ウィジャ盤 ― どのような影響を及ぼす恐れがあるか

「1967年はアメリカのおもちゃ産業史上画期的な年であった」と，ジョン･カドウィンはオカルト･アメリカ誌上で述べ，「同年，米国人は盤上ゲームの中でも最も長続きした人気ゲームであるモノポリ（独占遊び）を見捨て，ウィジャ盤（霊応盤）を最人気ゲームの地位に押し上げた」と評しました。

その後6年間にアメリカ人はおよそ一千万台ものウィジャ盤を購入し，次いで推定二千万もの米国人がウィジャを試してみるよう誘われました。この種の霊応盤は他の国々でも人気があります。

ウィジャ盤とは何か

ウィジャ盤は長さ約60センチ，幅約45センチ，厚さ6ミリほどの板でできており，その盤面にはアルファベットの文字が弧形に2列ついていて，その下方には左から右に1から9そして0までの数字が一直線に並び，その下には英語で「さようなら」という句が書かれています。また，盤面の上方の左すみには「はい」，右すみには「いいえ」という言葉がそれぞれ英語で書かれています。

みがかれた盤面には，先にフェルトのついた3本の脚の上にのったハート型の小さな表示器が置かれており，そのとがった先端のほうには透明の平らな円盤がついています。普通，ふたりの人が表示の上に軽く手を置いて，ウィジャ盤に向かって質問をします。多くの場合，表示器は次々に文字の上を動いて，単語や文をつづって質問に答えます。時には，答えは驚くほど正確で，実際に起きる出来事を予告する場合さえあります。

“潜在意識”の働きの結果か？

ウィジャ盤の上の表示器はどうして盤面をすばやく動いて知らせをつづるのでしょうか。ウィジャ盤を使う人（あるいは人々）の“潜在意識”によるのでしょうか。

証拠は，そうではないことを示しています。というのは，多くの場合，ウィジャ盤を使って得られる情報は，それを操作する人自身の知らない，あるいは知り得ない，もしくはもたらし得ないものだからです。ロサンゼルス･タイムズ紙の宗教記者ラッセル･チャンドラーはこう説明しました。「ある記者はパサデナ（カリフォルニア州）のカルテクでウィジャの力を科学的に説明できるかどうか三人の自然科学者に真偽のほどをただしてもらうよう試みたが，それらの科学者はひとりもその試みに成功しなかった」。

ウィジャはどうして働くのか

ところが，聖書はウィジャ盤がどうして不思議な働きをするのかという問題に解明の光を投じています。どうしてそう言えますか。

ウィジャ盤は未知の物事を探る手段の一つですから，それは一種の占いです。聖書はサムエル前書 15章23節（新）で占いを，「神秘的な力」を行使することと同類の事柄としています。ウィジャ盤を使う人々の多くは，心霊力を受けるということを証言しています。それは普通の意志伝達方法を用いずに他の人々や出来事について知ることを可能にする本当に神秘的で不思議な力なのです。そのような力の背後には何が潜んでいるのでしょうか。

聖書の使徒たちの活動の書は，将来のことを予言する，ある下女の能力の源が「霊，つまり占いの悪霊」であることを正確に述べています。使徒パウロがその霊に向かって，「彼女から出る」よう命じたところ，その下女は予言をする力を失ってしまいました。（使徒 16:16-19）ウィジャ盤も邪悪な霊，つまり悪霊と関係があるのでしょうか。a

前述のラッセル･チャンドラーはこう述べています。「このゲームは感受性の強い人を不可思議な交霊の世界に引き入れる恐れがある，つまり悪霊にとりつかれる恐れさえあるとして一部の研究者たちは警告している」。

二十八歳になるまでは心霊経験を一度もしたことがなく，そういう事柄に対して懐疑的な考えを持っていた著述家アラン･ボーンは，彼の身に起きたことをこう述べています。

「それは1965年11月7日のことであるが，手術後快方に向かっていたある友人を喜ばせようとして，私が購入したばかりのウィジャ盤を試していた時に始まった。……。“霊たち”が盤上に現われだしたのである。そして，自らを“Z”と称した霊は，我々の質問に対して正確に，それも妙に古くさい語いを用いて答えた。

「後日，私が独りでウィジャを試してみたところ，ほどなくして私は，『ナダ』と称する神経症気味の性格を持つ霊に自分が『とりつかれている』ことに気づいた。……ところが，魅惑的な，また恐ろしいことに，『ナダ』が私の頭の中に入ったのである。私は同じ句を何度も繰り返す彼女の声を聞くことができた。……私はウィジャを手に取って，何が起きているのかをさらに調べるため友人を訪ねた。私は『z』が居合わせているのを感じた。そして，部屋の向こう側にいた友人は，表示器が動き始めた，と告げた。それは『z』を指し示し，次いで，『恐ろしい結果だ ― とりつかれている』という知らせをつづり出した。その時になって私は驚いた。というのは頭の中で不思議な声がするのはとりつかれているのと同じことであるが，そのようなことは私には一度も起きたことがなかったからである」。

ペンシルバニア州のある婦人は，ウィジャ盤を使用したためにその家族がした経験についてこう語っています。

「それは多くのうそを告げましたが，本当の事も数多く告げました。……それから，ある夜のこと，私たちは皆ベッドに入っていましたが，母は休む前にいつものように軽食を取っていました。すると突然，何かがすさまじい音をたてて砕けるのと叫び声，それに猫が怒ってシューとうなったり，ギャーギャーうなったりしながら狂気のように台所を走り回る物音が聞こえました。何事が起きたのかと思って起きて見ると，母はお茶をからだ中にかぶって床の上に倒れており，猫は半ば放心状態になっていました。

「私たちは直ちにウィジャ盤を取り出して，『どうしたのですか』と尋ねました。すると，『私はあなたのお母さんの腰掛けを壊しました。私は猫をおどかしました』と答えたので，『どうしてですか』と聞くと，『いたずらをしたのです』と答えました。『あなたはだれですか』と尋ねたところ，それはゆっくりと『悪魔』という言葉をつづりました。…

「それはまた（以前），私の妹に向かって何度もみだらな申し出を述べ，いかがわしい言葉をつづっては妹をおびえさせました！」

“心理学的ロシアルーレット”

なかには，ウィジャ盤を使ったところで，大多数の人がこうした異常な経験をするわけではないとして異議を述べる人がいます。しかし，だからといって事態は少しでも異なるでしょうか。「邪悪な霊の勢力」と関係を持つ恐れがあることを聖書と実際の経験が共に示している事柄をせんさくすべきでしょうか。（エフェソス 6:12）『人は火を懐に抱きてその衣をやかれざらんや』と問う聖書の言葉は，確かに理にかなっています。―箴 6:27。

実際，ウィジャ盤その他のものを試して心霊力を培おうと試みたために『やかれた』，つまり有害な影響を受けた人は少なくありません。社会科学者で，心理学の専門家であるハルモン･H･ブロー博士は言いました。「心霊力を培おうとするのは，心理学的ロシアルーレットをやるようなもので，どんな教育を受け，どんな意図をいだいているかもわからない見知らぬ人間によって催眠術をかけられるのに似ている」。

それで，ウィジャ盤は，神がことごとく非としておられる占いや心霊術や「神秘的な力」と関係がありますし，ウィジャを使って恐ろしい経験をした人は少なくないことからすれば，ウィジャ盤を試してみるのは有害な影響をもたらす以外の何ものでもないことがよくわかります。―申命 18:10-12。

[脚注]