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主の日の地震啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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実際,1914年に始まった世界的な大変動は極めて広範囲に及んだため,長年存続した多くの君主政体は消滅しました。1917年のボルシェビキ革命でロシア皇帝の権力が覆された結果,マルクス主義と資本主義の長い対立が生じました。政治上の変化という震動は,全世界の人間の社会を動揺させています。今日,一,二年以上存続できない政府が少なくありません。政界が安定していないことを示す好例はイタリアの場合で,この国では第二次世界大戦後のほんの42年間に47の新政府が立てられました。しかし,こうした事前の震動は,政府に生じる大変動の最高潮の前触れにすぎません。その結果ですか。神の王国が地の支配権を一手に引き継ぐことになります。―イザヤ 9:6,7。
6 (イ)H・G・ウェルズは重大な新時代をどのように描写しましたか。(ロ)哲学者や政治家は1914年以来の時代について何と書きましたか。
6 歴史家,哲学者,および政治指導者は1914年を重大な新時代の始まりとして指摘してきました。その時代に入って17年後,歴史家H・G・ウェルズはこう述べました。「預言者は楽しい事柄なら喜んで預言もしよう。しかし自分の見ることを告げるのが,その務めなのである。預言者が見ているのは,依然として兵士,愛国主義者,高利貸し,金融投機師などにしっかり支配された世界で,疑いや憎しみに屈し,残された個人の自由を急速に失いながら,うっかりすると無情な階級闘争に陥る恐れのある,しかも新たな戦争の準備をしている世界である」。1953年に哲学者バートランド・ラッセルは一部次のように書きました。「1914年以来,世界の趨勢に気づいている人はみな,運命づけられているかに思える,より大きな災いに向かっての行進を深く憂慮している。……彼らは人類を,ギリシャの悲劇の主人公のように,怒れる神々に追いたてられ,もはや運命の支配者ではなくなった者と見ている」。1980年に政治家ハロルド・マクミランは20世紀が始まった平和な時期を回顧して,こう述べました。「すべての事が次第に良い方に向かっていた。わたしが生まれたのはそのような世界であった。……1914年のある朝,突如,全く不意に,すべてが終わった」。
7-9 (イ)1914年以来,どんな大変動が生じて,人間の社会を揺り動かしてきましたか。(ロ)イエスの臨在期間中の人間社会の大変動に含まれるものとして,ついには人類の間にどんな状態が生じますか。
7 第二次世界大戦はほかにも大変動の波をもたらしました。そして,小規模な戦争や国際テロが引き続き地を揺り動かしています。大量破壊兵器を使うテロリストや国家の恐るべき脅威から考えて,将来を疑問視する人は少なくありません。
8 しかし,1914年以来,戦争以外にほかの事柄が人間の社会を根底から揺り動かしてきました。1929年10月29日に起きた米国の株式市場の崩壊は,極めて衝撃的な影響を及ぼした大変動の一つを誘発しました。それは,すべての資本主義国に影響を与えた,例の大恐慌でした。その大恐慌は1932年から1934年にかけて最悪の事態を招きましたが,わたしたちはいまだにその影響を感じています。1929年以来,経済的に病んだ世界は,急場しのぎの施策で取り繕われてきました。政府は赤字財政をほしいままにしています。1973年の石油危機や1987年の株式市場の株価大暴落で金融帝国は一層揺り動かされました。一方,大勢の人々はおもにクレジット方式で物を買います。いい加減な資金運用商法,ネズミ講式の金もうけ方法,および宝くじその他,とばくなどのごまかしの手段の犠牲者となる人々は無数にいますが,人々を保護すべき政府がそのような方策の多くを後援しているのです。キリスト教世界のテレビ福音説教師さえ,何千万ドルもの分け前を求めて手を差し出す始末です!―エレミヤ 5:26-31と比較してください。
9 ずっと以前のことですが,経済上の問題のゆえにムッソリーニやヒトラーが政権を執る道が開かれました。大いなるバビロンは早速彼らの好意を得ようと努め,バチカン当局は1929年にイタリアと,また1933年にはドイツとそれぞれ政教条約を結びました。(啓示 17:5)その後に続いた暗い時代は確かに,ご自分の臨在に関するイエスの預言の成就の一部となりました。そして,やがて,「逃げ道を知らない諸国民の苦もんがあ(り)……人々は,人の住む地に臨もうとする事柄への恐れと予想から気を失(う)」という事態が生じます。(ルカ 21:7-9,25-31)c そうです,1914年に人間社会を揺り動かし始めた震動は,強力な余震を伴って続いているのです。
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主の日の地震啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!
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1914年 ― 転換点
1987年にデンマークのコペンハーゲンで発行された,「ポリティケンの世界史 ― 歴史の力と意義」と題する本は40ページで,次のような所見を述べています。
「社会の進歩に対する19世紀の信仰は,1914年に致命的な打撃を被った。戦争の勃発する前年に,デンマークの歴史家で政治家でもあるピーター・ムンクは楽観的な見方を次のように書いた。『すべての証拠は,ヨーロッパの列強間で戦争の起こる可能性がまずないことを示している。1871年以来,何度もそうであったように,「戦争の危機」も将来なくなるであろう』。
「それとは対照的に,彼が後に著した回顧録にはこう記されている。『1914年における戦争の勃発は人類史の重大な転換点となった。我々は妥当な範囲で安全に様々な事柄を追求し得た,進歩を目指す,明るい時代から,どこへ行っても不安のつきまとう,災害と恐怖と憎悪の時代に突入した。あの時,我々を覆った闇が,幾千年もかけて人間が築いてきた文明全体を永久に滅ぼすものとなるかどうかについて語り得る人は一人もいなかったし,今日でさえ一人もいない』」。
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