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目ざめよ! 1999
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飛行を続けるために必要なこと

「皆様,ニューヨーク市ジョン・F・ケネディー国際空港に,ようこそお越しくださいました」。乗客に到着を告げるこのアナウンスと共に,機の内外では,乗っていた人たちがまだ降りきらぬうちから,にわかに忙しい活動が開始されます。この時,飛行機ではどんな事が行なわれているかを考えたことがありますか。

民間航空機が収益を上げるのは,乗客や貨物を載せて飛んでいる時だけであり,地上でじっとしている時ではありません。ですから航空会社は,保有している航空機の稼働率を最大限に上げることを目ざします。乗客が手荷物を待っているころ,その飛行機では,次の飛行<フライト>のための準備が手際よく進められています。整備士は,前の便の乗務員が気づいた機器の問題がないかどうか航空日誌を調べて,素早く仕事に取りかかります。飛行機の安全な航行に支障をきたす事柄,いわゆる不具合箇所は,どんなものもすべて調整されます。

機体を支えるホイール,タイヤ,ブレーキ,エンジンオイルの量が点検されます。クリーニング・クルーは客室をきれいに整えます。数箇所の調理台つまりギャレーに飲食物を補給し,左右の翼内タンクにポンプで燃料を送ります。運航乗務員が機体の周りを歩いて点検し,安全に支障をきたし得る状況がないかを確かめると,再び出発の用意が整います。

毎日,何万機という飛行機について,この着陸後の点検整備が行なわれています。しかしそれは,大型の旅客機を安全に飛ばしてゆくために必要な事柄のほんの一面にすぎません。ちょうど自動車に定期点検が必要なように,飛行機にも,広範で費用がかかる一連の定期整備が求められるのです。航空機のこうした整備を行なうのはどんな人たちですか。その仕事はどのように行なわれているのですか。

飛行機の耐空性をどのように保つか

米国航空運送協会によると,そこに加盟している航空会社は,米国における旅客と貨物の95%以上を輸送しています。1997年,それら航空会社で働いていた航空整備士は,約6万5,500人でした。他の整備にあたる人と共に,航空整備士の任務は,航空機の耐空性を保ち,乗客に安心を保証することです。それは,飛行機を飛ばすために必要な,おびただしい数の特殊な部品,いわば機械の中に組み込まれた機械を点検し,修理し,分解整備<オーバーホール>することを意味します。a そのような定期整備には,重さが4㌧以上もあるジェット・エンジンのオーバーホールから,客室のすり切れたカーペットの張り替えまで,あらゆる事柄が含まれています。

機器の不具合が何かあれば,たいていすぐに注意が向けられます。しかし他の面での整備は,航空機の整備プログラムに沿って,それぞれの航空機の総飛行距離ではなく,何か月間使用されたかによって,あるいは飛行回数<サイクル>bや飛行時間に基づいて計画されます。その整備プログラムは,航空機の製造業者が航空運送事業者に勧めている整備から始まります。しかしそれは,政府の航空管理者の認めるものであることが必要です。簡単な点検から,中程度の点検,大掛かりな点検まで,それぞれの航空機に合わせて予定が組まれます。この点検には,例えば,A,B,C,D,L,Qのような文字の呼び名がついています。

ある747-200型機は,ほぼ8年で飛行時間が約3万6,000時間に達しました。それは,その飛行機が,D整備と呼ばれる大掛かりな点検のため格納庫に向かうべき時です。航空機の管理に関する雑誌,「オーバーホール・アンド・メンテナンス」(英語)は,この複雑で時間のかかる点検についてこう述べています。「目標は,機体全体をできる限り当初の状態に戻すことである。……D整備は1万5,000から3万5,000時間の作業を必要とし,その機は15日から30日,ないしはそれ以上のあいだ就航できない。整備の総費用は100万㌦(約1億2,000万円)から200万㌦(約2億4,000万円)に及ぶ」。航空宇宙産業管理コンサルタント会社であるカナングループのハル・クリスマンによると,「典型的なD整備では,人件費が7割,器材の経費が3割」です。もちろん,航空券の代金にはその費用の幾分かが含まれています。

D整備では何が行なわれるか

飛行機が格納庫内に駐機すると,整備チームが仕事に取りかかります。格納庫は,航空機を整備するための巨大な複合の建物で,整備用の器材や部品の倉庫もあります。可動式の作業台や足場類を移動させて,普通は手の届かない機体の各部に近づくことができます。座席,床,壁,天井パネル,ギャレー,化粧室設備,その他の装備品は大きく開けられ,あるいは機体から外されて,綿密に調べることができるようにします。基本的に言って,飛行機の中はすっかり取り外されます。各段階ごとの指示書に従って,金属のひび割れや腐食の兆候がないか機体を調べます。飛行機の降着装置,油圧系統,エンジンがそっくり交換されることもあります。D整備には,生産技術者,作業指示書作成者<テクニカル・ライター>,品質管理検査士,航空電子工学の技術者,シートメタルワーカー,機体やエンジン関連の整備士cなどが必要で,そのほとんどは国家資格を持つ人たちです。客室の備品の修理,塗装,清掃などをする人を加えると,整備に携わる人は1日当たり優に100人を超えます。ほかにも大勢の人々が,装備品や部品の調達,その他必要不可欠な後方支援作業に当たります。

時間と共に,飛行中の振動,機体の与圧が繰り返されることによる影響,何千回という離着陸時の衝撃などにより,機体の金属部分にひび割れが生じます。この不具合に対処するため,航空工学は,医学で利用されているのと同じような診断原理を採用しています。どちらも,肉眼では見えないものを検知するために,レントゲン撮影,超音波診断,内視鏡装置を用いています。

一般の医療用X線撮影では,患者をフィルムとX線源の間に据えます。降着装置,翼,エンジンなどのX線撮影をする時にも,整備検査官は同様の手法を用います。例えば,エンジンの検査箇所に外側からX線用フィルムを当てます。次に,エンジンを貫通している中空のシャフト内部に,長い金属管を通します。最後に,その金属管の中に,鉛筆の先についた消しゴムほどの大きさの,イリジウム192 ― 強力な放射性同位元素 ― の錠剤をねじ込み,X線フィルムを露光させます。そのフィルムを現像して,ひび割れやきずが明らかになれば,エンジンの修理や交換が必要になるかもしれません。

D整備の際には,飛行機の燃料と各種作動油のサンプルが,試験室での分析に送られます。燃料のサンプルに微生物などが見つかると,抗生物質が処方されます。空気,水,燃料を通して燃料タンクに入り込む菌類やバクテリアなど,ジェット燃料内の微生物を除去するため,タンクを,一種の抗生物質である殺生物剤で処理します。この処理は大切です。というのは,微生物の増殖による種々の生成物により,タンク内の保護膜が腐食することがあるからです。タンク内の計測器も影響を受けた場合,パイロットは燃料計で不正確な数値を読み取ることになります。

通常の摩耗や振動や内側シール材の損傷のために,燃料タンクに漏れの生じることがあります。「だれか“潜水夫<フロッグマン>”になりたいですか」と,集まってきたD整備クルーに作業責任者が尋ねます。楽しくはなくてもしなければならないその仕事のために,今日はジョンが指名されました。ジョンは,足ひれはつけないものの,スキューバダイビングのいで立ちです。特製コットンの上下続いた作業服を身に着け,新鮮な空気の供給源とつながった呼吸装置をつけ,工具,シール剤,防爆ライトを携えています。翼の下側の小さな開口部を通って,燃料を抜いた翼内タンクに身をよじらせて入り,燃料タンクの漏れている箇所を突き止め,そこをふさぎます。

747型機の場合,燃料タンクは飛行機の翼の中に備え付けられ,幾つもの仕切り室が小さな開口部で迷路のようにつながっています。燃料タンクは,閉所恐怖症の人が入る所ではありません。747-400型機は,21万㍑以上の燃料を搭載できます。これだけ燃料を積めると,航続距離はずっと伸び,米国カリフォルニアのサンフランシスコからオーストラリアのシドニーまで,約1万2,000㌔をノンストップで飛ぶことができます。

地上3階の高さにある操縦室<コックピット>では,航空電子工学の技術者が,テレビのような気象レーダー表示スクリーン上で,内蔵された試験用ディスプレイによる検査をします。パイロットはこの計器を使って,飛行機の500㌔も前方にある雷雲や乱気流を感知し,回避します。それで,パイロットが“シートベルト着用”のサインを点灯させるのは,レーダーのスクリーン上に乱気流を見つけたときかもしれません。しかし,機長がサインを消しても,けがを防止するために,座席ではシートベルトをいつも着用しているよう乗客に求める航空会社は少なくありません。パイロットがサインを点灯させる間もなく,晴天乱気流という大気の変化に出くわすこともよくあるのです。

D整備では,救命胴衣や非常灯のような安全装置の点検や交換も行なわれます。乗客用の緊急酸素システムの点検時に酸素マスクがぶら下がっている様子は,枝についたオレンジが揺れているかのようです。ジェット機は通常,地上およそ6,000㍍から1万2,000㍍の高度を飛行します。そこでは,酸素の量も気圧も,生命の維持には不十分です。この問題はどのように解決されているのでしょうか。航空機の与圧システムによって,外気は取り入れられ,圧縮されます。最終的にこの空気の温度を調節して客室に供給するのです。客室内の気圧が安全値以下に下がると,頭上の収納部から酸素マスクが自動的に落ちてきます。緊急用酸素を必要としない高度に降下するまで,酸素が乗客に供給されます。酸素マスクが頭上の収納部ではなく,乗客の座席の背もたれ部分の収納部に備え付けられている飛行機もあります。それで,酸素マスクがどこにあるのか,飛行前の乗客への説明に注意を払うことは大切です。

大掛かりな点検整備の際には,カーペットやカーテン,またシートカバーの交換だけでなく,客室用の新しい壁張りや天井パネルの取り付けも行なわれます。ギャレーは分解され,清掃され,衛生処理が施されます。

いよいよ出発

56日間に及ぶ,検査,点検,修理,整備が終わると,飛行機はいよいよ格納庫を出て,乗客や貨物の輸送を再開できます。この記事で述べたのは,整備作業のほんの一部にすぎません。その航空機は,飛行を再開する前に,特別なクルーによる飛行テストを行なって,すべての系統が適切に機能することを確かめます。皆さんが利用する飛行機の,機械面での安全性を確保するために,どれほどの専門知識や技術が投入されているかを少し考えてみると,安心感を抱かれるでしょう。

とはいえ,航空機整備の唯一最高の道具と言われているのは,人的な要素,つまり鋭い目と機敏な精神です。訓練を受けた人々は,自分たちの仕事をきわめて真剣に受け止めています。いいかげんな整備が重大な問題を起こし得ることを心得ているのです。乗客を安全に,快適に,迅速に目的地まで運ぶ,信頼できる航空機を提供すること,それが彼らの目標です。―米国の航空機検査官による寄稿。

[脚注]

a 747-400型機では,600万個の部品と全長275㌔に及ぶ電気配線が使われています。部品の半数は,締結用のリベットやボルトです。

b 離陸から着陸までが,1サイクルです。

c 機体構造,各種系統,エンジンなどの整備をするには,機体やエンジン関連整備士の資格が必要です。

[12ページの写真のクレジット]

Courtesy of Pan Am Historical Foundation

Archives and Special Collections, University of Miami Library

[13ページの写真のクレジット]

Courtesy of United Airlines

Courtesy of United Airlines

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