研究記事 16
119番の歌 来て,さわやかになりなさい!
兄弟姉妹との友情を深めるのは素晴らしいこと
「兄弟たちが一致して共に住むのは,何と素晴らしいことだろう。何と心地よいことだろう」。詩編 133:1
ポイント
どうすれば兄弟姉妹との友情を深められるでしょうか。その友情がかけがえのないものといえるのはどうしてでしょうか。
1-2. エホバにとって特に大切なことは何ですか。エホバは私たちに何を願っていますか。
私たちが周りの人にどう接するかは,エホバにとってとても大切です。イエスは,隣人を自分自身のように愛さなければいけないと教えました。(マタ 22:37-39)この言葉は,エホバに仕えていない人にも親切にするように,ということでもあります。そうすれば,私たちはエホバに倣うことができます。エホバは「悪人にも善人にも太陽を昇らせ,正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださる」方だからです。(マタ 5:45)
2 エホバは全ての人を愛していますが,エホバから見て正しいことをする人を特に愛しています。(ヨハ 14:21)エホバは私たちにも同じようにしてほしいと思っています。それで兄弟姉妹を「熱烈に愛し」,「優しい愛情」を注ぐように勧めています。(ペテ一 4:8。ロマ 12:10)この愛は,家族や親しい友人に感じるような温かい気持ちに似ています。
3. 聖書は愛について何と言っていますか。
3 植物が元気に育つには世話が必要なように,愛が成長するには努力が必要です。パウロも「兄弟愛を持ち続けてください」とアドバイスしています。(ヘブ 13:1)エホバは私たちに仲間への愛を育てていってほしいと思っています。この記事では,仲間との友情を深めることがどうして大切か,どうすればそうできるかを考えます。
仲間との友情を深めるのが大切なのはどうしてか
4. 兄弟姉妹がかけがえのない存在であることを忘れないために何ができますか。(詩編 133:1)(写真も参照。)
4 詩編 133:1を読む。エホバを愛する人たちとの友情は「素晴らし[く]」,「心地よい」ものです。とはいえ,美しい景色も毎日見ていると新鮮味がなくなって,当たり前のように感じることがあります。同じように,兄弟姉妹との絆も,やがて特に素晴らしいものではないように感じてしまうかもしれません。どうすればそうならずに済みますか。兄弟姉妹一人一人が会衆にとっても自分にとってもどれほど大切な存在であるかをじっくり考えるなら,仲間への愛は大きくなっていきます。
クリスチャンの絆は当たり前のものではない。(4節を参照。)
5. 私たちが愛し合っている様子を見る人はどう感じますか。
5 初めて集会に来て,エホバの証人が互いを愛し合っている様子に心を打たれ,「確かに本物のクリスチャンだ」と思う人もいます。イエスが言った通りです。「あなたたちの間に愛があれば,全ての人は,あなたたちが私の弟子であることを知ります」。(ヨハ 13:35)チャイトラの経験したことを考えてみましょう。チャイトラは大学生で,エホバの証人と聖書を勉強していました。地区大会に招待され,行ってみることにしました。大会初日を終え,チャイトラは聖書レッスンをしてくれていた姉妹にこう言いました。「これまで親からハグされたことなんて一度もないのに,今日1日だけで52回もハグされました。私もこの家族の1人になりたいです」。チャイトラはレッスンを続け,2024年にバプテスマを受けました。私たちが互いに温かく愛のこもった接し方をしている様子を見る人は,自分もエホバに仕えたいという気持ちになります。(マタ 5:16)
6. 兄弟姉妹との友情を深めるとどのように守られますか。
6 兄弟姉妹との友情を深めると,正しい道からそれないように守ってもらえます。パウロは仲間のクリスチャンにこう言いました。「毎日励まし合い,人を欺く罪の力によって頑固になってしまうことがないようにしてください」。(ヘブ 3:13)がっかりして正しい道からそれそうになるとき,エホバはそれに気付いた仲間を通して助けの手を差し伸べてくれます。(詩 73:2,17,23)そういうサポートをしてくれる仲間がいるのは素晴らしいことです。
7. クリスチャンの絆を守るのに愛が欠かせないといえるのはなぜですか。(コロサイ 3:13,14)
7 愛し合うエホバの家族の1人だからこそ味わえる喜びがたくさんあります。(ヨハ一 4:11)例えば,仲間を愛しているので「引き続き互いに我慢し」,クリスチャンの絆を守ることができます。(コロサイ 3:13,14を読む。エフェ 4:2-6)私たちの集会にはほかのどこにもないような心地よい雰囲気があります。
仲間を敬う
8. 私たちが一つに結ばれるために,エホバはどんなことをしていますか。
8 弱くて完璧ではない私たちが国を超えて一つに結ばれていることは,本当にすごいことです。エホバの助けがなければできないことです。(コリ一 12:25)聖書によると,私たちは「神に教えられて愛し合って」います。(テサ一 4:9)つまり,エホバは聖書を通して仲間との友情を深めるためにどうしたらいいかを教えてくれているということです。「神に教えられ」るためには,聖書をよく学び,その通りにする必要があります。(ヘブ 4:12。ヤコ 1:25)エホバの証人はそのことに誠実に取り組んでいます。
9. 人を敬うことについて,ローマ 12章9-13節からどんなことを学べますか。
9 兄弟姉妹との友情を深めるにはどうしたらいいでしょうか。ローマ 12章9-13節にあるパウロの言葉を見てみましょう。(読む。)特に注目したいのは,「自分の方から進んで人を敬ってください」という表現です。どういう意味でしょうか。自分の方から「優しい愛情」を示す必要があるということです。例えば,快く許し,よくもてなし,気前よく与えることができます。(エフェ 4:32)兄弟姉妹がそうしてくれるのを待つのではなく,「自分の方から進んで」行動しましょう。イエスが言った通り「受けるより与える方が幸福」です。(使徒 20:35)
10. 「人を敬って」いるなら,どのように仲間のために一生懸命働きますか。(写真も参照。)
10 パウロは,自分の方から進んで人を敬うようにと勧めたすぐ後,興味深いことにこう続けました。「怠けたりせず,よく働いてください」。これは与えられた仕事を一生懸命誠実に行う,ということです。格言 3章27,28節にはこうあります。「あなたに助ける力があるときに,善を行うべき相手にそうせずにいてはならない」。それで,困っている人がいるなら,その人のためにできることを何でも行います。自分がしなくても,誰かほかの人がやってくれるだろうとは考えません。助けの手を差し伸べることをためらわないようにしましょう。(ヨハ一 3:17,18)
困っている仲間がいれば,進んで助けましょう。(10節を参照。)
11. 仲間との友情を深めるために,ほかにどんなことができますか。
11 傷つけられた時,すぐに許すことによっても人を敬うことができます。エフェソス 4章26節にはこうあります。「怒ったまま日が沈むことがないようにしましょう」。なぜでしょうか。続く27節にあるように,「悪魔に隙を与え」ないようにするためです。エホバは聖書の中で,許し合うようにと何度も勧めています。コロサイ 3章13節には「引き続き……寛大に許し合いましょう」とあります。仲間の欠点や嫌なところをいちいち気にするのではなく,大きな心で受け止めるなら,絆は強まっていきます。そうするなら「平和という絆で結ばれ,聖なる力による一致を保つ」ことができます。(エフェ 4:3)いつも気持ちよく許し合うなら,仲間との絆は強まります。
12. 人を許せるよう,エホバはどんなふうに助けてくれますか。
12 自分を傷つけた人を許すのは大変だと感じるかもしれません。でも,エホバから聖なる力をもらえば許すことができます。「優しい愛情を示し合いましょう」,「よく働いてください」という言葉に続いて,聖句には「聖なる力によって熱意に燃えましょう」とあります。ここでいう「熱意に燃え[る]」とは,「神の『聖なる力』……を受けて,熱意や熱心さがあふれていることやそれらを発揮している」という意味です。(ローマ 12:11)正しいことをするには,聖なる力がどうしても必要です。聖なる力がなければ,優しい愛情を示すことや許し合うことはできません。それで「聖なる力を下さい」と真剣にエホバにお願いしましょう。(ルカ 11:13)
「分裂があってはなりません」
13. 何がきっかけで仲間との絆にひびが入ることがありますか。
13 会衆には「あらゆる人」,つまりいろいろな経歴や生い立ちの人がいます。(テモ一 2:3,4)それで,選択に幅がある分野でどんな判断をするかは,人によって違います。例えば,服装や身なり,エンターテインメント,医療の選択などです。気を付けていないと,そういう違いがきっかけで仲間との絆にひびが入ってしまうことがあります。(ロマ 14:4。コリ一 1:10)自分の基準や好みにこだわらないようにしましょう。エホバは私たちに愛し合うようにと教えているからです。(フィリ 2:3)
14. 私たちはいつも仲間にどのように接したいと思いますか。どうしてですか。
14 私たちはいつも兄弟姉妹に爽やかに接して元気づけることによって,会衆の絆を守ることができます。(テサ一 5:11)最近,会衆から除かれていた人やしばらく伝道に出ていなかった人が,たくさんエホバの家族に戻ってきています。本当にうれしいことです。ぜひ温かく迎えたいと思います。(コリ二 2:8)10年ほどエホバの証人としての活動をしていなかったある姉妹は,久しぶりに集会に来てこう言いました。「みんなが笑顔で私の所に来て握手してくれました」。(使徒 3:19)仲間の温かさに触れて姉妹はどう感じたでしょうか。こう言っています。「エホバに優しく手を引かれて家族のところに戻ってこれた,と思いました」。いつも仲間を元気づけるなら,「疲れていて,荷を負い切れない人」を爽やかな気持ちにしたいと思っている,イエスに協力することができます。(マタ 11:28,29)
15. 仲間との絆を強めるために,ほかにどんなことができますか。(写真も参照。)
15 絆を強めるためにできる別のことは,話す前によく考えることです。ヨブ 12章11節にはこうあります。「耳は,言葉を確かめないだろうか。舌が食物を味わうのと同じように」。料理を作って誰かに食べてもらうときには,まず味見をするはずです。同じように,話す前に自分が言おうとしていることについてよく考えるのは大切です。(詩 141:3)いつも「聞く人のためになる」ような言葉を話して仲間を元気づけ,爽やかにしましょう。(エフェ 4:29)
話す前によく考えましょう。(15節を参照。)
16. 特にどんな人たちは話すことに気を配るべきですか。
16 夫や親が,言葉で妻や子供を元気づけることは大切です。(コロ 3:19,21。テト 2:4)長老たちも,仲間が爽やかになり元気になれるような話し方を心掛けるべきです。兄弟姉妹はエホバの羊だからです。(イザ 32:1,2。ガラ 6:1)聖書の格言にはこうあります。「適切な時に話される言葉は,何と良いのだろう」。(格 15:23)
「行いによって誠実に」愛しましょう
17. 兄弟姉妹を心から愛しているなら,どんなことをしたいと思いますか。
17 使徒ヨハネはこう勧めています。「口先だけの愛になってしまわないよう,行いによって誠実に愛を表しましょう」。(ヨハ一 3:18)私たちは仲間を心から愛したいと思っています。そのために何ができるでしょうか。兄弟姉妹と一緒に時間を過ごせば過ごすほど,その人のことをもっと身近に感じ,もっと好きになります。集会や伝道で仲間と過ごす時間を大切にしましょう。家に立ち寄ることもできます。こういうことに取り組むと,「神に教えられて愛し合っている」ことになります。(テサ一 4:9)きっと,次の言葉の通りだと感じられるはずです。「兄弟たちが一致して共に住むのは,何と素晴らしいことだろう。何と心地よいことだろう」。(詩 133:1)
121番の歌 互いに励まし合いなさい