世界宗教に対する厳しい非難
いったい世界宗教は人類をどこへ導いているのでしょうか。この質問の答えに,あなたは驚くかも,いえ,強いショックを受けるかもしれません。
そうであっても,わたしたちは,あなたがこの問題に関する率直な討議を望んでおられることと思います。
しかし,なぜわたしがこの問題に関心を持たねばならないのか,とあなたはお尋ねになるかもしれません。たぶん,自分には直接関係がない,と考えておられるかもしれません。
ですが,自分自身とご家族の福祉には関心を持っておられるのではありませんか。むろんお持ちでしょう。では,あなたが教会に行こうが行くまいが,世界宗教はあなたに関係を持っており,あなたと,あなたの愛しておられるかたがたをともに悲劇的な結末へと導きかねないのです。
どうしてそんなことがありうるのだろうか。少し飛躍しすぎていないか。宗教がそれほどの影響を及ぼすことはありえない,とお考えになるかもしれません。しかし,神ご自身が世界宗教に浴びせた非難の一つを聴いてください。「地上でほふられた者たちすべての血が彼女の中に見いだされた」― 黙示 18:24,新。
考えてみてください。歴史を通じて幾百万のもの人をほふったすべての戦争に対し,世界宗教が主な責めを負っている,と神のみことばは述べているのです。
聖書は世界宗教を娼婦とも描いています。彼女が地の支配者たちと『床に入り』,地に住む者たちは「彼女の淫行のぶどう酒で酔わされ」てきたと述べています。この女,世界宗教は,「娼婦たちと地の嫌悪すべきものとの母」と呼ばれています。―黙示 17:2,5。a
このことにあなたは驚かれますか。しかし,神のみことばは世界宗教についてそう述べているのです。それに,宗教についての真実を神ご自身よりよく知っている者がいるでしょうか。
それにしても,世界の諸問題についてほんとうに宗教を責めることができるのでしょうか。共産主義は,また多くの人を共産主義に転じさせた,富んだ人たちによる圧制はどうですか。
チェコスラバキアのプラハにある,コメニウス神学部教授団の学部長ヨセフ・フロマドカはこう語りました。「私は共産主義者ではありません。クリスチャンです。ですが,共産主義に対して責任があるのは,われわれクリスチャン以外の何者でもないことを知っています。…われわれは『言うだけで,実行しなかった』。…共産主義者もかつてはクリスチャンだったのです。彼らが正義の神を信じないのなら,それはだれの責任ですか」。1b
何百万人もの人々が教会に背を向けているのは,単に偽善的な信心のためだけではなく,それ以上のわけがあります。世界宗教は概してだれを支持してきましたか。富んだ圧制的な人たちや裕福な地主階級,また勢力のある財閥などではありませんでしたか。少しでも楽になることを願って,多くの人は共産主義に転じました。
また,今日の道徳の崩壊はどうですか。これに対してもやはり宗教が主な責めを負っているといいうるでしょうか。今日キリスト教世界の至る所で淫行・姦淫・同性愛・性病などがはびこっているのは,宗教に大いに責めがあると言えるでしょうか。
戦争・共産主義・不道徳 ― こうした事態に人類を導き入れた責任が宗教にあるなどということは,多くの人にとって信じがたいことかもしれません。しかし,イエス・キリストが当時の宗教指導者を「盲目の案内人」と呼んだことを思い出してください。彼はこう言いました。「それで,盲人が盲人を案内するなら,ふたりとも穴に落ち込むのです」。(マタイ 15:14,新)それら宗教指導者は人々を誤らせていました。
イエスはそればかりか,その時から40年も経ないうちにエルサレムとユダに臨んだ惨めな滅亡にユダヤ人を導いた責任は,直接それら宗教指導者にあることを示されました。―マタイ 23:29-36。
今日これと平行した事態が見られますか。現代の宗教は実際に人類を同じような滅亡に導いているといえるでしょうか。こんなことは,ほのめかすことすら,人々の気に障るかもしれません。しかし,それがほかでもない神のみことばの述べていることであるならどうですか。もしそうなら,なぜそう言われているのか,わたしたちには何ができるのかを,少なくとも考える時間を設けるべきではないでしょうか。
では,宗教は人類を実際どこに導いているのかを検討することにしましょう。そうすれば,神がこの問題にどう対処されようとしているかがわかりますし,それがあなたご自身と,あなたの愛しておられるかたがたとどんな関係があるかも明らかになってくることでしょう。
[脚注]
a 「『大いなるバビロンは倒れた!』神の王国は支配する!」と題する本をごらんください。
b 参考文献は31ページに載せられています。