世界展望

またもや人命を奪った血液

◆ 最近，韓国のソウルで汚染された血液を輸血された結果，少なくとも患者3人が死亡し，5人がひどい副作用に見舞われた。朝鮮タイムズ紙は，「これは血液に見せかけた毒を患者に投与したようなものである」と述べた。同紙の社説はこう付け加えている。「それが非常に進歩した設備を持つ赤十字の血液銀行で起こったので，同様の事件が100余の小規模な血液銀行でも起こり得るのではあるまいかと我々は憂慮しているのである。そのうえ，それら小規模な所ではほとんどの場合お金に困っている人たちから血液を買っているのである」。

“はなはだしい危険”にさらされている人類

◆ 世界のほとんどの国々は最近の種々の出来事によって，少なくとも相互依存関係を認めざるを得なくなった。この点を悟らない者はだれでも致命的結果に直面する，とエジプトのガゼット紙は述べ，こう付け加えた。「明らかに新たな展望が必要である。つまり，世界の人類の利害関係をはなはだしい危険にさらすものとなっている，単なる民族-国家的権益や相争う思想……を越えて前途を見通す展望が必要なのである。もしハルマゲドンを回避するというのであれば，これまで歴史を形成する上で主要な役割を果たしてきた道具である剣や銃や爆弾など，つまり強圧的な道具を捨て去って，その代わりに話し合いや協調という道具を用いなければならない」。しかし，聖書が述べているハルマゲドンは人間同士の単なる話し合いや協調によって回避できるものではない。

栄える娯楽

◆ インフレと不景気が荒れ狂っている昨今，“逃避”が時の流行となっているようである。昨年，英国人は観劇や映画，スポーツ用具や音響装置などのために40億ドル（約1兆2,000億円）余相当のお金を使い，さらに80億ドル（約2兆4,000億円）相当のお金をアルコール飲料を買うのに費やした。イタリアでは映画が繁栄しており，サッカーは同国の十大産業の一つに数えられている。ブラジルのレコード産業の昨年の売り上げは1年で35％も増え，6,500万ドル（約195億円）の総収益をあげた。ニューヨーク･タイムズ紙はこう結論している。「娯楽は世界各地で様々に異なっているかもしれないが……それが成長産業であることはまず間違いあるまい」。

バングラデシュの死者

◆ 最近，メキシコのエクセルシオル紙上でフリオ･シェレルは，昨今バングラデシュは深い苦悩に見舞われていると述べ，こう付け加えた。「コレラはまるでカラスか何かのように街を自由に巡っている……保健当局者はその伝染を防ぐ努力をあきらめてしまった。事実，それら当局者は悲しみも悔しさも見せずに，『この伝染病は我々にはどうすることもできない』と告白している……犠牲者が余りにもおびただしく，同じ情景を余りにも繰り返し見せつけられると，同胞に対する人間の感覚は消失し始め，自分自身のことを心配するようになる。人は余りにも脅かされると，危険な宿命論に陥り，ついにはどうすることもできない，と言うようになるのである」。

正直に関する科学？

◆ 最近，広く公表された医学および科学上の幾つかの実験がまやかしであることがわかった。米国オハイオ州カントンのある男の人はサイエンス･ニューズ誌に寄せた手紙の中でこう述べている。「現代人の複雑な世界の中で，一層明確に必要とされているものが一つあるとすれば，それは確かに誠実さであると考えられるに違いない。では，正直に関する科学がないのはなぜか。知能指数があるのに誠実係数がないのはなぜか。だれが正直について教える課程や誠実という問題で学位を供するのであろうか」。

強姦されないように身を守る

◆ 痴漢に対処する最善の方法は何であろうか。女性は危害を避けようとしてすぐに身を任せるべきだろうか。穏やかに話すべきだろうか。それとも，大声で叫ぶべきであろうか。「大声で，断固として，しかも早めに抵抗することである」と（米国コロラド州）デンバー総合病院の暴行問題研究センターの所長は勧めている。同所長は「今日の心理学」誌の中で，痴漢はたいていまず最初に女性をおどして屈服させようと試みることによって，『犠牲者が御しやすいかどうかを試す』，気持ちの不安な人間であると述べている。そして，なお「痴漢にとってより協力的な犠牲者をもっと容易に探せる」うちに「女性が最初から抵抗するのは大切なことである」と述べ，カリフォルニア警察当局の次のような助言をも引用した。「悲鳴を上げることである。そうすれば痴漢を驚かすだけでなく，うまくゆけば付近の人々に気づいてもらえるであろう」。

深海の美

◆ 米仏共同の中部大西洋海域の調査がこのほど終了した。その結果発見された事柄は，感謝の念を抱く人々に，普通では人の行かないような所にさえ創造の美が見いだされるという感銘を与えている。潜水艦による調査は，海面下2,700メートルの海洋にさえ魚が大きな群れをなしていることを明らかにして，調査員たちを驚かせた。ウッズ･ホール海洋研究所のロバート･T･バラード博士は，通常は無色透明の姿をしたたくさんの小魚類に首をかしげた。それらは全く光のない所に住んでいるが，潜水艦の光に照らし出されると，突然まばゆいばかりの色彩を持つ姿に変わった。

イエスとは“相容れない”

◆ もしイエス･キリストが肉体の姿で戻って来るとすれば，「間もなく二度目のはりつけが行なわれるのではなかろうか」と，アメリカの特別欄寄稿家シドニー･ハリスは質問している。軍国主義者はイエスを臆病者と呼ぶであろうし，金持ちは彼に過激派のレッテルをはるであろう。説教師は儀式を非難するイエスを異端と呼ぶであろうし，感情的な人々は，救いに至る道はただ一つしかないなどと主張するのはすねものだけであると言うであろう。道徳的に放縦な人々は断食や，身体の必要とするものよりも霊的物事を先行させたイエスの態度のゆえにあざけるであろう。前述の寄稿家ハリスはこう尋ねている。「我々はそれぞれ，彼の言動のある部分が我々の生き方にとって非常な脅威であり，我々の根強い信条とはあまりにも相容れないものであることに気づき，彼のことをあまり長くは忍べなくなるのではなかろうか」。

腐食性プラスチック

◆ プラスチック製品は腐食して土に還元されるものとは考えられていなかった。つまりプラスチックは，紙などと違って，分解したり腐ったりしないように思われてきた。しかし，最近の英国からの報道によると，プラスチックを腐食させるのに硝酸が有用であることが発見された。その報告によると，プラスチックが“酸化”することから生じる物質は，19種類のきのこを栽培するのに使用できる。このきのこは動物を，そしておそらくは人間をも養うたんぱく質補充食品となるかもしれない，と考えられている。

何が変化しなければならないか

◆ 世界は途方もなく大きな問題に直面している。人間がそうした問題の解決をかすかにでも望めるとすれば，中でもどんな基本的変化を遂げなければならないのであろうか。ミシガン大学のG･E･メンデンホールと会見したデトロイト誌の記者は，次のような答えを得た。「アモスからイエスに至るまでの預言的な伝承によれば，現代の文明人の考え得ない事柄がすでに理解されていた。それは，重大な問題は国家によって代表される支配力の独占によっては解決できないということである。国民それ自体が変化しなければならないのである」。

増大する軍隊内の犯罪

◆ クリスチャン･サイエンス･モニター紙によると，アメリカの軍隊内部の犯罪は増大している。例えば，陸軍は犯罪が減少したと公表はしているが，同紙の記事によると，「ところが，陸軍の犯罪件数の実情はそうではないことを示している」。1973年の第二四半期中，陸軍内部での犯罪件数は1,000人につき20.76件であったが，1974年の第二四半期のその割合は22.12件であった。同紙はこう付け加えている。「年が若く，未熟で，職についていない階層の黒人が義勇軍その他の兵役により多く引きつけられるにつれて，人種紛争が一層大きな挑戦となってきた」。