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アブラハム聖書に対する洞察,第1巻
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この時およそ200歳で,まだ家長として一族の頭であったテラは,アブラハムとサラに同行してこの長旅に出ることに同意しました。カナンへ移転することにしたのが父親のテラだったかのように述べられているのはそのためです。(創 11:31)アブラハムのおいに当たる,父親のいないロトは,子供のいないこのおじとおばの養子になっていたようです。そのためロトも同行したのでしょう。一行は北西に960㌔ほど進み,ついに東西通商路の重要な中継点であったハランに着きました。ハランは,二つのワディが合流して一つになり,冬にはバリーク川に流れ込む1本の川となる地点にありました。その地点はバリーク川がユーフラテス川に注ぎ込む河口からバリーク川を約110㌔さかのぼった所にあります。アブラハムは父テラの死までそこにとどまっていました。―第1巻,330ページの地図。
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考古学聖書に対する洞察,第1巻
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アブラハムの古い故郷であるウル(創 11:28-31)も同様に,文明の高度に発達した,傑出した大都市でした。それはシュメール人の都市で,ペルシャ湾に近いユーフラテス河畔に位置していました。レナード・ウーリー卿の行なった同市の発掘調査によれば,アブラハムがカナンに向かって出発した当時(西暦前1943年以前),その都市は勢力や威信の面で最盛期を迎えていたようです。同市のジッグラト形式の神殿は,見いだされたその種の神殿の中でも最も保存状態が良いものです。ウル王室の墳墓からは,非常に高度な芸術的技量を示す金製品や宝石類がたくさん出土し,たて琴などの楽器類も見いだされました。(創 4:21と比較。)鋼鉄製(単なる鉄ではない)の小さな斧も見つかりました。(創 4:22と比較。)ここでもまた,幾千枚もの粘土板が見つかり,4,000年ほど前の昔の生活の詳細な点の多くが明らかになりました。―「ウル」2項を参照。
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