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  • 赤い惑星へもう一度
    目ざめよ! 1999 | 11月22日
    • [15ページの図版]

      マーズ・クライメット・オービター

      [15ページの図版]

      マーズ・ポーラー・ランダー

  • 赤い惑星へもう一度
    目ざめよ! 1999 | 11月22日
    • 赤い惑星へもう一度

      “探偵”二人が,太陽系内の地球の隣人である火星へ送られました。それが送られたのは,この赤い惑星の地質学上の歴史,および現在の状態について,幾つかの基本的な疑問に答えるためです。

      遠い昔から,火星は人々の想像力を燃えたたせてきました。先人たちは,他の星の運行とは外れて夜空を横切る,この赤く輝く天体にどこか変わったものを感じました。古代のバビロニア人,ギリシャ人,ローマ人は,この惑星に,自分たちの戦争の神や死の神にちなんだ名前を付けました。その赤みがかった色は,表面が酸化鉄のちりで覆われているしるしであるとは知らなかったのです。

      近代になって,天文学者がだんだんと強力な望遠鏡を太陽系内に向けるにつれ,赤みがかったこのお隣の星には季節の変化があり,氷に覆われた極があるなど,地球を思わせる特徴があることに注目しないわけにはいきませんでした。20世紀には,軌道周回船や着陸船などの宇宙探査機が,ソビエト連邦や米国によって次々に打ち上げられて,火星の初期的な調査がなされました。次いで行なわれたのが,マーズ・パスファインダー計画です。1997年7月,それは無数の人々の注意をテレビ画面にくぎ付けにしました。a

      現在のところ,軌道周回船マーズ・グローバル・サーベイヤーが,この赤い惑星に関するデータを集めています。これまでの計画によって相当量の情報が得られたとはいえ,火星に関する基本的な疑問は幾つも残っています。

      水はどこに?

      そうした疑問に共通している要素は水の問題です。はるか昔,火星は現在目にするものとはかなり違った様相を呈していた,と科学者は推測しています。かつて気候は今より温暖で,湿度があり,その地表面に川が流れる惑星だった,と描いているのです。しかし,どういうわけか水は消失し,地球の砂漠さえ水々しく思わせるほどに乾燥した,ちりの舞い上がる,荒涼たる惑星があとに残りました。水はどこに行ったのでしょうか。現在の火星のどこに,どんな形で水を発見できるでしょうか。水は,火星の気象や気候にどう影響しているでしょうか。

      カリフォルニア州パサデナの,米国航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所,火星探査オフィスの元所長ノーマン・ヘインズはこう述べています。「これは一種の推理小説である。水がどうなったのかを突き止めることこそ,火星の面白味である」。科学者たちは,近いうちにその答えに迫れるのではないかと期待しています。地球と火星はおおむね2年ごとにちょうどよい位置関係に並び,研究者はその時にロボット型の探査機を打ち上げて,火星のなぞを解き明かしてゆこうと計画しています。

      最近の一組の“探偵”は,極軌道を飛ぶ気象観測機と,火星の地面の下について科学者に情報を提供する,現場型の化学ロボットでした。その名称は,マーズ・クライメット・オービター(火星気候軌道周回船)とマーズ・ポーラー・ランダー(火星極地着陸船)です。

      火星に向かう

      マーズ・クライメット・オービターは,1998年12月11日,フロリダ州ケープカナベラルのケネディー宇宙センターから打ち上げられ,火星に向かう9か月間の旅を始めました。この探査機は,火星上空400㌔の高度を維持して,火星の大気,表面の様子,極冠などを観測するよう計画されていました。観測は火星でのまる1年,つまり地球の687日間になる予定でした。

      クライメット・オービターが火星の観測を始める予定だった9月23日,米国宇宙航空局ジェット推進研究所の科学者は,この気象観測船との連絡が途絶えていることを発表しました。この計画のプロジェクト・マネージャーであるリチャード・クックは,「宇宙探査機は考えていたよりも低い高度で突入したと思われる。計画を断念せざるを得ないかもしれない」と述べました。この計画は,火星地表における季節変化を調査し,火星の初期の気候に関する重要な手掛かりを研究者に与えるはずでした。

      科学者はすべてが失われたのではないことを望んでいます。2番目の宇宙探査機,マーズ・ポーラー・ランダーが火星に向かっているからです。これは1999年1月3日に打ち上げられ,今年の12月初めに火星に到着する予定です。この着陸船<ランダー>はどこに降ろせば,最大の成果を上げられるでしょうか。

      どこに着陸?

      火星探査においては,水に関する疑問が最優先されていることを覚えておいてください。水の研究に理想的な場所はこの惑星のどこでしょうか。地球の気象,気候,水の循環についての研究は,多様な機材を使って様々な場所で行なわれ,その個別の成果を比較することによってなされています。しかし,他の惑星の探査では,さらに選別した方法で行なわなければなりません。火星をその表面で研究する機会はごく限られているために,科学的調査を行なう人たちは,どの機材をどの場所に送るかを注意深く選定しなければなりません。

      2年前にマーズ・パスファインダーが着陸したのは,岩だらけのはんらん原でしたが,火星の気候研究には,それとは大きく異なる場所である南極か北極地域が理想的です。極地は,季節の両極端が生じる場所です。極地では,季節性の砂あらしが薄いちりの層を積もらせると考えられています。冬になると,そのちりは,二酸化炭素と水でできた氷の下に凍結します。年月の経過と共に,幾つもの層が積み重なってゆきます。「この層が[火星の]気候史の記録をとどめている」と,アリゾナ大学のラルフ・ローレンツは述べています。専門家は,この新しい分野の探査が火星研究における次の重要なステップになると考えています。どのようにでしょうか。ランダーは着陸した後,何をしますか。

      地面の下を調べる

      この着陸船はクモのような形をした機械で,高さが約1㍍,3本の脚と,先端にスコップの付いた2㍍のロボットアームがあります。火星の地面に着地する前から任務は始まります。着陸船は,火星の大気圏に達する直前に,それぞれバスケットボールほどの大きさの,格納器<ポッド>2個を投下します。

      この発射物は火星地表に向かって自然落下し,時速約700㌔で地面に衝突します。ポッドは当たった衝撃で粉々になるように設計されており,2台の小さな探査装置が放たれて,地下1㍍の深さまで土の中に打ち込まれます。ひとたび土の中にもぐると,この2機の探査装置は,小さなドリルを出して,火星の土壌の化学組成を調べ始めます。最初の目標は,地中に何らかの水が凍結してひそんでいないか,そのこん跡を見つけることです。

      探査装置が地面に到達してまもなく,着陸船本体もパラシュートで降下します。カメラとセンサーを搭載したこの着陸船は,火星の地形と気象を調査できるように設計されています。降下中と着陸後に写真を撮影します。取り付けられているマイクで,火星の風の音が初めて収録されるでしょう。この着陸船は着陸のあと90日間ほど作動する予定です。

      調査に向けた意欲

      もちろん,この計画で収集したデータを分析,研究するには何年もかかることでしょう。これら最新の宇宙探査機は,火星についてさらに知るための16年に及ぶ努力の一環です。NASAに加えて,ヨーロッパ,日本,ロシアの宇宙開発機関もこうした試みに参加しています。科学者は,最終的には,将来の計画によって火星の土の標本<サンプル>を持ち帰って,地球上の研究所で分析することを望んでいます。それによって,お隣の赤い惑星である火星の気候に何が起きたのか,その疑問に最終的な答えを出せるかもしれません。

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