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どんな職業を選んだらよいだろうか目ざめよ! 1989 | 5月8日
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とはいえ,大学の学位を得るには相当量の時間とお金を費やさなければなりませんが,そうするだけの価値が本当にあるでしょうか。a 統計の示すところによると,大卒者のほうが高卒者よりも高い俸給を得,失業することも少ないのは事実ですが,「大学教育を受ける人のために」という本は,それらの統計は単なる平均にすぎないことを思い起こさせています。大卒者で実際に破格の高給を取る人はごく少数にすぎず,そのほかの人々に支払われる賃金はずっと低いのです。さらに,大卒者が受けるとされている高額所得は,単に彼らが受けた教育程度によるのではなく,「特異な能力,熱意,分野別の勤め口,……特殊な才能」といった要素に起因することもあります。
米国労働省は,次のように述べています。「今では[大学の]学位を持っていても職業市場で有利な立場に立てるとは限らない。専門職や技術職また管理職に[大卒者が]雇われる率は……減少している。というのも,これらの職種は,増加の一途をたどる卒業者を受け入れるだけの急速な拡大を見ていないからである。そのため,1970年から1984年にかけて労働市場に参入した[大学]卒業者のうちおよそ5人に一人は,一般に学位を必要としない仕事に就いた。こうした卒業者の供給過剰は1990年代半ばまで続くものと思われる」。
考慮すべき他の諸事実
大学の学位を持っていれば就職に有利になるのかならないのか,どちらとも言えません。しかし一つの事実は明らかです。つまり,「残された時は少なくなっている」ということです。(コリント第一 7:29)大学教育から得られると思われる益のために大学で4年かそれ以上を過ごすのは,その残された時を活用する最善の方法と言えるでしょうか。―エフェソス 5:16。
大学教育は,あなたを霊的な目標に導くものですか,それとも別の方向へそらすものでしょうか。クリスチャンの重要な関心事は高額の所得を得ることではない,ということを忘れないようにしましょう。(テモテ第一 6:7,8)しかし,米国の大学管理者たちを対象にした調査によると,今日の学生は『職歴にこだわり,物質面での成功に関心があり,自分自身に関心がある』と言われています。あるグループの学生たちは,「僕たちの話題と言えば,大抵お金のことばかりです」と言いました。熾烈な競争や利己的な物質主義のムードに浸るなら,あなたはどんな影響を受けることになるでしょうか。
大学ではもはや1960年代の紛争は見られないかもしれませんが,大学での騒動が減ったからといって,決して学内の環境が健全なものになったわけではありません。大学生活に関するある調査は結論として,「学生は個人的また社交的な事柄において相変わらず無制限に近い自由を得ている」と述べています。麻薬やアルコール飲料は気ままにふるまわれ,乱交も珍しいことではなく普通に行なわれています。あなたの国の大学でも同様の状態が見られるなら,そこで生活することは,道徳的に清い状態を保とうとするあなたの努力をくじくものとなるのではありませんか。―コリント第一 6:18。
さらに,「核心となる宗教信条に固執」しなくなった(「現代の宗教事情」)高等教育にさらされるという心配があり,これは多くのデータによって確証されています。一部のクリスチャンの若者は,優秀な成績を保つようにという圧力を受けたために霊的な活動がおろそかになり,大学が奨励するこの世的な考えの猛攻撃に対する抵抗力がなくなってしまいました。その結果,信仰の破船を経験した若者もいます。―コロサイ 2:8。
大学教育に代わるもの
こうした事実を考慮して,大学教育を受けないことにしたクリスチャンの若者は少なくありません。
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どんな職業を選んだらよいだろうか目ざめよ! 1989 | 5月8日
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a 米国では,大学教育を受けるのに必要な経費は平均して年間優に1万㌦(約130万円)を上回ります。学生がそれらの負債を返済するには何年もかかる場合が少なくありません。
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