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  • ガリレオの望遠鏡 ― それは始まりにすぎなかった
    目ざめよ! 1992 | 3月22日
    • ガリレオの望遠鏡 ― それは始まりにすぎなかった

      ガリレオが,発明したばかりの望遠鏡を空に向けると,それまで目にしたことのなかった眺めが視界に飛び込んできました。ガリレオはそれ以前の人より10倍も多くの星を見ることができました。天の川はぼんやりとした塊ではなく,大きさの異なる無数の星の万華鏡のように見えます。月の表面は彼の目の前で,光沢のある陶器から,山とクレーターと水のない海とのモザイクに変容しました。

      それから数か月後,ガリレオは木星の衛星のうちの4個を見つけました。その後,土星の美しい環を目にしました。望遠鏡を金星に向けた時には,金星に幾つかの相があること,つまり明るさや見かけがわずかに変化することに気づきました。これらの相は,金星が太陽の周りを回っているのでなければ説明がつきません。しかし,一つの惑星が太陽の周りを回っているとすれば,地球を含む他の惑星も回っているに違いない,とガリレオは結論しました。その結論は正解でした。こうして地球は1609年,いわゆる宇宙の中心としての神聖な座から引き降ろされたのです。

      ところが,長年大切にされてきた信念は簡単には廃れませんでした。カトリック教会は,「地球が宇宙の中心でないとか,まして毎日回転しているなどという見解は,……いずれにしても誤った考えである」と判断しました。ガリレオは異端審問所に引き出され,晩年は軟禁状態にありました。しかし宗教上の教条主義は,望遠鏡の発明によって呼び起こされた好奇心を抑えることはできませんでした。宇宙のなぞの解明に挑戦することに魅せられた科学者の数は増える一方でした。

      さて,400年近くにわたる綿密な調査の結果,宇宙に関する知識は劇的に増大してきました。赤色巨星,白色矮星,パルサーなど,様々なタイプの星の存在が確認されました。最近では,宇宙のかなたにあって莫大なエネルギーを放出する不思議な天体,クエーサーが探知されました。また今では,得体の知れないブラックホール ― 想像もできないほど強力な宇宙の渦巻きのようなもの ― が多くの銀河の中に潜んでいると考えられています。

      天文学者たちは強力な光学望遠鏡を使って遠い宇宙をのぞくことができ,そうすることによって,事実上何十億年もの昔にさかのぼって,目に見える宇宙のまさに果てにまで旅をすることができます。無数の星や銀河が発見されてきました。中には非常に遠くにあるため,わたしたちの所まで光が届くのに150億年以上かかると計算されているものもあります。a

      一般に星は弱い電波を出していますが,パルサーやクエーサーなどのように,主に電波望遠鏡のおかげで発見された天体もあります。その名のとおり,この種の望遠鏡は光の波長ではなく,電波の波長を探知します。1961年以来,幾百ものクエーサーが発見されてきましたが,その多くは現在知られている宇宙の端のほうに位置しています。

      宇宙の地図を作ることは,ガリレオには考えも及ばなかったほど骨の折れる作業でした。宇宙の広大さ,それを構成する幾十億もの銀河,そして銀河同士を隔てている気が遠くなるほどの距離を人間が理解するようになったのは,今世紀に入ってからのことです。

      天体間の距離を想像しやすくするため,物理学者ロバート・ジャストローは次のように類推することを勧めています。太陽をオレンジの大きさに縮小したとします。すると地球は,太陽から9㍍ほど離れた軌道を周回している一粒の砂にすぎなくなります。木星はオレンジを中心に1街区離れたところを回っているサクランボの種のようです。冥王星は,オレンジに例えた太陽から10街区離れたところにある,これまた砂粒のようなものです。この縮尺で考えると,太陽に最も近いケンタウルス座アルファ星までは約2,100㌔あります。天の川全体は,互いに3,200㌔ほど離れたオレンジがゆるやかに集まったもので,端から端までの直径は約3,000万㌔ということになります。すべてを縮小しても,すぐに手に余るほどの数字になってしまいます。

      驚きに値するのは距離だけではありません。科学者たちが宇宙のなぞを解き明かしてゆくにつれ,特異な現象が明らかになってきました。中性子星は非常に密度の高い物質でできていて,わずかスプーン1杯の重さが象2億頭分にも相当します。パルサーと呼ばれる小さな星がありますが,その中の一つは1秒間に約600回点滅を繰り返しています。そしてもちろん,科学者たちがさまざまな推測を行なっている,興味をそそるあのブラックホールがあります。ブラックホール自体は目には見えませんが,光と物質を飽くことなく吸い込むということは,見えないとしてもそれが存在していることの表われかもしれません。

      もちろん,果てしない距離と無限に近い時間に覆い隠されていまだになぞのまま残されている事柄が数多くあります。しかし,科学者たちはこれまで宇宙についてどんなことを発見してきたのでしょうか。彼らが学んだ事柄は,宇宙がどのように,またなぜ存在するかを明らかにしていますか。

      [脚注]

      a こうしたけた外れの距離を扱いやすくするため,光年など,距離を表わす新たな単位を考案しなければなりませんでした。1光年とは,光が1年間に進む距離のことで,約9兆4,600億㌔です。時速100㌔で走る車でも,その距離を走りとおすには1,100万年近くかかります。

      [4ページの図版]

      1957年に英国に建設されたジョドレルバンク電波望遠鏡は,初の完全操縦式装置だった

      [クレジット]

      Jodrell Bank Radio Telescopeの厚意により掲載

  • 宇宙 ― 解明された幾つかのなぞ
    目ざめよ! 1992 | 3月22日
    • 宇宙 ― 解明された幾つかのなぞ

      楊惟徳は西暦1054年7月4日の早朝に空を見つめていました。中国の宮廷に仕える天文学者だった彼は,細心の注意を払って星の動きを観察していました。そのとき,ふとオリオン座の近くの明るい光に注意を引かれました。

      “客星”― たまにしか現われないそのような星を古代中国人はそう呼んだ ― が現われたのです。楊は本分を尽くして皇帝に報告した後,“客星”が金星よりも明るく輝き,数週間は真昼でも見えることに気づきました。

      その光景をうまく説明できるようになるまでには,それから900年かかりました。今では,あの中国人の天文学者が目撃したのは超新星,つまり大激変を引き起こす大質量星の死にぎわの苦しみだったと考えられています。そのような異例な現象が生じる理由は,天文学が解明を試みている数々のなぞの一部にすぎません。次に挙げるのは,天文学者たちが骨折ってまとめ上げた解説の一つです。

      太陽のような星の一生は非常に長く,また安定しているとはいえ,その誕生と死は空に壮大な光景を描き出します。科学者たちは,星の生涯の物語は星雲の中で始まると考えています。

      星雲。これは,ガスと塵でできた星間雲に与えられた名称です。星雲は夜空を飾る指折りの美しい天体です。この雑誌の表紙に掲載されている星雲は,三裂星雲(三つの裂け目を持つ星雲)と呼ばれています。この星雲の内部で新しい星が誕生し,星が生まれると星雲は赤い輝きを放ちます。

      星は星雲内で形成されるようです。散在していた物質が重力によって凝縮し,収縮するガス帯となってゆきます。これら巨大なガスの塊は,雲の中心部で核反応が始まるほどの温度に達すると安定し,それ以上は収縮しなくなります。こうして,星が誕生します。たいていは他の幾つかの星と共に誕生し,星団を構成します。

      星団。8ページの写真には,宝石箱と呼ばれる小さな星団が写っています。これは,わずか数百万年前にできたものと考えられています。この名前は,19世紀の天文学者ジョン・ハーシェルが,「色とりどりの宝石の入った小箱」と写実的に描写したことに由来します。銀河系の中だけでも,同様の星団の数は1,000を超えることが知られています。

      星のエネルギー。発生期,つまり成長期の星は,内部の原子炉が点火すると安定します。星は核融合によって水素をヘリウムに変え始めます。その過程は,水素爆弾の内部で生じることと多少似ています。典型的な星は,太陽と同様に質量が非常に大きいので,燃料を切らすことなく何十億年も核燃料を燃やし続けることができます。

      しかし,そのような星がついに水素燃料を使い果たしてしまうとどうなるのでしょうか。星の中心部分の水素がなくなるにつれて,中心核は収縮し,温度が上がります。その間に,外層は非常に大きく膨れ上がり,星の半径は50倍以上になり,赤色巨星となります。

      赤色巨星。赤色巨星は表面温度が比較的低く,そのため白や黄色ではなく,赤く見えます。星の一生のうちでこの時期は比較的短く,ヘリウムが尽きるころに宇宙の花火と化して終わります。そして引き続きヘリウムを燃やし続け,外層を放出します。放出されたものは惑星状星雲を形成し,母体となった星からのエネルギーを受けて光を放ちます。最終的に星は劇的に収縮し,弱く輝く白色矮星となります。

      しかし,元の星の質量が十分大きければ,最後には星そのものが爆発します。これが超新星です。

      超新星。超新星とは,もともと太陽よりもずっと質量の大きい星の一生の終わりを告げる爆発のことです。大量の塵とガスが強い衝撃波によって秒速1万㌔以上で宇宙空間に吐き出されます。爆発時の光が非常に強いため,10億個の恒星を合わせたよりも明るく輝き,空にきらめくダイヤモンドのように見えます。一つの超新星爆発で放出されるエネルギーは,太陽が放射するエネルギーの90億年分に相当します。

      楊が超新星を観察したときから900年が経過した現在でも,天文学者たちはそのときの爆発で散らばった残骸を見ることができます。それは蟹星雲と呼ばれています。しかし,星雲以外のものも後に残されていました。中心部に何か別のものが発見されたのです。それは毎秒33回転している小さな天体で,パルサーと呼ばれています。

      パルサーと中性子星。パルサーは,太陽の質量の3倍未満の星が超新星爆発を起こした後に残る物質の,超高密度の中心核が自転しているものと考えられています。直径が30㌔にも満たないため,光学望遠鏡ではめったに発見できません。しかし,電波望遠鏡を使えば確認することができます。パルサーの高速回転によって生じる電波信号を探知するのです。ちょうど灯台の光の筋のように,電波の流れが星と共に回転し,観測者の目には脈拍(パルス)のように映ります。そこからパルサーという名前が生まれました。パルサーは主として中性子がぎっしりと詰まってできているので,中性子星とも呼ばれます。中性子星の密度が非常に大きい ― 1立方㌢当たり1億㌧を超える ― のはそのためです。

      では,質量の極めて大きい星が超新星爆発を起こした場合はどうなるのでしょうか。天文学者たちの計算によると,中心核は中性子星の段階を通り越して崩壊を続けることがあります。理論的には,中心核を圧縮している重力が非常に大きくなり,いわゆるブラックホールができます。

      ブラックホール。ブラックホールは宇宙の中の巨大な渦巻きのようなもので,そこからは何も脱出できないと言われています。内部に引き込む重力が極めて強いので,光でも物質でもそこに近づきすぎると容赦なく吸い込んでしまいます。

      ブラックホールが直接観察されたことはまだ一度もありません。定義からすれば,それは不可能です。しかし物理学者たちは,ブラックホールが近くの天体に及ぼす影響によってその存在を証明したいと考えています。この特殊ななぞを解明するには,新しい観察技術の開発が必要でしょう。

      銀河のなぞ

      銀河とは,幾億ないし幾千億個の恒星からなる,宇宙の体系のことです。1920年には,太陽は以前考えられていたように銀河系の中心であるというのは間違いであることが発見されました。それから間もなく,強力な望遠鏡によって,ほかにも数多くの銀河が存在することが明らかになり,人間は宇宙の測りしれない広大さを理解し始めました。

      わたしたちが天の川と呼んでいる,ぼんやりとしたつづれ織りのタペストリーのように見えるものは,実は銀河系の端の光景です。もし銀河系を遠くから見ることができるとすれば,まるで巨大な風車のように見えるでしょう。目玉焼きを二つ背中合わせにしたような形をしていると言われていますが,もちろんそれよりはるかに大きなものです。光と同じ速さで進んでも,銀河系を横切るには10万年かかります。太陽は銀河系の端のほうに位置しており,銀河の真ん中を中心とした軌道を1周するには2億年かかります。

      銀河にも,星と同じように,科学界を魅了するなぞがいまだに数多く隠されています。

      クエーサー。1960年代に,銀河系の属する銀河団よりもはるか遠くにある天体からの強力な電波信号がキャッチされました。それらの天体は恒星に似ていたため,「恒星状電波源(quasi-stellar radio sources)」,略してクエーサーと呼ばれました。しかし,クエーサーが莫大なエネルギーを放出しているため,天文学者たちは戸惑いました。他より明るいクエーサーは天の川の約1万倍も明るく,確認されたものの中で最も遠いクエーサーは100億光年以上のかなたにあります。

      天文学者たちは20年にわたる綿密な研究の結果,これら遠くのクエーサーは,遠方にある銀河の非常に活発な核であるという結論に至りました。しかし,これほど膨大なエネルギーを作り出しているこれらの銀河の核の内部では何が起きているのでしょう。一部の科学者は,エネルギーが恒星の場合のように核融合によってではなく,重力の作用によって放出されると考えています。一般に受け入れられている理論では,クエーサーは巨大なブラックホールと結びつけて考えられます。この理論の真偽のほどは現在のところ定かではありません。

      未解決の難問は,クエーサーやブラックホールに限られてはいません。実際,宇宙のなぞのあるものは,わたしたちには永久に理解できないかもしれません。それでも,解明されたなぞはわたしたちに幾つかの深遠な教訓,天文学の領域をはるかに超えた意味を持つ教訓を教えてくれます。

      [7ページの図版]

      渦状銀河M83

      [クレジット]

      写真: D. F. Malin, Anglo-Australian Telescope Boardの厚意により掲載

      [8ページの図版]

      宝石箱

      散開星団,おうし座プレアデス,M45

      [クレジット]

      写真: D. F. Malin, Anglo-Australian Telescope Boardの厚意により掲載

      [8ページの図版]

      オリオン星雲,挿入写真は馬頭星雲

      [クレジット]

      写真: D. F. Malin, Anglo-Australian Telescope Boardの厚意により掲載

  • 宇宙から学べる教訓
    目ざめよ! 1992 | 3月22日
    • 宇宙から学べる教訓

      「私は宇宙を理解しているようなふりはしない。宇宙は私よりもはるかに大きい」― トマス・カーライル,1795年-1881年。

      それから100年たった現在,わたしたちは宇宙が実際にはさらにどれほど大きいかをもっとよく理解するようになりました。科学者たちは以前よりもさらに多くのことを理解していますが,ある天文学者が述べたとおり,いまだにその実情は,「18世紀の植物学者がジャングルの中で次から次へと新種の花を発見している」のに似ています。

      知識が限られていても,幾らかの結論を引き出すことはできます。そして,これらの結論は,すべての疑問の中で最も重要な疑問,つまり宇宙はどのような仕組みになっているのか,そもそも宇宙はどのようにして誕生したのかという疑問と関係があります。

      混とんとしているのではなく,秩序がある

      宇宙の本質について研究することを宇宙論<コスモロジー>と呼びます。この語は二つのギリシャ語,コスモスとロゴスに由来し,『秩序や調和の研究』であることを示しています。天体の動きを研究するときであれ,宇宙の構成物質を研究するときであれ,天文学者たちが出くわすのはまさしく秩序なのですから,これはふさわしい名称と言えます。

      宇宙内にあるものはすべて動いていますが,不規則な動きや予測のできないような動きをしているのではありません。惑星も恒星も銀河も正確な物理的法則に従って宇宙空間を動いているので,科学者たちは宇宙の特定の現象を寸分違わず正確に予測することができます。また驚いたことに,極小の原子を制御している四つの基本的な力が,極大の銀河をも支配しているのです。

      秩序は宇宙を作り上げている物質そのものにも見られます。「物質は,……非常に小さなものから非常に大きなものにいたるまで様々な規模で有機的な構造をしている」と「ケンブリッジ天文学地図」は説明しています。物質はでたらめに配置されているどころか,秩序正しく構築されています。原子核の陽子や中性子と電子との結びつき具合いについても,巨大な銀河の集団を互いに引き付ける力についてもそう言うことができます。

      宇宙がこのような秩序と調和を示しているのはなぜでしょうか。宇宙を支配する卓越した法則があるのはなぜですか。こうした法則は宇宙が誕生する以前に存在していたに違いない ― そうでなければ宇宙を制御できない ― ので,当然,そのような法則はどこから来たのかという疑問が生じます。

      有名な科学者アイザック・ニュートンは,「太陽と惑星とすい星で構成されるこの大変美しい体系は,知性を持つ強力な存在者による計画と統制があってはじめて生じ得る」と結論しました。

      物理学者のフレッド・ホイルは,「宇宙の起源を知るには,ルービックキューブの面をそろえるのと同じように,知性が要求される」と言いました。宇宙の起源を理解することによって,超自然の法則設定者がいるに違いないという結論は確証されます。

      究極の疑問: 宇宙はどのようにして誕生したのか

      理論物理学者のホーキングは,「初期の宇宙は,生命を含め今日我々が目にしているものすべての起源に関する究極の疑問に対する答えを握っている」と説明しています。初期の宇宙に関する現在の科学的な見解は,一体どのようなものなのでしょうか。

      1960年代に科学者たちは,天空のあらゆる方向からやってくるかすかな背景放射を探知しました。この放射は,天文学者たちがビッグバンと呼んでいる太古の爆発に由来する反射だと言われました。爆発がけた外れに大きかったため,百数十億年もたった後でもその反射を探知することができたのだと天文学者たちは言います。a

      しかし,ほとんどの物理学者が現在信じている(それにしきりに反対する学者もいるが)ように,今から150億年ないし200億年前に宇宙が突然爆発して存在するようになったとすれば,非常に重要な疑問が生じます。元になるエネルギーはどこから来たのでしょうか。言い換えれば,ビッグバンの前に何が起きたのかということです。

      多くの天文学者はこの疑問を避けて通ろうとします。ある天文学者は次のように述べました。「世界は永遠に科学的な説明がつきそうもない力によって存在するようになったということを,科学は証明してきた。これは科学にとって困ったことなのだ。なぜなら,それは科学的宗教,つまり原因と結果という宗教,すべての結果には原因があるという信条とくい違うからだ。現在我々は,あらゆる結果の中で最も大きな結果である宇宙の誕生がこの信仰箇条に反することに気づいている」。

      オックスフォード大学の一教授はさらにはっきりと書いています。「宇宙出現の第一原因が何かということについては,読者の判断に任されている。だが,その者を抜きにしては全体像はつかめない」。しかし,聖書は「初めに神は天と地を創造された」と述べて,「第一原因」を明らかにし,問題をはっきりさせています。―創世記 1:1。

      人間は微小な存在

      宇宙が教えてくれる最も単純な教訓は,最も明白な教訓でもあります。中世の高慢な人々はそれをなんとか無視しようとしましたが,聖書を書いた詩人たちは,今から数千年前にその教訓を謙虚に認めています。つまり人間は微小な存在であるという教訓です。

      ダビデ王が述べた現実的な意見は,最近行なわれた数々の発見によって一層重みを増しています。「わたしがあなたの指の業であるあなたの天を,あなたの定められた月や星を見るとき,死すべき人間が何者なのであなたはこれを思いに留められるのですか。地の人の子が何者なのでこれを顧みられるのですか」― 詩編 8:3,4。

      天文学は,巨大な星,想像を絶する距離,理解を超えた無限に長い時,幾百万度の熱を造り出す宇宙の炉,核爆弾を10億個集めてもそれがおもちゃのように見えるほどのエネルギーの噴出など,宇宙の広大さと荘厳さを明らかにしてきました。しかし,こうしたことはすべてヨブ記の中に的確に描かれています。「見よ,これらは神の道の外縁。何とかすかなささやき事が神について聞かされたのだろう。しかしその力のある雷についてはだれが理解力を示せようか」。(ヨブ 26:14)宇宙について学べば学ぶほど,わたしたちの知識の乏しさは一層明らかになり,わたしたちが宇宙の中で占めている場所はますます小さくなってゆきます。物事を客観的に見る人にとってこれは心が引き締まるような教訓です。

      アイザック・ニュートンは次のように言っています。「私は自分がまるで海辺で遊んでいる少年,目の前にある真理という大海が未知のまま広がっているのに,普通よりも滑らかな小石やきれいな貝殻を時折見つけては喜んでいる少年のように思える」。

      そのような点を理解することによって生じる謙遜さがあれば,宇宙を創造された方,宇宙を支配する法則を定めた方,わたしたちよりはるかに偉大で知恵のある方がおられることを認めることができます。ヨブ記にあるように,「知恵と力強さは,神と共にあり,助言と理解力も神にある」のです。(ヨブ 12:13)そして,それこそすべての教訓の中で最も重要な教訓なのです。

      宇宙のなぞが解明されてゆくにつれ,さらに大きななぞが現われます。将来の記事では,現在天文学者たちの頭を悩ませ,宇宙論者たちの議論をあおる新しい疑問を生み出している最新の発見の幾つかについて取り上げます。

      [脚注]

      a 池に石を投げ込むと水面に波紋ができるのと同じように,理論上のこの最初の爆発によってマイクロ波放射の“波紋”が生じました。科学者たちは,自分たちが高感度のアンテナでとらえているのはその放射なのだと考えています。ある執筆者はその波紋のことを,「創造の反響音」と表現しました。

      [10ページの図版]

      理論上のビッグバンによって生じた背景放射を探知するための装置

      [クレジット]

      The Royal Greenwich Observatory と the Canary Islands Institute of Astrophysics の厚意により掲載

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