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殺害,殺人聖書に対する洞察,第1巻
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「殺す」,「殺人をする」,「打ち殺す」と様々に訳されている原語の幾つかの言葉は,人の命を取ることを指しています。故意に,また許されていないのに,あるいは不法に人の命を取るような行為が関係しているかどうかは,文脈や他の聖句によって決まります。例えば,「あなたは殺人をしてはならない」という命令(出 20:13)の場合,この句の『殺人をする』と訳されているヘブライ語(ラーツァハ)は,明らかに故意に行なわれる不法な殺人を指しています。しかし,民数記 35章27節で,この同じ語は,血の復しゅう者が遂行することを許された行為を表わしています。ですから,「あなたは殺人をしてはならない」という命令は,犯罪者の処刑のような特定の状況下で人間の命を取ることを許していたモーセの律法全体の枠内で理解しなければなりません。
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十の言葉聖書に対する洞察,第2巻
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法典の中のそれに次ぐおきてはたいへん簡潔に述べられました。第六は「あなたは殺人をしてはならない」,第七は「あなたは姦淫を犯してはならない」,第八は「あなたは盗んではならない」というものでした。(出 20:13-15)この順序は,これらの律法がマソラ本文で挙げられている順序,すなわち,隣人に及ぼす害が最も大きい犯罪を扱った律法から,害が最も小さい犯罪を扱った律法へという順序です。ギリシャ語の写本の中には(アレクサンドリア写本,アンブロシアヌス写本),『殺人,盗み,姦淫』という順序のものもあります。フィロン(「デカローグ」,XII,51)は「姦淫,殺人,盗み」,バチカン写本は『姦淫,盗み,殺人』という順序にしています。続いて,行ないに関するおきてから言葉に関するおきてに移り,第九は,「あなたは仲間の者に対する証人となるとき偽りの証言をしてはならない」となっています。―出 20:16。
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