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目ざめよ! 1981
目81 6/8 21–22ページ

コンピューターによる日本語処理

先の記事で示されたように印刷界のコンピューター化は世界的な傾向です。日本でも十数年前からその種の研究が行なわれており,現在では幾つかの新聞社や大手印刷会社で実用化されています。しかし,概して印刷界のコンピューター化は欧米諸国に比べて遅れていると言われています。それはなぜでしょうか。

一つには日本語の特異性が挙げられます。日本語で用いられる文字種は欧米諸国の言語で用いられるものよりはるかにたくさんあります。日本のある漢和辞典には約4万9,700もの文字種が挙げられています。ある調査によると,「全国の人名漢字は6万字種と推測されて」います。a

日本語の文字,特に漢字の複雑さについてはどうでしょうか。最近の電算写植機は文字を小さな点の集合で表現するため,複雑な漢字を正確に表わすのは容易なことではありません。文字専門家の間では文字の複雑さを示す基準として線率というものが用いられますが,漢字の中には,縦と横にそれぞれ10本近くもの線が交差しているものもあるのです。これら大量の,しかも複雑に入り組んだ文字を記憶させるにはかなり大容量のコンピューター記憶装置が必要ですし,初期入力つまり採字にも時間がかかります。さらに,ある種の句読点や引用符などが行頭行末に来ないようにする禁則処理やふりがななど日本語の組版に特有な問題もあります。このような問題があるにもかかわらず,様々な利点があるために印刷界のコンピューター化が現在見られています。

ものみの塔協会の日本支部は1972年以来,独自の印刷施設を持ち,日本語の「ものみの塔」誌や「目ざめよ!」誌の印刷を行なってきました。さらに,「クリスチャン・ギリシャ語聖書新世界訳」をはじめ種々の日本語の聖書文書の植字・組版も行なってきました。このために,モノタイプ,活字鋳造機,インテル鋳造機,校正刷り機をはじめ他の製版装置が使用されてきました。これら鉛を用いて印刷機用の版を作る方式を一般に「ホットタイプ」と呼んでいます。この「ホットタイプ」での日本語の植字・組版にはどんな仕事が関係しているでしょうか。

まず原稿に記されている文字をモノタイプを用いて鉛で鋳込み,並べてゆきます。より良い活字を作るためには絶えず機械を調整しなければなりません。出来上がると校正刷り機で試し刷りが行なわれますが,モノタイプで作られる活字はライノタイプのものとは違い一つ一つが分かれているため,くずれないようひもでしばり付け注意深く扱います。この後に校正がなされ種々の訂正をしますが,これもピンセットを用いて活字を1本1本扱う細かい仕事です。ふりがなを付けるのも大仕事です。しばらく前に日本語の聖書の組版をしたときには,わずか1ページの中にあるふりがなの活字を組み込むのに熟練した人でも1時間かかりました。これら訂正やふりがなを付ける仕事の後に,さし絵のスペースを作ったり質問文を組み入れたりする作業が行なわれますが,これにもかなりの時間が必要です。確かにこれは大きな仕事です。

これらの仕事を軽減するため,ものみの塔協会の日本支部でも本部からの指示に基づき3年程前から植字・組版のコンピューター化が検討され,1979年より独自の組版ソフトウェアの開発が行なわれてきました。このシステムに必要な種々の電子機器の用意も進められ,すでにIBMの新型コンピューターをはじめ,ペンタッチ式の漢字入力装置,漢字ディスプレイ装置,漢字プリンターなどが海老名市の工場に納入されています。さらに今年夏までにはヘル社の電算写植機が導入される予定です。

この新しい電算写植システムが完成すると今までの仕事は大きく変わります。まずモノタイプの代わりに記事の内容を電子的な形式でコンピューター記憶装置に入れる漢字入力装置が用いられます。モノタイプで「目ざめよ!」誌を作るのに約160キロの鉛が用いられますが,漢字入力装置ではわずか35グラムの重さのディスケットと呼ばれる20センチ四方の小さな媒体に雑誌のすべての内容が蓄えられ,その後に情報はコンピューター記憶装置に移されます。文章の訂正はピンセットの代わりに漢字ディスプレイ装置が用いられます。さし絵を入れるスペースもコンピューターに指令を与えると作られます。そのほか「ものみの塔」誌に見られる質問文と本文を同じ段に組み込むこと,一つの記事に定められたスペースに美観を損なうことなく組み入れること,行頭行末の禁則処理などもすべて自動的に行なわれます。

もちろん,このような組版ソフトウェアを作成することは膨大な仕事です。この仕事に協力しているソフトウェア専門家の一エホバの証人は次のように語っています。「この仕事は極めて複雑な仕事です。人間が何年もかかって徐々に体得してゆくことを全部具体的な文章にしました。それは何百ページもの仕様書になりました。しかし,人間のやり方とコンピューターでの処理とでは得意な点が全然違うので,同じ目的でもやり方を変えねばなりません。その仕様書をコンピューター向きのやり方に書き換え,それからその仕様書に適合するコンピュータープログラムを作り出すための検討をし,そしてプログラミングをしたのです。プログラムを書くための文字数は何百万字にもなりますが,たとえ1字でも,一つの点でも抜けたり間違ったりするとコンピューターは間違えます。ですから細心の注意が必要なのです。この仕事には何人もの専門家が必要ですが,同時にこれだけ細かな仕事をするために何十人ものプログラマーを必要としました」。

興味深いことに,これらの仕事はすべてエホバの証人たちによって行なわれています。そのうちの何人かは興味深い方法で真理を知りました。あるエホバの証人はこう述べています。「私はあるソフトウェア会社に勤めていましたが,同僚のひとりに証言する機会がありました。彼は真理を受け入れやがてエホバの証人となり,別の聖書研究を司会してさらに別のエホバの証人が生まれました。別の有能な同僚は,『なぜ花は自分で見るわけでもないのに美しいのだろう』と考えていて,真理に接したとき神を認めました。このエホバの証人は一緒に仕事をしていた若い女性に証言し,彼女もエホバの証人となりました。また私は,会社をやめたいと言った部下の話を聞きました。彼は教育者になりたかったのです。もっとすばらしい教育の機会があることを知って彼もエホバの証人となりました。これら6人はすべてソフトウェアの専門家ですが,今は皆ベテルで奉仕しています」。これらの専門家に加え他の多くのエホバの証人たちが協会独自の組版ソフトウェアの完成を目ざして働いています。

既に日本語の4月15日号「ものみの塔」や4月22日号「目ざめよ!」の一部の記事はテスト的に漢字入力装置や電算写植機を用いて作成されています。皆さんが今読んでおられるこの記事も電算写植で作成されたものです。近いうちに新しい組版ソフトウェアが完成し,鉛をまったく使わずに植字・組版を行なうことになるでしょう。このようにして出版される聖書文書は,王国の良いたよりを人々に宣べ伝えるために用いられます。

[脚注]

a 桑山弥三郎著,「書体デザイン」

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