世界展望
保存血液を用いる手術
◆ 科学者たちは新しい外科手術の方法を絶えず開発している。1971年11月15日号,「アメリカ医学協会ジャーナル」誌は,血液を取り出して希釈する方法を講じて行なう,心臓切開手術について述べた。手術の初めに患者から大量の血液を取り出してプラスチック製の血液袋にいれる。その袋は1本の管で患者とつながれたままにされているが,体外に取り出されて保存された血液は患者の体内をもはや循環してはいない。その代わりに血しょう増量剤が使われる。血しょう増量剤は静脈に残っている血液を薄め,手術中に徐々に消散する。手術の終わりごろに血液を保存している袋を引き上げて,保存しておいた血液を患者の体内にふたたび注入する。1971年11月9日付,ニューヨーク・タイムス紙はそれにやや類似した方法について報道したが,それによると,手術の数日前に約2㍑の血液が患者から取り出されて保存される。そして手術中に患者自身の保存血液が再び患者に輸血され,こうして病気にかかる危険や血液型の不適合の問題を避けるのである。こうした技術はクリスチャンにとって注目に値する。というのは,それは神のみことば聖書に反するものだからである。聖書は,血液を体外に取り出して保存し,次いで再使用すべきものではないことを示している。
水を通して石油を輸送する
◆ 最近,アメリカのある石油会社は,水と油は交じり合わないという原理を応用して,加熱されていない輸送管で原油を輸送する方法を開発した。これは,かつて採算が取れないと考えられていた油田の操業を可能にするものである。この新方式では,石油が輸送管の内面と接して,輸送管との間に生ずる摩擦抵抗を受けないようにするため,原油を包むさやとして水が用いられる。同石油会社は,長さ38㌔の試験的な輸送管により,一日に約3,000㌔㍑の原油を輸送している。輸送管内の液体の容積の70%は,心となって流れる原油で,残りの30%はさやとなって原油を包んでいる水である。
英国の失業問題
◆ 最近,英国では失業問題に対する懸念が深まっている。失業者のほぼ3分の1は6か月以上も就職することができず,失業手当を使い果たしている。この問題を報じたガーデアン・ウィークリー紙は次のように述べた。「怠惰な状態が長引くと,人間の誇りや労働意欲は永久にそこなわれるおそれがある。……英国の社会はこのようなむずかしい問題を気軽に考えてしかるべき状態ではない」。
長続きしない未成年者の結婚
◆ 最近アメリカの国勢局が発表した統計上の証拠によれば,ずっと若い時に結婚する人は,ある程度年を取ってから結婚する人々より離婚を求める傾向が2倍も強いという。その統計によれば,20歳の誕生日を過ぎてから結婚して後に離婚した人は14%であるのに比べて,20歳未満で結婚した人の場合はそれが27%である。
自動操作自動車
◆ 今や車の自動操作への一歩として,交通状況の変化に応じて絞り弁やブレーキの自動操作が可能になった。ラジエーターグリルの上のレーダー・センサが前方の危険を探知して,車の速度を自動的に調整する。尾灯のそばについているセンサは死角の問題を解消し,後方から接近してくる車を運転者に視聴覚的に警告する。後進用センサは,車がバックするさいに働いて,幼児や子どもの三輪車その他,車の後方にあっても低くて視野にはいらないものを運転者に警告する。
不必要な手術
◆ 最近,アメリカの不正療法に関する委員会で,シドニー・ウォルフェ博士は,アメリカでは毎年,200万件もの不必要な手術がなされる結果,推定1万人の死者を出していると証言した。手術を受けるには,その前に必ずふたり,あるいはそれ以上の医師の意見を求めるのが賢明だ。意見や技術は医師によって異なるからである。
魂の不滅性に対する疑い
◆ 最近,アメリカのミネアポリス・トリビューン紙は,ハーバード大学神学部長でルーテル派神学者クリスター・ステンダールが,「魂の不滅性を云々する」伝統は「すたれようとしているようである」と語ったと報じた。同神学者は,“旧約聖書”も“新約聖書”も魂の不滅性をなんら保証してはいないと述べたが,魂の不滅性は長年,ルーテル派の基本的な教えであった。
「行き詰まった」カトリックの指導
◆ 最近,アメリカのある社会学者の司祭が司祭職に関する司教たちの委員会のために準備した1万4,000語の分析報告によると,アメリカにおけるローマ・カトリック教会の指導は「道徳的,知的および宗教的に行き詰まっている」。同司祭は,司祭の大半が産児制限や童貞制,また離婚その他に関する教会のさまざまな教えを退けていると唱えており,また同報告の中でこう述べた。「40歳未満の司祭の多くは教階制聖職団の言う事をもはや信じてはおらず,もはやその指示を真剣に受け取ろうとはせず,その指導に対してもはや信頼してもいない」。
改宗者に対する規則を変えたバチカン
◆ 去る2月17日,バチカンはカトリックへの改宗者に対する新しい規則を公布した。一夫多妻がならわしとされている国では改宗者はたとえふたり以上の妻を持っていてもカトリックの信仰生活にあずかることができるが,バプテスマを受ける前には一夫多妻の生活をやめることを誓約しなければならない。バプテスマのさい水をふりかけるのがカトリックの長年の慣行であったが,浸礼の方法でバプテスマを施すことも許される。しかし聖書に基づくバプテスマは浸礼でなければならない。
ロック音楽による聴力障害
◆ 最近,アメリカ,サンフランシスコのふたりの耳鼻科医が行なった調査によれば,対象となった43人のロック音楽家のうち41人は回復不能の聴力障害に陥っていることがわかった。その平均年齢は22歳で,演奏経験は1年から6年である。彼らの聴力障害は演奏前,そして特に演奏後に顕著であった。これは明らかに,ロック音楽の音が大きいためである。ある専門家たちの考えでは,音の安全な大きさは75デシベルであるが,ロック音楽はしばしば140デシベルにも達する。聴衆の聴力は演奏家のそれよりもずっと悪い影響を受ける。演奏家は拡声器の後方にいるからである。
抗生物質に対する抵抗力
◆ 飼料製造業者のあいだでは飼料に抗生物質を添加することが長い間行なわれてきた。ひよこや子牛やぶたは抗生物質を与えられると,成長が促進されると言われている。さらにこの方法によって,比較的狭い場所でひよこを何千羽も育てたり,ぎっしり詰まった飼育場で家畜を飼育することが可能となった。しかし,アメリカ食料医薬局はこうした方法を憂慮しはじめている。にわとりや家畜につくバクテリヤは,抗生物質に対する抵抗力を持つ変種を生み出しているようである。同食料医薬局長官によれば,その抵抗力は人間の“健康に危険”を招くおそれがあるという。そうした抵抗力を持つバクテリヤが人間に感染すれば,その病気と闘う抗生物質は無力になるおそれがある。
石けんとローションにご注意
◆ 目下,アメリカでは皮膚科の医師たちの手で,TBSとして知られる化学物質を含む石けんやローションの調査が進められているが,その一部の医師は,この種の物質を含む石けんやローションが多数の人に日光に対するアレルギー反応を起こさせていると唱えている。窓のそばにすわっただけで,差し込む日光のために皮膚がただれて,かゆくなり,むけてくるのである。そのため,ある皮膚科医は殺菌物質のはいった石けんやローションの使用をやめただけでなく,患者にもそれらを使用しないよう忠告している。それらの医師は,殺菌性の石けんは一般の人々には不必要だと唱え,皮膚についている普通のバクテリヤは病原菌と戦って人体を守る役目を果たしていると指摘している。
ふつうよりも小さな脳と腎臓を持つネズミ
◆ カナダのある科学者たちは,妊娠したネズミにタバコの煙を吸わせると,ふつうよりも小さな脳や腎臓を持った子どもが生まれるので,その原因となるタバコの成分の発見に努力を払っている。その腎臓の重さは正常なものより25%少なく,脳のそれは10%少ない。からだ全体の重さは20%少なかった。その実験では,女性が一日に1箱分のタバコを吸う場合と同じ割合の量のタバコの煙をネズミに吸わせた。