世界展望
X線による死亡
◆ 結核の検診や定期的な健康診断,またむし歯の検査にふつう使用されているX線のために,アメリカでは年間2万9,000名に及ぶ死者を出しているとされている。これはアメリカのオーク・リッジ国立研究所の理事カール・モルガン博士の主張である。同博士によれば,特に放射線から人体を守る訓練を受けていない医師や歯科医の診療室での不必要な照射は遺伝学上の突然変異・白血病・甲状腺のガン・骨の腫瘍などを引き起こし,何千人もの死者を出しているという。
死を招く恐るべき兵器
◆ 核保有国は膨大な核兵器を蓄積しているため,現存する人間をひとりあたりTNT火薬15トン相当の破壊力をもって殺せるほどである。従来の普通兵器については,世界の国々への主要兵器供給国の筆頭はアメリカで,ソ連がそれに次ぐ,とストックホルム国際平和研究協会の年鑑は報じている。
絶滅寸前のキツツキ
◆ 北アメリカ最大の,世界で2番目に大きな,象牙色の口ばしをしたキツツキが渡りバトやドードー鳥の仲間入りをしそうである。黒と白の羽毛を備えたこの端麗なキツツキを見たとの報告が最後に寄せられたのは1967年であった。大規模な樹木の伐採が行なわれたためにこの鳥は減少したのである。樹木が伐採されたため,樹木に巣食う昆虫がいなくなってしまい,鳥のエサがなくなったのである。
ケニヤの干ばつ
◆ ケニヤの一部がかなりの干ばつに見舞われ,14万人余の人々のためにききんからの救済措置が講じられたが,コレラはまん延のきざしを見せ,穀物は日照りのためにひからびて,井戸や川は干上がった。ラクダ・山羊・乳牛その他の動物は水を飲めないため,何千頭も死んでいる。
イナゴの侵入
◆ 南アフリカは,この国の史上最悪のイナゴの襲撃を受け,四つの州のうち二つの州がいわば丸裸にされた。イナゴの大軍はその進路にある穀物や緑の植物を食いつくしてしまったのである。また大量のつぶれたイナゴのためにすべりやすくなったレールの上で車輪がからまわりしたため,数両の列車が立ち往生した。イナゴの大群は約400平方キロもの土地や畑を襲った。
人間であふれるインド
◆ 過去10年間にインドの人口は24.6%増加した。これはほぼ1億800万人の増加に当たり,総人口は5億4,700万人に達し,インドは人間であふれた観を呈している。
物質の新しい層
◆ 物理学者たちは,原子核の中の中性子と陽子は原子構造の最終要素でないことを示す証拠を得たと考えている。一時は原子が物質の最小分子と考えられたが,その後原子はさらに微小な粒子 ― 原子核とそのまわりの電子 ― によって構成されていることがわかった。次いで原子核はさらに小さな粒子で構成されていることが発見されたが,今ではそれら粒子,つまり中性子と陽子がクォークと呼ばれるさらに小さな粒子を含むと考えられている。それらの粒子中にひそむエネルギーは恐るべき膨大な量であるとみられる。ビクター・ワイスコフ博士は「われわれは全く新しい現象の領域に直面している」と語った。
地磁気を利用して飛行?
◆ アメリカのコーネル大学のある鳥類学者は,家バトを用いて実験した結果,鳥は地磁気を利用して飛行するということを示す証拠を得たとしている。彼は,太陽をたよりにして飛行することのできない曇天の日にハトを放して行なった観察に基づいてそうした結論に達した。そのハトのうち,数羽のハトには背中に小さな棒磁石をつけ,他のハトには磁気のない小さな棒をつけた。放した時,磁気を帯びていない棒をつけたハトはまっすぐ家へ向かったが,棒磁石をつけたハトは方向感覚を失った。しかしながら,鳥がどのようにして飛行するかは依然正確に理解されてはいない。他にもさまざまな見解があるからである。
売春婦にさせられる家出人
◆ アメリカ,ニューヨーク市の警察は,家出をした少女に売春をさせて彼女たちを食い物にしていた一味を発見した。ブロンクス地域法務担当官は,「それを商売とする者にとって家出をした少女はかっこうのかもとされている」と語った。「ボーイフレンド」によって一味の手先にひとり4万7,000円で売られた4人の少女のことが特に指摘された。彼女たちはアパートに連れ込まれ,拷問され,欧打され,いく度となく強姦されて売春婦にさせられた。彼女たちは15歳から20歳の者たちであった。
青少年犯罪
◆ アメリカの青少年犯罪は,青少年人口の増加率のほとんど4倍の速さで増加している。米司法省の一役人によれば,アメリカにおける凶悪犯罪の半数は青少年によるものであるという。
驚嘆すべき準星
◆ 1960年代における準星の発見は,今世紀の天文学上最も驚くべき発見の一つとなった。準星は遠い空にある恒星に似ているが,恒星より数億倍も明かるい。また数億光年ものかなたにあるとされている。天文学者を当惑させているのは,準星の明かるさが距離との関係と釣り合わないということである。このことについて報じたニューヨーク・タイムズ紙は,準星は「理論家の創意に挑戦するようなエネルギー源から力を得ている」と述べた。
光よりも速い
◆ 多年,光の進む速度はあらゆるものの速度の中で最も速いとされてきた。これまで観察されてきた宇宙内のすべての物体の速度は光の速度以下のものであった。ところがつい最近,ある準星の二つの構成分子と考えられるものが光の速度の10倍の速さで飛びかうのが電波望遠鏡で観察され,衝撃を与えた。これは,天文学者たちの三つの別個のグループによって発見されたが,納得のゆく説明はなされていない。そうした観察が錯覚によるものでないことを確認するには,証拠をさらに調査する必要がある。
みぞを彫りつけた高速道路
◆ アメリカでは道路にみぞを彫りつけることを試みる州がますますふえるにつれて,こうした動きが増大している。高速道路のカーブにあたる部分のコンクリートに浅い縦のみぞをいく列も刻んだところ,自動車事故が激減した。ロスアンジェルスやサンフランシスコの横すべりの事故の多発している危険な箇所にそうしたみぞを施したところ,雨天のさいの自動車事故が90%減少した。ミルウォーキーの自動車事故は70%減少した。
同性愛者の結婚
◆ 聖書の中で神は同性愛を禁じておられるが,一部の教会はこのことを無視して同性愛者の結婚式を行なっている。アメリカ,サンフランシスコのあるメソジスト教会では,さる3月に同性愛者の男性ふたりの結婚式が行なわれ,そのふたりは指輪を交換した。この国の反対側のニューヨーク市では,4月にふたりの同性愛者の女性の結婚式が行なわれた。その結婚式は同性愛を認める教会で行なわれ,同性愛者の牧師によって司会された。
同性愛者の司祭
◆ オーストラリア,パースのサンデー・タイムズ紙によれば,オランダの同性愛者の司祭たちは「自分たちの関係を公然と,しかも教会の非難を受けずに維持する権利」を要求しているという。そのグループの代弁者は,「私は自分が同性愛者であるという事実を隠さない。私は依然,司祭である……私を破門する試みはなんらなされたことがない。教会は,私と同様の立場にある司祭が大ぜいいることを知っているので,私を大目に見ているのである」。教会は同性愛者の司祭を大目に見ているが,聖書にかなった結婚をする司祭を破門するのである。
英国での最悪の年
◆ ロンドンのデーリー・メール紙によれば,昨年は英国での犯罪の最もはなはだしい年であった。同紙は「あらゆる型の犯罪がかつてないほど増大したが,最も驚くべき増加をみたのは暴力であった」。平均すると,強奪その他の暴力行為が毎日100件起きていたことになり,これは10年前の2倍に当たる。