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目ざめよ! 1980
目80 12/22 24–28ページ

出産 ― その苦痛は軽くできないものですか

「最初のお産は難産でした。20時間も続き,独りで恐ろしさにおびえていました。壁に向かい,“これ”を切り抜けられたら,二度と子供など産むまい,と誓いました。後日,産科病棟で,バスローブを着た私たち母親が立ち話をしていた時,母親たちは互いに『安産』だったと言い合っていました。あの天地も揺るぐような恐ろしい経験をうまく言い表わすことはできなかったので,そのことは言わずじまいでした」。

これはある母親が自分の最初の出産について語った言葉です。幸いなことに,すべての母親が出産の時にこうした恐ろしい経験をするわけではありません。しかし,出産が苦痛を伴うものであることはほとんどすべての人が認めています。子供が生まれる時に体内でどんなことが起きているかを知るならそれも納得がいきます。

なぜそれほど苦しいのか

出産は人体の営みの中でも特に緊張の伴う複雑なものの一つです。それには母親の狭く敏感な産道から大きなキャベツの結球ほどの重さの,四肢の付いた生命体を押し出すことが必要になります。時には,同時に二つ以上の生命体を分娩することもあります。

普通,本格的な陣痛は子宮内の筋肉の継続的な激しい収縮によって始まります。胎児はまず子宮から出て子宮の下端の頸部に入ります。さらに進むには,子宮口が大人のこぶしほどの大きさに開かなければなりません。これによって,子宮下端の緻密な知覚神経網が刺激を受け,痛みが生じます。収縮が弱く,子宮“口”を開けるまでに至らない時には,分娩が長引き,時には非常につらいことがあります。

子宮口が全開すると胎児は狭い腔の中に押し出されます。この通路の中を通して,敏感な外部生殖器から赤ん坊を押し出すには,母親は必死で力を込めなければなりません。赤ん坊を鉗子や吸引カップで引き出すことが必要になる場合もあります。

これでは確かに苦痛が伴うのももっともです。しかし,出産は本当に,それほど苦しいものでなければならないのでしょうか。痛みを軽くするためにできることがあるでしょうか。

痛みを軽減する薬物

今日,病院で出産する大半の女性には,痛みを軽くするために薬物が使われています。米国では,妊婦の95%に何らかの種類の薬物が使用されています。

痛みを軽減する目的で以前から使用されているものに“笑気ガス”があります。これは現在でも広く用いられています。“笑気ガス”は脳の神経中枢に影響を及ぼしてその働きを弱めます。お産の初期の段階で,緊張をほぐしたり陣痛を感じなくさせたりするために,一般にバルビタール剤や鎮静剤,鎮痛剤が妊婦に投与されます。

麻酔剤の機能抑制効果や薬剤の副作用を避け,また産婦の意識をはっきりさせておいて分娩中に協力させる手段として,局部麻酔が一般化しています。産道の知覚神経を遮断するために鎮痛剤を注射することがあります。時には,全身麻酔をかけて,産婦の意識をなくすこともあります。

多くの人々は鎮痛薬が助けになること,また時には必要でさえあることを認めていますが,近年,その無制限な使用に対し,医療関係者の間で反対の声が高まっています。1978年に強力な警戒信号が出されました。フロリダ大学のイボン・ブラックビルと全米保健協会のサラ・ブローマンという米国の二人の小児科専門医が,5万人の子供を対象に誕生前から7歳になるまで追跡調査を行ない,その結果を分析しました。ワシントン・ポスト紙はこれについて次のように報じています。「母親が分娩時に薬の投与を受けた子供の場合,最初の1年間,座ったり立ったり動き回ったりする運動機能の発育が遅れたり阻害されたりする傾向が認められる。あやされた時に泣きやむといった停止反応に欠陥がある」。

その報告は,少なくとも7歳に至るまで子供の行動に影響が認められるとも告げています。そして,その理由として次のような点を挙げています。「陣痛・分娩時に投与される薬物はたちまち胎盤を通り抜け,容易に胎児の脳に達する。……通常であればそれらの薬剤を分解して排出してしまう新生児の肝臓や腎臓は,誕生時には十分に機能を果たしていない」。しかし,すべての人が,こうした危険があるとしているわけではありません。研究者の中には,「薬を注意深く選び,使用量と投与の時機を十分管理するなら,ほとんどの場合に,胎児に及ぶ影響を最小限に抑えることができる」と語っている人もいます。

痛みを軽減する薬物を用いてお産の煩わしさを軽くし,それを幾らかでも楽なものにしようとする女性がいる一方,そうしたものの介助を一切受けずに,子供を産む人も少なくありません。そうした女性は,この驚嘆すべき出来事を十分経験したいと望んでいるのです。「自分の子供を産むのに,麻酔にかかった傍観者でいたいとは思わなかったと女性たちは語っていた」と,あるコラムニストは述べています。しかし,ほかにも,薬を使わずに痛みを軽減する方法があります。

思い煩うのをやめる

研究の結果が示すところによると,痛みの度合を左右するのは胎児の大きさや産道の幅といった身体的要因だけではありません。産婦の身体的条件は考慮すべき重要な点ですが,これに関しては思い煩いも大きな要因となっています。「妊娠中にお産を非常に恐れていた女性は,何の不安もなくお産を待ち望んでいた女性より,分娩時により大きな苦痛を訴える」と,幾年間も妊産婦の体験や態度を研究しているスウェーデン,ルンド大学の研究者ニルス・ウッテンベルク博士は語っています。

この研究者によると,これは不安と苦痛の間に相関関係があるためです。不安は苦痛を増し加え,不安と苦痛の双方が筋肉を緊張させます。思い煩っている女性は分娩中に極度に緊張していることが少なくありません。そのため,陣痛の合間に体を楽にして力を回復する能力が損なわれます。

ですから,分娩に伴う苦痛を軽くするには,産婦の不安をできるだけ少なくしなければなりません。知識は安心感をもたらします。お産の際に自分の体内でどんなことが起きるかについて事前に十分の情報を得ていれば,産婦は自分の役目を理解して,その務めをより知性的に果たし,体を緊張させたり苦痛を感じたりする度合が低くなります。産院の中にはこうした情報を事前に与える所が少なくありません。

出産の際の産婦の姿勢も研究の対象となってきました。

臥位をとるかそれとも座位をとるか

出産に関する非常に複雑な技術の幾つかを研究し開発するのに30年の歳月をささげてきたウルグアイの産科生理学者ロベルト・カルデイロ-バルシア教授は,出産の際に仰臥するよりも昔に採用されていた座位をとるほうがずっと自然で,分娩も長引かずに軽くて済むことを見いだしました。同教授の報告について報じた1979年12月24日付の英国ガーディアン紙によると,同博士は,仰臥の姿勢をとると血行が悪くなり,胎児に与える酸素の量が減少すると語っています。

ガーディアン紙の記事はこう伝えています。「カルデイロ-バルシアの発見したところによると,危険度の低い妊娠(全体の80%)の場合,出産時に何が起きるかを事前に知らせておいて自然分娩をさせたときに,最善の結果が得られた。分娩の際に薬の使用も膜の人工裂開も避け,仰臥の姿勢をとらずに体を動かし(産婦の希望に応じて座ることも時には歩くことさえ認めた),お産の最終段階では座位をとらせて夫や子供もそばに付き添わせるようにした。初産の女性の場合,分娩第一期の時間が36%,出産全体では時間が25%短縮されることをカルデイロ-バルシアは発見した」。

聖書の出エジプト記 1章16節(新)によると,古代エジプトでは既に産み台が使用されていました。これは現在でもブラジルをはじめ世界の各地で広く使用されています。ある研究者の話では,横になる姿勢は1738年にフランスの産科医フランソワ・マリソーがとらせたものですが,その後急速に世界中に広まりました。しかしそれには,時として,望ましくない点が多く認められます。

32歳のスウェーデン人の女性ケルスティンは5人目の子供を出産した時のことについて次のように語っています。「大変な難産でした。ベッドに横になり薬をもらいました。出産第一期だけで36時間続きました。最後の収縮がかなり長い間続きましたが,赤ちゃんは少しも動きませんでした。おなかの中のやっかいな位置で出るに出られなくなっているのです。みんなが少し休憩をとるため部屋から出て行った時,重力のことを思い付き,『昔の方法でやってみよう』と独り言を言いながら,足をついて立ち上がってみました。すると,赤ちゃんが少し下がったように感じました。関係者が急いで入って来ました。3回強い収縮があった後,赤ちゃんが生まれました」。

赤ん坊を喜んで迎える

赤ん坊や出産後の事柄に対する見方も産婦の感ずる苦痛の程度を左右するようです。赤ちゃんの誕生を望み,喜んで迎えなければなりません。19歳のある美しい母親は,「妊娠とお産の間中,赤ちゃんがわたしの職業も自由も生活の喜びすべてをも奪ってしまうのだわと考えていました」と語りました。分娩の際,その女性はとても苦しみました。1週間もすると,彼女は幸せに顔を輝かせ,ひとこと言うごとに赤ちゃんに口づけしながら,「あなたのことをいつもこう感じていればよかったのにね」と言っていました。そうしていれば,どれほど苦しみが軽くて済んだことでしょう。

分娩の際に感ずる苦痛は,赤ん坊の父親と産婦との関係,産婦の境遇,年齢などの影響も受けるようです。研究者ニルス・ウッテンベルクはこう語っています。「わたしがこれまでに観察した最も衝撃的な分娩の経験者の中には,不安な生活境遇の中で心理的な問題を抱えている非常に年若い女性,また自分の年齢で母親になることに複雑な感情を抱いている年のいった女性がいる」。

これは,妊婦が生まれて来る赤ん坊を愛していればいるだけ,母親になることを喜んでいればいるだけ,また家族との間に良い関係があればそれだけ,出産の際により強い確信と幸福感を抱けることを示唆しています。これによって,体に自然に備わっている痛みを軽くする働きが十分に発揮されるものと思われます。しばらく前に,UPI通信は興奮を覚える次のような発見を報じました。「シアトルの一研究者の語るところによると,体内で『幸福ホルモン』が作られるため,出産の際にくつろいだ,しかも多幸症に近い気分になる産婦がいるとのことである。そのホルモンというのは1976年に発見されたベータ・エンドルフィンである,とバージニア・メーソン研究センターの所長で生化学者のJ・C・ハウク博士は語った。このホルモンは人体の胎盤とすい臓にあることを発見した,とハウクは語った」。

幸福感に浸ったり非常に明るい気分を抱いたりしていると,脳の脳下垂体から分泌されるホルモンの量に変化が生じることも知られています。そうしたホルモンの中には,分娩を促進する上で非常に重要なオキシトシンなども含まれています。

経験を積んだ技術は信頼感を与える

産婦のそばに親切で経験を積んだ人がいれば,大きな助けになることがあります。「白衣を着た白髪混じりの優しい婦人が入って来て,その温かい手を汗にぬれて冷たくなった私の額にそっと置くと,じきに緊張がほぐれ,気分が楽になりました。それが幾度も子供を取り上げた長年の経験者の手であることが分かりました」。お産の直前に部屋に入って来た助産婦について,ある若い産婦はこのように感じました。経験を積んだ技術は信頼感を抱かせるのです。

研究者であるニルス・ウッテンベルクはこう語っています。「産婦にとって,助産婦は安心感を与えてくれる自然の源である。助産婦には知識と経験がにじみ出ている。……それゆえ,助産婦との接触をよく保つことは分娩の際に気分を落ち着かせるのに極めて肝要である」。

土地によっては助産婦として働く人に法的な要求の課せられている所がありますから,当然のことながらその点をよく認識しておく必要があります。しかるべく施行され,正しく守られるなら,これらの要求は関係者全員を保護するものとなるでしょう。―ローマ 13:1-5。

病院で産むか家で産むか

また多くの科学者は,環境がお産に影響を及ぼすとしています。近年,お産に最適な場所は産院かそれとも家庭かをめぐって活発な論議が交わされてきました。母親にとっても子供にとっても家庭に似た自然で穏やかな雰囲気が非常に重要であるとする意見があります。こうした意見を語る人は,多くの病院にはそのような雰囲気がないので,家庭でお産をするよう勧めています。世界の貧しい国々の女性は,多くの場合,選択の余地もなく,家庭でお産をしています。裕福な土地の人々の間にも,家庭でお産をする傾向が多くなっています。米国では現在,お産全体の2%が家庭で行なわれています。

お産の問題を扱ったある会議で一人の母親はこう語りました。「私が初めて家庭でお産をしたのは5年前のことでしたが,そのお産は病院で産んだ最初の子供の場合とは全く異なっていました。家庭はやはり家庭で,すべてが自分の思い通りになります。お産というものには家族も関係しており,それは医学的体験ではなく感情的体験なのです」。

病院は最も安全な場所であると多くの人は論じます。問題が起きる時に的確な助けを迅速に得ることができ,これは時として非常に大切なことになります。しかし中には,すべての病院がそれほど安全であるとは限らないと主張する人もいます。メンデルソーン博士は医療に関するある本の中で次のように語っています。「小児科病棟と新生児育児室は最も病気の広がりやすい場所である。患者のことだけを言えば,病院内で最も危険な場所は新生児育児室であるというのは病院における口外厳禁の秘密である。そこの患者(特に母乳によって免疫を与えられない新生児)は一人として病原菌に対する免疫を有していない」。

安全 ― これは決してないがしろにできない要素ですが ― の問題はともかく,家または家に似せた分娩室でお産をした産婦はあまり緊張しないため,痛みも少なくて済むことが実験から分かっています。1974年に,フランスの医師フレデリック・ルボイエは,柔らかい光のそそぐ家に似せた静かな分娩室を用いて,いわゆる優しい分娩<ソフト・デリバリー>という注目に値する実験を始めました。そこでは,生まれた赤ん坊はすぐに母親に渡されます。120のこうした分娩に関する一報告によると,産婦たちはそれが「驚くような本当にすばらしい」経験であったと語っています。これらの産婦はいずれも,次のお産も同じ方法ですることを望みました。

赤ん坊を迎えることは,多くの土地で,家族全体に関係した事柄とみなされるようになってきています。夫が近くで手伝ってくれると,多くの産婦は安心感を抱くようです。お産の全過程を特別視することなく,自然なものにするため,病院によっては,年のいった子供にさえ産婦のそばに立つのを許している所があります。母親が男の子を産むのを見た8歳の少女に,自分の赤ちゃんが欲しいかどうか尋ねたところ,すかさず,「欲しいわ」と答えました。もっともそのすぐ後で,「バレリーナになることにしなかったらね」と付け足しました。

聖書の巻頭の書によると,創造者は地上に存在していた最初の女性に,「わたしはあなたの妊娠の苦痛を大いに増す」と告げられました。(創世 3:16,新)その言葉が真実であることは歴史全体を通じて証明されてきました。人間の不完全さのため,お産には苦痛が伴います。しかし,それは耐え難いほどのものではありません。夫や家族との関係が愛に満ちた清いものであり,生まれてくる赤ん坊に対して正しい感情を培い,自分の体と協調することを学び,お産の前と際中に経験に富む親切な助けを得て,静かで温かい雰囲気の中でお産をするなら,そしてとりわけ生命の驚嘆すべき創造者に信頼を寄せているなら,その人はお産の苦しみを現在可能な範囲で少なくする備えができていることになります。

[25ページの図版]

胎児の発育

[27ページの図版]

正常なお産

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