にも深く謝意を表わしたい」。それら「宇宙人」に関してアンドリューは,「みな非常に知的であった。みな肉眼に見えない存在者のための伝達経路だった」と述べています。―サムエル第一 28:7,8; エフェソス 6:12と比較してください。

      アンドリューは,地球外生物からメッセージを受け取ったとも主張しています。そして,それらのメッセージを幾つか列挙しています。「死などというものはない。……善や悪などといったものはない。[創世記 3:3,4と比較してください。]……創造,進化,および輪廻はこの宇宙の中に働いている極めて重要な作用である。……我々(地球外生物)がここにいるのは,あなた方を制御したり支配したりするためではなく,指導するためである。……地球は間もなくとてつもない大変災による変化を経験する。それらの変化が完了しても,現在の人口の1,000分の1以下はまだ生きているだろう」。

      聖書も地球外生物,つまり霊の被造物について述べています。従順なみ使いと,悪霊となった反逆的で不従順なみ使いなどがそれです。聖書の歴史を通じて神は人と意思の伝達を行なうために何度も忠実なみ使いたちをお用いになりました。(創世記 22:9-18。イザヤ 6:1-7)サタンは今でも配下の悪霊たちを用いています。その目的は,ありとあらゆる哲学,流行,お告げ,交信,新興宗教などによって人類を誤導するためです。これらによって神の王国,すなわち神の天的政府が間もなく,回復された地を支配するという音信から人々の注意をそらすのです。―ルカ 4:33,34; ヤコブ 2:19; 啓示 12:9; 21:1-4と比較してください。

      クリスチャンの使徒パウロは次のように書いて,終わりの日における悪霊の影響に気をつけるよう適切な警告を与えています。「霊感のことばは,後の時代にある人たちが信仰から離れ去り,人を惑わす霊感のことばや悪霊の教えに注意を寄せるようになることを明確に述べています」― テモテ第一 4:1。

      この終末の時代に入ってから時がどれほど経過しているかを考えるなら,その種の事柄を詳しく調べるために自分の貴重な時間を費やすのは,クリスチャンにとって賢明なことではないでしょう。むしろわたしたちは,目下の挑戦であるより重要な事柄,すなわち,「神を恐れ,神に栄光を帰せよ。神による裁きの時が到来したからである。それゆえ,天と地と海と水のわき出るところとを造られた方を崇拝せよ」と宣明した,地球外の聖なるみ使いの命令に従うべきです。―啓示 14:6,7。

      [脚注]

      a 幻日とは,太陽のどちらかの側に現われる発光輝点。仮日と呼ばれることもある。

      b 「目ざめよ!」誌,1970年4月8日号,5-8ページをご覧ください。

      [10ページの囲み記事]

      UFO ― 科学的な見解

      「UFOは天文学と関連がある。もし人々にもっと天文についての知識があれば,UFOを目撃したという報告の数はずっと少なくなるだろう」―「天文学」誌,1988年12月号。

      「金星は夜空に見える惑星の中で最も明るいため,UFOと勘違いして報告される頻度は他のどんな単体よりも高い。……

      「近代的な空港のレーダーは,今では領域内に入るすべての航空機を自動的に識別する。……レーダーがより精巧になり,航空機を正確に識別でき,誤認の原因を排除できるようになったため,レーダーがUFOを捕らえたという報告の数は減少してほとんどゼロになっている。言うまでもなく,もしUFOが現実のものであれば,近代的なレーダーがキャッチするUFOの数は増加する……と期待してよいだろう。……

      「ほぼ40年にわたって調査が行なわれたが,UFOに関する信頼できる写真は1枚も撮られておらず,正真正銘の破片その他の物理的証拠も一つも発見されなかった。毎年毎年,感動的な目撃証言が報告されるが,注意深く調査してみると,それらは誤解,誤認,でっちあげなどのかすみの中へ消えてゆく」― テレンス・ハインツ著,「疑似科学と超常現象」。

      「問題の多くは次の事実から生じる。すなわち,天空には無限とも言えるほど多種多様な変わった光景や物体があり,その中で一人の人間が生涯中に遭遇するものはごくわずかにすぎないということだ。だから,そういうことが起きると人は,単に見慣れないものを見たというよりも,異常な事柄を見たと考え違いをするかもしれない。……

      「どんな話も,欺まん,病的興奮,軽信,宗教的熱狂,無能力,その他もろもろの好ましくない人間的特性によって大いに粉飾されていないものはまずない」― アーサー・C・クラーク著,「宇宙の約束」。

      「『かくあれかしと願うゆえにそう信じるのは,精神錯乱の最たるもの』。この深遠な言葉を科学という神殿の敷居に刻み込んでもらいたい」― ルイ・パスツール,19世紀フランスの科学者。

      [8ページの図版]

      ある光景を見る角度によっては,夜間の宣伝用気球,飛行機,ヘリコプターなどをUFOだと思い込むことがある

      [クレジット]

      Nite Sign, Inc.

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