世界展望
「非常事態」に近い精神病
◆ カリフォルニア大学のミルトン・グリーンブラット博士によれば,重い感情および精神障害を患うアメリカ人の数から見れば,それはまさに国家的非常事態と言える。同教授は,調査の示すところによると,アメリカの人口の20%以上は重い感情および精神障害を患っていると語っている。カナダでは,サスカチェワン大学精神医学部のピーター・マシューズ博士が,国家的非常事態とは呼んでいないものの,同国も同じ問題を抱えているとの所見を述べ,カナダ人の4人のうち一人は生涯中に精神障害を患うであろうと語った。
死をもたらす敵
◆ ギリシャ,アテネのデーリー・ポスト紙によると,喫煙は実に恐るべき敵で,毎年100万人以上の人命を奪っている。世界保健機関(WHO)は1980年を喫煙反対の年に定め,「喫煙か健康か。それはあなたの選択」という標語を広めている。WHOは次のような事実を明らかにした。つまり,喫煙は肺ガンによる死者の90%,心臓疾患,心臓麻痺,そして特に血管障害による死者の25%,慢性気管支炎による死者の75%のそれぞれの死因と関係がある。
デーリー・ポスト紙はこう伝えた。「喫煙の人体に及ぼす害については詳細な研究が行なわれ,有害であることが確定的になっているので,喫煙の習慣が広まろうとしているころであったなら,世界のほとんどの場所で現在麻薬が法律によって禁じられているように,たばこも禁止されていたことであろう」。
禁煙への道
◆ 「世界の喫煙と健康」誌に掲載された二人の科学者の報告によると,たばこをやめる最善の方法は一気にやめる“使用禁断<コールト・ターキー>”法である。使用を少しずつやめる場合,禁断症状による苦しみが長期に及ぶことになるので,前者のほうが優れている。禁断症状は最初の2週間,それも午後7時ごろがいちばんつらいと言われている。そのため,少しずつやめようとしている人の多くは途中で再びたばこを手にしてしまうのである。一気にやめることの別の利点は,最初の数日で禁断症状が緩和することである。これにより,禁断症状が収まるまで持ちこたえるのが容易になる。
ひん死の状態にある死海
◆ イスラエルとヨルダンの間に横たわり,湖面の標高が海面下にある死海は,塩分が多過ぎて魚がその中では生きられないため長年“死”海と呼ばれてきた。だが死海は現在,別の観点からも死につつある。科学者たちによると,死海の水量は減少の一途をたどり,その進行が逆転する見込みはほとんどない。死海の主な水源となっているヨルダン川から流れ込む水量は,ヨルダン川の水が農業および産業目的に大量に用いられているため減ってきている。干ばつも減水に拍車をかけている。トゥー・ザ・ポイント誌によると,死海の水が余りにも減ったため,その一番狭い箇所で死海が二つに分けられてしまった,という。死海の完全なさばく化を防ぐ唯一の方法は,水路で死海と地中海をつなぐことだ,と科学者たちは語っている。
天気の良い日ほど友好的
◆ 米国のミネアポリスで行なわれたある調査によって,長い間憶測の域を出なかった一つの事柄,つまり曇天の日より陽光の降りそそぐ晴れた日のほうが,人々は友好的で,互いに助け合い,喜んで話をすることが確証された。調査員たちは通行人540人を呼び止めて社会生活に関連した80の質問のうち幾つの質問に快く答えてくれるかを尋ねた。陽光のそそぐ晴れた日には人々の反応が最もよく,平均63の質問に答えると申し出てくれた。一方,うっとうしい日にはわずか13の質問にしか答えなかった。
旅行者に朗報
◆ 世界保健機関は記者会見を行ない,天然痘が地球上から撲滅されたと発表した。地球上から一掃された疾病はこれが最初とされている。同機関が天然痘撲滅計画を開始した1967年には,天然痘による死者が42か国で200万人に上り,はん痕が残ったり失明したりした人は800万人もいた。この発表は旅行者には朗報である。ニューヨーク・タイムズ紙が報じたように,「どの国にいつ旅行しようと,だれも種痘証明書を携行する必要がなくなる」からである。
アルミニウムと老衰
◆ 二人の研究者たちは高精度の分析法を用い,アルミニウムと老齢者の老衰の関連について,以前の発見の正しさを確証した。走査電子顕微鏡による検査とX線分光測定によって,彼らは老齢者の脳の内部の「もつれた神経原線維を有するノイロン中に多量のアルミニウムを検出した」とサイエンス・ニューズ誌の記事に述べられている。「こうしたもつれは老衰現象の顕著な特色の一つである」。アルミニウムは「工業上のさまざまな産物,つまり飛行機,バス,トラック,窓わく,屋根ふき材料,アルミホイル,料理道具などから体内に入り込む」と同誌は説明している。