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神権的な書庫の整え方ものみの塔 1994 | 11月1日
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神権的な書庫の整え方
シェレサーデは利口なスペイン人の女の子です。この子が4歳の時,先生がクラスの子供たちに,サンタクロースの塗り絵に色を塗るようにと言いました。シェレサーデは直ちに,免除してほしいと願い出,良心上それができないということを説明しました。
このような反対に遭って驚いた先生は,人形の絵にただ色を塗るのと同じことで,そうするのは何も悪いことではないと,その女の子に話しました。そこで,シェレサーデは,「ただの人形だというのでしたら,よろしければ,自分で人形を書きたいと思います」と答えました。
別の時に,そのクラスの子供たちは,国旗に色を塗るようにと言われました。シェレサーデはもう一度,何かほかのことをしてもよいかと尋ねました。そして,先生に事情を説明するため,シャデラク,メシャク,アベデネゴの話をしました。―ダニエル 3:1-28。
その後まもなく,先生はシェレサーデの母親に電話をかけて,たいへん驚いていると述べ,こう言いました。「お宅のお嬢さんは自分の良心について私に数回話しました。想像できます? あの年の女の子が自分の良心が苦しむ理由をわたしに説明するんです! 私はあなたがお嬢さんに教えておられる事柄に賛成しているわけではありませんが,確かにあなたは立派にやっていらっしゃるわ。お嬢さんには脱帽いたします。それをお知らせしたかったんです」。
4歳の女の子がどのようにして聖書で訓練された良心を持てるのでしょうか。母親のマリーナの説明によれば,シェレサーデの寝室には自分の神権的な書庫があります。その書庫には,自分で下線を引いた個人用の「ものみの塔」誌,宣べ伝える業で使う文書類,それに彼女が生まれた時以来,発表されたものみの塔協会のすべての出版物などが入っています。その書庫のもので,彼女が大好きなのは,「わたしの聖書物語の本」のカセットテープです。彼女は毎晩,それと同じ題の本を見ながら,そのカセットテープを聴きます。彼女は聖書中のそれらの記述をよく知っていたので,前述のような決定をすることができたのです。
よく整えられた神権的な書庫は,あなたやお子さんにとって役に立つでしょうか。どうして家族の書庫が必要なのでしょうか。
「書庫はぜいたく品ではない」
「書庫はぜいたく品ではない。生活必需品である」と,ヘンリー・ウォード・ビーチャーは言いました。確かに,わたしたちのほとんどは,それとは知らずに,そのような「生活必需品」の一つを持っています。どうしてそう言えるのでしょうか。たとえ聖書しか持っていないとしても,一種の書庫を持っていることになるからです。
聖書は実際,典型的な神権的書庫です。4世紀にヒエロニムスは,霊感を受けて記された書を集大成した,今日,聖書と呼ばれる書物のことを述べるためにビブリオテーカ ディーウィーナ(神の書庫)というラテン語の句を作り出しました。エホバはわたしたちに実際的な助けや教えや導きを与えるため,わたしたちにこの神聖な書庫を備えてくださいました。それを決して当然のものと考えてはなりません。聖書全巻を持っているだけで,神の僕たちの大多数が昔持っていたものよりも大規模な書庫を持っていることになるのです。
入手できるのは高価な手書き写本だけだった時代には,聖書全巻を個人的に持つことができた家族は,たとえあったにせよ,少数だったでしょう。パウロがローマで最後に投獄されていた際,聖書を研究したかった時,小アジアから幾つかの巻き物 ― 多分,ヘブライ語聖書の幾つかの部分 ― を持って来るようテモテに頼まなければなりませんでした。(テモテ第二 4:13)しかし会堂には確かに,収集された巻き物がしまってあったので,イエス・キリストも使徒パウロも宣べ伝える業を行なう際,そうした書庫を活用しました。(ルカ 4:15-17。使徒 17:1-3)幸いにも,今や聖書は1世紀当時よりもはるかに入手しやすくなりました。
印刷機が発明されたお陰で,今日,神の僕たちはほとんど皆,どんな言語を話しているにせよ,聖書全巻を手ごろな値段で買い求めることができます。また,わたしたちはこの神聖な「書庫」を補充する特異な機会にも恵まれています。「忠実で思慮深い奴隷」は1世紀以上にわたり,時に応じて霊的な食物を供給するために忙しく働いてきました。―マタイ 24:45-47。
しかし,もし個人の神権的な書庫をよく整えないとしたら,こうした非常に貴重な情報を十分利用することは考えられません。どうすれば,十分に利用できるのでしょうか。もちろん,その第一歩は,こうした書庫に必要な図書を入手することです。そうした努力を払うことには十分の価値があります。その書庫があれば,問題を扱ったり,聖書に関する質問に答えたりするのに必要な正確な情報を手元に持つことができるようになるからです。
わたしにはどんな図書が必要だろうか
結婚生活で意思の疎通を図るという問題をどうすれば解決できるだろうか,あるいは,どうすれば,お子さんが麻薬を勧められた時,いやです,と言えるように助けられるだろうか,と考えたことがありますか。どうすれば,うつ病にかかっている友達を助けることができるでしょうか。神が存在することを示すどんな証拠があるか,また神はなぜ悪を許しておられるのかを,あなたははっきり説明できますか。啓示 17章の緋色の獣は何を表わしていますか。
ふさわしい神権的な書庫があれば,これらの,またその他の無数の質問に答えることができます。ものみの塔協会は聖書に関する種々の論題を漏れなく取り上げた書籍,ブロシュアー,および雑誌の記事を出版してきました。さらに,これらの文書は家族の問題を取り扱い,神と聖書に対するわたしたちの信仰を築き上げ,わたしたちの宣べ伝える業の技術を改善できるようにし,また聖書預言を理解するようわたしたちを助けてくれます。
過去20年にわたり協会が発行してきた出版物のほとんどは今でも入手できます。もしあなたが最近真理に入られたのでしたら,自国語で出されているそれらの文書類すべてを手に入れるのは価値のあることです。自国語で出されている,過去何年分かの製本された「ものみの塔」誌も入手できるかもしれません。また,「聖書に対する洞察」や「総合語句索引」(英文)などの優れた参考書も様々な言語で出版されています。しかし,これらの図書を入手するのは第一段階にすぎません。
ご自分の書庫を整えてください
ある本がどこかにあるということを知っているのと,必要な本を見つけることとは別問題です。必要な参考書を探すのに多くの時間を浪費せざるを得ないとすれば,もしかすると,問題に対する興味がなくなってしまうかもしれません。一方,自分の図書を便利な場所に置いて,よく整理しておくならば,一層自分で調べてみたいという気持ちになるものです。
できれば,神権的な図書の大半を一か所にまとめて置くと,助けになります。既製品の本棚を買う余裕がなければ,本棚は作ることができますし,多くの場合,かなり安く作れます。本棚は広い場所を必要としません。また,容易に書庫に近づけるのも重要なことです。本は屋根裏部屋にしまっておくと,大抵,ほこりだらけになるだけです。
次の段階は図書を整えることです。ほんのわずかな時間を割いて図書を論理的な順序に従って整理すれば,益があります。
家族のほかの人がほとんどエホバの証人でない場合はどうでしょうか。自分がしたいと思うように書庫を整えることはできないかもしれませんが,少なくとも何冊かの聖書関係の出版物を自分の部屋の本棚に置くことができるかもしれません。
神権的な書庫は霊性を強める助けになる
一度,図書を整理したなら,情報を探す助けになる組織的な方法が必要です。わたしたちの記憶は間違っているかもしれませんし,わたしたちは自分の神権的な書庫の中のすべての図書の内容に個人的に通じているわけではないかもしれません。それでも,その書庫の情報すべてを容易に入手することができます。自国語の「ものみの塔出版物索引」を入手できるならば,ほとんどどんな論題に関してでも短時間で特定の情報を見いだすことができます。
特別開拓者および長老として長年奉仕してきたフリアンは,一番年下の息子に個人研究の仕方を教える際,「索引」が非常に貴重な助けになったことを次のように説明しています。「先日,7歳になるハイローが学校から帰って来るなり,『お父さん,協会は恐竜について何と言っているの』と私に尋ねました。私たちは直ちに『索引』を取り出し,『恐竜』という言葉を調べたところ,この問題の特集記事を掲載した『目ざめよ!』誌がすぐに見つかりました。[1990年2月8日号]ハイローはその日のうちにその雑誌を読みだしました。私たちの神権的な書庫にはほとんどすべての論題に関する有益な情報があるということを彼はすでに知っています。私としては,子供たちが神権的な書庫を十分活用できるようになれば,その書庫は子供たちが霊的に成長する助けになることを確信しています。子供たちは推論できるようになり,その上,個人研究は楽しく行なえるものだということが分かるのです」。
冒頭で述べたシェレサーデの父親であるファウストは,神権的な書庫を用いるよう子供たちを訓練するのはどんなに早く始めても早すぎることはないと考えており,次のように説明しています。「私たちは今6歳のシェレサーデに『索引』の使い方をすでに教えています。娘はこの地が楽園<パラダイス>になる見込みに興味をそそられているので,私たちはまず,『索引』の中の“楽園(パラダイス)”という言葉を見せ,それから指摘されている『ものみの塔』誌の記事を調べました。いつもは娘にさし絵を見せるだけにしました。それでも,娘はこうして,『索引』こそ我が家の書庫から情報を得るかぎであるということを学びました。ある日,娘が復活祭(イースター)の祝いに関する疑問を抱いて学校から帰って来た時,私たちは娘が要点を理解していたことを知りました。娘は母親に,『「索引」を使って少し調べてみましょうよ』と言ったのです」。
年齢のいかんを問わず,聖書は,『すべてのことを確かめ,りっぱな事柄をしっかり守る』ようわたしたちに勧めています。(テサロニケ第一 5:21)それには,聖書が何と述べているかを調べなければなりません。(使徒 17:11)よく整えられた神権的な書庫を持っているならば,そのような調査を楽しく行なうことができます。わたしたちは自分の書庫を活用して話を準備したり,問題の扱い方に関する実際的な助言を見いだしたり,興味深い情報を探したりして成果を上げる度に,自分の書庫の実際的な価値を痛感させられることでしょう。
シェレサーデの両親ははっきりとこう述べています。「クリスチャンの家庭の神権的な書庫は絶対にぜいたく品ではありません」。
[30ページの囲み記事]
自分の図書をどのように整理できるでしょうか
自分の図書の整え方に関する厳しい規則はありません。それでも,次のような論理的な分け方は,自分の図書を内容に従って整理する方法の一例となります。
1. 聖書の特定の部分を節ごとに詳しく論じた書籍
(実例: 「これまでに生存した最も偉大な人」,「啓示の書 ― その壮大な最高潮は近い!」,「『諸国民はわたしがエホバであることを知るであろう』― どのように?」[英文],「御心が地に成るように」)
2. 家族生活に関係した書籍
(実例: 「あなたの家族生活を幸福なものにする」,「若い人が尋ねる質問 ― 実際に役立つ答え」,「わたしの聖書物語の本」)
3. 聖書と参考書
(実例: 「新世界訳聖書 ― 参照資料付き」,その他の聖書,「ものみの塔出版物索引」,「総合語句索引」[英文],「聖書に対する洞察」,「ギリシャ語聖書 王国行間逐語訳」,優良な辞書)
4. 会衆の書籍研究や神権宣教学校で現在使われている書籍
5. カセットテープやビデオ
6. 製本された「ものみの塔」誌や「目ざめよ!」誌
7. エホバの証人の歴史
(実例: 「エホバの証人の年鑑」,「エホバの証人 ― 神の王国をふれ告げる人々」)
8. 宣教でいつも用いる書籍やブロシュアー
(実例: 「あなたは地上の楽園で永遠に生きられます」,「聖書から論じる」,「生命 ― どのようにして存在するようになったか 進化か,それとも創造か」,「神を探求する人類の歩み」,「唯一まことの神の崇拝において結ばれる」)
[31ページの図版]
シェレサーデはすでに立派な聖書研究者になった
[31ページの図版]
この少年は年が若くても,神権的な書庫を用いている
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統治体の増員ものみの塔 1994 | 11月1日
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統治体の増員
エホバの証人の統治体の増員を図るため,現在奉仕している11人の長老に1994年7月1日付で新たな成員が一人加えられました。その新しい成員はゲリト・レッシュです。
レッシュ兄弟は1961年11月1日に全時間奉仕を開始し,ものみの塔ギレアデ聖書学校の第41期のクラスを卒業しました。同兄弟は1963年から1976年までオーストリアで巡回および地域の奉仕を行ないました。そして,1967年に結婚し,後に妻メレテと共に,ウィーンにあるオーストリアのベテル家族の成員として14年間奉仕しました。4年前,二人はニューヨーク市ブルックリンにある協会の本部に移り,レッシュ兄弟は執行部事務所で,さらに奉仕委員会の援助者として奉仕してきました。同兄弟はヨーロッパの野外で様々な経験を積んでおり,ドイツ語,英語,ルーマニア語,およびイタリア語が分かるので,統治体の業に貴重な貢献をすることでしょう。
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