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援助の手は至る所に目ざめよ! 2001 | 7月22日
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援助の手は至る所に
バクスターという15歳の高校生は,土曜日の午後に,興味深いことを行なっています。老人ホームのお年寄りを訪問し,楽器を演奏したり一緒に歌ったりしているのです。「バクスターは入居者たちを笑わせて楽しませ,生きる喜びを与えています」と,バクスターの先生は言います。78歳のルシールも同じような親切を示しています。困っている人たちに食物を届け,身寄りのない入院患者を訪問しているのです。ルシールの友人はこう言います。「助けが必要とされていて,自分が力になれるとき,ルシールはいつでも助けの手を差し伸べます」。
ボランティアの定義
このような,『必要なときにはいつでも力になる』という生き方をしている人たちは世界中に大勢います。建設現場やオフィス,工場,老人ホーム,ホスピス,難民キャンプ,ホームレス支援センター,消防隊,悩みごと相談所,動物保護施設など,数多くの場所で援助の手を差し伸べており,事実上,至る所で活動しているのです。力を合わせて納屋を建てることから寄付を募ることまで,また,捨て子の世話から末期患者の看病まで,様々な分野で自分の能力を生かしています。それがボランティア,つまり困っている人々の生活に大きな変化をもたらす人々です。
ボランティア活動は,「高潔な精神を行動に移すこと」であると言われます。その活動には,目的への傾倒,犠牲的精神,無報酬,利他主義の発揮といった要素が関係しています。ボランティア歴の長い二人の人は,「ボランティア」とは「自分を与えること,つまり自分の時間,手や足,アイディア,他の人を助ける力,問題解決能力,専門知識などを与えること」であると述べています。興味深いことに,そのようにして与えることは,ボランティア自身にとっても益となっています。―「ボランティアの側も益を得ている」という囲み記事をご覧ください。
人数は増え,必要も増す
米国では,ボランティア活動に参加している人は推定1億人に上り,しかも,その人数は増加しています。ボランティア団体ニューヨーク・ケアーズの事務局長キャスリーン・ベーレンスは,最近,「目ざめよ!」誌にこう語りました。「私たちの団体は驚異的な勢いで成長を続けています。昨年だけでも,新たに5,000人以上のボランティアが私たちのプログラムに加わりました」。ヨーロッパのボランティア・グループも同じような成長を遂げています。例えばフランスでは,過去20年間にボランティアの人数は年6%の割で増加してきました。しかし,ボランティアの増員が不要になったわけではありません。それどころか,国連ボランティア計画(国連の一機関)は,世界的に見ると,「ボランティア努力の強化は,今日,以前にもまして必要となっている」と述べています。「ボランティアはわたしたちの活力源です」と言う博物館の管理者もいます。
とはいえ,矛盾した状況も見られます。ボランティアと共に働く多くの指導者やコーディネーターが,ボランティアには「金と同じ価値」があると感じている一方で,ボランティアの活動の多くは正しく評価されていません。こうした状況の改善を図るため,国連は2001年を,ボランティアにスポットライトを当てる年とすることを決めました。「ボランティア国際年」という囲み記事は,国連の掲げる目標の一部を取り上げています。
他方,ボランティアの世界にも変化が生じており,ボランティアにも指導者たちにも課題を提起しています。とはいえ世界には,大きな変化をもたらすために働くことをいとわない人々が今でも非常に大勢います。何に動かされてそうしているのでしょうか。どんなことを成し遂げているでしょうか。そして,あなたの生活にどんな影響を与えることがあるでしょうか。
[4ページの囲み記事/図版]
ボランティアの側も益を得ている
「他の人のために何かを成し遂げようとすることから,自分の仕事に没頭していたら得られなかったような,深くて豊かな,はるかに喜びの多い報いを得てきました」。これは,ボランティア活動に時々参加するマイケルの言葉です。マイケルだけではありません。国連ボランティア計画の事務局長シャロン・ケイプリング・アラキジャは,「ボランティア……をしている世界中の人々は,自分がその体験からいかに多くのものを得ているかをよく知っています」と言います。ボランティア活動に詳しいダグラス・M・ローソン博士によると,「ボランティア活動を数時間行なうだけで,多くの場合,当人の全般的な生理学的反応が非常に良くなり,心理学的健康が大いに増進する」ことに研究者たちが気づいたため,その状態は「『ヘルパーのハイ状態』と呼ばれている」とのことです。さらに,「ヘルパーのハイ状態」は一過性のものではありません。米国コーネル大学の研究者たちが一群の人々を30年余りにわたって調査したところ,「ボランティア活動をした人は,しなかった人より幸福かつ健康である」ことが分かりました。興味深いことに,聖書は,「受けるより与えるほうが幸福である」と述べています。―使徒 20:35。箴言 11:25。
[5ページの囲み記事/図版]
ボランティア国際年
1997年11月20日の国連総会において,2001年を「ボランティア国際年」(IYV2001)とすることが宣言されました。国連によると,2001年中に達成を目指す四つの目標があります。
認識を高める ボランティアの業績を調査・記録したり,際立ったボランティア活動を表彰したりすることによってボランティアの重要性を認識するよう,各国政府に働きかける。
環境の整備 ボランティア活動を兵役の代替行為として認めたり,免税制度を設けたりしてボランティア精神を奨励するよう,各国に勧告する。
ネットワーク ボランティア活動の成功例を報道する面でのいっそうの助力を報道機関に求める。そうするなら,成功したプロジェクトを他の場所でも実施することができ,「それぞれの地域社会でゼロから始めなくて済む」。
推進 ボランティア活動の社会貢献を一般の人に知らせるための展示会を催すよう,各ボランティア団体に働きかける。
国連は,IYV2001によって,ボランティア活動の要請が増え,ボランティア志願者が多くなり,増大する社会の必要にボランティア団体が応じるための資金や環境も充実することを期待しています。国連のこの決議が掲げる目標に,合計123の政府が賛同しています。
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活躍するボランティア目ざめよ! 2001 | 7月22日
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活躍するボランティア
毎週金曜日の午後,ブラジルの中年の教師シルレイは自宅の居間を教室に変えます。2時ごろ,生徒の一人,アメーリアがやって来ます。アメーリアは授業に欠かさず出席しており,すでに,多くの高校生より上手に読むことができます。アメーリアは82歳です。
アメーリアが通っているのは,シルレイが生まれ故郷で開いている無料の読み書き学級で,すでに60人以上の高齢者がこの学級を卒業しています。最近,シルレイのボランティア活動が,ブラジルのジョルナウ・ド・スドエスチ紙(ポルトガル語)で詳しく報じられました。その新聞記事は,シルレイが「地域社会の人々の生活に多大の貢献」をしてきたことに言及した後,シルレイが高齢者を教える方法は非常に効果的なので,「生徒は,120時間の授業を受けただけで,手紙を書くことや新聞を読むこと,また算数のような日常的なことまでできるようになる」と述べています。その記事は,シルレイの使っている教科書が,エホバの証人の作成した「読み書きを学びましょう」という小冊子であることも付け加えています。a
恥ずかしい思いをしていた人が,自信を持って生きられるようになる
シルレイの別の生徒で68歳のドナ・ルジーアは,読み書きができるようになる前は人と話すのが苦手だった,と言います。買い物さえ一苦労でした。「今では,よその町に住む親戚に手紙を書くことができますし,お金も自分で管理できます。もうお釣りをごまかされることもありません」と言ってほほえみます。やはり68歳になるマリーアも,年金の小切手にサイン代わりの母印を押すときにどれほど恥ずかしかったかを思い出しながら,「自分で自分が情けなく思いました」と言います。しかし,読み書き学級のおかげで,今ではうれしそうに自分の名前をサインしています。
生徒や卒業生が宣伝したのでシルレイの無料プログラムの人気が高まり,居間では窮屈になってきました。近々,学級はもっと広い場所に移る予定です。
表彰されたプログラム
シルレイはエホバの証人です。エホバの証人がボランティア奉仕として行なっている聖書教育活動については,きっとご存じのことでしょう。もっとも,成果を上げているのはシルレイだけではありません。読み書き学級は,ブラジル各地の何百もの王国会館で開かれており,これまでにブラジルの2万2,000人以上の人々が読み書きを学ぶのを助けてきました。
エホバの証人による同様のプログラムは,世界の他の場所でも成果を上げています。例えば,アフリカのブルンジという国において,国立成人識字事務所(教育省の一部局)はエホバの証人の識字プログラムの成果を高く評価し,このプログラムの教え手4人を,「人々に読み方を教える面での尽力」のゆえに表彰しました。政府関係者が特に感銘を受けたのは,読み書きを学んだ人の75%が,そのようなプログラムに参加するのをためらいがちな成人女性であった,という点でした。
モザンビークでは,エホバの証人の読み書き学級に4,000人の生徒が在籍しており,過去4年間に5,000人以上の生徒が読み書きを習得しました。かつて生徒だった人は,こう書いています。「心からの感謝をお伝えします。この学校のおかげで,わたしは読み書きができるようになりました」。
「形式的でなく,実際的な」救援
救援活動も,エホバの証人が行なうボランティア活動の一面です。比較的最近のこと,フランスのパリの近くにある倉庫は大勢の人でごった返していました。400人ほどのボランティアが,週末を利用して,食料や衣類や医薬品のカートン詰めを行なったのです。その週末が終わるころには,ほぼ100万㌦相当の救援物資の詰まった大きなコンテナ9個を送る用意が整っていました。次いで,戦渦に巻き込まれた中央アフリカにコンテナが到着すると,地元のエホバの証人のボランティアが手早く物資を分配しました。救援物資のほとんどを寄贈したのもエホバの証人でした。
コンゴ(キンシャサ)の一新聞は,エホバの証人による人道的活動を,「形式的でなく,実際的な」ものと呼び,称賛しました。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の担当官たちも,支持を表明しています。コンゴ民主共和国駐在のUNHCR担当官は,証人たちが整然と救援活動を行なっていることに好感を抱き,自分の車をボランティアが自由に使えるようにしました。地元の人々も感銘を受けています。見物人は,困っている人すべてに素早く救援物資が届けられていることに気づき,驚いて,「全員に漏れなく届けることができるとは,皆さんはいったいどのように組織されているのですか」と尋ねました。
こうした救援活動と識字プログラムは,エホバの証人が世界中で何十年も行なってきた奉仕活動の二つの例にすぎません。とはいえ,エホバの証人は,別の形のボランティア活動にも携わっています。それは,本当に永続する変化をもたらす奉仕活動です。次の記事ではその点を取り上げます。
[脚注]
a この「読み書きを学びましょう」という小冊子(6か国語で入手可能)と,それより新しい「読み書きに励む」という小冊子(29か国語で入手可能)は,エホバの証人の発行しているものです。これら無料の小冊子のいずれかをご希望の方は,最寄りの王国会館,あるいは本誌の発行者にお問い合わせください。
[6,7ページの囲み記事/図版]
変わりつつあるボランティアの世界
ジュリーは仕事で世界各地に出かけると,行く先々で時間をやりくりしてここで数時間,あそこで1日とボランティア活動をしています。最近では,南米に滞在中のある日の午後,チリのサンティアゴ近郊の孤児院で手伝いをしました。ジュリーは,旅行によってボランティアの「仕事の種類」が増えた,と言います。
ジュリーのようにボランティア活動に時間を費やす人は増えていますが,費やす時間はますます短くなっています。「これは最近の傾向です」と,ボランティア活動の統計をまとめる調査団体の代表サラ・メレンデスは言います。「ボランティアをする人はいますが,たいていは単発的な参加です」。その結果,運営者側は,“ボランティア・ライト”とも非難されるボランティア不足に悩み,プログラムに振り向ける人員のやりくりに苦心しています。
「融通の利くボランティア活動」
ボランティア活動に費やす時間の減少という最近の傾向は,ボランティアの態度の変化が原因であると,一部の運営者は感じています。「『必要とされる限り働く』というタイプのボランティアは少なくなりました。みんな,縛られるのを嫌います」と,ボランティア・グループのコンサルタント,スーザン・エリスは言います。ジャーナリストのアイリーン・ダスパンも同じ意見です。ボランティア不足についてボランティア・グループの代表者たちにインタビューした後,ダスパンは,「ボランティア活動は重度の責任恐怖症に陥っている」と結論しました。
一方,この一連の記事にすでに登場したニューヨーク・ケアーズの事務局長キャスリーン・ベーレンスは,ある人たちが片手間にボランティアをしているのは,意欲がないからではなく,時間がないからである,と考えています。週50時間以上も働いたうえに,子どもや年老いた親の世話などもこなしている人にとって,定期的にボランティアとして働くことはそもそも不可能なのです。「とはいえ,多忙でありながらなお地域奉仕活動を生活に組み入れていること自体,その人たちの意欲が実際には非常に強いことを示しています」と,ベーレンスは言います。
ベーレンスによれば,時間の制約があるそのようなボランティアにとって答えとなるのは,「融通の利くボランティア活動」です。1日だけの活動への参加を募っているボランティア団体も少なくありません。「そうすれば,意味ある仕方でボランティア活動ができると同時に,準定期的に活動するのに必要な融通を利かせることもできます」。
さらに,データの入力や調査など,自宅のコンピューターを使ってボランティア活動を行なう人も増えています。ウォールストリート・ジャーナル紙(英語)は,「オンライン・ボランティア活動は,いわゆる『融通の利くボランティア』の中でもとりわけ異色である。最も有望と見る向きもある」と述べています。
[8ページの囲み記事/図版]
神戸での救援活動!
1995年1月,日本屈指の港湾都市,神戸は地震に見舞われ,壊滅的な被害を受けました。死者は5,000人を超え,日本における1923年以来最も多くの人命を奪った地震となりました。日本をはじめとする世界中のエホバの証人は,直ちに被災者の救援を開始しました。救援基金が設けられると,金融機関の3営業日のうちに1億円以上の寄付が寄せられ,ありとあらゆる救援物資が続々と神戸に届けられました。
救援活動に携わったクリスチャンのある長老は,短時間のうちにたくさんの物資が王国会館に届けられ,使い切れないほどになったことに気づきました。どうしたらよいでしょうか。この長老は,物資の一部を近くの病院に寄贈することを提案しました。証人たちはワゴン車いっぱいに物資を積み込み,がれきの間を通って運びました。普段なら何分かで行けるところが,2時間もかかりました。病院に到着して院長に,毛布,ふとん,おむつ,新鮮な果物,市販薬などの救援物資を持って来たことを伝えると,院長はたいへん喜び,証人たちが病院に提供してくれる物は何でもぜひいただきたい,と言いました。果物は特に喜ばれました。患者全員に行き渡るだけの新鮮な食物がなかったからです。
院長は多忙を極めていたにもかかわらず,証人たちが物資を下ろすのをじっと見守り,深々と頭を下げて礼を述べました。そして,ずっとそこにいて証人たちを見送り,感謝を表わしていました。先ほどの長老によると,それ以来この病院は,エホバの証人の患者にたいへん協力的になったということです。
[9ページの囲み記事/図版]
ボランティア活動 ― 益をもたらす力
ブルンジのカベジという小さな町のボランティア奉仕者のグループは,エホバの証人の王国会館の建設を計画したところ,地元の行政官から珍しい依頼を受けました。建設予定地のそばを通っている道路を直してもらえないだろうかという依頼です。証人たちは,傷んだ道路の補修を快く引き受け,すべてを手作業で行ないました。出来栄えが非常に良かったため,地元の役人たちは,その骨折りと喜んで行なう精神とについて感謝を述べました。道路工事の後,ボランティア奉仕者は王国会館の建設に取りかかり,今では上の写真のように,これから長年にわたって聖書教育を促進するための美しい建物があります。まさに,ボランティア活動はさまざまな形をとり,広範に益をもたらすのです。
[6,7ページの図版]
シルレイは読み方を教えることから満足感を得ている
[クレジット]
Nelson P. Duarte-Jornal do Sudoeste
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永続的な益をもたらすボランティア活動目ざめよ! 2001 | 7月22日
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永続的な益をもたらすボランティア活動
イエス・キリストは,折あるごとに,困っている人に親切な行ないをなさいました。空腹を感じている人々に食物を与えたり,病人をいやしたりなさったのです。(マタイ 14:14-21)とはいえ,イエスが最優先したのはどんな活動だったでしょうか。イエスの宣教の初めごろに生じた出来事から,答えが得られます。その出来事は,マルコの福音書の1章に記録されています。
イエスは,ガリラヤの海の近くのカペルナウムで,シモンと呼ばれるペテロの家に行かれました。そこでは,「シモンのしゅうとめ(が)熱病にかかって伏せっており」,イエスは彼女をいやされます。(マルコ 1:29-31)のちほど,群衆が,「さまざまな病気を病む」大勢の人と共にペテロの家の戸口のところに集まって来ると,イエスはその人たちも治されます。(マルコ 1:32-34)やがて夜になり,皆は眠りにつきます。
翌朝「まだ暗いうちに」,イエスはそっと起き上がり,家を出て,「寂しい場所へ」行き,そこで「祈りを始められ」ます。やがて,弟子たちが目を覚まして家の外を見ると,戸口のところで大勢の人が待っています。でも,どうしたらよいのでしょう。イエスの姿が見当たりません。ペテロおよび共にいた者たちは急いでイエスを捜し出し,「みんながあなたを捜しています」と言います。(マルコ 1:35-37。ルカ 4:42)言い換えると,『ここで何をしておられるのですか。昨晩,あなたのなさった病人をいやす業は大成功でした。今日も,絶好の機会があります!』と言いたいのでしょう。
では,イエスの反応に注目してください。こう述べておられます。「どこかほかの所,近くの田舎町に行きましょう。わたしがそこでも宣べ伝えるためです」。この言葉には重要な意味があります。イエスは,もっと多くの人をいやすためにペテロの家に戻ろうとはされません。その理由を説明し,「わたしが出て来たのはそのため[つまり,宣べ伝えるため]だからです」と言われます。(マルコ 1:38,39。ルカ 4:43)ここで,イエスは弟子たちに何を教えておられたのでしょうか。イエスにとって,親切な行ないをすることも重要でしたが,主要な務めは神の言葉を宣べ伝えて教えることだったのです。―マルコ 1:14。
聖書はクリスチャンに,「[イエスの]歩みにしっかり付いて」いくよう強く勧めています。ですから,今日の真のクリスチャンには,ボランティア活動に関して優先順位を定める点でも明確な導きがあります。(ペテロ第一 2:21)前の記事で取り上げましたが,クリスチャンも,イエスと同様,困っている人々を助けます。そしてやはりイエスと同様に,神の王国の良いたよりに関する聖書の音信を教える活動を最優先するのです。a (マタイ 5:14-16; 24:14; 28:19,20)では,聖書の音信について教える奉仕活動を,価値ある他のボランティア活動より優先すべきなのはなぜでしょうか。
聖書教育は,なぜ,またどのように変化をもたらすか
アジアのことわざが答えを示しています。「1年先を考えるなら種をまけ。10年先なら木を植えよ。100年先なら人を教えよ」。実際,永続的な解決を図るという面から考えると,教育が不可欠です。教育は,決定を下す能力を育て,それが生活の向上につながるからです。今日600万人を上回る様々な立場の自発奉仕者が,自分の時間や労力や資力を費やして,人々に無償の聖書教育を施しているのはそのためです。エホバの証人が実施しているこのボランティア・プログラムは,長年の実績があり,世界各地で地域社会の人々に大きな影響を与えています。どのようにでしょうか。
人々は,聖書の実際的な助言を理解して適用するよう助けられると,生活上の諸問題にうまく対処できるようになります。有害な習慣を克服するのに必要な道徳的強さも身に着けることができます。ブラジルのネルソンという若者は,聖書教育の別の益についてこう言います。「ぼくはエホバの証人と聖書を研究するようになって,喜びとはどんなものかを知りました。人生に目的を持っているからです」。(伝道の書 12:13)老若を問わず,神の言葉を学び始めて間もない大勢の人々が,ネルソンと同じように感じています。神の王国の音信を学ぶ人は,満足のいく人生の目的を見いだせるだけでなく,励みとなる将来の希望も得ることができます。その希望があれば,極度の苦境にあっても生きがいを持ちつづけることができます。(テモテ第一 4:8)―「神の王国はどのような変化をもたらすか」という囲み記事をご覧ください。
エホバの証人は,聖書教育という形で,永続的な益をもたらすボランティア活動を行なっています。どれほど永続的なのでしょうか。神の言葉はこう述べています。「彼らが,唯一まことの神であるあなたと,あなたがお遣わしになったイエス・キリストについての知識を取り入れること,これが永遠の命を意味しています」。(ヨハネ 17:3)永遠に益をもたらすプログラムに参加することを想像してみてください。まさにそれこそ,本当に変化をもたらすボランティア活動です。あなたも,そのようなプログラムについて,もっと詳しく知りたいと思われるのではありませんか。是非,お近くのエホバの証人と連絡をお取りください。それは,深い満足に至る第一歩となることでしょう。
[脚注]
a エホバの証人は,使徒パウロと同じく,宣べ伝える活動は真のクリスチャンにとって必要な事柄であると考えています。パウロは,「わたしが良いたよりを宣明しているとしても,それがわたしの誇る理由ではないのです。わたしにはその必要が課せられているからです」と述べています。(コリント第一 9:16)とはいえ,この宣べ伝える活動は自発的なものです。エホバの証人はキリストの弟子になることを自由意志によって選んでおり,その特権に伴う責任も十分わきまえているからです。
[11ページの拡大文]
「1年先を考えるなら種をまけ。10年先なら木を植えよ。100年先なら人を教えよ」
[10ページの囲み記事/図版]
助けと希望を与える
ナディーンは,熱帯病を専門とする43歳のフランス人看護婦で,ボランティアとして中央アフリカで働いた経験があります。最近のインタビューにこう答えています。「なぜこの仕事をしているのですかと,よく尋ねられます。わたしは神を信じていますし,人々も愛しています。他の人の役に立ちたいと思っています。そしてエホバの証人として,苦しんでいる人たちに,医療だけでなく希望も与えたいと強く願っています」。ナディーンはアフリカでのボランティア期間中には,救援活動に携わると共に,地元の証人たちが行なっている聖書教育活動にも参加しています。
[図版]
アフリカで働くナディーン
[12ページの囲み記事]
神の王国はどのような変化をもたらすか
以下の聖句をご自分の聖書からお読みになり,神がそれぞれの分野でどのように人間の必要を満たすと約束しておられるかに注目してください:
健康「神は彼らの目からすべての涙をぬぐい去ってくださり,もはや死はなく,嘆きも叫びも苦痛ももはやない。以前のものは過ぎ去ったのである」。―啓示 21:4。イザヤ 33:24; 35:5,6。
教育「それらはわたしの聖なる山のどこにおいても,害することも損なうこともしない。水が海を覆っているように,地は必ずエホバについての知識で満ちるからである」。―イザヤ 11:9。ハバクク 2:14。
仕事「彼らは必ず家を建てて住み,必ずぶどう園を設けてその実を食べる。彼らが建てて,だれかほかの者が住むことはない。彼らが植えて,だれかほかの者が食べることはない。……彼らはいたずらに労すること(もない)」。―イザヤ 65:21-23。
食糧「地は必ず産物を出すことでしょう。神,わたしたちの神は,わたしたちを祝福してくださいます」。―詩編 67:6; 72:16。イザヤ 25:6。
社会環境「エホバは邪悪な者たちのむち棒を……折られた。全地は休息し,騒乱はやんだ」。―イザヤ 14:5,7。
公正「見よ,ひとりの王が義のために治める。君である者たちは,まさに公正のために君として支配する」。―イザヤ 11:3-5; 32:1,2。
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