授乳を成功させましょう!
出産後二,三日か数週間,赤ちゃんを母乳で育てることをしてみて,全くがっかりしてしまったというお母さんがいます。しかし私は,少しの知識と辛抱強さがあれば,授乳は成功し,喜びの多いものになることを知りました。それで,本を読んだり,他のお母さん方と話したり,自分で経験したりして学んだことをお伝えしたいと思います。
「いつ授乳を始めるとよいでしょうか」
出産後できるだけ早く行ないます。分娩台に乗ったまま授乳を始められることも少なくありません。そうできるようにしてもらえるかどうか,医師に尋ねてみるとよいでしょう。自然分娩,すなわち薬物を使わない分娩の利点の一つは,産まれてくる子供が薬物を使った場合よりも敏感なので,乳を飲み始めるのが早いということです。
「お乳が十分に出ません!」
初めてお産をした人の中にはそのように言う人がいます。確かに,初産の人はお乳が出るかどうか心配しすぎてかえってお乳が出なくなることがあります。乳管を制御している筋肉が緊張すると,乳汁が自由に流れなくなるため,お乳が出なくなるのです。それで緊張をほぐすようにしなければなりません。子供に乳を含ませる行為によって乳汁の分泌が刺激されるということも覚えておきましょう。授乳を行なえば行なうほど,一層多くの乳汁が作り出されるのです。ですから,1度か2度たくさん飲ませるより,量を少なくして度々飲ませるようにします。ふつう,三日か四日で母乳は十分に出るようになります。危急の際に,おばあさんが孫に乳を飲ませることができたということもありました。また,養子にした赤ん坊に乳房を吸わせただけで乳が出るようになったという女性さえいます。
「うちの子は2時間おきに乳を欲しがります」
これも初産の人がよく言うことです。そういうお母さんは赤ちゃんが母乳で満足できないのではないかという心配があります。しかし,新生児が2時間おきに乳を飲むのは全く正常なことです。中には,24時間に10回も乳を飲む赤ちゃんがいます。生後二,三か月ごろになると赤ちゃんは恐らく,3時間から4時間の授乳間隔についてくるようになっているでしょう。
「乳腺炎の場合はどうすべきでしょうか」
赤ちゃんに乳を与えるのをやめてはなりません。むしろ,乳房を空にしておくために,炎症を起こしているほうの乳を吸わせる回数を普段の倍にしてください。炎症が見られるのは恐らく乳管であって,乳汁そのものではないのです。医師は,効き目の緩やかな抗生物質を使用するよう指示し,温湿布をして安静にしていることを勧めるかもしれません。私自身は,炎症に最初気づいたとき,一,二時間おきにビタミンCを1,000㍉㌘飲みました。すると,二日目には炎症はすっかり治まっていました。
「乳がすっかり空になってしまう場合はどうでしょうか」
そのようなことはあり得ません。乳房は1日24時間仕事をしている工場のようなものです。もっとも,ストレスや熱や感情が原因で乳汁を作る速度が落ちることはあります。それを直すには,緊張をほぐし,問題を思いから取り去り,赤ちゃんに自分を与えることに専念することです。また十分出るようになるまで,授乳の回数をさらにふやします。
「夫に手伝ってもらえることが何かありますか」
夫にできる事柄で最も重要なのは,愛を示し,精神的支援を与えることです。子供を産むことは女性の体にとって大きなショックになるということを夫は念頭に置いておくべきです。妻の体が回復するにはしばらく時間がかかります。ですから,夫は,家の中がすみずみまできちんとなっているより妻の休息と赤ちゃんの福祉のほうが大切であることを妻に気づかせることです。また,買い物や食事の後片づけの手伝いなどもできるでしょう。
いつまで飲ませるべきですか
それは母親と赤ちゃんによります。母乳は完全な食品で,赤ちゃんは生後5か月が過ぎるころまでほかの物を必要としません。私自身は1年と決めて授乳しました。しかし,サラは,イサクが5歳になるまで乳離れさせませんでした。―創世記 21:7,8。
授乳は,母親が子供と親密になり,子供に愛情を表現するすばらしい機会になります。子供はいつまでも赤ちゃんではなく,たちまち大きくなってしまうことを忘れないようにしましょう。ですから,赤ちゃんがまだ幼い数か月のその貴重な期間を活用しましょう。―寄稿。