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目ざめよ! 1995
目95 6/22 26–27ページ

サイラシンを見たことがありますか

オーストラリアの「目ざめよ!」通信員

「何を見たことがあるかですって? 私はサイラシンが何かということさえ知らないんです」と言う読者もいらっしゃることでしょう。

サイラシン(和名 フクロオオカミ)とは,実は正式な動物学名であるThylacinus cynocephalusの短縮形で,南半球に生息する魅力ある動物の名称です。タスマニアタイガーとかタスマニアオオカミなどとも呼ばれています。

Thylacinus cynocephalusは,文字通りには「オオカミの顔をした有袋類のイヌ」という意味ですが,オーストラリアの一つの州になっている小さな島,タスマニアへ昔に移り住んだヨーロッパ人は,もっと分かりやすい名前を色々と付けました。よく知られているものに,シマウマオポッサム,タテガミイヌ,シマウマオオカミ,ドッグヘッディドオポッサムなどがあります。白人がタスマニア島にやって来たのは200年ほど前にすぎませんが,それよりはるか昔から住んでいたアボリジニーは,サイラシン,つまりフクロオオカミのことをコリナと呼んでいました。

タスマニアタイガーは今では絶滅したと考えられていますが,はく製は博物館で目にすることができます。生存する最後のものとして知られていたフクロオオカミはタスマニアの州都ホバートの動物園で1936年に死にました。しかし,生きたフクロオオカミが今でもタスマニアの荒野にひそんでいると主張する人がいます。また,実際に見たという報告が跡を絶ちません。

実際にはタイガー,つまりトラの種族に属するわけではないのにタスマニアタイガーという名前が付いているのは,おそらく,その動物に縞模様があり,肉食動物でもあるからでしょう。背中から長くて真っすぐな尾にかけて,暗褐色の,ほとんど黒に近い特有の縞があるのです。さらに興味を引かれる点は,フクロオオカミが有袋動物であること,つまり雌は育児のうを持っているということです。子供は生まれた時は小さくて,未熟で,目が見えませんが,母親の育児のうになんとかたどり着き,十分成長して出て行けるほど強くなるまではその中で育てられます。生まれたばかりのその小さな赤ん坊は,約3か月間,母親の育児のうの中で過ごしてから外へ冒険に出かけるようになります。けれども,ひとたび袋の外に出ると,じきに獲物を求める母親の後について行くようになります。

フクロオオカミは,近代の肉食性有袋類のうちで最大のものと言われています。雌のフクロオオカミは,カンガルーなどの有袋動物とは異なり,後方に開いた育児のうを持っています。フクロオオカミの母親は一度に四匹の子供を運び,しかも授乳することができます。

どれほど広く生息していたか

アボリジニーによるフクロオオカミの壁画,化石,乾燥してミイラ化したフクロオオカミがオーストラリア各地で発見されましたが,フクロオオカミの主な生息地はタスマニア島だったようです。しかしそこでも,決して多数生息していたわけではなかったものと思われます。絶滅の責任を問われるべきなのは,主に人間です。タスマニアタイガーそのものは捕食動物でしたが,ずる賢く貪欲なハンターには太刀打ちできませんでした。白人の居住者の中にはそのような者になった人たちがいたのです。フクロオオカミは好奇心が旺盛で人を全く恐れなかったので,いとも簡単に銃とわなのえじきになりました。

タスマニアタイガーは羊殺しだと主張する農家が多かったので,タスマニア政府だけでなく牧羊業界の大手からも魅力的な報奨金が出されました。生け捕りになったものは,すぐに外国の動物園に引き渡されました。何年も前,タスマニアの野生生物は不明の深刻な病気のために大きな打撃を受け,フクロオオカミもやはりその影響を受けて数が減りましたが,数の減少の最大の原因となったのは明らかに人間でした。

独特の狩猟方法

フクロオオカミはたいてい単独で狩りを行ないますが,時にはつがいで行なうこともあります。その方法は,小さなカンガルーなどの動物に狙いをつけ,早足でついて行き,追い詰めます。獲物が速度を落とし,疲れ切ると,飛びかかって強力なあごで獲物を殺します。この珍しい動物のもう一つのユニークな特徴は,あごが大きく開くことです。何と120度も開くのです。

フクロオオカミには死体の一部だけ ― たいていは内臓だけ ― を食べる習性があるので,フクロオオカミを非道な殺し屋とみなす人もいます。しかし,このような一見浪費と思えることを相殺するために,別の肉食性有袋類の小型動物,腐肉をあさるタスマニアデビル(今でも生存している)がフクロオオカミの後について来て,残り物を全部,骨や毛皮など何もかも平らげてしまいます。

フクロオオカミが人間にとって脅威とならないことは明らかです。フクロオオカミが人間を襲ったという証拠は全くありません。一人の老人は遠い昔のことを思い出します。ある晩遅く,キャンプファイアの前で本を読んでいた時のことです。炎越しにふと見ると,タスマニアタイガーが身をかがめて忍び寄り,威嚇しながら自分の方にじりじりと進んで来るではありませんか。この人は襲われると思い,ライフルをそっとつかんで炎越しに狙いを定め,発砲しました。フクロオオカミはぎこちなく後ろに宙がえりをしましたが,どうやら重傷は負っていない様子でした。飛び上がって暗闇に消えたからです。それからその人は血痕がないか,フクロオオカミにどの程度傷を負わせたかを調べに行きました。銃弾を受けた大きなオポッサムが,何とたき火の真ん前にいるのを見つけました。それはフクロオオカミが追跡していた獲物だったのです。

見かけたという報告はどうなのか

捕獲された最後のフクロオオカミが1936年に死んでからも,見かけたという報告は幾つもありましたが,フクロオオカミが今でも生きていることを動物学者に納得させる証拠は今までのところほとんどありません。実物写真か,生け捕りにしたものがなければ,当局者はフクロオオカミが今でも生存していることを納得しないようです。

タスマニアの田舎に住むお年寄りの中には,タスマニアタイガーを見たとしても報告しないと言う人が少なくありません。その人たちは,自分たちが若いころ,他の人間の仕業でユニークなこの動物がほぼ絶滅したという事実を気にしているのです。そして,もしフクロオオカミが生存していたとしても,邪魔されることなく平和に暮らしてほしいと願っています。

ですから,「最近フクロオオカミを見たことがありますか」と聞くと,真偽のほどはともかく,「いいえ」という答えが返ってくることでしょう。

[26ページの図版のクレジット]

Tom McHugh/Photo Researchers

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