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主権聖書に対する洞察,第1巻
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地上の支配者たち 地の諸国民の支配者たちは,主権者なる主エホバの寛容と許しによって,限られた支配権を行使しています。啓示 13章1,2節には,政治上の政府が神からその権利を受けたのでないこと,つまり彼らは神から何らかの権威や力を与えられたゆえに行動しているのでないことが示されています。そこでは,七つの頭と十本の角を持つ野獣が,「自分の力と座と大きな権威」を龍から,つまり悪魔サタンから得ると述べられています。―啓 12:9。「獣,象徴的な」を参照。
それで,神は人間の様々な支配の興亡を許されましたが,そのような強大な王の一人は,自分の経験によってエホバの主権に関する事実を実証した後,心を動かされてこう述べました。「その支配権は定めのない時に至る支配権,その王国は代々にわたるものだからである。そして,地に住むすべての者は無き者のようにみなされており,この方は天軍の中でも地に住む者たちの中でもご意志のままに事を行なっておられる。その手をとどめ得る者,『あなたは何をしてきたのか』と言い得る者はいない」― ダニ 4:34,35。
したがって,人間の設けた政府による支配が神のご意志によって許される限り,パウロがクリスチャンに与えた次の命令は有効です。「すべての魂は上位の権威に服しなさい。神によらない権威はないからです。存在する権威は神によってその相対的な地位に据えられているのです」。それから同使徒は,そのような諸政府が悪を行なう者を処罰するために行動するとき,「上位の権威」つまり支配者は(神の忠実な崇拝者でなくとも)そのような特定の資格において間接的に神の奉仕者として行動しているのであり,悪を習わしにしている者に憤りを表明している,と述べています。―ロマ 13:1-6。
聖書は,そのような権威が「神によってその相対的な地位に据えられている」ことについて,それは神がそのような政府を設けたとか,神がそうした政府を支援しておられるという意味ではないことを示しています。むしろ神は,地上のご自分の僕たちに関するご意志に関連して,ご自分の良い目的にかなうよう諸政府を動かしてこられました。モーセは言いました。「至高者が諸国民に相続分を与えた時,アダムの子らを互いに引き離した時,もろもろの民の境界を定めて,イスラエルの子らの数を顧慮された」― 申 32:8。
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上位の権威聖書に対する洞察,第1巻
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上位の権威
(じょういのけんい)(Superior Authorities)
ローマ 13章1節に出て来る,人間の行政上の権威を表わす表現。その聖句は以下のように様々に訳されてきました。「すべての魂は上位の権威に服しなさい。神によらない権威はないからです。存在する権威は神によってその相対的な地位に据えられているのです」。(新世)「すべての臣民は支配を行なう権威に従順であるべきである。監督を受けない権威はなく,存在する権威は[神]の監督を受けて制定されたものだからである」。(ウェイマス)「人は皆,国家の権威に従わなければならない。神の許しを受けずに存在する権威はなく,存在する権威は神によりそこに置かれてきたからである」― 今英。
エホバ神は人間の行政上の権威を創始されたわけではありませんが(マタ 4:8,9; ヨハ一 5:19; 啓 13:1,2と比較),それらが存在することを許されましたし,それらは神の許しによって存続しています。しかし,エホバはそうしようと望まれる場合には,ご自分の意志を成し遂げるためにそのような権威を除き,導き,支配することがおできになります。預言者ダニエルはエホバに関して,『神は時と時節とを変え,王を廃し,王を立てる』と言明しました。(ダニ 2:21)また,箴言 21章1節は次のように述べています。「王の心はエホバの手にある水の流れのようだ。ご自分の喜びとするところへどこへでもそれを向ける」。―ネヘ 2:3-6; エス 6:1-11と比較。
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