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    目ざめよ! 1989 | 5月22日
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      以下の質問を注意深く考慮してください

      ✔ あなたは減量する必要がありますか

      ✔ 減量したいと思いますか

      ✔ 栄養価の低い食品を避けますか

      ✔ カロリー計算をしますか

      ✔ 定期的に運動をしますか

      ✔ 新陳代謝が助けになりますか

      ✔ 問題は腺障害ですか

      ✔ 脂肪細胞の肥大ですか

      ✔ 脂肪細胞過多ですか

      ✔ 遺伝子の欠陥ですか

      ✔ 減量の目標は現実に即していますか

      ✔ 減量した状態を保てますか

      最重要事項: あなたの意志と持久力はどれほど強いものですか

  • 減量のための努力は勝ち目のない闘いですか
    目ざめよ! 1989 | 5月22日
    • 減量のための努力は勝ち目のない闘いですか

      この闘いに勝利を収めるのは,やせている人が考えるほど簡単なことではない

      これは各方面で繰り広げられている闘いです。絶食すれば,ぜい肉はすぐに落ちます。流動食にすれば,割と早く減量できます。ジョギングも減量に効果があります。歩くだけでもぜい肉は徐々に減ってゆきます。カロリー計算をして,取り入れる食物の記録を付ける人もいれば,思い切った手段に訴える人もいます。食べ物を前にした時に意志の弱さに負けないよう針金であごを固定した人や,手術によって消化管の特定の部位にバイパスを設けたり,胃を切除したり,また脂肪の層から脂肪の塊を吸い取る処置を施してもらった人もいます。これほど様々な方法があるのですから,勝利はすぐに得られるに違いありません。

      ところが,それほど速やかに勝利を収められるわけではありません。脂肪細胞は一度敗北してもまた勢力を盛り返します。多くの場合,前よりも勢いを増して再びぜい肉が付いてきます。勝利を収めたかと思えば惨敗を喫し,闘いは一進一退を繰り返します。苦闘が長引き,挫折感が漂い始めると,食餌制限に疲れた人は降参してしまいたくなります。しかし,降参すべきではありません。先は長く,道は厳しくとも,たゆむことなく努力する人には勝利が約束されています。ですから,気を取り直し,闘いが熾烈なものであればそれだけ勝利も喜ばしいものになる,ということを思い出すようにしましょう。脂肪に対する闘いを始めるに当たって,自尊心や自信を保つために気持ちを引き締めなければなりません。社会的な軽べつに耐え,痩身美に夢中になった社会からの非難を忍ばねばならないかもしれません。

      だれかに客として招かれた時,自分が食べてはいけない食物を,何も知らない主人から勧められたなら,断わらなければなりません。偏見を抱く人が邪険な批判をし,あなたに大食家という汚名を着せても,それに耐えてゆかねばなりません。a 前者は親切心によってあなたの心をくじき,後者はあなたの外見からあなたについて早計な判断を下します。

      「食べ過ぎなければ,太り過ぎることはない」という,単純に割り切ったお決まりの文句は無視しなければなりません。そういう言葉を聞くと,問題は単純のように思えますが,実際は非常に複雑なのです。確かに,燃焼する分量以上のカロリーを取らなければ体重は増えないのですが,多くの場合,カロリーは摂取量全部が燃焼するわけではありません。いろいろな原因があって,カロリーの多くは脂肪細胞の中に脂肪として蓄えられます。それで,太り過ぎの人にとって,手ごわい敵と闘っていることを認めて支えとなってくれる友人がいなければ,それは孤独な闘いとなる場合があります。実際,それは大変な苦しみになることがあります。

      しかし,その苦闘の複雑さについて理解する前に,自分には減量する必要があるのだろうかという,考えてみるべき質問があります。一部の国々では,やせることが一種の盲目的崇拝になっています。中にはやせ過ぎて栄養失調になってしまったり,神経性食欲不振症や多食症という極端にまで進んでしまう人もいます。体重だけを基準に判断するよりもむしろ,体に占める脂肪の割合を指針としたほうがよい,と科学者たちは考えています。男性の場合,脂肪が体重の20なしい25%,女性の場合は25ないし30%になったときに,体重の多い人は肥満体と定義されます。

      言うまでもなく,身長と体重だけを基にした表にある特定の数値で判断するのは不適当です。ある研究者はこう述べています。「だが,二人の人の身長と体重が同じであっても肥満の程度や全般的な体調は大いに異なる場合があるという点は,その表には現われていない。体積は同じでも脂肪の付いていない組織や筋肉のほうが脂肪よりも重いので,体重だけでは健康状態について余りよい判断はできない」。7ページの表のような,年齢や性別や体型を考慮に入れたうえで体重の許容範囲を示した表は,やはり完全とは言えないものの,より信頼のおける指針となります。

      脂肪細胞は,場所を,それも余りにも多くの場所を取って体じゅうに沈着しているので,極めて無精な代物だと考える人は少なくありません。脂肪組織はトリグリセリド(脂肪)の単なる貯蔵所ではありません。脂肪組織のおよそ95%は不活性の脂肪ですが,残りの5%は,血液や血管などの構造物質と,体の新陳代謝に関係する細胞に存在しています。それらの細胞は非常に貪欲な場合があり,脂肪組織の中を通っている毛細血管を流れる血液から栄養素をむさぼり取り,脂肪に変えてゆきます。脂肪を合成したり,合成された脂肪を脂肪酸にして体のエネルギーの必要を満たすため血液中に放出したりする働きを促進するのは特定のホルモンです。ある人々は絶望的になりますが,脂肪細胞は無精どころか,残業までしているのです。

      脂肪細胞はいったん体内に定着すると,それ自体が大きくなるだけで数は増えない,と以前には考えられていましたが,最近の研究では,その逆であることが証明されました。ある科学文献はこう述べています。「脂肪組織の貯蔵容量は,初めは脂肪細胞の中身である貯蔵脂肪,トリグリセリドが増えることによって増大するが,後に,利用可能な脂肪細胞がすべて飽和状態になると,新しい脂肪細胞が形成されることによって増大する」。ほとんど空の状態の時は脂肪細胞は非常に小さいのですが,脂肪を含むにつれてその直径は10倍の大きさになる場合があります。それは体積が約1,000倍に増大するという意味です。

      体内には,脂肪が集まりやすい特定の脂肪貯蔵所があります。男性の場合はウエスト,女性の場合は臀部や大腿部です。そのような人たちは皮下脂肪を減らすかもしれませんが,それらの部位の脂肪はなかなか減りません。研究者たちは,脂肪細胞の表面に小さな分子があることを発見しました。それらはアルファおよびベータ受容体と呼ばれています。アルファ受容体は脂肪の蓄積を刺激し,ベータ受容体は脂肪の分解を促進します。脂肪の蓄積を促す受容体は,女性の臀部や大腿部の脂肪細胞に,また男性の腹部に沢山あります。ある女性は体の脂肪を15%減らしましたが,臀部や大腿部の脂肪は実質上全く減りませんでした。ある男性は大幅な減量に成功しましたが,腹部は依然として太鼓腹です。

      カロリー計算は,多くの人が考えるほど簡単な減量法ではありません。カロリーはどれも同じというわけではありません。炭水化物で100カロリーを摂取すれば,そのうちの77%は体の脂肪として蓄えられるかもしれません。23%は炭水化物を消化するのに消費されます。しかし,バターで100カロリーを摂取すれば,97%は脂肪として蓄えられ,消化の際には3%しか消費されません。その理由は,油脂食品は,すでに化学的に体の脂肪と近似しているので,脂肪として蓄えられるのがずっと容易だからです。カロリー計算は話の一部にすぎません。カロリーの源も重要です。カロリーは等しくても,脂肪の多い食物のほうが炭水化物よりも,体を太らせる可能性は大きく,滋養分は少ないのです。ある研究で,幾人かの男性は炭水化物の多い食事ばかり7か月間続けて体重が14㌔増えましたが,脂肪の多い食事ばかり続けた男性は3か月で14㌔太りました。

      流動食にすればもっと早く減量できますが,しばしば合併症を引き起こします。1970年代に液体タンパク食餌療法が奨励されましたが,1977年の終わりまでに,その結果として60人ほどの人が死亡したと言われています。それらの死者の多くの直接の死因は,心室の不整脈,すなわち心室の急激かつ不規則な拍動だったと考えられています。現在の流動食は,タンパク質だけでなく,炭水化物,脂肪,ビタミン,ミネラルなども添加されることにより改良されてきました。しかしそうではあっても,急激な減量を引き起こすそのような低エネルギー食餌療法にはやはり欠点があります。

      急激な減量を引き起こす大幅なカロリー削減食餌療法を行なうと,体の新陳代謝が鈍くなります。24時間もたたないうちに代謝速度が落ち始め,2週間で20%も落ちてしまうことがあります。低カロリーの流動食について尋ねられたある医師は,それに関して次のように述べました。「カロリーが非常に少ないので新陳代謝はゆっくりしたものになります。それで,怒りっぽくなったり,疲れやすくなったりします。それに,長期的に見れば,減る体重の70%までは,脂肪ではなく,筋肉です」。食餌制限をする人は,筋肉ではなく,脂肪を減らしたいと思っています。筋肉組織は体の中で一番カロリーを燃焼させる所です。それが減少すると,体の基礎代謝率,つまり呼吸や細胞の修復といったごく普通の,体の機能を維持するために用いられるエネルギー量は低下します。それは体が消費するエネルギーのおよそ60ないし75%に相当します。

      このように代謝が低下するので,厳しい食餌制限を数週間続けると,体重がそれ以上減らなくなる場合が多いのです。16歳の時から食餌制限によって減量を続けてきたある女性は,初めての子供を出産した時,体重が約11㌔増えましたが,すぐに減量できました。ところが二番目の子供を出産した後,体重が約22㌔増え,今度は減量できませんでした。彼女はこう報告しています。「減量クリニックへ行って,食事の量を1日500カロリーに抑えたことがありました。最初の月に4.5㌔,翌月には0.9㌔減ったのですが,その後の2か月間は,忠実に計画に従ったのに,体重は全く減りませんでした。カロリー摂取を1日800カロリーに上げたら,週に0.9㌔の割で体重が増えてゆきました。とても辛い思いをして5.4㌔減らしたのに結局またそれだけ増えてしまって,本当にがっかりしました」。

      急な食餌制限をすると,代謝が鈍くなるのに加え,脂肪の貯蔵を調節するリポプロテイン・リパーゼという酵素がより活発になって脂肪を蓄えてゆくことがあります。いったん減量しても,再び通常の食事を始めると体重が元に戻ってしまうことがあるのはそのためです。事実,大多数の人 ― 極度の肥満体の人々の95%,また全体の66% ― は,減量してもまた元の体重に戻ります。とはいえ,元に戻る体重のほとんどは,減った筋肉ではなく,脂肪なのです。筋肉が少なければ,代謝も低下するため,さらに多くの脂肪が蓄えられてゆくことになります。

      以前に食餌制限をして減量したものの,また体重が元に戻ってしまった人の場合,その後の食餌制限で再び減量するのは前よりももっと困難になる,という点にある研究者は注目し,「食餌制限をすると,後から行なう減量が抑制されるのだろうか」と考えました。肥満体のネズミを使ったテストが行なわれました。最初の食餌制限では,余分の体重を減らすのに21日かかり,食餌制限をやめた後,元の体重に戻るのに45日かかりました。2度目の食餌制限では,減量に46日かかりましたが,元の体重に戻るのに14日しかかかりませんでした。減量に要する期間は2倍,元の体重に戻る速さは3倍ということです。

      人の場合も同じなのでしょうか。111人の患者は,低カロリー食で1週間に平均1.4㌔やせましたが,二度目に同じ食餌制限を行なった時には,1週間に1㌔しかやせませんでした。こうした結果は,他の二つのグループの人々を対象に行なわれた追試によって立証されました。

      多くの専門家は,肥満を病気と呼び,それは遺伝子の問題であり,生まれつきのもので,体には体重の設定値というものがあって,ある人は太るよう定められているのかもしれない,と言います。しかし,肥満に関するこの理論にすべての科学者が同意しているわけではありません。「ニューヨーク科学アカデミー紀要」によれば,太り過ぎは,何が根本原因であるにせよ,体の化学作用の変化が問題となっているようです。「肥満状態は,いったん定着すると,肥満そのものが引き起こす新陳代謝の二次的変化によって安定させられるのかもしれない」と述べられています。

      同「紀要」は,その設定値理論をも疑問視し,「本誌は,どちらの仮説についても裏づけとなる証拠をほとんど何も提示していない」と述べています。太り過ぎの原因としては腺障害,特に代謝の調節に主要な役割を果たす甲状腺の障害が挙げられています。しかし,甲状腺の機能不全の原因は食べ過ぎにあるという点を指摘する人もいます。その点について米国テキサス州のリグル博士はこう述べています。「下垂体だけでなく甲状腺も代謝をつかさどっている。しかし,人が栄養の偏った食習慣を始めると,それらの腺は自らが作り出す物質の生成に必要な養分が得られなくなる,ということを忘れてはならない。ゆえに,腺障害は無思慮な食習慣が発端となる場合がある」。

      肥満について研究している人をも含めて,多くの人が肥満の原因としてすぐに連想するのは,食べ過ぎです。「しかし,ほとんどの肥満体の人々にとって,余分の体重や脂肪組織の蓄積は,長期にわたるもの,そして多くの場合,知らないうちに進行するものらしい。つまり,多くの日々にわたり,筋肉や代謝作用に使われるカロリー以上に過度にカロリーが吸収されるのだ」。(「ニューヨーク科学アカデミー紀要」,1987年,343ページ)身に及ぶ健康上の危険を考えると,これは確かにまじめに考えなければならない問題です。

      「数多くの健康上の危険は肥満と関連している。肥満が原因で心肺機能が損なわれ,内分泌腺の機能が変化し,情緒障害が引き起こされることがある。高血圧症,耐糖能異常,高コレステロール血症などは,普通の体重の人よりも太り過ぎの人たちによく見られる。それゆえ,肥満のために,高血圧,卒中,II型すなわちインシュリン非依存型糖尿病,ある種のガン,胆嚢の病気などにかかる率やそういう病気で死亡する率が高くなるのも驚くべきことではない。長期的に見れば,肥満はアテローム性動脈硬化による心臓病の,独立した危険要因とも考えられる」― アメリカ医師会ジャーナル,1988年11月4日,2547ページ。

      穏やかならぬ話ではありませんか。しかし,決して難しい言葉が羅列されているからではありません。減量がどうしても勝利を収めなければならない闘いであることは明らかです。勝利を収めるのに役立つ方法があるでしょうか。

      [脚注]

      a 大食に関する聖書的論考については,「ものみの塔」誌,1986年5月1日号,31ページをご覧ください。

      [4ページの拡大文]

      脂肪細胞は無精どころか,残業までしている

      [5ページの拡大文]

      食餌制限をすると,後から行なう減量が抑制されるのだろうか

      [6ページの拡大文]

      健康上の危険を考えると,これは確かにまじめに考えなければならない問題である

      [7ページの図表]

      骨格別に見た身長と体重

      身長(㌢) 体重(㌔)

      きゃしゃな 中ぐらいの がっしりした

      骨格の人 骨格の人 骨格の人

      男性

      157 58-61 59-64 63-68

      160 59-62 60-65 64-69

      163 60-63 61-66 64-71

      165 61-64 62-67 65-73

      168 62-64 63-68 66-74

      170 63-66 64-70 68-76

      173 64-67 66-71 69-78

      175 64-68 67-73 70-80

      178 65-70 68-74 72-82

      180 66-71 70-75 73-83

      183 68-73 71-77 74-85

      185 69-74 73-79 76-87

      188 70-76 74-81 78-89

      190 72-78 76-83 80-92

      193 73-80 78-85 82-94

      女性

      147 46-50 49-55 54-59

      150 47-51 50-56 54-61

      152 47-52 51-57 55-62

      155 48-54 52-59 57-64

      157 49-55 54-60 58-65

      160 50-56 55-61 59-67

      163 52-58 56-63 61-68

      165 53-59 58-64 62-70

      168 54-60 59-65 64-72

      170 56-62 60-67 65-74

      173 57-63 62-68 66-76

      175 59-64 63-69 68-77

      178 60-66 64-71 69-78

      180 61-67 66-72 70-80

      183 63-68 67-73 72-81

      [クレジット]

      Society of Actuaries and Association of Life Insurance Medical Directors of Americaの許可を得て転載(元のヤード・ポンド法に基づく数値からメートル法への換算[概数]は本誌)

  • 4原則で減量に成功
    目ざめよ! 1989 | 5月22日
    • 4原則で減量に成功

      国際誌である「目ざめよ!」誌は,世界の様々な場所で広く見られる問題を取り上げますが,健康や医療に関する事柄を取り上げる場合,特定の療法を推奨もしくは推薦する意図はありません。

      ふさわしい食物を,ふさわしい時に,ふさわしい量だけ食べ,ふさわしい運動をする

      自分の体の脂肪細胞を嫌悪しないでください。それらはすばらしい細胞なのです。それらの細胞は重要な機能を果たすように設計されています。糖や脂肪酸から脂肪を造るのです。脂肪を蓄える場所が必要になると,それ自体が大きくなります。もっと必要になると,新たに細胞を造り,そこに脂肪を満たします。エネルギーを脂肪の形で蓄える驚嘆すべき細胞です。それは脂肪細胞の特性なのです。肝臓はエネルギーを貯蔵する媒体としてのグリコーゲン1ポンド(約450㌘)に250カロリーしか収められないのに対し,脂肪細胞1ポンドの中には3,500カロリーも蓄えられます。

      脂肪細胞は知らせを受けてそれに従います。また,重要な器官を保護します。要請があり次第,備蓄エネルギーを放出し,それを体内で働く細胞に燃料として供給します。緊急事態の知らせを受けた時には一斉に活動します。命が脅かされているという知らせが送られてきたら救命措置をとり,脂肪の蓄積を始め,迫り来る危機に備えて保存します。

      まだ完全には理解されていないものの,体の免疫機構の中で脂肪が重要な役割を果たしていることは明らかになっています。脂肪細胞は偽の知らせを受けて,危機的な事態になったと思い込む場合があります。思い切った食餌制限をすると,脂肪細胞には体が飢餓状態になりそうだ,餓死しそうだというのと同じ知らせが伝えられることがあるのです。脂肪細胞は脂肪を分解するどころか,実際には保存し,カロリーの放出をほんの少量に抑えるようになります。しかし,脂肪細胞にはその違いを見分ける術がありません。反応するよう設計されたとおりに反応するだけです。現在の必要よりも将来のもっと危機的な必要を予見してエネルギーを蓄えます。1987年3月号のペアレンツ誌は,考えられる説明として,「食餌制限の頻度が高くなればなるほど,つまり体が飢きんの状態を頻繁に感じれば感じるほど,それだけいっそう脂肪細胞は自らの貴重な原料を手放そうとしなくなる」と述べています。

      体も筋肉をブドウ糖に変えることによって当面の危機に対処しようとします。脳にはそのブドウ糖がなければなりません。さもなければ,体全体が機能を停止してしまうでしょう。でも,減らしたいのは筋肉ではありません。脂肪です。思い切った食餌制限をしても勝ち目はありません。では,どんな方法があるでしょうか。勝ち目のある方法とは,ふさわしい食物を,ふさわしい時に,ふさわしい量だけ食べ,ふさわしい運動をすることです。ふさわしい精神態度も必要でしょう。減量しようとする人が自分で決めなければなりません。目標に到達できるかどうかは自分にかかっています。

      ふさわしい食物

      カロリーが高く栄養価の低い食物は,減量しようとする人にとってふさわしい食物ではありません。脂肪類と単糖類は,カロリーはありますが,滋養分はありません。体重調整にも栄養補給にもふさわしい食物とは,より複雑な炭水化物,果物,野菜などであり,肉類で好ましいのは魚肉や鳥類の肉です。

      「よくある病気の百科事典」はこう述べています。「減量のための別の基本的な取り組み方は,精製されていない食品,栄養価の高い,加工されていない,天然の食品以外の食物をすべて自分の食事から除外することである。人体には常に,食物からのエネルギー……に加えて,体の働きにあずかる,また体の細胞を修復したり更新したりする,適量のタンパク質,脂肪,ミネラル,およびビタミンが必要である。精製されていない食品[加工されていない食品類]を食べるときは,“実質のない”カロリーではなく,必要な栄養素を摂取していると考えてよいだろう」。

      ふさわしい時

      テレビを見ている時は,ふさわしい時ではありません。何かをつまんでは食べ,それが何時間も続いてしまいます。恐らく,油っこいポテトチップやフレンチフライ,砂糖のたっぷり入ったクッキーや菓子類を食べて実質のないカロリーがいつの間にか何百カロリーにも達してしまうでしょう。油と食塩は風味を添えて後を引き,砂糖は甘党の人の味覚を喜ばせるため,この間食はなかなかやめられないのです。

      「もし1日に取る食物の量を減らすことなく,食事の回数を増やして1回の分量を少なくするなら,体に脂肪が蓄積する傾向は抑えられる,と確信するようになった」栄養学者もいます。「また,一番大切な食事,つまり人の一日で一番カロリーを摂らなくてはいけない食事は朝食である,ということも分かって」います。

      ふさわしい量

      いろいろな種類の食物を十分に食べるようにしましょう。食事の量を切り詰めて脂肪細胞をあわてさせるとどんなことになるかはお分かりでしょう。減量の実験で,ネズミに餌を1日1回しか与えないで観察したところ,その期間中に,脂肪を蓄積させる働きをする酵素が10倍に増えました。その報告はこう述べています。「それはあたかもネズミの体が,『こういう緊急事態が再び生じる場合に備えて,今度また食物が得られた時にはいつでもすぐに余分の脂肪を蓄えるぞ』と言っているかのようだった」。

      ですから,「もし食餌制限をしなければならないのであれば,断食する,あるいは食事を1日1回だけ(本質的には23時間の断食)にするという間違いをしてはならない」と述べられています。ゆっくりした減量で満足することです。週に約0.45㌔かその半分でもいいのです。長い間に脂肪が付いてしまったのですから,時間をかけて減らしてください。それで,十分に食事をして脂肪細胞をリラックスさせておき,脂肪細胞自体のカロリーを少しはその大義のために使わせるようにするのです。しかし,大食してはいけません。適度の食事で十分です。

      時の経過と共に,少しの食事で十分になります。年を取ると筋肉細胞が減り,その分だけ脂肪細胞が増えます。この筋肉の部分が一番多くのエネルギーを必要とするので,その部分が少なくなれば,エネルギーの必要も少なくなり,新陳代謝も緩慢になります。それに応じて食事の量を減らさないなら,脂肪がたまってゆきます。しかも,大抵お年寄りは余り運動をしないので,そうなると食べる物はどんどん脂肪になってゆきます。それでも,「運動すれば筋肉内の脂肪を消散させることができる」と,ある研究者は述べています。しかし,時折パーティーで食べすぎるなら,ふさわしい食餌制限の努力も無駄になる場合があることを忘れてはなりません。

      ふさわしい運動

      科学者のコバート・ベーリは,自著「健康それとも肥満?」の中でこう述べています。「肥満の究極の治療法は運動だ。……決まった予定に従って体に酸素を消費させる運動をする人が太らないことは,分かりきった事実である。もしわたしが体の肥満傾向を抑える錠剤を提供するとしたら,太った人たちは列をなしてそれを求めに来るだろう。わたしはそのような錠剤を現に提供している。ただそれは呑み込むのに1日12分かかる錠剤なのだ」。しかし,大方のデータが示すところによると,体に酸素を消費させる効果が現われるまでには,少なくとも20分間運動を続ける必要があります。

      ベーリが運動と言っているのはエアロビクスのことです。それは心臓の鼓動を速めさせる継続的な運動で,それによって相当量の酸素を体に送り,脂肪を燃焼させます。この種の運動で代表的なものは,ジョギング,縄跳び,自転車をこぐこと,早足で歩くことなどですが,そのような運動計画を実施する前に,医師に相談して指導を仰ぐのは賢明なことです。減量に関する研究をしている人は大抵,運動することを勧めています。次のような記事にそのことが示されています。

      「低エネルギーの食餌療法をしている時に普通生じる[代謝率の低下]は,その療法に身体的活動を組み入れることによって予防もしくは軽減できるかもしれない」―「アメリカ医師会ジャーナル」。

      「減量に関する専門家の一致した意見は,運動を日課として定期的に行なうことが,減量とその維持のための一つの鍵[主要な方法]だということである。循環器系を刺激する運動をすれば,休止していた体の新陳代謝が活発になり,その後15時間は持続する。それは運動を終えた後にも多くのカロリーが消費されるという意味である」― ペアレンツ誌。

      「どんな効果的な体重調整プログラムにも不可欠なのは運動であり,運動の激しさよりも重要なのはその定期性である」―「コンの最新療法」。

      「運動はわたしたちを変える。代謝率をよくし,筋肉の量を増大させ,筋肉中のカロリー消費酵素のレベルを上げ,脂肪の燃焼を増やす。……体の健康な人でも代謝がわずかながら高まる場合がある。健康な人は,休んでいる時でさえ,太っている人よりも多くのカロリーを燃焼させる」―「健康それとも肥満?」。

      「よくある病気の百科事典」は,太り過ぎが心臓病や高血圧の原因となって命取りになることを警告した後,「慰めとなる事実が一つある。体重が減った時には,太り過ぎの有害な影響を逆転させることが可能だ」という良い知らせを指摘しています。

      ベーリはこう述べます。「減量するためなら何でもする,本当に何でもするとよく言う極度の肥満体の人たちのことで残念なのは,彼らが自分に幾らかでも益になるある事柄を行なおうとしないことである。彼らは本当の運動をしようとしないのである」。

      体内では,タンパク質からでも,炭水化物からでも,食事に含まれる脂肪からでも脂肪が造られることを思えば,脂肪が非常にたまりやすいのも少しも不思議ではありません。「人が食べる物はほとんど何でも,それが消化される物である限り,脂肪に変わり得る」と,ベーリは述べています。急激な減量のための食餌制限をすると体の化学的性質が変化するため,「当人は太った人の化学的性質を帯び,脂肪の付きやすさは減量を始めた時よりも大きく」なります。

      脂肪を燃焼させるには何種類かの酵素が必要です。もしそれら脂肪を燃焼させる酵素がないなら,「人は太ってゆくことになる。運動によってDNAを刺激し,同時に,生合成に用いられるアミノ酸が欠乏しない程度に十分な食物を取りさえすれば,酵素は増加する」と,ベーリは述べています。

      時折,筋肉には急に多量のエネルギーが必要になることがあります。必要なエネルギーの量が1秒の何分の1かの間に50倍にも増大することがあるのです。それだけのエネルギーを得るためには,エネルギー源を代謝する能力のある酵素がなければなりません。そのような酵素 ― カロリーをそれほど速く燃焼させる能力のある特別な酵素 ― は筋肉細胞の中にしかありません。体内で燃焼するカロリー全体の90%は,筋肉の中で燃焼します。それらの酵素は筋肉細胞内に散在するミトコンドリアの中にあり,体が運動している間,エネルギーを供給するために筋肉組織の中で脂肪の燃焼を促進します。

      「健康それとも肥満?」は,それらの酵素に関してこう述べています。「定期的なエアロビクスの運動によって実際に各筋肉細胞内のミトコンドリアの数と大きさが増大することは何度も明らかにされてきた。さらに進んだ生化学の研究の結果,運動すると,それらのミトコンドリアの内部に新陳代謝を促す酵素の増加することが確証された」。エアロビクスを行なえばそうなりますが,それをしないと脂肪が生じます。

      「会議室レポート」誌,1988年12月15日号は,運動の価値を高く評価してこう述べています。「身体的に不活発であれば,心臓発作を起こす危険は2倍になる。研究者たちは,心臓発作を起こす危険度の高い人々として,座業に携わる人々を,喫煙の習慣のある人々また血圧やコレステロール値の高い人々と同じ範疇に入れている」。さらに,「重い物を持ってジョギングや歩行を行なうなら,運動によって受ける健康面の益は大いに増す」とも述べています。最初のうちは200㌘ほどの重さの物を持って,腕の振りを大きくするよう勧められています。

      食べるべきでない時に何かを食べ始めるきっかけとなるものを見抜いてください。自分の良い決意を弱めるものとなる言い訳を知っておくようにします。そのような言い訳はすぐに打ち消すことです。怒りをもって退けてください。

      何としても成功を収めるのだという気持ちを持ってください。行なうべきことをわきまえて,実行してください。ふさわしい食物をふさわしい量だけ食べ,それを体がふさわしく活用できるようにしてやります。人体にはすばらしい順応性があります。山の高い所に行けば,酸素を運ぶ赤血球が多くなり,体は希薄な空気に順応します。しかし,それには時間がかかります。太陽の熱にさらされる所では,皮膚にメラニン色素が増し加わって紫外線からの保護となり,体はその環境に順応します。しかし,それには時間がかかります。また,継続的に運動すれば,エネルギーを生み出すための,より多くの脂肪を燃焼させるのに必要な酵素が造られ,体はそれに順応します。しかし,それにも時間がかかります。

      ですから,忍耐強くなければなりません。体重が増えるには時間がかかったのですから,減量するにも時間をかけてください。目標に向かって着実に進むことです。食事や運動が毎日少しでもうまくゆけば,初めは嫌な雑用も続けるうちに楽しい習慣となるように,やがて弾みがついて楽に行なえるようになり,理想とする新しい自分になってゆきます。闘いに勝ち,脂肪を減らし,勝利を喜びましょう!

      [9ページの図版]

      室内で行なうエアロビクス:

      縄跳び

      据え付けの自転車

      [10ページの図版]

      屋外で行なうエアロビクス:

      ジョギング

      早足の歩行

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