卒業生は愛を示すように助言された
ものみの塔ギレアデ聖書学校40期生の卒業式は,1965年9月13日に行なわれました。31ヵ国からきた108名の生徒はいまから43ヵ国に派遣されます。卒業式はものみの塔協会の会長であり,ギレアデ学校の校長であるN・Hノアによって司会され,午後3時に歌と祈りをもって開かれました。
またノア兄弟は,いく人かの兄弟が送別のことばを述べたあと,クリスチャンの愛という題で主要な講演を行ない,卒業生に次のように問いかけました。「あなたがたはどの程度の愛をもつべきですか。イエスはあなたの敵をも愛しなさいと言われました。ところである人々は,あなたがたがおだやかに戸別伝道をし,人々に聖書の話をするだけで気分を害し,あなたがたを迫害するかも知れません。そのようにされたらあなたがたは彼らを憎みますか。憎むのは間違いです。イエスはあなたの敵を愛さねばならないと言われたからです。それであらゆる機会をとらえて,彼らに永遠の生命の希望を伝えましょう。たとえ敵であっても私たちは彼らが滅びるのを望みません。もしエホバの目的に対する彼らの考えを正すことができれば,私たちは喜んでそれをしなければなりません」― ルカ 6:27。
ノア兄弟はさらに,ルカによる福音書 6章31節の『人にして欲しいと思うことを自分も人に対して行ないなさい』ということばを引用してそれを話に結びつけ,愛の主題を展開させます。「外国に行くとあなたがたは,奇妙に見える人や,自分たちよりずっと生活水準の低い人々に接するでしよう。そういう人たちを見下しますか。もちろんそれは間違いです。愛の深い人はそのような人たちを,神の造られたもの,傷つけられ,しいたげられた仲間の人間,慰めの言葉を最も必要とする人々と見るでしょう」。
それからノア兄弟は,ピリピ書 1章9節から11節を読みました。そこでは使徒パウロが兄弟たちのために,「あなたがたの愛が,深い知識において,するどい感覚において,いよいよ増し加わ……るように」と祈っています。そしてノア兄弟はこう話しました。「たしかにあなたがたは,人々と一緒に働き,いろいろな人たちに接してきました。そしてそのうえに知識を得たのですから,あなたがたは,あなたがたの会う人よりも多くの愛を示せるはずです。
「御霊の実の一つである愛を禁ずる法律はありません。信号灯が赤になると車を止めねばならず,また標識を見て車の速度を時速80キロにおとさねばならない場合もあります。しかし愛を制限する法律はありません。愛のゆえに法廷にひき出されることは決してありません」― ガラテヤ 5:22,23。
またノア兄弟は,「私たちはこの愛をクリスチャンの隣人にも示さねばなりません」とことばをつづけ,こう語りました。「たしかに性格の違いから不和や誤解が生ずることはあります。しかし愛があれば,兄弟にうらみを抱いて冷淡な態度をとるようなことをせず,むしろ問題の解決に努めるでしょう」。そして最後にノア兄弟は言いました。「あなたの愛がいかに深く大きいかは時が示すでしょう。私たちはその時が永遠におよぶことを願ってやみません」。
ノア兄弟のこの主要な話のまえに,宣教者になる学生たちを訓練した6人の人が短い話をしました。すべての出席者はこれらの話,またついで行なわれた協会の副会長F・W・フランズの話に感動しました。フランズ兄弟は約半時間にわたり,三つのニュース記事 ― この世の最高学府のみだれた状態,神を信じぬアメリカのユダヤ教の教師,聖書に記録されているイエスを否定した故シュバイツアーにかんするもの ― を例にとって,彼らとギレアデ聖書学校を卒業する者たちとの著しい相違を示し,強い信仰をもち,正しい行ないをするようにと卒業生を激励しました。
それからノア兄弟の話があって,宣教者たちは任命状と卒業証書を受けました。次いでひとりの学生がクラスを代表して決議文を読み,エホバに対し,また学生たちを訓練するためにエホバがお用いになったすべての人に対して感謝を表わし,卒業式のこの部分は歌と祈りのうちに午後6時に終了しました。そのあと出席者は送別会のごちそうを楽しみ,それが終わってプログラムは,毎週行なわれる「ものみの塔」の研究をもって再開されました。しかしこれはいつもの研究を短縮したものでした。それから学生による美しい音楽などの余興があったり,心暖まる感謝の言葉が述べられたりなどして,午後10時,歌と祈りのうちに閉会しました。それは直接,式に出席した人,またテレビをとおして見た人すべてにとって,徳を高めるすばらしい卒業式でした。