-
ヨブは忍耐しました ― わたしたちも忍耐できます!ものみの塔 1994 | 11月15日
-
-
ヨブは忍耐しました ― わたしたちも忍耐できます!
「ご覧なさい,忍耐した人たちは幸福である,とわたしたちは言います」― ヤコブ 5:11。
1 ある年配のクリスチャンは,自分に降り懸かった試練について何と言いましたか。
『わたしは悪魔に付け回されている。全くヨブと同じような気持ちがする』。A・H・マクミランはそのような言葉で,エホバの証人の本部の親しい友人に自分の気持ちを言い表わしました。マクミラン兄弟は,1966年の8月26日に,89歳で地上での生涯を終えました。自分のような油そそがれたクリスチャンの忠実な奉仕の誉れは「そのまま彼らに伴って行く」,ということを兄弟は知っていました。(啓示 14:13)確かに,彼らは天の不滅の命への復活によってそのままエホバへの奉仕を続けます。マクミラン兄弟の友人たちは,彼がその報いを得たことを喜びました。とはいえ,兄弟は地上での晩年に,健康上の問題を含め様々な試練に悩まされました。その健康上の問題が,神に対する忠誠心をくじこうとするサタンの企てであることを痛感していたのです。
2,3 ヨブはどんな人でしたか。
2 マクミラン兄弟は,全くヨブと同じような気持ちがすると述べた時,信仰の大きな試みに耐えた人のことを言っていました。ヨブは,アラビアの北部と思われる「ウツの地」に住んでいました。ヨブはノアの息子セムの子孫であり,エホバの崇拝者でした。ヨブが試みに遭ったのは,ヨセフが死んでからモーセが自分自身の廉直さを証明する時までの間の,ある時期のことだったようです。その時期には,敬虔な専心の点でヨブに並ぶ者は地上に一人もいませんでした。エホバはヨブを,とがめがなく,廉直で,神を恐れる人,とご覧になりました。―ヨブ 1:1,8。
3 「すべての東洋人のうちで最も大いなる者」であったヨブは,大勢の僕を持っており,家畜の数は1万1,500頭に上りました。しかし,ヨブにとって最も重要だったのは霊的な富です。ヨブは,今日の敬虔な父親と同様,自分の7人の息子と3人の娘にエホバについて教えたに違いありません。それら息子や娘が実家を離れて生活するようになった後でさえ,ヨブは彼らが罪を犯しているといけないと考え,彼らのために犠牲をささげることにより,家族の祭司を務めました。―ヨブ 1:2-5。
4 (イ)迫害されているクリスチャンは,なぜヨブという人物を思い見るべきですか。(ロ)わたしたちは,ヨブに関してどんな質問を考慮しますか。
4 ヨブは,迫害されているクリスチャンが,辛抱強く忍耐できるよう自分を強めるために思い見るべき人物です。弟子ヤコブはこう書いています。「ご覧なさい,忍耐した人たちは幸福である,とわたしたちは言います。あなた方はヨブの忍耐について聞き,エホバがお与えになった結末を見ました。エホバは優しい愛情に富まれ,憐れみ深い方なのです」。(ヤコブ 5:11)ヨブと同様,イエスの油そそがれた追随者たちと今日の「大群衆」にとっても,信仰の試みに対処するためには忍耐が必要です。(啓示 7:1-9)では,ヨブはどんな試練を耐え忍んだでしょうか。そうした試練が臨んだのはなぜでしょうか。わたしたちはヨブの経験からどのように益を得られますか。
重大な論争
5 ヨブは知りませんでしたが,天では何が起きていましたか。
5 ヨブは知りませんでしたが,天では大きな論争が生じようとしていました。ある日,「まことの神の子らが入って来てエホバの前に立(ち)」ました。(ヨブ 1:6)神の独り子である言葉が出席していました。(ヨハネ 1:1-3)義なるみ使いたちと,不従順なみ使いとなった「神の子ら」も出席していました。(創世記 6:1-3)サタンもその場にいました。サタンが天から放逐されることは,1914年に神の王国が設立されてからでなければ起きなかったからです。(啓示 12:1-12)ヨブの時代に,サタンは,ある重大な論争を引き起こそうとしていました。全被造物に対するエホバの主権の正当性に異議を申し立てようとしていたのです。
6 サタンは何をしようとしていましたか。サタンはどのようにエホバを中傷しましたか。
6 「あなたはどこから来たのか」と,エホバはお尋ねになりました。それに対してサタンは,「地を行き巡り,そこを歩き回ってきました」と答えています。(ヨブ 1:7)だれかをむさぼり食おうとしていたのです。(ペテロ第一 5:8,9)サタンは,エホバに仕えている人の忠誠心をくじくことにより,神に愛の動機から完全に従う者など一人もいないことを証明しようとしていました。エホバはその論争を取り上げ,サタンにこうお尋ねになりました。「あなたはわたしの僕ヨブに心を留めたか。地上には彼のような人,とがめがなく,廉直で,神を恐れ,悪から離れている人はひとりもいないのだが」。(ヨブ 1:8)ヨブは,人の不完全さを斟酌した神の規準にかなっていました。(詩編 103:10-14)しかし,サタンはこう言い返しました。「ヨブはただいたずらに神を恐れたのでしょうか。あなたが,彼とその家と彼の持っているすべてのものとの周りにくまなく垣を巡らされたではありませんか。彼の手の業をあなたは祝福されたので,その畜類は地にふえ広がりました」。(ヨブ 1:9,10)こうして悪魔は,だれも神ご自身の属性ゆえに神を愛し崇拝する者などはおらず,むしろ神が被造物に欲しがる物を与えて彼らを自分に仕えさせているにすぎない,という意味のことを述べてエホバを中傷しました。サタンは,ヨブが神に仕えているのは利己的な益のためであって愛の動機によるものではない,と主張したのです。
サタンは攻撃する
7 悪魔はどのように神に挑戦しましたか。その挑戦にエホバはどう応じられましたか。
7 サタンはこう言いました。「しかし逆に,どうか,あなたの手を出して,彼の持っているすべてのものに触れて,果たして彼が,それもあなたの顔に向かってあなたをのろわないかどうかを見てください」。神はそのような侮辱的な挑戦にどう応じられるでしょうか。エホバはこう言われました。「見よ,彼の持っているものはみな,あなたの手中にある。ただ彼の身に対しては,あなたの手を出してはならない!」 先に悪魔は,ヨブの所有している物はすべて祝福され,増やされ,垣を巡らされている,と言っていました。神はヨブが苦しむのを許されるでしょう。もっとも,ヨブの体に触れてはなりませんでした。サタンは悪を行なおうと意気込んで,大会のその場から立ち去りました。―ヨブ 1:11,12。
8 (イ)ヨブはどんな物質上の損失を被りましたか。(ロ)「神の火」とは,本当は何でしたか。
8 すぐにサタンの攻撃が始まりました。ヨブの僕の一人がヨブにこのような悪い知らせを伝えました。「牛がすき返し,雌ろばはその傍らで草を食べていましたが,そのとき,シバ人が襲ってきて,これを奪い,従者たちを剣の刃に掛けて討ち倒しました」。(ヨブ 1:13-15)ヨブの所有物の周りに巡らされていた垣は取り除かれていました。ほとんど時を移さず,あからさまな悪霊の力が加えられました。というのは,もう一人の僕がこう報告したからです。「神の火が天から下り,羊と従者たちの中で燃え盛り,これを食らい尽くしました」。(ヨブ 1:16)なんという邪悪さでしょう。そのような災いを神が事もあろうにご自分の僕に下したかのように見せかけたのです。稲妻は天からのものなのでエホバのせいにされがちですが,実際のところ,その火は悪霊に源を発していました。
9 経済的に落ちぶれたことで,ヨブの,神との関係はどうなりましたか。
9 サタンが攻撃を続けると,また別の僕から,カルデア人がヨブのらくだを奪い,他の従者全員を殺した,との報告がありました。(ヨブ 1:17)こうしてヨブは経済的に落ちぶれてしまいましたが,そのことで神との関係が損なわれたわけではありません。あなたは,多大の物質的損失を被ってもエホバへの忠誠心を弱めることなく耐え忍ぶことができますか。
さらに大きな不幸に見舞われる
10,11 (イ)ヨブの10人の子供に何が起きましたか。(ロ)ヨブは自分の子供たちが悲惨な死を遂げた後,エホバのことをどう思いましたか。
10 悪魔はヨブに対する攻撃を終えたわけではありません。さらに別の僕がこう報告しました。「あなたのご子息や娘さんたちは,長子であるそのご兄弟の家で食べたり,ぶどう酒を飲んだりしておられました。すると,どうでしょう,荒野の地方から大風が吹いて来て,家の四隅を打ったため,それが若い人たちの上に倒れて,皆さまは死なれました。そして,私が,ただ私ひとりが,どうにか逃げましたので,あなたにお知らせ致します」。(ヨブ 1:18,19)間違った情報を得ている人たちは,その風によって生じた惨害は“神の業”(つまり,“天災”)だったと言うかもしれません。しかし,そうではありません。悪霊の力がヨブの感情面で特に弱いところを突いたのです。
11 悲しみに打ちひしがれたヨブは,着ていた「そでなしの上着を引き裂き,その頭の髪を刈り取り,地に伏し,身をかがめ」ました。それでも,ヨブはこう言ったのです。「エホバが与え,エホバが取り去られたのだ。エホバのみ名が引き続きほめたたえられるように」。この言葉に続いて記述はこうなっています。「このすべてのことにおいてヨブは罪をおかさず,また神に不当なことを帰さなかった」。(ヨブ 1:20-22)サタンはまたもや敗北を喫しました。わたしたちは,神の僕として,もし自分が死別と悲嘆を経験するとしたらどうでしょうか。エホバへの無私の専心を示し,エホバを信頼していれば,ヨブと同じように,忠誠を保つ人として耐え忍ぶことは可能です。油そそがれた者たちとその仲間である地的な希望を抱いている人たちは,確かに,ヨブの忍耐に関するこの記述から慰めと力を得ることができます。
論争は激しさを増す
12,13 天での別の大会の時に,サタンは何を要求しましたか。神はそれにどう応じられましたか。
12 エホバはすぐに再び天の宮廷における大会を召集されました。ヨブは神に打たれたかのような,子供のいない弱り果てた人になってはいたものの,その忠誠心は変わっていませんでした。もちろん,サタンは,神とヨブに対する自分の非難が偽りであることを認めようとはしません。今や「神の子ら」は,エホバがこの論争に決着をつけるべく悪魔を誘導する際の議論と駁論を聞こうとしていました。
13 エホバはサタンに言い開きを求めて,「一体,あなたはどこから来たのか」とお尋ねになりました。それに対し,どんな返答があったでしょうか。「地を行き巡り,そこを歩き回ってきました」という返事です。エホバは再び,とがめがなく,廉直で,神を恐れる僕ヨブに注意を引かれました。ヨブはなおも忠誠を堅く保っていたのです。それに対して悪魔はこう言いました。「皮のためには皮をもってしますので,人は自分の魂のためなら,持っているすべてのものを与えます。逆に,どうか,あなたの手を出して,彼の骨と肉にまで触れて,果たして彼が,それもあなたの顔に向かってあなたをのろわないかどうかを見てください」。そこでエホバは,「さあ,彼はあなたの手中にある! ただし彼の魂には用心せよ!」と言われました。(ヨブ 2:2-6)サタンは,エホバがまだ保護の垣すべてを取り除いてはいないことを暗に指摘し,ヨブの骨と肉に触れることを要求しました。悪魔がヨブを殺すことは許されないでしょう。しかしサタンは,身体的な病気にならせればヨブが苦痛を味わうこと,またひそかな罪のために神から罰せられているように見えることを知っていました。
14 サタンはヨブを何で打ちましたか。苦しむヨブを救済できる人間が一人もいなかったのはなぜですか。
14 大会のその場から退席させられたサタンは,苛虐趣味的な喜びを抱いて出て行きました。そして,ヨブを「足の裏から頭のてっぺんまで悪性のはれ物」で打ちました。ヨブは,灰の中に座って土器のかけらで身をかきながら,言いようのない惨めさを耐え忍びました。(ヨブ 2:7,8)非常な痛みを伴う,忌まわしく屈辱的なその苦悩からヨブを救済できる人間の医師などいませんでした。その苦悩はサタンの力によって引き起こされていたからです。ヨブをいやすことができるのはエホバだけでした。もしあなたが神の僕で病弱であるなら,次のことを決して忘れないでください。すなわち,神はあなたが耐え忍べるよう助けることができ,病気のない新しい世における命をあなたに与えることがおできになる,ということです。―詩編 41:1-3。イザヤ 33:24。
15 ヨブの妻はヨブに,何をするよう勧めましたか。ヨブはどんな反応を示しましたか。
15 ついに,ヨブの妻はこう言いました。「あなたはなおも自分の忠誠を堅く保っているのですか。神をのろって死になさい!」 「忠誠」とは非の打ち所のない専心を意味しているので,彼女はヨブに神をのろわせようと皮肉をこめて話していたのかもしれません。しかし,ヨブはこう答えました。「無分別な女の一人が話すように,あなたも話す。わたしたちはまことの神から良いことだけを受けて,悪いことは受けないのだろうか」。サタンのこの策略もまた,効を奏しませんでした。というのは,「このすべてのことにおいてヨブはその唇をもって罪をおかさなかった」と言われているからです。(ヨブ 2:9,10)もし反対する家族の成員がわたしたちに,クリスチャンの活動に身をすり減らすのは愚かなことだと言い,エホバ神との関係を絶つよう迫るとしたらどうでしょうか。わたしたちはエホバを愛しており,その聖なるみ名を賛美したいと願っているゆえに,ヨブのように,そのような試みに耐えることができます。―詩編 145:1,2。ヘブライ 13:15。
3人の尊大なぺてん師たち
16 ヨブを慰めるためということで,だれがやって来ましたか。しかし,サタンは彼らをどのように操りましたか。
16 これもまたサタンの企みであることが判明したのですが,3人の「友」がヨブを慰めるためということでやって来ました。その一人は,エサウを通してアブラハムの子孫となった人であろうと思われる,エリパズです。話す点で優先権を持っていたのがエリパズだったことからして,エリパズは,多分,最年長だったのでしょう。ケトラによるアブラハムの息子の一人であったシュアハの子孫,ビルダドもその場にいました。三人目はツォファルでした。ツォファルは,彼の氏族もしくはアラビアの北西部と思われるその居住地が分かるように,ナアマ人と呼ばれています。(ヨブ 2:11。創世記 25:1,2; 36:4,11)この三人組は,今日エホバの証人に神との関係を絶たせようとする者たちのように,ヨブに偽りの非難どおりの罪を認めさせてヨブの忠誠心をくじこうとする点で,サタンに操られていました。
17 訪れたその三人組は何をしましたか。彼らは七日七夜,何をしませんでしたか。
17 この三人組は,泣き,自分の衣を引き裂き,塵を自分の頭の上にほうり上げることにより,おおげさに同情を示しました。しかしその後は,一言も慰めの言葉を述べることなく,七日七夜,ヨブと共に座っているだけでした。(ヨブ 2:12,13。ルカ 18:10-14)これら3人の尊大なぺてん師たちは,余りにも霊性に欠けていたため,エホバとその数々の約束について語るべき,人の慰めとなる事柄を何一つ持っていませんでした。それでも,あれこれと間違った結論を引き出しており,形式主義に従って公に悲嘆を表わし終えたならすぐに,それら引き出した結論を使ってヨブを責めようと身構えていました。興味深いことに,その七日間の沈黙が終わる前に,青年エリフがやって来て,皆の話の聞こえる所に座りました。
18 ヨブはなぜ,死んで安らぐことを求めましたか。
18 ヨブはついに沈黙を破りました。訪れたその三人組から何の慰めも得られなかったため,ヨブは自分の生まれた日をのろい,自分の惨めな命が引き延ばされているのはなぜかと考えあぐねました。貧困に陥り,子供たちには先立たれ,重い病気を患う身となった今,死ぬ前にもう一度真の喜びを味わえるとはとても思えず,ただ死んで安らぐことを求めました。しかし,神はヨブが死に至るほどまでに触れられることをお許しになりません。―ヨブ 3:1-26。
ヨブを訴える者たちが攻撃する
19 エリパズはヨブをどんな点で偽って非難しましたか。
19 ヨブの忠誠をさらに試すものとなった,3回にわたる討論において,最初に話したのはエリパズでした。エリパズは1回目の発言の中で,「どこに廉直な人でぬぐい去られた者があるか」と言いました。彼は,ヨブは神からの罰を受けるような悪を行なったに違いない,と結論づけていました。(ヨブ 4,5章)2回目の発言の際にエリパズは,ヨブの知恵をあざけり,「あなたは実際,我々の知らないどんなことを知っているのか」と言いました。エリパズは暗に,ヨブは自分が全能者より勝っていることを証明しようとしている,と言ったのです。その2回目の攻撃の終わりには,ヨブが背教,収賄,欺まんなどの罪を犯したかのように述べました。(ヨブ 15章)そして最後の発言の中でエリパズは,ヨブを多くの罪悪があるとして,すなわち,ゆすり取り,困窮している人たちにパンや水を与えず,やもめや孤児を虐げたと偽って非難しました。―ヨブ 22章。
20 ヨブに対するビルダドの攻撃はどのようなものでしたか。
20 ビルダドは3回にわたるその討論のどの回にも2番目に話し,いつもエリパズの発言と大体同じ内容のことを述べています。各回のビルダドの発言は,他の者の発言より短いとはいえ,より辛らつです。ヨブの子供たちを,悪いことをしたから死ななければならなかったのだ,とまで言って非難しています。彼は間違った推論をして,このような例えを使いました。パピルスや葦は水がなければ干からびて死んでしまうように,「すべて神を忘れる者」もそうなる,というのです。この言葉は真実ですが,ヨブには当てはまりません。(ヨブ 8章)ビルダドはヨブの苦悩を,邪悪な者に臨む苦悩と同じ範ちゅうに入れていました。(ヨブ 18章)3回目に短い発言をした際,ビルダドは,人間は「うじ」また「虫けら」であり,それゆえ神のみ前には清くない,と論じました。―ヨブ 25章。
21 ツォファルはどんなことでヨブを非難しましたか。
21 ツォファルはこの討論の中で毎回3番目に話しています。彼の考え方は,おおむねエリパズやビルダドと同じです。ツォファルはヨブを邪悪であると非難し,その罪深い行ないをやめるよう勧めました。(ヨブ 11,20章)ツォファルは2回目の発言をした後,話すことを差し控えました。3回目には,付け加えて言うべきことが何もなかったのです。しかしヨブは,自分を非難する者たちに,最初から最後まで勇敢に反論しました。例えば,ある時点でヨブは,「あなた方はみな厄介な慰め手だ! 風のような言葉に終わりがあろうか」と言いました。―ヨブ 16:2,3。
わたしたちは耐え忍ぶことができる
22,23 (イ)ヨブの場合のように,悪魔はエホバ神に対するわたしたちの忠誠心を,どのようにしてくじこうとするかもしれませんか。(ロ)ヨブは様々な試みに耐えていましたが,ヨブの態度についてわたしたちはどんなことを質問してみることができますか。
22 ヨブの場合と同様,わたしたちは一度に二つ以上の試練に直面するかもしれず,サタンはわたしたちの忠誠心をくじこうとして失意や他の様々な要因を用いるかもしれません。サタンは,わたしたちが経済上の問題を抱えていると見れば,それに付け込んでエホバに背かせようとするかもしれません。もしわたしたちの身内のだれかが亡くなったり,自分が健康を損ねたりしたなら,サタンはわたしたちが神を責める気持ちになるよう企むかもしれません。だれかがヨブの友と同じように,わたしたちを偽って非難することさえあるかもしれません。マクミラン兄弟が言ったように,サタンは『わたしたちを付け回す』かもしれません。しかし,わたしたちは耐え忍ぶことができます。
23 これまでに見たとおり,ヨブは様々な試練を耐え忍んでいました。しかし,ヨブはやっとのことで耐え忍んでいたのでしょうか。実際には,すっかり気力をなくしていたのでしょうか。ヨブが本当に希望をすべて失っていたのかどうか,調べてみましょう。
-
-
ヨブの受けた報い ― 希望のよりどころものみの塔 1994 | 11月15日
-
-
ヨブの受けた報い ― 希望のよりどころ
「エホバは後に,ヨブの終わりをその始めよりも祝福された」― ヨブ 42:12。
1 エホバはご自分の民が試練に遭って非常に弱った時でさえ,彼らのためにどんなことを行なわれますか。
エホバは『ご自分を切に求める者に報いてくださいます』。(ヘブライ 11:6)また,一意専心ご自分に仕える民には,たとえ彼らが試練に遭って弱くなり,死んだような状態になったとしても,動機を与えて勇敢に証言できるようにされます。(ヨブ 26:5。啓示 11:3,7,11)このことは,苦しんでいたヨブの場合にも真実でした。ヨブは,慰問に来たはずの3人の友からさんざんそしられましたが,人を恐れて口をつぐんだりはせず,むしろ大胆に証言しました。
2 エホバの証人は,迫害や患難を経験しましたが,その試練からどのような状態で出て来ましたか。
2 今日の多くのエホバの証人は,死にそうになるほどの激しい迫害や患難を経験しました。(コリント第二 11:23)しかし,ヨブと同じように,彼らは神への愛を示し,義を行なってきたのです。(エゼキエル 14:14,20)彼らはまた,エホバを喜ばせようとの決意を抱き,大胆な証しを行なうよう力づけられ,真の希望にあふれて試練から出て来ました。
ヨブは大胆に証言する
3 ヨブは最後の発言の際に,どんな証言を行ないましたか。
3 ヨブは最後の発言の際に,それまでよりも一層力強い証言を行ないました。ヨブは偽慰問者たちを完全に沈黙させました。ヨブは痛烈な皮肉を込めてこう言いました。「あなたは無力な者にとって何とまあ助けになったのだろう」。(ヨブ 26:2)ヨブはエホバをほめたたえました。エホバはその力によってこの地球を宇宙空間に掛け,地の上空に水分の充満した雲を浮かせておられるのです。(ヨブ 26:7-9)それでも,そうした驚異的な事柄さえ『エホバの道の外縁にすぎない』と,ヨブは言いました。―ヨブ 26:14。
4 ヨブは忠誠について何と言いましたか。ヨブが自分自身のことをそのように言えたのはなぜですか。
4 ヨブは自分の身の潔白を確信していたので,「わたしは息絶えるまで,自分の忠誠を自分から奪い去らない!」と宣言しました。(ヨブ 27:5)ヨブは浴びせられた見当違いの非難とは逆に,あのような災難に見舞われるのが当然と言えるようなことは何一つ行なっていませんでした。ヨブは,エホバが背教者の祈りを聞かれず,忠誠を保つ人に報いをお与えになることを知っていました。このことから思い起こせるのは,間もなくハルマゲドンのあらしによって邪悪な者たちが権力の座から除かれ,彼らは神の厳しいみ手を逃れられない,ということです。その時まで,エホバの民は忠誠のうちに歩みます。―ヨブ 27:11-23。
5 ヨブは真の知恵をどのように定義しましたか。
5 ヨブの話をあの世故にたけた三人組が聴いているところを想像してみてください。ヨブは人が技術を駆使して地中や海中の金銀その他の宝を見つけようとしてきたことを示しています。「しかし袋一杯の知恵は袋一杯の真珠よりも値打ちがある」と,ヨブは言いました。(ヨブ 28:18)ヨブの偽慰問者たちは真の知恵を買うことができませんでした。知恵の源は,雨,稲妻,雷鳴などの創造者です。実際,「エホバへの[敬虔な]恐れ ― これこそ知恵であり,悪から離れることが悟り」なのです。―ヨブ 28:28。
6 ヨブが自分の以前の生活について話したのはなぜですか。
6 ヨブは苦しみを経験しながらも,エホバに仕えることをやめませんでした。この忠誠の人は,至高者から遠ざかるのではなく,以前に享受していた「神との親密さ」を慕い求めました。(ヨブ 29:4)ヨブは,自分が『苦しむ者を救出し,義を身に着け,貧しい者のための真の父となった』ことを回想しましたが,自慢していたわけではありません。(ヨブ 29:12-16)そうではなく,エホバの忠実な僕としての自分の人生における事実を列挙していたにすぎません。あなたはそのような立派な記録を打ち立ててこられましたか。もちろん,ヨブは,信心深そうなふりをした3人のぺてん師の述べた非難が偽りであることを暴露してもいたのです。
7 ヨブはどのような人でしたか。
7 ヨブは年下の者たちからあざ笑われました。ヨブだったら『彼らの父たちを自分の群れの犬と一緒にすることさえしなかったでしょう』。ヨブは忌み嫌われ,つばを吐きかけられました。ヨブは非常に辛く苦しい状況にありましたが,何の思いやりも示されませんでした。(ヨブ 30:1,10,30)しかし,ヨブはエホバに全く専心していたゆえに,清い良心を抱いており,「神は正確なはかりでわたしを量り,神はわたしの忠誠を知ってくださるであろう」と言うことができました。(ヨブ 31:6)ヨブは姦淫を行なう者でも陰謀を企てる者でもありませんでした。困窮している人を見れば必ず助けました。富んではいましたが,決して物質的な富に頼ってはいませんでした。さらに,ヨブは,月などの無生物に傾倒することにより偶像礼拝にかかわる,ということもありませんでした。(ヨブ 31:26-28)神に依り頼み,忠誠を保つ人としての立派な模範を示しました。ヨブは,あれほどの苦しみのもとでも,偽慰問者たちを前にして,見事な弁明を繰り広げ,すばらしい証言を行ないました。ヨブの言葉は終わり,ヨブは神を自分の裁き主また報いを与えてくださる方として仰ぎました。―ヨブ 31:35-40。
エリフが話す
8 エリフとはどんな人でしたか。エリフは敬意と勇気の両方をどのように表わしましたか。
8 すぐ近くに青年エリフがいました。ナホルの息子ブズの子孫であり,それゆえにエホバの友アブラハムの遠い親戚に当たる人です。(イザヤ 41:8)エリフは討論の当事者双方の言い分に耳を傾けることにより,年長者に対する敬意を示しました。それでも,彼らの間違っている点に関しては,勇敢に話しました。例えば,ヨブが「神よりもむしろ自分の魂を義と宣したこと」に対して,エリフの怒りが燃え盛りました。エリフの憤りは特に,偽慰問者たちに向けられました。偽慰問者たちの述べた言葉は神を高めているかのようですが,実際には,その論戦でサタンの側に立つことにより神をそしるものだったのです。エリフは「言葉で満ち」,聖霊に動かされ,エホバの公平な証人となりました。―ヨブ 32:2,18,21。
9 エリフはヨブが回復することをそれとなくどのように述べましたか。
9 ヨブは神の正しさよりも自分自身の正しさを立証することに関心を向けるようになっていました。事実,ヨブは神と争っていました。しかし,ヨブの魂が死に瀕した時に,回復の見込みがそれとなく知らされました。どのようにでしょうか。それはこうです。エリフが心を動かされて,エホバはヨブに恵みとしてこのような音信をお伝えになった,と言ったのです。「坑に下るのを彼に免れさせよ! わたしは贖いを見いだした! 彼の肉は若いころよりもみずみずしくなり,その若い時の精力の日に返るように」― ヨブ 33:24,25。
10 ヨブはどの程度まで試されることになっていましたか。しかし,わたしたちはコリント第一 10章13節に照らしてどんなことを確信できますか。
10 エリフは,忠誠を保つことによって神を喜びとしたところで何の益もないとヨブが言ったことで,ヨブを正しました。エリフはこう言いました。「まことの神が邪悪なことを行なったり,全能者が不正を行なったりすることなど決してない! 地の人の行なう仕方にしたがって神は人に報い……られるからである」。ヨブは性急にも自分の義を強調しましたが,そのような行動をしたのは十分な知識や洞察力がなかったからです。エリフはさらに,「ヨブが極限まで試されるように。有害な人々の中でのその返答のことで」と言いました。(ヨブ 34:10,11,35,36)同様に,わたしたちの信仰と忠誠も,何らかの点で『極限まで試されて』初めて十分に証明され得るのです。とはいえ,愛ある天の父は,わたしたちが耐えられる以上に誘惑されるままにはされません。―コリント第一 10:13。
11 わたしたちは厳しい試みに遭ったなら,どんなことを思い出すべきですか。
11 エリフは言葉を続け,ヨブが自分は義にかなっているという点に強調を置きすぎていることを再び示しました。注意はわたしたちの偉大な造り主に向けられるべきです。(ヨブ 35:2,6,10)「神は邪悪な者を生かしておくことをされず,苦しむ者たちの裁きを与えられる」と,エリフは言いました。(ヨブ 36:6)だれ一人,神の道の責任を問い,神は義にかなっていないと言える人はいません。神はわたしたちが知り得る以上に高められており,その年は無限で探り得ません。(ヨブ 36:22-26)わたしたちは厳しい試みに遭ったなら,永久に生きておられる神が義なる方であり,神に賛美となるわたしたちの忠実な活動に報いてくださることを思い出すようにしましょう。
12 エリフの最後の言葉は,神が邪悪な者たちに裁きを執行されることについて何を示唆していますか。
12 エリフが話している間に,あらしが起きようとしていました。あらしが近づくにつれ,エリフの心はときめき,おののき始めました。彼はエホバの行なわれた大いなる事柄について話し,こう言いました。「ヨブよ,ぜひこのことに耳を向けるように。立ち止まって,神のくすしいみ業にあなたが注意深いことを示せ」。ヨブと同じく,わたしたちも神のくすしいみ業と畏怖の念を起こさせる尊厳に注意を払わなければなりません。エリフはこう言いました。「全能者については,わたしたちはこれを見いださなかった。神は力において高められている。そして,公正と義の豊かさとを軽視なさることはない。それゆえ,人々は神を恐れるように」。(ヨブ 37:1,14,23,24)エリフの最後の言葉から,わたしたちは次のことを思い起こします。すなわち,神は間もなく邪悪な者たちに裁きを執行する時,公正と義を軽視されず,神を恐れる人たちをご自分の敬虔な崇拝者として保護される,ということです。エホバを宇宙主権者と認めるそのような忠誠を保つ人々の一人であることは,なんという特権でしょう。ヨブのように忍耐してください。決して悪魔に,それら幸福な群衆の中の祝福された場所から引き離されてはなりません。
エホバがヨブにお答えになる
13,14 (イ)エホバはヨブに,何に関して質問し始められましたか。(ロ)神がヨブに対して投げかけた他の質問から,どんなことを学べますか。
13 ヨブは風あらしの中でエホバから話しかけられた時,大いに驚き惑ったに違いありません。そのあらしは,サタンが家を倒壊させてヨブの子供たちを殺すために使った大風とは違い,神の業でした。ヨブは神から次のように問いかけられた時,口も利けませんでした。「わたしが地の基を置いたとき,あなたはどこにいたのか。……だれがその隅石を据えたのか。明けの星が共々に喜びにあふれて叫び,神の子たちがみな称賛の叫びを上げはじめたときに」。(ヨブ 38:4,6,7)エホバはヨブに,海や,その雲の衣,夜明け,死の門,光と闇,星座などについて次から次へと質問を投げかけました。ヨブは,「あなたは天の法令を知っているのか」と問われた時,何も言えませんでした。―ヨブ 38:33。
14 他の数々の質問は,人間が創造されて魚や鳥や獣やはうものを治める権限が与えられる前に,神がそれらのもののための必要物を ― 何ら人間の助けや助言を受けずに ― 備えておられたことを示唆しています。エホバはさらに質問し,その中で野牛,だちょう,馬などの被造物を引き合いに出されました。ヨブは,「鷲が高く飛び上がるのは,あなたの命令によるのか。その巣を高い所に作るのは」と尋ねられました。(ヨブ 39:27)もちろん,ヨブの命令によるのではありません。神から,「とがめだてする者が全能者と争おうとするのか」と言われた時のヨブの反応を想像してみてください。ヨブがこう言ったのも不思議ではありません。「ご覧ください,私は取るに足りない者となりました。あなたに何と返答致しましょう。私の手を私は口に当てました」。(ヨブ 40:2,4)エホバは常に正しいのですから,わたしたちはもしも神に不平を言いたくなったとしたら,『自分の手を口に当てる』べきです。神の質問はまた,創造物のうちに表明されている神の優越性や尊厳や力を大いなるものとしています。
ベヘモトとレビヤタン
15 一般にベヘモトはどんな動物と考えられていますか。どんな特徴がありますか。
15 エホバは次にベヘモトに言及されました。一般には,カバのことであると考えられています。(ヨブ 40:15-24)体が大きく,相当な体重があり,皮膚が固いことで際立っているこの草食動物は,『青草を食べ』ます。その力とエネルギーの源はその腰とその腹の腱にあります。足の骨の強さは「銅の管」と同じです。ベヘモトは水が奔流となっても慌てふためかず,難無く流れに逆らって泳ぎます。
16 (イ)レビヤタンに関する描写は,どんな被造物に適合しますか。その生き物については,どんな事実がありますか。(ロ)ベヘモトやレビヤタンの力を考えると,エホバへの奉仕において割り当てられた務めを果たすことに関し,何を認識できますか。
16 神はまた,ヨブにこうお尋ねになりました。「あなたは釣り針でレビヤタンを引き出すことができるか。また,綱でその舌を押さえつけることができるか」。レビヤタンに関する描写は,ワニに適合します。(ヨブ 41:1-34)ワニはだれとも平和の契約を結ばないでしょう。賢い人はだれも,この爬虫類を起こすような向こう見ずなことはしません。矢でもこれを追い払うことはできず,「これは投げ槍のうなる音をあざ笑う」のです。レビヤタンがいきり立つと,深みが塗り油を作る時のなべのように沸き立ちます。レビヤタンやベヘモトがヨブよりもはるかに強力であるという事実は,ヨブを謙虚な気持ちにならせました。わたしたちも,元来力強い者ではありません。蛇であるサタンの毒牙にかからないようにするため,またエホバへの奉仕において自分に割り当てられた務めを果たすためには神から与えられる知恵と力が必要であることを謙虚に認めなければなりません。―フィリピ 4:13。啓示 12:9。
17 (イ)ヨブはどのように「神を見」ましたか。(ロ)ヨブが数々の質問に答えられなかったことで何が証明されましたか。この点を認識すれば,わたしたちはどんなことを理解できますか。
17 ヨブはすっかり謙虚になり,自分の見地が間違っていたこと,また自分が知識もないのに話していたことを認めました。とはいえ,自分が『神を見る』であろうという信仰は表明していました。(ヨブ 19:25-27)しかし,人間はだれもエホバを見てなお生きることなどできないのに,どうしてそのようなことがあり得るのでしょうか。(出エジプト記 33:20)実のところ,ヨブは神の力の表われと言えるものを見,神の言葉を聞き,エホバについての真理に対して理解の目を開かれました。それゆえにヨブは,「撤回し,塵と灰の中でまさしく悔い改め」ました。(ヨブ 42:1-6)ヨブが答えることのできなかった質問は数多く,その事実は神の至上性を証明し,ヨブのような一意専心エホバに仕えていた者でさえそうであったように,人間の弱小さを明らかにしました。この点を認識すれば,わたしたちは,自分の権益を,エホバのみ名が神聖なものとされることやエホバの主権の正しさが立証されること以上に重要視するべきではない,ということを理解できます。(マタイ 6:9,10)わたしたちは,エホバへの忠誠を保つこと,またエホバのみ名に誉れを帰することを自分のおもな関心事とすべきです。
18 ヨブの偽慰問者たちは何をしなければなりませんでしたか。
18 しかし,独善的な偽慰問者たちについてはどうでしょうか。エホバは,ヨブとは違って神について真実なことを語らなかった罪でエリパズとビルダドとツォファルを殺したとしても正当だったでしょう。神はこう言われました。「自分たちのために雄牛七頭と雄羊七頭を取って,わたしの僕ヨブのところに行き,あなた方は自分たちのために焼燔の犠牲をささげなければならない。そうすれば,わたしの僕ヨブがあなた方のために祈るであろう」。その三人組はへりくだって従わざるを得ませんでした。忠誠を保ったヨブは彼らのために祈ることになり,エホバはその祈りを受け入れられました。(ヨブ 42:7-9)ところで,ヨブに神をのろって死ぬよう勧めた,ヨブの妻はどうでしょうか。どうやら彼女は,神の憐れみにより,ヨブと和解したようです。
報いが約束されているので希望を持てる
19 ヨブに関連して,エホバは悪魔に対する優越性をどのように示されましたか。
19 ヨブが身に降り懸かった苦難のことでくよくよするのをやめて神への奉仕を再開するとすぐ,エホバはヨブのために事態を変化させました。ヨブが三人組のために祈ったあと,神は「彼の捕らわれた状態を元に戻し」,「すべてヨブのものであったものを,二倍にして」与えられました。エホバは,人を病毒で冒すサタンの手を押しとどめてヨブを奇跡的にいやすことにより,悪魔に対するご自分の優越性を示されました。神はまた,悪霊の群れを追い払い,再びヨブの周りをみ使いの陣営で囲んで悪霊たちを寄せつけないようにされました。―ヨブ 42:10。詩編 34:7。
20 エホバはどのような形でヨブに報いと祝福をお与えになりましたか。
20 ヨブの兄弟姉妹や以前彼を知っていた人たちは,やって来てはヨブと一緒に食事をし,ヨブに同情し,エホバがヨブに臨むのを許された災いのことで彼を慰めました。皆それぞれヨブに金子や金の輪を贈りました。エホバはヨブの終わりをその始めよりも祝福されたので,彼は羊1万4,000頭,らくだ6,000頭,牛1,000対,雌ろば1,000頭を持つようになりました。ヨブはまた,以前と同じ数の,7人の息子と3人の娘を持つようになりました。彼の娘たち ― エミマ,ケツィア,ケレン・ハプク ― は,その地で最もきれいな女性であり,ヨブは彼女たちにもその兄弟たちの間で相続物を与えました。(ヨブ 42:11-15)そのうえ,ヨブはさらに140年生き長らえ,自分の子孫の4世代を見ました。記述の結びには,「やがてヨブは年老い,よわいに満ち足りて死んだ」と記されています。(ヨブ 42:16,17)ヨブの寿命が延びたことは,エホバ神の奇跡的な業でした。
21 わたしたちはヨブに関する聖書の記述によって,どのように助けられますか。わたしたちは何をするよう決意すべきですか。
21 わたしたちはヨブに関する聖書の記述によって,サタンの謀略をはっきり知ることができ,宇宙主権がどのように人間の忠誠と関連しているかを理解するよう助けられます。ヨブと同じく,神を愛する人はみな試されるでしょう。しかし,わたしたちはヨブと同じように耐え忍ぶことができます。ヨブは信仰と希望を抱いて試練を切り抜け,多くの報いを受けました。今日のエホバの僕であるわたしたちは,真の信仰と希望を抱いています。そして,報いを与えてくださる偉大な方は,わたしたち一人一人の前に実に壮大な希望を置いてくださっています。油そそがれた者たちにとって,天的な報いを思いに留めることは,地上での生涯の残りの期間,忠節に神に仕える助けになるでしょう。地的な見込みを抱いている人のうち多くの人は決して死ぬことがありませんが,死ぬ人たちはヨブと共に地上の楽園への復活によって報われるでしょう。神を愛するわたしたちは皆,心と思いにそのような真の希望を抱き,忠誠を保つ人として,またエホバの宇宙主権の忠実な擁護者としてエホバの側にしっかり立つことにより,サタンが偽り者であることを証明してゆきましょう。
-