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  • 家出する子供が多いのはなぜか
    ものみの塔 1988 | 4月1日
    • 家出する子供が多いのはなぜか

      聖書と家族生活 ― これをテーマにした記事が「ものみの塔」誌の続く四つの号に掲載されます

      「娘が家出すると母親がどれほど苦しむか,想像できますか。それはもう悪夢です。どうして出て行ったのでしょう。私には分かりません。かわいくて明るく,年も若かったのに。

      「今夜はどこにいるのでしょう。寒くはないかしら。おなかをすかしていないかしら。寂しくないかしら。私は娘をとても愛しています。話を聞いてくれる人はおらず,待つ以外になすすべがありません。

      「電話が鳴るたびに胸がどきどきします。でも娘からは何の音さたもありません。無事でいますように,この問題が片づくまで持ちこたえられますようにと祈っています。娘が今にも戸口から入って来ることばかり想像しています。

      「……心の痛みを和らげようとしては,あれこれ愚にもつかないことを考えています。神さま,どうぞ娘を家に連れ戻してください」。

      上記の手紙は,1970年代の初めに,ある有名な人生相談欄執筆者に寄せられたものです。そのころは,家出する子供は,冒険を求めるため,自立する力を試すため,夜間の外出禁止をめぐって意見が対立したため,失恋して落胆したためといった,たわいのない理由で家を出て行くのだと考えられていた時代でした。今でも同様の理由で家出する子供もいますが,ここ15年ほどの間に事情は変わってきました。

      今の子供たちは,ずっと悲劇的な事情で家出をすることが多くなっています。家族の状態はひどくむしばまれ,子供たちは,自分が邪魔者で,愛されていないのを感じ取ります。虐待されることすらあります。ですから,より魅力的な生き方に向かって逃げるのではなく,崩壊しつつある不幸な家庭生活から逃げ出すのです。1970年代の初めには「家出する子供たちのことが書き立てられたが,いま家出する子供は,そのころ家出した子供とは大分違う」と,フロリダ州の家出少年保護施設の監督,ダグラス・フェナーガルト博士は言います。「当時の子供は違った生き方を求めたものだ。今日起きているのはそういうことではない。家出する子供は,家にいることがもうどうにも我慢できないのだ」。

      最近行なわれた幾つかの調査はそのことを証明しています。それらの調査からは他の驚くべき事柄も明らかになりました。多くの子供は,我慢できない家族生活からただ逃げ出すのではないのです。現在,米国では家出する子供の半数近くがやむを得ず家を出て行くのです。親から追い出されるか,出て行くように仕向けられるのです。「多くの若者にとって家出は,不健全な家庭,仕事,あるいは学校の状態に対する一つの反応である」と,ファミリー・リレーションズ誌は指摘しています。「家出した子供の多くは,実際には,顧みられない者,見捨てられた者,追い出された者である。それらの子供は両親から出て行くように言われた者,捨てられた者たちである。繰り返し虐待されて,出て行かざるを得なかった若者たちもいる」。

      子供にとってはどんなに悲しいことでしょう。お金も生活の手段もないまま路上にほうり出されると,大抵の若者は,物乞い,麻薬の売買,売春,泥棒などに転落するか,またはほかの者に食い物にされるのが落ちなのです。「バス停で家出した子供を迎えるのは社会事業家でも,心理学者でもなく,売春の手引きをする者,麻薬密売人,ポルノ写真屋などである」,「調査の対象になった専門家の86%は,家出した子供がそうした“おおかみ”のえじきになるのを防止する措置はほとんど取られていないと答えた。路上での生活が長ければ長いほど,子供の健康が衰えるのも不思議ではない」と「今日の心理学」誌は述べています。

      家のない子供たちに住居や食事を提供しかつ補導するための保護施設も次第に多く設けられているのは事実です。しかし,子供たちをそこへ連れて来て実際に助けることができるかどうかは,また別の問題です。「私たちの仕事は,彼らにある程度の自尊心を植え付け,自分を大事にさせることであるが,こんな難しい仕事は今までしたことがない」と,あるカウンセラーは言いました。保護施設に来るころには少年少女は,用心深くなっていて大人を信用しようとしなかったり,傷ついていたり,怒っていたり,落胆していたりすることが多く,自暴自棄になっていることさえあります。

      問題の根本原因を解決することは可能でしょうか。「家族のなんらかの問題が家出事件の原因になる場合のほうが断然多い」と,ニュージャージー州に本拠を置く行方不明者登録所「サーチ」は指摘し,「基本的に幸福な人は家出などしない」と述べています。では何が家族の幸福に寄与しますか。親子のきずなを強めることは可能でしょうか。

  • 家族のきずなを強める方法
    ものみの塔 1988 | 4月1日
    • 家族のきずなを強める方法

      子供が家出をする理由はさまざまで,多くの場合かなり複雑です。この記事はそれらの原因を深く掘り下げることはできませんが,聖書の原則には,それが適用されるときに,家族を健全な状態に保つ働きがあることを確かに示しています。

      どれほどの子供たちが家出をするのか,その数を確定するのは容易ではありません。印刷物に出ている概算によれば,米国だけで年間60万ないし300万人の子供が行方不明になります。この種の概算では,家出をした子供,追い出された子供,顧みられない子供,離婚して親権を失った親に誘拐された子供の部類を一まとめにして扱っている場合が少なくありません。親に捨てられる子供は行方不明者としては報告されず,繰り返し家出をする子供たちもいるので,それらの数字は確かに概算に違いありません。「16歳の子供で年に5回家出をし,その度に一晩外で夜を明かすと……統計の上では5人の子供が行方不明になったことになる」と,ニューヨーク・タイムズ紙は述べています。

      数字よりも重要なのは,子供たちが家を出て行く理由です。「子供の家出はたいてい,家庭環境が機能障害を起こしている時に現われる一つの症状である」と,メディカル・アスペクツ・オブ・ヒューマン・セクシャリティー誌は言います。身体的虐待,ほったらかし,愛の欠如,離婚,過度の要求,厳しくて融通のきかない規則といった,前々からの問題が原因かもしれません。あるいは妊娠したとか,法律に触れる行ないをした場合のように,反響を恐れるためかもしれません。家を出た理由を尋ねられると,ほとんどの子供は,親子関係にかかわりのある理由を挙げます。「親子関係は,家出という行為に極めて大きな影響力を持つ要素のようだ」と「青年期」誌は述べています。また,「家出の背後にある要因として家出した子供は,親子関係がうまくいかない,家族の争いがあまりにもひどい,親に対して愛情がない,両親との意思の交流が少ない,といった点を挙げる」とも述べています。

      理由を理解する

      今はストレスの多い時代です。「失業率が上昇し,財政難にあえぐ家族が増加すると,それと共に家庭内の緊張や問題も増大する」,「父親が一時解雇になり,借金が返せなくなると,家族はみなストレスを感じる。そうした圧力に対処するすべをまだ身につけていない若い人は,家出という手を使って逃避する」と,レディーズ・ホーム・ジャーナル誌は述べています。時には親自身が無意識に子供を追い出すこともあります。親が決めたことに従え,それができなければ出て行け,と腹立ちまぎれに言うかもしれません。日々の経済戦争に疲れ,気が立っている親には,子供の相手をするエネルギーはほとんどありません。

      それと同時に,青年期にある人には,そのことだけで青年期独特のストレスが生まれます。十代の子供は,一方では子供として保護や世話を受けることを必要とし,他方では大人になろうと努力するために親から独立しているという感じがあるので,その二つの間にあって悩みます。そのために気持ちが混乱したり,心配になったりします。体にも変化が生じつつあります。生活はにわかにひどく複雑なものになるので圧倒されるように感じるかもしれません。親や仲間からの圧力も感じます。また,自分を疑ったり,失望したりする時期を経験するかもしれません。「自分がどんな人間かを模索している時期に,家族の者に誤解されていると感じることがあっても驚いてはならない」と,ティーン誌は忠告しています。「結局,あなたが自分を理解できないのであれば,どうして親に,あなたの考えていることが分かるだろうか」ということです。多くの親は,特に最初の子供に対しては,どれほどの自由を与えるべきか迷います。過度の抑制や理解の不足が子供を家出に追いやった例は少なくありません。

      「しかし,家出は何の解決にもならない」と,作家のジュディー・ブルームは「ジュディーへの手紙」という本の中で述べています。「家出は症状であって解決策ではない。それよりも,家族は一緒に座って事実を直視し,現実と取り組まねばならない。そうするときにのみ,家族が共に平和に暮らすのに役立つ変化を遂げることができる。しかしそれをするには助けを必要とする場合が多い」。

      必要な助けを見いだす

      そのために最もよい助けとなるのは,神の言葉 聖書です。なぜそう言えますか。人間の創造者である神は,創造物にとって何が最善かをご存じだからです。神は助けるという目的を念頭に置いて,「教え,戒め,物事を正し,義にそって訓育する」ための指示を与えてくださいました。「それは,神の人が十分な能力を備え,あらゆる良い業に対して全く整えられた者となるためです」。(テモテ第二 3:16,17)聖書の原則に従うと物事はうまくいきます。しかもその原則は生活のすべての面に及んでいます。

      しかし,指摘されているように,家族全員が進んで事実を直視し,変化を遂げなければなりません。その点を認めまた願わないかぎり向上はなく,逃避へ駆り立てる力はなくならないでしょう。アルコール,麻薬,性的虐待などの問題を抱えている家族の場合は特にそうです。まずそれらの問題を克服しなければなりません。それをして初めて生活上の一般的な問題に対処することができます。多くの家族は,神の言葉の正確な知識に基づく神への信仰と神を喜ばせたいという誠実な願いを抱いたことが助けになって,他の家庭では子供が家出を余儀なくされたような悲劇的な状況を克服しました。―コリント第一 6:9-11と比較してください。

      ますます利己的で疑い深くなる,また犯罪率の上昇するこの現代社会に住んでいるだけでも,家族のきずなは緊張します。だからこそ,「以前に書かれた事柄は皆わたしたちの教えのために書かれたのであり,それは,わたしたちが忍耐と聖書からの慰めとによって希望を持つため」なのです。―ローマ 15:4。

      聖書の原則を適用する

      子供の家出を誘発する要素が分かれば,聖書の原則を適用することができます。聖書はそれらの要素を扱うに当たって親に対し,子供と共に必要な充実した時間を過ごすよう,また首尾一貫した愛ある訓練を施すよう助言しています。無関心と過度に厳しい懲らしめの両極端を避けなければなりません。神の言葉は,「父たちよ,あなた方の子供をいら立たせることなく,エホバの懲らしめと精神の規整とをもって育ててゆきなさい」と助言しています。―エフェソス 6:4。箴言 22:6。

      聖書時代におけると同じように,正しい監督,注意,指導というものは,「家で座るときも,道を歩くときも,寝るときも,起きるときも」親が絶えず行なうべき事柄です。(申命記 11:19)懲らしめが必要な時には,愛をもって懲らしめることになっています。(箴言 13:24)もしそういう助言に従うなら,家族の幸福は確かに増し加わることでしょう。

      子供たちも自分の分を果たさねばなりません。「子供たちよ,主と結ばれたあなた方の親に従順でありなさい。これは義にかなったことなのです。『あなたの父と母を敬いなさい』」。(エフェソス 6:1,2)「経験のない者たちに明敏さを,若者に知識と思考力を与えるため」に書いた古代の賢人ソロモンも,「我が子よ,あなたの父の懲らしめに聴き従え。あなたの母の律法を捨て去ってはならない。……罪人があなたをたぶらかそうとしても応じてはならない」と助言しています。―箴言 1:1-10。

      家族の問題はどのように扱えばよいでしょうか。聖書は,「すべての事を愛をもって行ないなさい」と助言していますから,愛をもって扱います。(コリント第一 16:14)その愛は,他の人の不完全さや,いらいらさせられ,神経に触りそうな性癖をも進んで見逃すほど深いものでなければなりません。「何よりも,互いに対して熱烈な愛を抱きなさい」と聖書は述べています。「愛は多くの罪を覆うからです」。―ペテロ第一 4:8。

      そのような愛は,家族の他の者の幸福や福祉に関心を払い,家族関係をより緊密なものにします。いわゆる黄金律が,「自分にしてほしいことを他の人にしなさい」というふうに,積極的なものであったことに注目してください。(マタイ 7:12,今日の英語訳)ある調査でインタビューを受けた家出少年少女のほとんどは,家出前の家族とのかかわり合いは最低だったと言いました。「“家族がばらばらであること”が,家出をしてもう戻るまいと決意させることになる要因である」と「青年期」誌は述べています。しかし,「自分の益を図って自分の事だけに目を留めず,人の益を図って他の人の事にも目を留めなさい」という聖書の助言に従うなら,家族はもっと多くの時間を共に過ごすようになり,家族間の冷たい関係,疎外感,意思の交流の不足などの問題は克服されるでしょう。(フィリピ 2:4)家庭に緊密感と関心があれば,家出を誘うかもしれない仲間の影響はほとんど問題にならないでしょう。

      聖書の原則を適用すると,家出はもはや,だれもが立ち向かわねばならない生活上の諸問題の解決策であるとは思えなくなります。家族の各成員の愛のこもった支えがあれば,家庭は外界の圧力からの避難所となります。聖書の原則とその適用方法に関するより十分な理解は,神が与えてくださる希望と共に,その幸福をさらに増進させるものとなります。そのことについてエホバの証人と話してごらんになることをお勧めします。

      [7ページの囲み記事/図版]

      親にできること

      子供と共に時を過ごし,子供の抱えている問題や必要を知る

      常に注意と監督を怠らない

      愛をもって懲らしめ,また訓練する

      家庭を楽しいところにする

      子供にできること

      親に従順に従い,親を愛し,尊敬する

      孤立を避ける。家族がする事柄に積極的な関心を示す

      家族全体のことを考え,自分のしたいことばかりを考えない

      隠し立てせずに何でも話す

      [5ページの図版]

      一番大切なのは親子関係

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