真理には人の思いを変える力がある
◆ 最近開かれたエホバの証人の巡回大会で語られた次の二つの経験は,聖書の真理を学ぶことによって人びとがどのように思いと生活を変化させ,創造者エホバに喜ばれる道を歩むことができるかを示しています。ひとりの医師はこう語りました。
● 「約十年前,妻から聖書研究をしたいとの話がありました。世界の古典である聖書の研究に異存はなかったのですが,私のキリスト教に対するある種の不信感と,教会や牧師に対する嫌悪感から,妻の聖書研究に対して批判的でした。さらに,当時同居していた私の父や弟妹の反対のもとでの,妻の研究はよほどの忍耐が必要でした。
父の死後まもなく,私の職業が妻への挑戦となりました。研究室を出てある小都市の病院長に赴任した私は,使命感に燃えて働きましたが,公私にわたる妻の協力を大幅に必要としたからです。次の任地でも同様でしたが,妻の研究は忍耐強く続けられ,年を経るごとに変化が見え始めました。妻がこの世との交りを徐々に,整理し始めました。また私の職業に対する関心も変って来たように見えました。六年間管理職を続け,順調にこの世の地位を昇っていましたが,遂に心身の過労から床に伏した時,何か空しさが感ぜられ,妻からも,もっと身軽なところに転職して,心も身体も大切にしてほしいといわれました。当時の私にとっては,一大決心でしたが,東京に一医師として通勤する無名の身軽るさは,私にもう一つ静かに考える余裕を与えてくれました。「カイザルのものはカイザルに神のものは神に」というエホバの民としての妻と,不信者としての私との家庭生活は,私の立場からは,もう限界に来たとしか思えませんでした。
「私に信仰が持てるかどうかという不安や,始めたら後には退けないという緊張感などを,目をつむって投げ捨てるかのようにして聖書研究を始めました。
「約4か月後に最初の挑戦を受けました。一昨年夏,後楽園競輪場で開かれたエホバの証人の地域大会の間近いころ受持ちの患者がある合併症で危篤に陥り,医局では輸血が必要だ,という意見が出るようになり私はすっかり困感し,気おちしてしまいました。その時,仲間の奉仕者たちから寄せられた,暖かい助言や励ましが,どんなに力強く私を支えてくれた事でしょうか。『とこしえの命に導く真理』の本の17章を開いては,何度も祈りました。そして『その病気には,必ずしも輸血は必要とはいいきれない』という,新しい,アメリカの文献を二つ見つけた時は感激でした。それを根拠に輸血なしの治療で,病状は好転し始め,安心して大会に出席できた時には,エホバが,私のような未熟者の祈りにも,ちゃんと答えてくださるのだという喜びと感謝で心がいっぱいでした。
「こうして,私はエホバへの祈りを知り始め,集会や野外奉仕に参加する喜びも,少しづつ判るようになりました。また最近は,入院患者もなく,当直もない職場が見つかり,時間を大きく買い戻す事ができたのも,祈りに答えてくださった,エホバの賜物と心から感謝しています。この大会で私は息子とともに水のバプテスマを受けます。いよいよ家族三人そろって,新しい生活の第一歩が踏み出せる喜びと感謝とで,心がいっぱいです」。
● 大阪地方のあるエホバの証人は,ジャズ演奏を仕事とする夫婦がどのように真理を受け入れ,生活を変化させたかをこう語りました。
「昨年の4月のある日曜日でした。若いご夫婦が私たちの集会場所を尋ねてこられました。ご主人は肩までの長髪でしたし,お二人の服装は確かに注意を引くものでした。お二人はジャズを職業とされていました。
「このご夫婦との聖書研究は主人が司会することになり,私も毎週参加することができました。お二人はとてもまじめな態度で研究され,ほどなくして週に2回研究したいと言われました。夕方からジャズの仕事に出かけられたので夜の集会には出られませんでした。
「私たちはエホバの力がどのように働くのか期待し,この研究を楽しみにしました。ご主人はほんとうに音楽がお好きでした。15年間バンドマンの生活をし,奥さんは3年間ひまさえあればフルートを手にし,初めは死んでも止めないと言っておられたのです。
「しかしやがて決心され,6月には二人そろって仕事をきっぱりやめられ,責任者の方を驚かせました。そして2日後から伝道したいと申し出て,服装のことを質問されました。それで伝道する前にご主人の長髪は奥さんの手によって切りとられ,私たちもほっとしました。それ以来,お二人はすべての集会と週3回の野外奉仕に定期的に参加され,その熱心のほどは皆を驚かせました。
「まず,神の国を求めたことは報いられ,自宅の近くにパート・タイムの仕事が見つかり,週3回の伝道も続けられるのでたいへん喜ばれました。この7か月間に『とこしえの命に導く真理』と『神が偽ることのできない事柄』の2冊の本の研究がほぼ終わりました。集会の一つである宣教学校の訓練を受け,霊的に成長するにつれ半年前の服装は一変し,『世のもの』からクリスチャン奉仕者にふさわしいものになりました。お二人は次の大会でバプテスマを受ける日を心待ちにしておられます」。