「地の最も遠いところにまで」証言する
エホバの証人の1971年度年鑑より
ベトナム
人口: 17,414,000人
伝道者最高数: 52人
比率: 334,885人に1人
昨奉仕年度サイゴンではすばらしい進歩が見られ,そこで開かれた巡回大会で7名の人が献身してバプテスマを受けました。伝道者たちは多くのすばらしい経験をしました。
ある宣教者と聖書研究を始めた13歳の少女は,まもなく聖書に特別な関心を示しはじめ,集会に出席するだけでなく,参加するようになりました。6か月たたないうちにその少女は,野外奉仕に携わる準備ができたことを明らかにしました。少女の両親は,彼女が伝道に行くことを初め認めたのですが,伝道を始めるとまもなく反対しはじめました。それ以後,少女は奉仕や集会に行くことを許されませんでした。しかし,宣教者との個人的な聖書研究は努力して続けました。少女の家に朝の7時に着くため,宣教者は自分の家を6時半に出ることもありました。少女が聖書研究できるのはその時間しかなかったからです。両親がその取り決めを許さなくなると,少女は学校に出かける時間を早め,ひとりの伝道者の家で宣教者と会って聖書研究をし,それから学校へ行きました。少女はその間,2年以上にわたり,嘲笑されたり,先祖崇拝に参加しないためにしばしば殴打されたりしました。
ついに少女の両親は,彼女をエホバの民から遠く離すことに決めました。それで証人たちは,3か月間,少女にどんことが起きているのかわかりませんでした。家から3か月「追放」されたあと,両親が少女に会いに行くと,彼女は親族全員に証言していて,そのうちの数人は関心を持つようになっていることがわかりました。それでふたりは少女を家に戻し,自分の好きなようにさせることにしました。少女は王国会館に来て,「わたしは両親から集会に出席することや,奉仕に行くこと,バプテスマを受けて,開拓者になることの許可をもらいました」と発表しました。それ以来,少女はほとんど一日も欠かさず奉仕をしています。ある月など,130時間以上奉仕しました。また,偶像を処分しなければならないことを母親に納得させ,バプテスマを受ける際母親に来てもらう喜びも味わいました。バプテスマを受けた日,6か月間の休暇開拓奉仕の申し込みもし,資格ができしだい正規開拓奉仕をしたいと望んでいます。
努めて家族全員と聖書研究をするようにとの提案がされていますが,今の世の中の家族はそろって何かをするということがほとんどありませんから,家族の聖書研究を取り決めるのは容易ではありません。宣教者のひとりは次のような経験を寄せています。「わたしはあるご主人と聖書研究をしていましたが,3か月たって,いつも席をはずして台所にいた,彼の奥さんにやっと会うことができました。3か月後に,ご主人が祭壇や偶像を取りはずした時,わたしは,彼の崇拝が家族にも影響を与えることを知ったので,もう一度奥さんに会うよう試みました。その結果彼女は御主人の聖書研究に参加するようになりました。次にわたしが目標にしたのは7人の子どもたちです。両親も同意したので,わたしは上のふたりの娘さんと聖書研究を始めました。ふたりは理解が早く,こんどは内気な下の子どもたちにも参加するよう,みんなで少しずつ説得しました。次にふたつの聖書研究を一つにまとめれば,家族の聖書研究ができます。エホバの祝福を受けて,それは成し遂げられました。
「まもなく父親はエホバの組織の助言に従い,家族といっしょに毎日聖書を読むようになりました。ついで家族との定期的な聖書研究も始めました。集会や野外奉仕に行くことは,彼らにとって,今や幸福な生活の一部になりました。将来に対するすばらしい希望が恐ろしい迷信に取って代わりました。調子が良いようですが,どんな精神安定剤を服用しているのですかと近所の人から尋ねられた彼の妻は,『聖書の研究をはじめてからというもの,精神安定剤がいらなくなりました』と答えました。いろいろな障害や問題が起こりましたが,家族の成員がやはりエホバを愛していることは,なんと大きな助けでしょう。大会でこの家族のうち3人がバプテスマを受けるのを見て,わたしは大きな喜びを味わいました。娘たちのうちふたりは,バプテスマを受ける開拓者と同じ時間奉仕し,まもなく,実際に開拓者になれるよう希望しています。
「この幸福で神権的な家族は,他の多くのベトナム人にとってりっぱな模範であり,励みとなっています。新たに関心を示した一家族は,その家で開かれていた会衆の書籍研究に出席したのち,驚嘆して次のように語りました。『わたしたちはあのような幸福な家族になりたいと思います。3か月間熱心に勉強すれば,わたしたちもあのかたたちのように野外に出て伝道できるでしょうか。それに,うち8人の子どもをあなたがたの集会所に連れて行く場合,あいた席があると思いますか』。次の集会の時,その家族の7人が出席しました。家族そろってエホバを崇拝することからどんなすばらしい祝福を受けるか知っている,もう一つの家族が見いだされたことは大きな喜びです」。