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終わりの時の「北の王」ものみの塔(研究用)2020 | 5月
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研究記事19
終わりの時の「北の王」
「終わりの時に,南の王は彼[北の王]と押し合います」。ダニエル 11:40
150番の歌 救いのために神に頼る
何を学ぶかa
1. 聖書預言からどんなことを知ることができますか。
エホバに仕える人々は間もなくどんなことを経験しますか。何が起きるかは分かっています。聖書預言を通して,私たち全てに影響を及ぼす重要な出来事を知ることができます。聖書にある1つの預言は,世界の強力な政府が今後何を行うかを明らかにしています。ダニエル 11章に出てくるその預言には,2つの対抗する勢力である北の王と南の王が何をしてきたかが記されています。この預言の大部分はすでに実現しています。ですから,残りの部分もその通りになります。
2. ダニエルの預言を理解するには,どんな点を覚えておく必要がありますか。創世 3章15節,啓示 11章7節,12章17節からどんなことが分かりますか。
2 ダニエル 11章の預言を理解するに当たり,覚えておくべき点があります。その預言に出てくる王たちは,エホバの民に直接影響を与えた支配者や政府を指している,という点です。エホバに仕える人々は,世界人口からすればごく少数にすぎませんが,しばしば政府から迫害されてきました。サタンとサタンの体制全体が掲げている主要な目的は,エホバとイエスに仕える人々を征服することだからです。(創世 3:15と啓示 11:7; 12:17を読む。)覚えておくべき別の点として,ダニエルの預言は聖書の他の預言とつじつまが合っていなければなりません。ダニエルの預言を正しく理解するには,聖書の他の部分と比較検討する必要があります。
3. この記事と次の記事では何を学びますか。
3 こうした点を踏まえてダニエル 11章25-39節を調べましょう。1870年から1991年まで誰が北の王で,誰が南の王だったかを確かめます。北の王と南の王に関する預言の一部について,なぜ理解を調整する必要があるかも確かめます。次の記事ではダニエル 11章40節から12章1節を調べます。1991年からハルマゲドンの戦いの時までに起きる事柄について最近理解が調整された箇所を確認します。この2つの記事を学ぶ時,「終わりの時の対抗する王たち」という図表を参照してください。まず,ダニエル書の北の王と南の王が誰かを確かめましょう。
北の王と南の王を見分ける鍵
4. 北の王と南の王に共通する,どんな3つの特徴がありますか。
4 「北の王」と「南の王」という称号は当初,イスラエルの北と南に位置する強国を指していました。ダニエルのもとに遣わされた天使はこう言っています。「私が来たのは,最後の日々にあなたの民に起きる事柄をあなたに理解させるためです」。(ダニ 10:14)西暦33年のペンテコステの日までは,イスラエル国民が神に選ばれた民でした。しかしそれ以降,エホバはイエスの弟子たちをご自分の民と見ていることを明らかにしました。ですから,ダニエル 11章の預言の多くはイスラエル国民にではなく,イエスに従う人たちに関係するものです。(使徒 2:1-4。ロマ 9:6-8。ガラ 6:15,16)誰が北の王で誰が南の王かは,時代とともに変化してきました。とはいえ,どちらの王にも共通する特徴があります。第一に,どちらの王もエホバの民に大きな影響を与えてきました。第二に,どちらの王もエホバの民をひどく扱い,真の神エホバに対する憎しみを表してきました。第三に,どちらの王も互いに優位に立とうとしてきました。
5. 2世紀から19世紀の終わりごろまでに北の王と南の王は存在しましたか。説明してください。
5 2世紀のある時点から,クリスチャン会衆に偽のクリスチャンがはびこるようになりました。その人たちは異教の教えを受け入れ,聖書の教えを覆い隠しました。その頃から19世紀の終わりごろまで,地上には組織されたエホバの民が存在しませんでした。偽のクリスチャンという雑草がはびこり,真のクリスチャンとの区別がつかなくなりました。(マタ 13:36-43)この点は大切なポイントです。2世紀のある時点から19世紀の終わりごろまでに存在した支配者や政府は,北の王や南の王を指すことはあり得ません。その間,攻撃対象である組織されたエホバの民が存在しなかったからです。b しかし,北の王と南の王は19世紀の終わりごろに再び登場します。なぜそういえますか。
6. エホバの民の区別がはっきりつくようになったのはいつですか。
6 1870年以降,エホバの民は組織された1つのグループとして存在するようになりました。1870年にチャールズ・T・ラッセルと仲間たちが聖書研究会をつくりました。ラッセル兄弟と仲間たちは,メシア王国の設立に先立って「道を整える」使者となりました。(マラ 3:1)エホバの民の区別がはっきりつくようになったのです。では,エホバの民に大きな影響を与える強国は存在していましたか。考えてみましょう。
南の王は誰か
7. 第1次世界大戦中までは誰が南の王でしたか。
7 1870年の時点で,英国は世界最大の帝国となり,最強の軍事力を有していました。大英帝国は,3本の角であるフランス,スペイン,オランダを打ち負かした「小さな角」でした。(ダニ 7:7,8)第1次世界大戦中までは英国が南の王でした。当時,アメリカ合衆国は世界の経済大国となっていて,英国と密接な関係を築いていました。
8. 終わりの時代の間,誰が南の王ですか。
8 第1次世界大戦中,米国と英国は強力な軍事同盟を結びました。こうして,英国とその植民地だった米国が英米世界強国になりました。ダニエルの預言にある通り,南の王は「非常に強大な軍隊」をつくり上げていました。(ダニ 11:25)終わりの時代の間,英米同盟が南の王となっています。c では,北の王は誰ですか。
北の王が再び現れる
9. 北の王が再び現れたのはいつですか。ダニエル 11章25節はどのように実現しましたか。
9 1871年,北の王が再び現れました。ラッセル兄弟と仲間たちが聖書研究会をつくった年の翌年です。その年,オットー・フォン・ビスマルクの働きによりドイツ帝国が設立されました。プロイセンの国王ウィルヘルム1世が初代皇帝になり,ビスマルクを初代宰相に任命しました。d その後,ドイツはアフリカや太平洋の国々を植民地として支配するようになり,英国に対抗する勢力になりました。(ダニエル 11:25を読む。)ドイツ帝国は強力な軍隊をつくり上げ,英国に次ぐ規模の海軍を持つまでになりました。第1次世界大戦でドイツは軍事力を振るって敵国と戦いました。
10. ダニエル 11章25節後半と26節の預言は,どのように実現しましたか。
10 ダニエルは次に,ドイツ帝国とドイツの軍事力がどうなるかを預言しています。北の王は「立ち続けることができません」。なぜですか。「人々が陰謀を企てるため」です。「彼の美食を食べていた者たちが彼を倒れさせます」。(ダニ 11:25後半,26前半)ダニエルの時代,王の「美食」を食べていた者たちの中には,「王に仕える」役人が含まれていました。(ダニ 1:5)現代では誰のことですか。ドイツ帝国の高官のことです。その中には,皇帝に仕えていた将官や軍事顧問が含まれていました。その人たちの支持を失い,帝政は結局終わりを迎えました。e ダニエルの預言は,帝政が崩壊することだけでなく,南の王との戦いの結果についても予告しています。北の王について,「彼の軍隊は押し流され,大勢が殺されて倒れます」と述べていました。(ダニ 11:26後半)この預言通り,第1次世界大戦でドイツ軍は「押し流され,大勢が殺されて倒れ」ました。その戦争では,それまでのどの戦争よりも大勢の犠牲者が出ました。
11. 北の王と南の王は何をしましたか。
11 ダニエル 11章27,28節には,第1次世界大戦よりも前の時期に起きることについて,北の王と南の王が「1つの食卓に着いてうそを言い合[う]」と述べられています。北の王が「大量の品々」を蓄えるともあります。実際その通りになりました。ドイツと英国は互いに平和を望むと言っていましたが,1914年に戦争が起き,それまで語っていたことが「うそ」であることが明らかになりました。1914年までに,ドイツの経済は潤い,ドイツは世界第2位の経済大国になっていました。後にダニエル 11章29節と30節前半の預言の通り,ドイツは南の王と戦いましたが,打ち負かされました。
2人の王はエホバの民と戦う
12. 第1次世界大戦中,北の王と南の王は何をしましたか。
12 1914年以降,2人の王の対立は激しくなりました。2人の王はエホバの民とも激しく戦ってきました。第1次世界大戦では,ドイツ政府も英国政府も,戦争に参加しないエホバの民を迫害しました。米国政府は,先頭に立って伝道を行っていた人たちを刑務所に入れました。啓示 11章7-10節に預言されていた通りの迫害が起きたのです。
13. 1930年以降,とりわけ第2次世界大戦中,北の王は何をしましたか。
13 1930年以降,とりわけ第2次世界大戦中,北の王はエホバの民を容赦なく攻撃しました。ナチ党がドイツで政権を握ると,ヒトラーと支持者たちはエホバの民の活動を禁止しました。何千人ものエホバの民が強制収容所に入れられ,約1500人が命を失いました。こうしたことが起きることをダニエルは預言していました。北の王は,エホバについて人々に知らせる活動を禁止することにより,「聖なる所……を汚し,日ごとの犠牲を除き去り」ました。(ダニ 11:30後半,31前半)指導者であるヒトラーは,ドイツのエホバの民を根絶すると断言することまでしました。
新しい北の王
14. 第2次世界大戦の後,北の王になったのは誰ですか。なぜそういえますか。
14 第2次世界大戦の後,共産主義政権であるソビエト連邦は,かつてドイツ領だった広大な国土を手に入れ,北の王になりました。ソビエト連邦は全体主義のナチ政権と同様,真の神エホバを崇拝し国への絶対服従を拒む人たちに激しい敵意をあらわにしました。
15. 第2次世界大戦が終わってから,北の王は何をしましたか。
15 第2次世界大戦が終わって間もなく,新しい北の王である,ソビエト連邦とそれを支持する国々は,エホバの民を攻撃し始めました。啓示 12章15-17節にある預言の通り,この北の王は伝道活動を禁止し,エホバの証人を何千人もシベリアに追放しました。北の王は終わりの時代の間ずっと,エホバの民を迫害という「川」によって溺れさせて活動をやめさせようとしてきましたが,成功していません。f
16. ソビエト連邦がしたことは,ダニエル 11章37-39節にどのように預言されていましたか。
16 ダニエル 11:37-39を読む。北の王はこの預言の通り,「自分の父祖たちの神を無視し」ました。どのようにですか。ソビエト連邦は,宗教を排除することを目指して,伝統的な宗教組織の影響力を弱めようとしました。ソ連政府が早くも1918年に出した通達により,学校で無神論が教えられるようになりました。北の王はどのように「要塞の神をたたえ」ましたか。ソビエト連邦は膨大な額をつぎ込んで軍備を増強し,何千発もの核弾頭を造りました。北の王も南の王も大量の兵器を備蓄しました。何十億もの人の命を奪うほどの量です。
2人の王が手を組む
17. 「荒廃をもたらす極めて不快なもの」とは何ですか。
17 北の王は1つのことで南の王と手を組みました。「彼らは荒廃をもたらす極めて不快なものを据え」ました。(ダニ 11:31)「極めて不快なもの」とは国際連合のことです。
18. 国際連合が「極めて不快なもの」と呼ばれているのはなぜですか。
18 国際連合が「極めて不快なもの」と呼ばれているのはなぜですか。神の王国だけが達成できる世界平和を自分たちが達成する,と唱えているからです。「極めて不快なもの」が「荒廃をもたらす」と預言されているのは,間違った宗教全てを滅ぼす上で大きな役割を果たすのが国際連合だからです。(「終わりの時の対抗する王たち」という図表を参照。)
起きた出来事を知る必要があるのはなぜか
19-20. (ア)起きた出来事を知る必要があるのはなぜですか。(イ)次の記事ではどんなことを考えますか。
19 起きた出来事を知る必要があるのはなぜですか。1870年代から1990年代の初めにかけて,北の王と南の王に関するダニエルの預言が実現してきたからです。ダニエルの預言の残りの部分もその通りになるという信仰を持てます。
20 1991年にソビエト連邦が崩壊しました。では,現在誰が北の王ですか。次の記事で考えましょう。
128番の歌 終わりまで耐え忍ぶ
a 「北の王」と「南の王」に関するダニエルの預言は今実現しています。なぜそういえますか。この預言を詳しく理解する必要があるのはなぜですか。
b この点を踏まえると,ローマ皇帝アウレリアヌス(在位270-275年)を「北の王」,女王ゼノビア(在位267-272年)を「南の王」と考えることはできないでしょう。この理解は,「ダニエルの預言に注意を払いなさい」の本の第13,14章にある説明に替わるものです。
c 「聖書預言の英米世界強国」という囲みを参照。
d 1890年,カイゼル・ウィルヘルム2世はビスマルクを辞任させました。
e 高官たちが皇帝を支持するのをやめ,不利な戦況に関する機密情報を漏らし,皇帝に退位を迫ったことなどが,帝政の崩壊につながりました。
f ダニエル 11章34節に示されている通り,北の王の国土で生活するクリスチャンに対する迫害がやんだ時期がありました。1991年にソビエト連邦が崩壊した時などがそうです。
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今の「北の王」は誰ですかものみの塔(研究用)2020 | 5月
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研究記事20
今の「北の王」は誰ですか
「ついに終わりを迎えます。彼を助ける者は誰もいません」。ダニエル 11:45
95番の歌 光は明るさを増す
何を学ぶかa
1-2. この記事では,どんなことを考えますか。
私たちは終わりの時代の最終部分に生きています。今の体制が間もなく終わるという証拠はそろっています。エホバとイエス・キリストは,神の王国に敵対する政府全てをもうすぐ滅ぼします。それまでの間,北の王と南の王は互いに対立し,エホバの民とも戦います。
2 この記事では,ダニエル 11章40節から12章1節の預言について考えます。まず,今の北の王は誰かということを取り上げます。今後何が起きるとしてもエホバが助けてくださる,と確信できる理由も考えます。
新しい北の王
3-4. 新しい北の王は誰ですか。説明してください。
3 1991年にソビエト連邦が崩壊した後,その広い国土に住むエホバの民は「多少の助け」を得ました。一定の期間の自由を得たのです。(ダニ 11:34)その結果,自由に伝道できるようになり,旧ソ連の国々の伝道者数が大幅に増えました。やがて,ロシアとそれを支持する国々が北の王になりました。前の記事で学んだ通り,北の王や南の王の描写に当てはまる政府には,3つの特徴があります。(1)エホバの民に直接影響を与えます。(2)エホバとエホバの民に敵対します。(3)2人の王は対抗し合います。
4 ロシアとそれを支持する国々が今の北の王であるとなぜいえますか。(1)エホバの民に直接影響を与えてきました。伝道を禁止し,領土内の大勢の兄弟姉妹を迫害しています。(2)こうした行動は,エホバとエホバの民に対する憎しみの表れです。(3)南の王である英米世界強国と対抗してきました。ロシアとそれを支持する国々が北の王として行ってきた事柄を見てみましょう。
北の王と南の王が押し合う
5. ダニエル 11章40-43節には,どの期間の事柄が記されていますか。何が起きますか。
5 ダニエル 11:40-43を読む。この部分には,終わりの時に起きる事柄が大まかに記されています。北の王と南の王のせめぎ合いが描かれています。ダニエルが預言した通り,終わりの時に南の王は北の王と「角を突き合わせ[る]」かのように「押し合い」ます。(ダニ 11:40,脚注)
6. 2人の王はどのように押し合っていますか。
6 北の王と南の王は覇権争いを続けています。第2次世界大戦が終わった後に起きたことを考えましょう。ソビエト連邦とそれを支持する国々がヨーロッパの大部分を掌握すると,北の王のその行動に対抗して,南の王はNATO(北大西洋条約機構)と呼ばれる軍事同盟を結成します。北の王は南の王との軍備競争を続け,多くのお金をつぎ込んでいます。北の王はアフリカ,アジア,中南米などでの代理戦争や紛争という形で南の王と戦ってきました。近年,ロシアとそれを支持する国々は世界の国々に対する影響力を強めています。南の王に対するサイバー攻撃も行っています。どちらの王も,サイバー攻撃によって経済や政治を混乱させようとしているとして,相手を非難しています。さらに,ダニエルが預言した通り,北の王は今なおエホバの民を迫害しています。(ダニ 11:41)
北の王は「美しい地」に入る
7. 「美しい地」とは何ですか。
7 ダニエル 11章41節には,北の王が「美しい地」に入ると述べられています。「美しい地」とは何ですか。聖書時代には,イスラエルの土地のことでした。その土地は「全ての土地の中で最も美し[い]」と見なされていました。(エゼ 20:6)でも,国土の美しさよりも重要な意味を持つのは,その土地でエホバが崇拝されていたことです。西暦33年のペンテコステの日以来,その「美しい地」が特定の場所を指すことはなくなりました。エホバを崇拝する民は世界中にいるからです。現在の「美しい地」は,エホバの民の活動を指しています。その活動には,集会や伝道という形でエホバを崇拝することが含まれます。
8. 北の王はどのようにして「美しい地」に入りましたか。
8 終わりの時代の間,北の王は「美しい地」に何度も入りました。ナチス・ドイツが北の王だった時,特に第2次世界大戦中,北の王はエホバの民を迫害し殺すことによって「美しい地」に入りました。第2次世界大戦後,北の王になったソビエト連邦は,エホバの民を迫害し,シベリアに追放することによって「美しい地」に入りました。
9. 近年,ロシアとそれを支持する国々はどのようにして「美しい地」に入っていますか。
9 近年,ロシアとそれを支持する国々も「美しい地」に入っています。どのようにですか。2017年,今の北の王はエホバの民の活動を禁止し,一部の兄弟姉妹を刑務所に入れました。「新世界訳」を含む私たちの出版物を禁書にすることもしました。さらに,ロシアの支部事務所,王国会館,大会ホールを差し押さえました。こうした行動を受けて,2018年に統治体は,ロシアとそれを支持する国々が北の王であることを示しました。しかし,エホバの民は強い迫害を受けても,政府を転覆させたり政権交代を求める反対運動に加わったりはしません。聖書の勧めに従い,「高い地位にいる人たち」について祈りを捧げます。その人たちが崇拝の自由に関わる決定を下そうとする時には,特にそうします。(テモ一 2:1,2)
南の王は北の王によって倒されるのか
10. 南の王は北の王によって倒されますか。
10 ダニエル 11章40-45節の預言は,北の王の活動に焦点を当てています。南の王は北の王によって倒されるのでしょうか。そうではありません。南の王は,エホバとイエスがハルマゲドンの戦いで人間の政府全てを滅ぼす時,まだ「生き[て]」います。(啓 19:20)なぜそういえますか。ダニエル書と「ヨハネへの啓示」に示されていることを考えてみましょう。
1つの石で表されている神の王国が,巨大な像で表されている人間の政府をハルマゲドンの時に終わらせる。(11節を参照。)
11. ダニエル 2章43-45節では,どんなことについて述べられていますか。(表紙の絵を参照。)
11 ダニエル 2:43-45を読む。ダニエルは,エホバの民に大きな影響を与えてきた一連の政府について述べています。それらの政府は,巨大な金属像の各部として描かれています。その像の足は鉄と粘土でできています。足は,人間の最後の政府,英米世界強国を表しています。この預言によれば,神の王国が人間の政府を打ち砕いて滅ぼす時,英米世界強国はまだ機能しています。
12. 野獣の7番目の頭は何を表していますか。このことに重要な意味があるのはなぜですか。
12 使徒ヨハネも,エホバの民に大きな影響を与えてきた一連の世界強国について述べています。ヨハネはそれらの政府を7つの頭がある野獣として描いています。野獣の7番目の頭は英米世界強国を表しています。このことには重要な意味があります。7番目の頭に続く頭はないからです。キリストと天の軍勢が7番目の頭を野獣ごと滅ぼす時,野獣の7番目の頭はまだ力を持っています。b (啓 13:1,2; 17:13,14)
北の王は今後どんな行動を取るか
13-14. 「マゴグの地のゴグ」とは誰ですか。何がエホバの民を攻撃するきっかけになるかもしれませんか。
13 エゼキエルの預言を調べると,北の王と南の王が迎える結末について手掛かりが得られます。エゼキエル 38章10-23節,ダニエル 2章43-45節,11章44節–12章1節,啓示 16章13-16節,21節の預言は,同じ時期や出来事について述べているものと思われます。もしそうであれば,事態は次のように展開していくでしょう。
14 大患難が始まった後,「全世界の王たち」は諸国家の連合体を結成します。(啓 16:13,14; 19:19)この連合体は,聖書の言う「マゴグの地のゴグ」になります。(エゼ 38:2)諸国家の連合体は,エホバの民に対する最後の総攻撃を行います。何がきっかけで攻撃を行うのでしょうか。ヨハネはこの時に関する幻の中で,エホバに敵対する者たちの上に非常に大きなひょうが降るのを見ました。ひょうが降ることは,エホバの民が処罰に関する厳しいメッセージを伝えることを表しているのかもしれません。このメッセージがきっかけとなり,マゴグのゴグはエホバの民を一掃しようとして攻撃するのかもしれません。(啓 16:21)
15-16. (ア)ダニエル 11章44,45節は,どんなことについて述べているのかもしれませんか。(イ)北の王とマゴグのゴグを構成する他の国々はどうなりますか。
15 処罰に関する厳しいメッセージと,エホバに敵対する者たちによる最後の攻撃は,ダニエル 11章44,45節で述べられているのと同じ出来事なのかもしれません。(読む。)ダニエルは,北の王が「東と北からの知らせに動揺し,激怒して出陣」すると述べています。北の王は「多くの者を滅ぼし尽く」そうとします。「多くの者」はエホバの民を表しているものと思われます。c ダニエルはエホバの民に対する最後の総攻撃について述べているのかもしれません。
16 北の王が他の政府と共にエホバの民を攻撃する時,全能の神は激怒します。こうしてハルマゲドンの戦いが始まります。(啓 16:14,16)ハルマゲドンの戦いにより,北の王は,マゴグのゴグを構成する他の国々と共に,終わりを迎えます。「彼を助ける者は誰もいません」。(ダニ 11:45)
ハルマゲドンの戦いの時,イエス・キリストと天の軍勢は,サタンが支配する悪い世界を滅ぼし,エホバの民を救う。(17節を参照。)
17. ダニエル 12章1節の「偉大な長ミカエル」は誰のことですか。ミカエルは何をしますか。
17 ダニエル 12:1を読む。この節では,北の王とそれを支持する国々が滅ぼされ,私たちが救われることがさらに説明されています。どんなことが分かりますか。ミカエルは王として統治しているキリスト・イエスの別名です。ミカエルは,王国が天で設立された1914年から,エホバの「民のために立って」います。間もなく,ハルマゲドンの戦いの時に「立ち上がり」,重要な行動を起こします。(ダニ 12:1,脚注)ハルマゲドンの戦いは,ダニエルが史上最大の「苦難の時」と呼んだ期間の最後に起きることです。「ヨハネへの啓示」では,この「苦難の時」が「大患難」と呼ばれています。(啓示 6:2; 7:14)
あなたの名前は「書に記され」るか
18. 今後起きる苦難について心配しなくてよいのはなぜですか。
18 ダニエルもヨハネも,エホバとイエスに仕える人たちが前例のない苦難の時を生き残ると述べています。ですから,私たちは穏やかな気持ちを保てます。ダニエルは,生き残る人たちの名前が「書に記され」ると述べています。(ダニ 12:1)どうすれば名前を書に記してもらえますか。神の子羊であるイエスに信仰を持っていることを示さなければなりません。(ヨハ 1:29)エホバに献身し,バプテスマを受ける必要があります。(ペテ一 3:21)エホバについて人々に知らせることにより,神の王国を支持していることを示さなければなりません。
19. 今,何をすべきですか。なぜですか。
19 今こそエホバへの信頼を強めるべき時です。エホバのために尽くす人たちから成る組織への信頼を強めるべき時です。神の王国を支持すべき時です。そうするなら,神の王国によって北の王と南の王が滅ぼされる時,私たちは救われます。
149番の歌 勝利の歌
a 今の「北の王」は誰ですか。どのように終わりを迎えますか。答えを知ると,信仰が強められ,これから間もなく経験する試練に備えることができます。
b ダニエル 2章36-45節と啓示 13章1,2節について,詳しくは「ものみの塔」2012年6月15日号7-19ページを参照。
c 詳しくは「ものみの塔」2015年5月15日号29-30ページを参照。
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終わりの時の対抗する王たちものみの塔(研究用)2020 | 5月
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終わりの時の対抗する王たち
この図表に示されている幾つかの預言は,同じ時期に実現します。それらの預言が実現していることは,今が「終わりの時」であることの証拠です。(ダニ 12:4)
聖句 啓 11:7; 12:13,17; 13:1-8,12。
預言 「野獣」が長い間地上を歩き回る。終わりの時に7番目の頭が傷つけられる。後に傷は治り,「全世界の人々」が野獣に従う。サタンはこの野獣を使って「残っている人たち……と戦う」。
実現 ノアの洪水の後,エホバに敵対する人間の政府が現れる。何千年も後の第1次世界大戦中,大英帝国は弱体化するが,米国と手を組むことによって力を取り戻す。とりわけ終わりの時に,サタンは政治体制全体を使ってエホバの民を迫害する。
聖句 ダニ 11:25-45。
預言 終わりの時に北の王と南の王が敵対する。
実現 ドイツと英米が敵対する。1945年に,ソビエト連邦とそれを支持する国々が北の王になる。1991年にソビエト連邦は崩壊し,後にロシアとそれを支持する国々が北の王になる。
預言 エホバは「使者」を遣わし,メシア王国の設立に先立って「道を整える」。この「使者」は「温厚な人に良い知らせを告げる」ようになる。
実現 1870年以降,C・T・ラッセルと仲間たちは聖書の教えを知るために熱心に研究する。1880年代になると,エホバに仕える人たちは伝道しなければならないことを強調するようになる。「1000人の伝道者を求む」,「宣べ伝えるために油そそがれる」などの記事を発行する。
預言 敵が小麦の間に雑草をまく。雑草は成長し,収穫の季節まで小麦と区別がつかない。収穫の時に雑草と小麦が分けられる。
実現 1870年代から,真のクリスチャンと偽のクリスチャンの区別がつくようになる。終わりの時に真のクリスチャンが集められ,偽のクリスチャンと分けられる。
聖句 ダニ 2:31-33,41-43。
預言 金属像の足が鉄と粘土でできている。
実現 粘土は,英米世界強国内の急進的な民衆を表している。そのような民衆がいるため,英米世界強国は鉄のような力を発揮できない。
聖句 マタ 13:30; 24:14,45; 28:19,20。
預言 「小麦」が「倉」に集められる。「忠実で思慮深い奴隷」が「召し使いたち」の上に任命される。「王国の良い知らせ」が「世界中で」伝えられるようになる。
実現 1919年にエホバの民の上に忠実な奴隷が任命される。その年以降,聖書研究者たちは伝道に力を入れる。現在,エホバの証人は200以上の国や地域で伝道し,聖書に基づく出版物を1000以上の言語で発行している。
預言 2本の角を持つ野獣が先頭に立って7つの頭を持つ「野獣のために像」を造り,「野獣の像に命を吹き込む」。
実現 英米世界強国が先頭に立って国際連盟を設立する。他の国々も国際連盟を支持する。北の王も1926年から1933年まで国際連盟の加盟国だった。国際連盟も,後の国際連合も,神の王国だけが行える事柄を行うと言っている。
聖句 ダニ 8:23,24。
預言 どう猛な顔つきの王が「甚だしい破滅をもたら[す]」。
実現 英米世界強国はひどい破滅をもたらす。例えば,第2次世界大戦中,米国は英米の敵国に2発の原子爆弾を投下し,前例のない破滅をもたらした。
預言 10本の角を持つ「緋色の野獣」が底知れぬ深みから上る。その野獣は8人目の王でもある。8人目の王はダニエル書で「荒廃をもたらす極めて不快なもの」と呼ばれている。
実現 国際連盟は第2次世界大戦中に活動を停止する。戦後,国際連合が「据え」られる。国際連合は国際連盟と同様,神の王国が行おうとしている事柄を行うと言っている。国際連合は宗教を攻撃する。
預言 国々は「平和だ,安全だ!」と宣言する。「10本の角と野獣」は,「娼婦」を攻撃し,滅ぼす。その後,国々は滅びる。
実現 国々は,平和と安全を実現したと主張する。その後,国際連合を支持する国々が,間違った宗教の組織を滅ぼす。この出来事が大患難の始まりとなる。大患難が終わるのは,サタンの体制全体がハルマゲドンで滅びる時である。
預言 ゴグがエホバの民の土地に攻め込む。その後,天使たちが「選ばれた者たち」を集める。
実現 北の王は世界の他の政府と共にエホバの民を攻撃する。この攻撃が始まった後,天に行くクリスチャンのうち地上に残っている人たちが天に集められる。
聖句 エゼ 38:18-23。ダニ 2:34,35,44,45。啓 6:2; 16:14,16; 17:14; 19:20。
預言 「白い馬……に乗っている者」は,ゴグとゴグの軍隊を滅ぼすことによって「征服を完了する」。「野獣」は「火の湖に投げ込まれ[る]」。巨大な像は粉々に砕かれる。
実現 神の王国の王イエスがエホバの民を救う。イエスは,共同統治者である14万4000人と天使の軍勢を率いて,諸国家の連合体を滅ぼす。こうしてサタンの体制は終わる。
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