4月 ―『骨折って働き,努力する』時
1 エホバの民にとって,記念式前後の数週間は,ある事柄について思い巡らす時です。それは,キリストの死によって成し遂げられた事柄をよく考え,イエスの流された血によって可能となった,神から与えられた希望について熟考する時です。昨年の4月19日を振り返ると,何が思い出されますか。あの春の夜,あなたが会った人たちの顔を思い出せますか。記念式にみなぎる豊かな霊的雰囲気,真剣に話される聖書の話,そして心のこもった祈りを思い起こせますか。エホバやイエスがあなたに示してくださった愛に対する深い感謝の気持ちを,いよいよ表わしてゆこうと決意したのではないでしょうか。今このように黙想して,あなたはどう感じますか。
2 エホバの民が,感謝の気持ちを言葉以上のかたちで表わしているのは明らかです。(コロ 3:15,17)とりわけ昨年の4月は,救いのためのエホバの備えに感謝と認識を示すため,クリスチャン宣教において精力的に励みました。補助開拓者は3万3,539人で,前年の4月を31%も上回りました。この月には伝道者の43%以上の人が何らかの開拓奉仕にあずかったことになります。それら補助開拓者や他のすべての王国宣明者の努力の結果,再訪問の件数は1998年12月以来の最高数を見ることができ,わたしたちは大いに喜びました。
3 確かに,わたしたちの持つ希望の確かさは,行動へと促します。それは使徒パウロが述べたとおりです。「わたしたちはそのために骨折って働き,また努力しているのです。わたしたちは生ける神に希望を託しているからです。神はあらゆる人,特に,忠実な者の救い主です」。―テモ一 4:10。
4 この記念式の時期に,あなたは,命のためのエホバの備えに信仰を抱いていることをどのように示しますか。昨年の4月,日本では王国宣明者の数が22万1,132人でした。今年の4月には,その数を上回ることができるでしょうか。十分可能です。しかしすべての伝道者が,バプテスマを受けている人もそうでない人も,宣べ伝える業に参加する必要があります。多くの新しい人も,参加する資格をとらえることができるかもしれません。ですから,この4月に骨折って働き,努力する計画を立てる際,比較的新しい人や経験の浅い人などをどのように鼓舞すれば,自分と一緒に働けるかぜひ考えてください。
5 活動を再開するよう他の人を助ける: ここ一,二か月のあいだ野外奉仕に出ていない人を知っているなら,そのような人を励まして,自分と一緒に奉仕するよう誘うことができるかもしれません。会衆内のだれかが不活発になっているなら,長老たちは特別な努力を払ってその人を訪問し,4月に活動を再開できるよう励まします。
6 わたしたちはみな,奉仕において強められるよう,エホバの霊を求め続けなければなりません。(ルカ 11:13)その霊を得るには何をしなければなりませんか。神の霊感を受けた言葉を読んでください。(テモ二 3:16,17)また,週の五つの集会すべてに出席し,『霊が諸会衆に述べることを聞く』必要があります。(啓 3:6)今は,不定期な人や不活発な人が個人研究の習慣を改善し,集会への出席の定期性を確立するよう助けるまたとない機会です。(詩 50:23)そのように援助しながら,自分の霊的福祉にも十分注意を払います。霊を得るには,さらに別の点も必要とされています。
7 使徒ペテロは,神が「支配者としてのご自分に従う者たちに」聖霊を与えると説明しました。(使徒 5:32)そのような従順には,『民に宣べ伝え,徹底的に証しするように』という命令に留意することも含まれます。(使徒 1:8; 10:42)伝道において強められるには神の霊が必要なことは事実ですが,エホバを喜ばせたいという願いを実際に示すときに神がいっそう助けてくださることも事実です。それで,進んで従うという初めの段階の大切さを,決して過小評価しないようにしましょう。
8 若い人を助ける: 親の皆さん,お子さんが真理について他の人に話したいという願いを抱いていることに気づくことがありますか。あなたと一緒に野外奉仕に参加していますか。行状において模範的ですか。もしそうであればためらわないでください。会衆の奉仕委員の一人に近づいて,4月に伝道者になる資格があるかどうか尋ねてください。(「務め」の本の100,101ページをご覧ください。)この記念式の時期に,お子さんが,エホバへの賛美の叫びに大いに貢献できることをぜひ覚えておいてください。―マタ 21:15,16。
9 米国ジョージア州に住むあるクリスチャンの母親は,エホバについて他の人に語るよう,自分の娘をいつも励ましていました。昨年,この少女は,母親と一緒に奉仕に参加していたときに,ある男性に「求め」のブロシュアーを配布して,目次を手短に説明しました。その男性は,「あなたは何歳ですか」と尋ねました。「7歳です」と少女は答えました。男性は,非常に意味深い仕方で少女が証言をしたことに驚いたのです。偶然ですが,この男性は真理のうちに育てられたものの,それを生き方として真剣に考えたことはありませんでした。ほどなくして,この少女の母親は,男性とその妻,そしてその娘との聖書研究を司会するようになりました。
10 多くの若者はすでに伝道者になっており,わたしたちはそのような人たちと一緒に奉仕するのを楽しみにしています。それらの若者は,同年代の若者に動機づけと励ましを与えることができます。4月はまた,それぞれの家族が,神聖な奉仕に一緒に携わることによってきずなを強め,霊的に築き上げられるのにふさわしい時でもあります。家族の頭はこの点で率先すべきです。―箴 24:27。
11 新しい人を助ける: あなたと一緒に聖書研究をしている新しい人はどうでしょうか。4月に払われる特別な努力に貢献できるでしょうか。その人は,「知識」の本の2章22節や11章14節が扱われたときに,学んでいる事柄を他の人に伝えたいという願いを表わしたかもしれません。この本の終わりに近づいているなら,18章8節を扱う際に,その点について率直に話し合うようにしてください。そこにはこう書かれています。「恐らくあなたは,自分の学んだ事柄を親類や友人などにぜひとも話したいと思っておられることでしょう。実際には,ちょうどイエスが非公式の場で他の人たちに良いたよりを伝えたように,あなたもすでにそうしておられるかもしれません。(ルカ 10:38,39。ヨハネ 4:6-15)今では,もっと多くのことを行ないたいと思っているかもしれません」。あなたと一緒に聖書研究をしている人もそう思っているでしょうか。
12 あなたの研究生は神の言葉を信じていますか。聖書の原則を当てはめているでしょうか。生活を神の規準に調和したものとしていますか。会衆の集会に出席しているでしょうか。エホバ神に仕えたいと願っていますか。もしそうであるなら,研究生に,長老たちと話し合うよう励ますのはいかがでしょうか。長老たちは,その人がバプテスマを受けていない伝道者となり,4月にあなたと一緒に奉仕する資格があるかどうか判断できるでしょう。(「務め」の本の97-100ページをご覧ください。)こうして研究生は,エホバに仕えるよう努力するとき,エホバの組織がその人をどのように支えるかを実感するようになるでしょう。
13 進歩の度合いが研究生によって異なるのは事実です。それで,「王国宣教」2000年6月号,4ページ,5,6節の指示に従って,当初関心を示したものの活発に交わるにはいっそうの助けが必要な研究生と2冊目の本を研究している人は少なくありません。わたしたちは,心の正直な人たちが「わずかの間であろうと長くかかろうと」イエスの真の弟子になるという希望を決して捨てません。(使徒 26:29)とはいえ,そのような人と研究している期間が『長い』と言えるなら,この4月は,その研究生がキリストの贖いに対する感謝の深さを表わし始める,良い機会ではないでしょうか。
14 参加するようどのように助けるか: イエスが他の人をどのように訓練したか調べるなら,資格にかなった人が宣教奉仕を始められるよう援助する面で多くのことを学べます。イエスは,どこかに群衆を見つけただけで,使徒たちに話し始めるよう告げたわけではありません。まず宣べ伝える業の必要性について強調し,祈りのこもった態度を持つよう励まし,次いで三つの基本的な備えを与えました。パートナー,区域の割り当て,そして音信です。(マタ 9:35-38; 10:5-7。マル 6:7。ルカ 9:2,6)あなたも同じことができます。援助するのが自分の子どもであれ,新しい研究生であれ,ある期間活動を報告していない人であれ,以下の目的を達成するよう特別な努力を払うのはふさわしいことです。
15 必要性を明示する: 宣べ伝える業の重要性に注意を引き,積極的な態度で話してください。宣教奉仕において会衆が成し遂げている事柄を示す経験を話してください。イエスがマタイ 9章36-38節で述べた精神を表わしてください。自分が宣教奉仕に参加することについて,また世界的な業が首尾よく成し遂げられることについて祈るよう,伝道者になる見込みのある人や不活発な人を励まします。
16 証言するさまざまな機会について考えるよう促す: 書籍研究の群れで集まって,家から家の証言を行なえることを伝えてください。親戚や知人に話したり,昼休みに職場の同僚や学校の友達に話しかけたりすることについても述べてください。公共の乗り物で移動するときには同乗者に個人的な関心を示すだけで会話を始めることができます。率先するなら,りっぱな証言を行なう機会が開かれる場合がよくあります。わたしたちの希望を「日から日へと」他の人に伝える機会は確かに数多くあります。―詩 96:2,3。
17 しかし大抵の場合,できるだけ早い段階で,あなたと新しい伝道者が一緒に家から家の奉仕に参加するのが望ましいでしょう。4月に奉仕を増し加えるという目標を立てているなら,都合の良い場所にある区域をもらえるかどうか区域の僕に尋ねてください。もしもらえるなら,区域を徹底的に奉仕するよい機会となります。例えば,奉仕の終了間際に,あるいは集会や他の場所に向かう途中,不在だった家や関心が示された家に,だれかが在宅していることに気づくかもしれません。ふさわしければ,最も効果的なときに短い訪問を行なってください。そうするなら,達成感と宣教奉仕における喜びを味わうことができます。
18 魅力的な音信を準備する: 王国の音信を宣べ伝えたいという願いはあっても,自信をもってそのことについて話せるかどうかは別問題です。特に,新しい人や,長いあいだ奉仕に出ていない人にとってはそうです。新しい人や不活発な人の準備を助けるのに費やす時間は決して無駄ではありません。奉仕会や野外奉仕の集まりから役立つアイディアを得ることはできますが,個人的な準備に取って代わるものではありません。
19 新しい人が準備するのをどのように助けることができますか。雑誌の提供から始めます。簡単で短い証言にしてください。報道されているどんな出来事に区域の人が関心を持つと思うかを尋ね,それと関連のある点を最近の雑誌から探します。一緒に証言を練習し,できるだけ早く宣教奉仕で使ってください。
20 将来の増加の可能性を開拓する: 昨年,世界中で1,480万人を超える人たちが記念式に出席しました。伝道者として報告していたのは600万人を少し上回る人たちだけです。つまり,約880万人は,その特別なプログラムに来るだけの関心を持っていて,聖書の主要な教えが説明されるのを聞いたことになります。それらの人たちはわたしたちと個人的に知り合うことができ,良い印象を受けたに違いありません。その多くは,わたしたちについて好意的に語り,世界的な業に寄与し,他の人の前でわたしたちを擁護します。これら大勢の人たちは,将来の増加の可能性を表わしています。そのような人たちがさらに進歩するよう,どのように援助できますか。
21 記念式に出席した新しい人の大半は,わたしたちの個人的な招待を受けてそうしました。つまり大抵の場合,個人的に知っている人が聴衆の中に少なくとも一人はいることになります。もしその人が,わたしたちの招待にこたえ応じて出席したのであれば,わたしたちには,その人が温かく迎えられるよう見届けて,プログラムから十分に益が得られるよう助ける責任があります。会場は混雑するので,席を見つけてあげてください。聖書を貸して,歌の本を見せてあげます。質問があればそれに答えます。あなたの温かい個人的な心遣いは,その人の関心を育む大きな要素となるでしょう。もちろん,わたしたち皆がそうする責任を負っています。見慣れない人がいるなら,温かく歓迎し,短い会話によって知り合うことができます。
22 記念式に出席することは,人の考え方に大きな影響を及ぼす場合があります。だれかが記念式に来たということは,探し求めているものがほかでは見いだせず,わたしたちの提供する事柄をもっと詳しく調べてみたいと思っている証拠かもしれません。エホバの無限の愛という概念を知らない人にとって,贖いというすばらしい備えに関する説明は極めて深い印象を残すでしょう。わたしたちが異なっていること,つまり誠実で,友好的で,愛にあふれ,礼儀正しいということを,その人はすぐに見て取るかもしれません。わたしたちの用いる会場は,その人が知っているかもしれない,像や無意味な儀式を特色とする教会とは全く異なります。新しい人はきっと,聴衆にはさまざまな背景を持つ人がいて,寄付が求められることはないという点にも気づくでしょう。こうした経験は,再び出席するための強力な動機づけとなるでしょう。
23 記念式後,出席した新しい人すべてに引き続き援助が与えられるよう,だれかが見届けるべきです。あなたが新しい人を招待したのであれば,あなたには特別な責任があります。その人が去る前に,王国会館で開かれる他の集会について教えてあげてください。次回の公開講演の主題も伝えます。その人の自宅に一番近い,会衆の書籍研究の場所と時間も知らせてください。後日,「創造者」の本を1冊持って行き,4月30日に始まる週に「創造者について一つの書物からどんなことを学べますか」という主題が取り上げられることを伝えます。近日中に開かれる予定の最寄りの地域大会に,会衆全体が出席する計画を立てている理由を説明します。
24 その人の自宅を正式に訪ねるよう取り決めてください。聖書の基本的な教理について学べる「求め」のブロシュアーと「知識」の本を持っているかどうか確かめます。まだ研究していないのであれば聖書研究を勧めてください。わたしたちが組織としてどのように機能しているかを明確に説明する「エホバの証人 ― どんな人たちですか 何を信じていますか」のブロシュアーを読んでもらうこともできます。「わたしたちの世界的な兄弟関係」といったビデオを見るよう勧めることもできます。会衆の他の成員と知り合えるよう取り決めます。その後の月々にも新しい人と接触を保つように努めてください。巡回監督の訪問中に集会に出席するよう,また巡回大会や特別一日大会に出席するよう招待します。その人が『永遠の命のために正しく整えられている』ことを示せるよう,さまざまな機会を提供してください。―使徒 13:48。
25 長老たちにできること: 4月にいっそう努力を払うという計画が成功するかどうかは,主に長老たちにかかっています。あなたが書籍研究の司会者であれば,この特別な活動に書籍研究の群れの成員がみな参加するにはどんな援助が行なえるか,リストを作成してみてください。あなたの群れには若い人,新しい人,不定期な人,あるいは不活発な人がいますか。親や開拓者,あるいは他の伝道者が,すでにその人に働きかけて援助を行なっているかどうか確認してください。個人的に援助できる事柄があれば進んで行なってください。野外奉仕が2年間不定期だった一人の姉妹は,過ぐる4月に50時間余りを宣教奉仕に費やしました。何がきっかけとなったのでしょうか。長老たちの築き上げる牧羊訪問だったのです。
26 長老や奉仕の僕は協力して,来たる4月に十分の区域,雑誌,そして文書があることを見届けます。野外奉仕のための集まりを増やすことができますか。もし増やせるならその特別な取り決めのことを発表してください。何よりも,王国の活動が増し加えられるこの4月にエホバの祝福があることを,公の祈りや個人的な祈りに含めてください。―ロマ 15:30,31。テサ二 3:1。
27 昨年の4月,米国ノース・カロライナ州のある会衆では,宣教奉仕の活動を増し加えるよう,長老たちが大いに励ましました。毎週の集会で,補助開拓者として奉仕できるかどうか祈りのうちに考慮するよう伝道者たちに勧めました。機会あるごとに,奉仕の僕たちの一団はみな,4月を今までで最高の月にすることを生き生きと話しました。その結果,すべての長老と奉仕の僕を含む,伝道者の58%がその月に開拓奉仕を行ないました。
28 十分に参加することの喜び: 宣教奉仕において『骨折って働き,努力する』ことにはどんな祝福があるでしょうか。(テモ一 4:10)上記の長老たちは,昨年4月の会衆の熱心な活動についてこう述べています。「兄弟姉妹たちは,今まで以上に野外奉仕に参加するようになって,互いへの愛や親密さがいっそう深まったとよく話しています」。
29 歩行の困難なある若い兄弟は,昨年4月の特別な活動にぜひ参加したいと願っていました。注意深い計画と,母親や,霊的な兄弟姉妹の援助のおかげで,補助開拓者として実り豊かな一月を楽しむことができました。そのときの経験についてどう思っているでしょうか。その兄弟は,「生まれて初めて,強健な男子のように感じました」と述べています。
30 エホバが,ご自分の王権について話す特権を高く評価している人たちに,豊かな祝福を与えてくださることに疑問の余地はありません。(詩 145:11,12)主の死を記念するわたしたちは,敬虔な専心の祝福が,将来いよいよ豊かに注がれることを知っています。使徒パウロはとこしえの命という報いを切に求めていました。とはいえ,ただ手をこまねいて待っているだけではだめなことも知っていました。パウロはこう書きました。「このために,わたしはまさに骨折って働き,彼の働きと一致した努力をしています。それは力をもってわたしのうちに働いているのです」。(コロ 1:29)エホバは,イエスを通してパウロを力づけ,人の命を救うための宣教奉仕を成し遂げられるようにされました。今日でも,エホバは同様のことをなさいます。この4月,あなたも個人として,そのような経験を味わうことができるでしょうか。
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4月に伝道できるようあなたはだれを励ましますか。
自分の子ども?
聖書研究生?
不活発になった人?