日本の「喜びに満ちた働き人」地域大会
エホバの証人は毎年,聖書教育活動の一環として,大きな大会を催します。今年,日本では,沖繩を含め11か所で大会が開かれました。これらの大会は出席者に数々の教訓を与えるものとなったばかりか,周囲の人々に優れた証しとなり,エホバ神に賛美をもたらす結果になりました。以下はそれぞれの大会についての報告です。
北九州市
北九州市では市の総合体育館が四年連続で大会会場として使用されました。過去三回にわたる経験から,証人たちと会館職員たちとの間の信頼感がいっそうの協力という形で表わされました。“建物を初めよりも良い状態にして返すように努力する”という証人たちのスローガンは今回も立派に果たされました。証人たちは大会の二週間前から体育館の清掃にあたりました。スタンドの床のふき掃除も行なわれました。それはかつてほとんど行われたことがなかったために多大の労力が費やされましたが,その証人たちの自発的な奉仕はとても感謝され,会館側は清掃の行なわれた6時間ほどの間,全館にクーラーを入れてそれに対する感謝を表わしました。大会最終日の講演の中で講演者は,「エホバの証人は神の王国のおきてに従いますから,その結果として多くの益を得ますが,世の人はそれを見てしばしば深い感銘を受けます」と述べました。まさに『喜びに満ちた働き人』であるエホバの証人の示す進んで仕事を行なう態度はここでも立派な証しになりました。
大会初日の出席者は6,491名になり,出席者は「家庭で良いことを行う」という主題の下に与えられた教訓を楽しみました。20代の一人の父親は次のように感想をもらしました。「朝のプログラムは大変に役立ちました。子供が悪い事をした場合すぐに感情的になって大声を上げたりして,後で気まずい思いをしてしまいます。もっと冷静になる必要を感じるとともに,良いことをした時には,ほめてやることも大切であると感じました」。二人の小学生の子供をもつ福岡県の母親は「子供たちと論じ合うことの大切さを学びました。ともすると子供たちに結論だけを先に教えてしまうものですが,今日の実演で『大会に行くのにおもちゃを持って行くのがいけないのはなぜか』とか『信仰が強くなるほうが良いか弱くなるほうが良いか』などの質問をして子供の考えを述べさせ論じ合っていたので,これから子供たちと論じ合うよう努力してゆきたいと思います」と述べていました。
二日目の出席者は6,730名になり,三日目には初めて7,000名以上になりました。これら出席者の中に,喜びを表わしていた人々のグループが二つありました。その一つは車いすに乗って大会に来た人々のグループです。北九州市の総合体育館にはそうした人々を受け入れるための立派な施設があります。約30名の人々は場内の北側に列を作って話に聴き入っていました。もう一つは耳の聞こえない人々のグループでした。これらの人々も大会のプログラムを“聴いて”楽しみました。どのように聴くことができましたか。それは手話を学んだ通訳を通してです。福岡県の一人の全時間奉仕者は,生まれた時から耳の聞こえない20代の男性との聖書研究を行なっていました。最初は筆談で始めましたが少しずつ彼から手話を教えてもらって覚え,段々と語いを増やしてゆきました。彼女はこの大会で立派に通訳を務めました。耳の聞こえない人々の間に聖書の真理がとてもよく伝えられることが報告されました。この証人は夫と共にこの大会の準備のために数週間北九州市に来ていました。彼女はある耳の聞こえない方の訪問を依頼されたので,夜訪問して手話を用いて聖書の話を伝えました。この夫婦と聖書研究が始まりました。その方は学んでいることを他のろうあ者たちに伝え始め二週間後には6人の方々の聖書研究が始まることになりました。そしてこの大会の日曜日の公開講演を聞くためにその人々も出席していました。北九州の会衆の証人たちも手話を習い始め,その人々の援助を続けています。大会中の一番感動的な場面の一つはろうあ者の証人の一人が自分の体験を手話で話し,前述の証人が口頭で通訳したときのことでした。聴衆はそうした身体面の不自由を持つ人の苦しみと同時に,エホバ神が新体制で彼らに対して行なわれる大いなる業をいっそう認識して感動を覚えました。
九州および山陰の一部と山陽地方からの出席者の中から148名が水によるバプテスマを受けたのは喜ばしいことでした。この人々は喜んで神エホバとみ子イエス・キリストと共に働く者となるよう自らをささげたのです。日曜日の午後の最高潮には7,335名が出席できました。
福山市
福山市では昨年および一昨年にも大会が行なわれた福山市体育館が再び会場として選ばれました。ここにおいても過去2回の大会で証人たちは信頼性を示したため,会場の所有者側は全面的に使用を許可しました。経験に富む証人たちは,綿密な計画のもとに,大部分の仕事をわずか一日で仕上げてしまいました。
会場には出席者が涼しさを味わえるように配慮もされました。杉の木の樹皮を張り付けて巨大な幹のように見せた円筒形の作品が入口のロビーに置かれてそこに雑誌と文書が展示され,森林のような気分を味わわせます。また,美しいはち植えの木や杉の小枝,高原の絵などに飾られたさわやかなステージに魅力を覚えたのは出席者だけではありません。日曜日には一匹のトンボと一羽のすずめが舞い込んで来て,公開講演を“楽しみ”ました。
出席者のための宿舎を取り決める部門も忙しく働きました。大会の時期にはちょうど福山市内で学生のテニス大会が計画されており,その参加者のために旅館の確保が困難になる可能性がありました。しかし,好意的な旅館の人から早く確約をするようにとの勧めがなされたため,問題を避けることができました。過去の大会での証人たちの良い振る舞いがそうした協力をもたらしたことは疑いありません。
良い印象を受けたのは旅館の人ばかりではありません。今年の大会の少し前,特別開拓者として奉仕している一人の証人は,急用で郷里に戻った帰りのこと,列車の中で隣席の男の人に非公式の証言をしました。自分がエホバの証人であることを告げるとその人は,「エホバの証人ですか。ではみなさんは去年の夏に福山で大会を開いたでしょう」と言って証人を驚かせました。その人はその時仕事で福山市に行き,エホバの証人と同じ旅館に滞在している間に,彼らの振る舞いから感銘を受け,彼らの胸のバッジを見て「エホバの証人」という名称を覚えていたのです。良い証言が行なわれ,その人は「ものみの塔」誌と「目ざめよ!」誌を一年間予約しました。大会の土曜日のプログラムで話されたように,「あらゆるところであなた方の光を輝かせなさい」という勧めに証人たちが従っていることは明らかです。
大会の基調をなす話は,「喜びに満ちた働き人」として霊的な収穫の業に熱心に携わるよう出席者を励ましました。多くの人は開拓奉仕と呼ばれる全時間の奉仕に携わってキリストの真の弟子という実を刈り取るために毎月90時間以上を費やしています。彼らはその業にどんな喜びを見いだしていますか。「開拓者の業は心を喜ばせる」という話の中でインタビューを受けた開拓者の一人は,「良い人がいたら」聖書を教えようというのではなく,「すべての人はエホバについて知るべきであり,エホバについて学び,幸福にならなければならないという積極的な態度」を持つように努めていると語り,「何よりの喜びはさまざまの状況の中で神の霊に動かされ答え応じた人が自分の今持つものすべてを用いて神を賛美するのを見ることです。人間的見地から見れば不可能に思える人が注解に参加し伝道し献身するのですから,私はいつも,エホバはまたもや奇跡を行なわれたと思います」と述べました。この奉仕者は4年間に10人の人々が神の賛美者となるのを援助しました。
こうした人々を含め,出席者すべては大会のプログラムや発表された新しい出版物,取決めに大いに感謝しました。それらは忠実を保つ者ひとりびとりにエホバ神が示される認識がいかに深いものかを示す証拠でもありました。彼らは引き続き王国から与えられる益を感謝しつつ,「喜びに満ちた働き人」として前進し続けるでしょう。
吹田市
エホバの証人の非常に教訓的な聖書教育大会のため,今年も大阪の万博協会の施設の一部が用いられました。今年用いられた施設はスポーツ広場と呼ばれる施設で,5万5,000平方メートルもの広さを持つ場所です。そこは三つの軟式野球場と三つのソフトボールのグランド,それに一つのサッカー場がすっぽりと入っていて周囲を金網で囲った広大なグランドです。
しかし,座席も覆いもないこの広いグランドを大会会場として用いるために,証人たちはどのような準備をしましたか。まず,グランドの中央部に立派なステージが設けられ,その周りを囲むように,建築用の足場板1,500枚を用いて1万3,000人分の座席が設置されました。そして,7,000本を上回る鉄パイプを組み合わせ,さらに500枚以上のテントがその上に張られて出席者たちのために快適な日よけが作られました。大会は真夏,快晴の天候の下で行なわれましたから,出席者すべてはこのような配慮に感謝を表わしました。気温は毎日33度から36度近くまで上がったのですから,この覆いは出席者たちにどれ程感謝されたことでしょう。
しかし,これほど大量の建設資材などを証人たちはどのようにして入手したのでしょう。大会運営の責任者の一人はこう語っています。「会場の設営に必要な建築資材を探すため,ある大手の建設会社の課長さんにお会いしました。この方の妻はエホバの証人であり,この方も大会の目的に理解を示して,非常に親切に,穏やかな態度でわたしたちが必要としていたものを喜んで貸してくださいました」。この方がこのように親切を示してくださった理由の一つは「最近,この方は5歳になる自分のお子さんを亡くされた」ことでした。聖書を熱心に学んでいたこの5歳のお子さんは亡くなる少し前に自分の父であるこの方に自分は復活するのでその時是非お父さんに会いたいから,お父さんが是非聖書を勉強するように求めたのです。それでこの方は少しずつ集会に出席し始めることに加えて,エホバの証人たちの大会のためにすばらしい親切を示したのです。それにしても,この子供のエホバに対する信仰とその約束に対するゆるがない確信は父親が真理を学ぶのを助けるものとなりました。―ヘブライ 11:1,6。
この大会にはどんな人たちが出席しましたか。エホバの証人は家族として聖書を学んでいるので出席者たちの多くは父親,母親そして子供たちといった家族であり,家族がそろって教訓的なプログラムから益を受けることができました。例えば,大会第一日目の主題は「家庭で良いことを行なう」というものであり,この主題の下に,「幼い時から子供を訓練する」,「クリスチャン社会における若い人々の立場」,「家族内での懲らしめは喜びをもたらす」,「結婚関係を成功させる」など教訓的なプログラムがあり,出席者すべては感謝を深め,神のみ言葉の原則に従いたいとの決意を深めました。
この大会はまた,ジャック・ピアースという一人の外国人にも思い出となるものだったでしょう。彼の祖母,母,姉はアメリカでエホバの証人として奉仕していますが,子供のころ聖書を学び奉仕を行なっていたこの人はスポーツに対する関心でこの道を離れ,今は日本のプロ野球のある球団の選手として働いています。大会の数日前,神戸市のある宣教者が戸別訪問の奉仕をしていた時,戸口に出たその人は「あなたはエホバの証人でしょ。さあ,中に入ってください」といって奉仕者を招じ入れ,喜んで聖書研究に応じました。証人たちの大会が大阪で行なわれることを知ったこの人は喜んで出席し,他の人々と共に霊的なプログラムを楽しみました。
大会中,3冊の新しい出版物が英文で発表されたことに加えて,2冊の新しい出版物が日本語でも発表されたとき,出席者の多くはこおどりして喜びを表わしました。特に大勢の年若い人々のための書籍,「あなたの若い時代,それから最善のものを得る」は大勢の年若い人々に大きな喜びをもって受け取られました。一人の年若い出席者は「わたしは音楽が好きですが,この本には音楽のことばかりか,服装,みだしなみ,デート,求愛などとても良い助言が載っています。若い人々に是非読んで頂きたいです。学校中の人に配布できたらと思います」と語りました。
この大会の出席者最高数は1万3,035人で,厳しい暑さの中毎日平均約1万2,000人の人々がプログラムから大きな益を受け,第二日目の浸礼式では305名の方がバプテスマを受けました。
大会出席者は「喜びに満ちた働き人」という大会の主題を心に深く銘記することができ,偉大な産出者であられるエホバとそのみ子イエス・キリストと共に,邪悪な体制に滅びがもたらされる前に,人々を収穫する業にいままで以上の熱意をもって励むよう力付けられました。
所沢市
四日間の晴天に恵まれて埼玉県所沢市の西武園競輪場で一万人余の人々が美しい自然の中で霊的宴を楽しむことができました。大会本部を横浜地域大会本部と一緒にし時間や経費を節約することができ,また大会開始に先だち大勢の人々が場内の清掃にあずかり完全にきれいな所にしました。その結果の一つとして近くの西武園駅の駅長は会場をみて,「紙切れ一つなく掃除がなされているばかりか少し汚れたところはデッキブラシまで使って掃除しているのには驚きました。このようなお客さんなら是非この次も使って頂きたいと思います」と述べました。またこの駅を毎日大勢のエホバの証人が利用しましたがこの同じ駅長はエホバの証人が非常に規律正しい人々であることに感心し「このようなお客様を扱うのでは駅もきれいにしなければと若い駅員たちが出札所のガラスをきれいにしました。良い影響を与えてくださり感謝しています」とも述べました。
大会に出席するために個人的また会衆として良い努力がなされました。例えば4人の子供をもつエホバの証人の一婦人は,病弱であるためどのようにして出席すべきかと考えていました。しかし,3人の子供をもつ聖書を研究中の別の婦人と共によく組織された会衆の奉仕者たちの車に分乗し出席することができました。元気な人たちはそのかわりに電車で来ました。大会のプログラムに関する感謝の言葉もよく聞かれました。プログラムから最大の益を得るために「わたしたちの王国奉仕」の折り込みに載せられた提案に従い,前もって聖書のある箇所を朗読しておくことは役立ちました。それゆえにある70歳になる出席者は「劇は特に楽しみの多いものでした」と述べました。
血の問題の取扱い方に対しても健全な助言が与えられました。そのプログラムを聞いた一人の医師は,この問題を医師と話し合うときに医師の立場を十分に尊重しながら,エホバの証人が輸血を拒絶する根本的な理由は医学的なものではなくエホバ神の律法を守るためであることを巧みに示すよう教えられたが,これは医師との良い関係を保ち協力を得るのに役立つであろうと言いました。
大会が成功するために幾百人もの自発的な奉仕者が熱心に働きました。特に良かったのは大勢の人々が喜んで自分の力を提供したのでプログラム中ほとんどの出席者が仕事をせず席について霊的な励ましや教えを受けられたことです。例えばあまり目立つ場所ではありませんでしたが,ゴミを集めそれらを区別するために毎日3回40人ほどの奉仕者が30分位の間働き500㌔のゴミを取り扱いました。若い子供たちの喜びに満ちた働きも加わりこのような大勢の奉仕者が一見汚いこの仕事を短時間で成し遂げ,プログラム全部を聞くことができました。クリスチャンとしてふさわしい振る舞いを皆が示していたことは,清掃部門で働いた一人の奉仕者の言葉にも表わされています。その人はこう述べています。「前にもたびたび奉仕しましたが今回特に感じたのは掃いても掃いてもごみがほとんどないので掃除する者としては張合いがないほどでした。エホバの民は清潔な民ということを改めて自覚しました」。
四日間の大会はエホバに賛美をささげる機会となり,また霊的な貴重な教えをエホバの民が存分に受ける時ともなりました。こうして教えられている彼らの振る舞いは他の人も注目するところとなります。この大会で大勢の人々を泊めた旅館の管理人は宿泊中のエホバの証人について開口一番,「すばらしい人々でした。物事はきちんとしていて,120人も泊まっていますが,それほど大勢とは思えない程静かです。子供も9時には休みますし,思いやりのある心のきれいな方々ばかりです」。このような賞賛を聞いて喜ぶ理由は,聖書の正しい原則を表わす証人たちの振る舞いによってエホバのみ名に誉れが帰せられ,人々の注意が聖書に向けられ,それを学ぶよう動かされることです。それに加えて,喜びに満ちた働き人である出席者たちがこの大会でより大いなる業に携わりつつ前進するよう励まされて自分の会衆に帰ることができたので,大会の目的は首尾よく果たされたことが分かります。
(残りの大会については次号に取り上げられる予定です)
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「あなたの若い時代,それから最善のものを得る」という新しい本を手にして喜ぶ年若い人々
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今年の大会で演じられた三つの聖書劇も聴衆に深い感銘を与えた