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    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • エゼキエルが川の中を歩いている。姿が銅のように輝いている人が川岸から見ている。

      第19章

      「川が流れる所ではあらゆるものが生きるようになります」

      エゼキエル 47:9

      ポイント: 神殿から流れ出る川に関する幻の,古代と現代と将来における実現

      1,2. エゼキエル 47章1-12節によると,エゼキエルはどんなことを見聞きしますか。(冒頭の挿絵を参照。)

      エゼキエルは神殿の幻の中で,また驚くべき光景を目にします。神聖な建物から川が流れ出ているのです。エゼキエルが澄み切った水の流れをたどっていく様子を想像してみてください。(エゼキエル 47:1-12を読む。)水は神殿の入り口の所から流れ出て,東の門のそばを通って神殿の敷地から出ていきます。天使はエゼキエルを連れて,距離を測りながら神殿から離れていきます。エゼキエルは天使に言われて何度か水の中を歩き,川がどんどん深くなっていくことに気付きます。やがて川は,飛び込んで泳がないと渡れないほどになります。

      2 天使によると,その川は死海に流れ込み,塩分濃度が高くて生物のいない海の水をきれいにします。川の水が達した所にはたくさんの魚がいるようになります。川の両岸には,あらゆる果樹がたくさん生えています。毎月,栄養豊かな新しい実を付け,葉は人を癒やします。こうしたことを見聞きして,エゼキエルの心は安らぎ,希望で満たされたことでしょう。では,神殿の幻のこの部分は,エゼキエルや仲間のユダヤ人にとってどんな意味があったのでしょうか。現代の私たちにとってはどうですか。

      幻の中の川は捕囚の民にとってどんな意味があったか

      3. 古代のユダヤ人たちは,エゼキエルが見た川を文字通りのものとは思わなかったに違いありません。なぜそう言えますか。

      3 古代のユダヤ人たちは,その川を文字通りのものとは思わなかったに違いありません。この記述を読んで,回復に関する別の預言を思い起こしたと考えられます。預言者ヨエルが,おそらく200年以上前に神の聖なる力に導かれて記した預言です。(ヨエル 3:18を読む。)捕囚にされていたユダヤ人たちは,ヨエルの預言を読んだ時,実際に山に「甘いぶどう酒が滴り」,丘に「乳が流れ」,「エホバの家から」泉が湧き出るとは思いませんでした。ですから,預言者エゼキエルが記した幻についても,文字通りの川のことではないと理解したでしょう。a では,この幻の光景にはエホバからのどんなメッセージが込められていたのでしょうか。細かい部分の意味については,聖書から多くのヒントが得られますが,ここでは3つの主な点に注目します。この預言的な記述を通して,エホバはどんな愛情深い保証をはっきりと与えているでしょうか。

      川

      囲み 19A: エホバからの祝福をもたらす川

      4. (ア)エゼキエルが見た幻の中の川について知ったユダヤ人たちは,エホバから祝福を得られると思ったに違いありません。どんな祝福でしょうか。(イ)聖書の中で「川」や「水」という言葉はしばしば,エホバがご自分の民を祝福することを保証しています。どんな例がありますか。(「エホバからの祝福をもたらす川」という囲みを参照。)

      4 祝福をもたらす川。聖書の中で川や水は,エホバからの命を与える祝福の流れを表すのによく使われます。エゼキエルはそのような川が神殿から流れ出るのを見ました。ですから,神の民はこの幻について知った時,清い崇拝を行い続ける限り,エホバからの命を与える祝福が流れのように注がれる,と思ったでしょう。どんな祝福でしょうか。祭司たちを通して再び神からの指示や教えを受けられるようになります。また,神殿で犠牲が捧げられるので,以前のように確実に贖罪がなされるようになります。(エゼ 44:15,23; 45:17)その結果,民は神殿から流れ出る清い水によって洗われるかのように,再び清い状態になるのです。

      5. 全ての人が常に十分な祝福を得られるのかという懸念は,幻の中の川について考えるとなくなります。なぜですか。

      5 全ての人が常に十分な祝福を得られるのでしょうか。そうした懸念も,幻の中の川について考えるとなくなります。水量が奇跡的に増していき,細々とした水の流れがわずか2㌔ほどの間に大きな川になるからです。(エゼ 47:3-5)ユダヤ人たちが帰還して故国が復興すると,人口は増えていくことでしょう。それでも,エホバの祝福が足りなくなることはありません。この川は,あふれるほど豊かな祝福を表していました。

      6. (ア)この預言的な光景はどんな心強い約束を伝えていますか。(イ)どんな警告も与えていますか。(脚注を参照。)

      6 命を与える水。エゼキエルが見た幻の中で,川は死海に流れ込み,その大部分に命を吹き込みました。命を与える水のおかげで,大海つまり地中海にいるのと同じほどいろいろな種類の魚がたくさんいるようになります。死海沿いの,かなり距離が離れていたと思われる2つの町の間では,漁業が盛んに行われるようになったほどです。天使は,「川が流れる所ではあらゆるものが生きるようになります」と言います。これは,エホバの家からの水が死海の隅々にまで達したということでしょうか。そうではありません。天使の説明によると,命を与える水が達しない沼地や湿地があり,そこは「塩にまみれるままにされ」ました。b(エゼ 47:8-11)この預言的な光景は,清い崇拝が人々にいわば命を吹き込み,繁栄させるという心強い約束を伝えています。しかし,警告も与えています。全ての人がエホバの祝福を受け入れるわけではなく,癒やされない人もいる,という警告です。

      7. 幻の中で川の両岸に生えていた木から,捕囚にされていたユダヤ人たちはどんな確信を得られたに違いありませんか。

      7 食物と癒やしを提供する木。川の両岸に生えている木はどうでしょうか。幻の光景をいっそう美しくしているだけでなく,重要な意味を持っています。エゼキエルと同胞たちは,おいしい実について考えて喜んだことでしょう。毎月新しい実がなるのです。その魅力的な描写から,エホバがご自分の教えで養ってくださるという確信が増したに違いありません。さらに注目できるのは,その木の葉が「人を癒や」すという点です。(エゼ 47:12)エホバは,バビロン捕囚から帰還する人たちが崇拝の面での癒やしを何よりも必要とすることを知っており,まさにそれを約束しました。具体的にどんな約束をしたかは,回復に関する他の預言に示されており,この本の第9章で取り上げました。

      8. エゼキエルの幻がもっと大規模に実現すると言えるのはなぜですか。

      8 とはいえ,やはり第9章で考えたように,帰還したユダヤ人たちはそうした預言の実現を部分的にしか経験できませんでした。自ら実現を狭めてしまったのです。何度も悪い方へ逆戻りし,不従順になり,清い崇拝を軽視したので,エホバから全面的には祝福されませんでした。忠実にエホバを崇拝する人たちは,同胞たちの悪い行いに心を痛め,落胆しました。しかし,エホバの約束が果たされずに終わることは決してなく,必ずその通りになる,ということを知っていました。(ヨシュア 23:14を読む。)ですから,エゼキエルの幻はいつかもっと大規模に実現することになります。それはいつでしょうか。

      川は現代も流れている

      9. エゼキエルが見た神殿の幻がもっと大規模に実現するのはいつですか。

      9 この本の第14章で考えたように,エゼキエルが見た神殿の幻は「最後の日々」にもっと大規模に実現します。それは,清い崇拝がかつてないほど高められた状態になる時です。(イザ 2:2)では,エゼキエルの幻のこの部分は,今どのように実現しているのでしょうか。

      10,11. (ア)今どんな祝福が川の流れのように私たちに注がれていますか。(イ)エホバからの祝福は,この終わりの時代にどのように流れを増して大勢の人々の渇きを癒やしてきましたか。

      10 祝福をもたらす川。エホバの家から流れ出る水は,現代のどんな祝福を思い起こさせますか。私たちを教え,神との良い関係を保つのを助けてくれるもの全てです。最も重要なのは,私たちを罪から清め,エホバから許していただけるようにする,キリストの贖いの犠牲です。神の言葉の清い真理も,命を与えて人を清める水になぞらえられています。(エフェ 5:25-27)そうした祝福は,現代どのように注がれてきたでしょうか。

      11 1919年当時,エホバに仕えていた人たちはわずか数千人でした。彼らは必要としていた教えを受けて大喜びしました。その後,神の民の数は増え続け,今では800万人を優に超えています。では,真理の清い水の流れも増してきたでしょうか。その通りです。真理の水はあふれるほど豊かに送り出されてきました。過去100年間に,幾十億部もの聖書,書籍,雑誌,冊子,パンフレットが,流れのように神の民に供給されてきました。エゼキエルが見た幻の中の川のように,清い真理の流れはどんどん増し,神について知りたいと願う世界中の大勢の人たちの渇きを癒やしてきました。聖書に基づく資料が長年にわたって印刷されてきただけでなく,今ではウェブサイトjw.orgによって1000以上の言語で電子的にも提供されています。そうした真理の水は,誠実な人たちにどんな影響を及ぼしてきたでしょうか。

      12. (ア)真理のメッセージは,どのように人々の役に立ってきましたか。(イ)この幻は,今の時代に当てはまるどんな警告を与えていますか。(脚注も参照。)

      12 命を与える水。エゼキエルは,「川が流れる所ではあらゆるものが生きるようになります」と告げられました。回復された比喩的な土地に入ってきた人たち全てのもとに,真理のメッセージが流れのように伝えられてきた様子を考えてみてください。聖書の真理は,受け入れる心を持つ何百万もの人々をいわば生き返らせ,神との良い関係を持てるようにしてきました。しかし,この幻は今の時代に当てはまる警告をも与えています。真理を退けるようになる人もいる,という警告です。エゼキエルが見た幻の中の死海にあった湿地や沼地のように,ある人たちの心は真理を拒絶するようになります。c 私たちは決してそうなりませんように!(申命 10:16-18を読む。)

      13. 幻に出てくる木からどんな励みを得られますか。

      13 食物と癒やしを提供する木。幻の中で川の両岸に生えていた木から,現代の私たちは励みを得られるでしょうか。確かに得られます。それらの木は毎月おいしい実を付け,葉は人々を癒やしました。(エゼ 47:12)そのことから思い起こせるのは,私たちが仕える神は私たちを惜しみなく養い癒やしてくださる,ということです。教え導くという最も重要な方法でそうしてくださるのです。今の世の中で,大半の人々は真理を知らず,いわば病気で飢えている状態にあります。対照的に,私たちはエホバから多くのものを頂いています。あなたも,エホバの証人の雑誌の記事を読み終えたり,大会で結びの歌を歌ったり,ビデオを見終わったりした時に,神からの食物を得られて幸せだと感じたことがあるでしょう。私たちは実によく養われています。(イザ 65:13,14)神からの食物は,私たちが神との関係で健康な状態を保つのにも役立ちます。神の言葉に基づく健全な助言により,クリスチャンは不道徳や貪欲や不信仰を退けるよう助けられます。また,エホバの取り決めにより,重大な罪による比喩的な意味での病気を克服することができます。(ヤコブ 5:14を読む。)エゼキエルが見た幻に出てくる木が示しているように,私たちは確かに祝福されています。

      14,15. (ア)エゼキエルが見た幻の中できれいにならなかった沼地や湿地から何を学べますか。(イ)エゼキエルが幻の中で見た川は,現代の私たちにどんな恩恵をもたらしますか。

      14 きれいにならなかった沼地や湿地からも学べることがあります。エホバの祝福が水のように私たちの生活に流れ込むのを決して拒んではならない,ということです。病んでいる世の中にいる大勢の人々のように癒やされないままでいるのは,悲惨なことです。(マタ 13:15)祝福をもたらす川の恩恵にあずかりましょう。神の言葉に含まれる真理の清い水を喜んで飲む時や,伝道でそうした真理を人々に伝える時,また忠実な奴隷によって訓練された長老たちから愛情深い導きや慰めや助けを得る時,私たちはエゼキエルが幻の中で見た川について思い起こせます。その川が流れる所では,命と癒やしを得られるのです。

      15 川に関する幻は,将来にも実現するのでしょうか。この川は,やがて来るパラダイスで,最も意味深い仕方で流れることになります。そのことについて考えましょう。

      この幻はパラダイスでどのように実現するか

      16,17. (ア)この象徴的な川が,パラダイスではるかに大きな流れになると言えるのはなぜですか。(イ)私たちはその川から具体的にどんな恩恵を受けますか。

      16 自分がパラダイスにいて,家族や友人たちに囲まれ,生活を最大限に楽しんでいる様子を想像することがありますか。エゼキエルが幻の中で見た川について学ぶと,より鮮明なイメージを思い描けるでしょう。なぜそう言えるか,神の愛が表れている幻の3つの主な点をもう一度考えましょう。

      17 祝福をもたらす川。この象徴的な川は,パラダイスではるかに大きな流れになると言えます。すでに考えた事柄に加えて,身体面での祝福ももたらすからです。イエスの千年統治の間,神の王国の助けにより,忠実な人たちは贖いから最大限の恩恵を受けます。徐々に完全になるのです。病気はなくなり,医師も看護師も病院も健康保険も必要なくなります。「大患難」から出てくる「大群衆」,つまりハルマゲドンを生き残る大勢の人たちのもとに,命の水が流れます。(啓 7:9,14)祝福をもたらすこの川の流れは,そのように千年統治の初めに目覚ましいことを成し遂げます。とはいえ,後に起こることを考えると,まだ小川のようなものです。エゼキエルが見た幻の中で示されているように,その川はさらに大きくなって,非常に多くの人々の必要を満たします。

      若々しく健康な人たちがパラダイスで働き,楽しんでいる。後ろの方に川が見える。

      パラダイスでは,祝福をもたらす川によって全ての人が若く健康になる。(17節を参照)

      18. 千年統治の間に「命の水の川」がとても大きな流れになると言えるのはなぜですか。

      18 命を与える水。千年統治の間に,「命の水の川」はとても大きな流れになります。(啓 22:1)死んでいた何億,何十億という人々が復活させられ,パラダイスで永遠に生きる機会を与えられるのです。エホバの祝福が王国を通して注がれ,長い間土の中で無力な状態で横たわっていた無数の死者が生き返ります。(イザ 26:19)では,復活した人たちは皆,そのままいつまでも生き続けるのでしょうか。

      19. (ア)パラダイスで神からの水の一部として新しい情報が与えられることは,何から分かりますか。(イ)将来,どのような人たちがいわば「塩にまみれるままにされ」ますか。

      19 どうなるかは,一人一人の選択に懸かっています。王国の統治下では新しい巻物が開かれることになります。ですから,エホバから来るさわやかな水の一部として,新たな事柄が明らかにされたり,神から新しい指示が与えられたりするでしょう。想像するとわくわくするのではないでしょうか。ところが,そうした祝福を退け,エホバに背くことを選ぶ人たちもいます。千年統治の間に反逆する人たちもいるかもしれませんが,パラダイスの平和を乱すことは許されません。(イザ 65:20)そういう人たちは,エゼキエルが見た幻の中で「塩にまみれるままにされ」た,不毛な沼地や湿地のようです。貴重な命の水を飲むことをかたくなに拒むとは,何と愚かなのでしょう。千年統治の後,反逆者たちの一団がサタンの側に付きます。エホバの正しい統治を拒否する者たちは皆,同じ結末を迎えます。永遠の死です。(啓 20:7-12)

      20. 千年統治の間に私たちに恩恵をもたらすどんな取り決めは,エゼキエルが見た木を思い起こさせますか。

      20 食物と癒やしを提供する木。エホバは,全ての人に永遠の命を得てほしいと思っています。私たちがその素晴らしい贈り物をしっかり手にすることができるように,エゼキエルが見た木のような取り決めが将来にもあるようにしてくださいます。パラダイスでは,エホバからの癒やしは身体面にも及びます。天でイエス・キリストと14万4000人の共同統治者たちが1000年にわたって王として治め,14万4000人は祭司としてキリストの贖いの犠牲の恩恵が人々に及ぶようにし,忠実な人たちが完全になるのを助けます。(啓 20:6)身体面でも神との関係においても人々を癒やすためのこの取り決めは,エゼキエルが見た川の両岸に生えていた,人を養う実と癒やす葉を付ける木を思い起こさせます。エゼキエルが見た幻は,使徒ヨハネが記した美しい預言と似ています。(啓示 22:1,2を読む。)ヨハネが見た木の葉は「人々を癒やすためのもの」でした。14万4000人が祭司として奉仕することにより,無数の忠実な人たちが恩恵を受けるのです。

      エゼキエルが見た光景。小さな流れが徐々に大きな川になっている。

      囲み 19B: 小さな流れが大きな川に

      21. エゼキエルが幻の中で見た川について思い巡らすと,あなたはどんな気持ちになりますか。次の章ではどんなことを考えますか。(「小さな流れが大きな川に」という囲みを参照。)

      21 エゼキエルが幻の中で見た川について思い巡らすと,心が安らぎ,希望で満たされるのではないでしょうか。私たちの前途には素晴らしい時代が待っています。エホバは何千年も前から印象的な言葉でその時代を描写し,私たちが預言の見事な実現を味わえるように辛抱強く招いてくださっているのです。あなたは将来その場にいるでしょうか。パラダイスには本当に自分の居場所があるのだろうか,と思うかもしれません。では,エゼキエルの預言の最後の部分からどんな確信が得られるか,次の章で考えましょう。

      a 捕囚にされていたユダヤ人のうち,故国の地形を覚えていた人たちは,この川が文字通りの川ではないと分かっていたでしょう。描写されている場所には,川が流れ出ていた神殿があるような非常に高い山など存在していなかったからです。また,幻によると,川は何にも遮られることなく真っすぐ死海に流れ込んでいるように思えますが,それも地理的にあり得ませんでした。

      b ある聖書学者たちは,これを良い意味に捉えています。塩は防腐剤として使われ,死海地域では昔から製塩業が盛んだったからです。しかし,この記述にはっきり述べられている通り,沼地や湿地は「きれいになりません」。エホバの家から流れ出る,命を与える水が達しないので,生物がいないままです。ですから,この場合,沼地や湿地が塩にまみれるというのは良くない意味を伝えていると思われます。(エレ 17:6,脚注。ゼパ 2:9)

      c イエスの引き網の例えも同様の点を伝えています。多くの魚が網に掛かりますが,全てが「良いもの」というわけではなく,良くないものは投げ捨てられました。この例えによりイエスは,エホバの組織に集まってくる人たちのうちかなりの数がやがて離れることになり得る,と警告しました。(マタ 13:47-50。テモ二 2:20,21)

  • 「土地を相続地として割り当てる」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 川が,神の民に割り当てられる土地を通り,海に流れ込んでいる。

      第20章

      「土地を相続地として割り当てる」

      エゼキエル 45:1

      ポイント: 土地が分けられることの意味

      1,2. (ア)エゼキエルはエホバからのどんな指示を聞きましたか。(イ)これからどんな点を考えますか。

      エゼキエルは今見たばかりの幻により,900年近く前のモーセやヨシュアの時代を思い起こしたことでしょう。当時,エホバは約束の地の境界についてモーセに伝え,後にヨシュアにその土地をどのようにイスラエルの各部族に割り当てるべきかを告げました。(民 34:1-15。ヨシュ 13:7; 22:4,9)そして,紀元前593年の今,エホバは捕囚にされていたエゼキエルと他のユダヤ人たちに,約束の地を再びイスラエルの各部族に割り当てるよう指示します。(エゼ 45:1; 47:14; 48:29)

      2 この幻は,エゼキエルと仲間のユダヤ人たちにどんなメッセージを伝えていたのでしょうか。現代の神の民にとっても励みになると言えるのはなぜですか。将来にもっと大規模に実現するのでしょうか。

      4つの保証を与えている幻

      3,4. (ア)捕囚にされていたユダヤ人たちは,エゼキエルが最後に見た幻からどんな4つの保証を得られましたか。(イ)この章では,どの保証に注目しますか。

      3 エゼキエルが見た最後の幻は,エゼキエル書の9つの章にわたって記録されています。(エゼ 40:1–48:35)その幻から,捕囚にされていたユダヤ人たちは,復興するイスラエルに関して4つの心強い保証を得られました。どんな保証でしょうか。(1)神殿での清い崇拝が回復されます。(2)正しい心を持つ祭司や牧者たちが,故国に戻った民を導きます。(3)イスラエルに帰還した人全てに相続地が与えられます。(4)エホバが再び民の中に住み,彼らと共にいるようになります。

      4 この本の第13章と第14章では,最初の2つの点がどのように実現するかを取り上げました。正しい崇拝が回復されることと,正しい心を持つ牧者たちが民を指導するようになることです。この章では,3つ目の保証,つまり相続地に関する約束に注目します。次の章では,エホバが共にいるという約束について考えます。(エゼ 47:13-21; 48:1-7,23-29)

      「この土地は……あなたたちに相続地として割り当てられている」

      5,6. (ア)エゼキエルが見た幻の中で,割り当てられることになっていた領地とは何でしたか。(冒頭の挿絵を参照。)(イ)土地を割り当てることに関する幻にはどんな目的がありましたか。

      5 エゼキエル 47:14を読む。幻の中でエホバは,やがて「エデンの園」のようになる土地にエゼキエルの注意を向けます。(エゼ 36:35)それから,「これはあなたたちがイスラエルの12部族に相続地として割り当てる領地であ[る]」と言います。(エゼ 47:13)その「領地」とは,捕囚にされているユダヤ人が帰還するイスラエルの土地のことです。次に,エゼキエル 47章15-21節に記されているように,エホバは土地全体の東西南北の境界を詳しく説明します。

      6 土地を割り当てることに関するこの幻には,どんな目的があったのでしょうか。土地が厳密に区分されるという説明は,エゼキエルと仲間のユダヤ人に,愛する故国が確実に復興するという保証を与えました。エホバの具体的な詳しい説明により,捕囚にされていた人たちは安心感を覚え,気持ちが高揚したに違いありません。では,当時の神の民は,相続地として割り当てられていた土地を実際に与えられましたか。確かに与えられました。

      川が,神の民に割り当てられる土地を通り,海に流れ込んでいる。

      7. (ア)紀元前537年以降,どんなことが起きましたか。それは何を思い起こさせますか。(イ)まずどんな点を考えますか。

      7 エゼキエルがこの幻を見てから約56年後の,紀元前537年以降,捕囚にされていた何万人もの人たちがイスラエルに帰還し,土地を手に入れました。ずっと昔に起きたその驚くべき出来事は,現代において神の民の間で生じている似たような事柄を思い起こさせます。現代の神の民も,ある意味で土地を割り当てられているのです。どういうことでしょうか。エホバは,ご自分に仕える人たちが比喩的な土地に入ってそこに住むようにしました。それで,古代の約束の地が回復されたことから,現代における神の民の比喩的な土地の回復について多くのことが学べます。しかし,そうした点を調べる前にまず,なぜ現代に比喩的な土地が存在すると言えるのかを考えましょう。

      8. (ア)エホバは生来のイスラエル国民の代わりにどんな国民を存在させましたか。(イ)比喩的な土地もしくはパラダイスとは何ですか。(ウ)それはいつ存在するようになり,誰がそこに住んでいますか。

      8 エホバは,以前にエゼキエルに見せた幻の中で,イスラエルの復興に関する預言は「私に仕えるダビデ」つまりイエス・キリストが王として治め始めた後にもっと大規模に実現する,ということを示しました。(エゼ 37:24)イエスが王となったのは西暦1914年です。そのかなり前に,聖なる力によって選ばれたクリスチャンたちが比喩的なイスラエル国民を形成し,生来のイスラエル国民に代わって神の民となっていました。(マタイ 21:43とペテロ第一 2:9を読む。)エホバは,生来のイスラエル国民の代わりに比喩的な国民を存在させただけでなく,文字通りのイスラエルの土地の代わりに比喩的な土地もしくはパラダイスが存在するようにしました。(イザ 66:8)この本の第17章で考えたように,その比喩的な土地とは,安全で神から恵まれた環境もしくは状態のことです。天に行くクリスチャンのうち地上に残っている人たちは,1919年以来そのような環境でエホバを崇拝してきました。(囲み9B,「なぜ1919年か」を参照。)時の経過と共に,地上で生きる希望を持つ「ほかの羊」も,その比喩的な土地に住むようになりました。(ヨハ 10:16)比喩的パラダイスは今も発展と拡大を続けていますが,そのパラダイスに伴う祝福を最大限に味わえるようになるのはハルマゲドン後のことです。

      土地を均等に分ける

      9. 土地を割り当てることについて,エホバはどんな詳しい指示を与えましたか。

      9 エゼキエル 48:1,28を読む。エホバは土地全体の東西南北の境界を定めた後,土地をどのように割り当てるかを詳しく説明しました。エホバの指示によれば,一番北のダンの部族の相続地から一番南のガドの部族の相続地まで,12部族に均等に分けられることになっていました。12の相続地はそれぞれ,土地全体の東の境界から,西の境界である大海つまり地中海までの,水平に区切られた地域でした。(エゼ 47:20)

      10. 幻のこの部分から,捕囚にされていた人たちはどんなことが分かったと考えられますか。

      10 幻のこの部分から,捕囚にされていた人たちはどんなことが分かったと考えられますか。ユダヤ人たちは,エゼキエルが記した詳しい説明から,土地の配分がきちんと計画的に行われるということを理解したに違いありません。さらに,土地が12部族全てに均等に分けられることから,帰還する人たち全てに相続地が与えられることを確信できたでしょう。故国に戻ったものの土地や住む所がないという人は,誰もいないのです。

      姿が銅のように輝いている人が,エゼキエルに相続地を見せている。

      囲み 20A: 土地を割り当てる

      11. 土地を割り当てることに関する預言的な幻からどんな励みが得られますか。(「土地を割り当てる」という囲みを参照。)

      11 現代の私たちはこの幻からどんな励みを得られるでしょうか。回復された約束の地では,祭司やレビ族や長たちだけでなく,12部族の全ての人に場所が与えられました。(エゼ 45:4,5,7,8)同じように,現代の比喩的なパラダイスでも,天に行くクリスチャンのうち地上に残っている人たちや,「大群衆」のうち教え導く役割を果たしている人たちだけでなく,大群衆の全ての人に場所が与えられています。a(啓 7:9)エホバの組織の中での役割がどんなにささやかなものでも,私たちは皆,比喩的な土地に居場所があり,貴重な務めを委ねられているのです。そう考えると,幸せな気持ちになるのではないでしょうか。

      現代の神の民。1. 姉妹が年配の母親に薬について説明している。2. 宣教者が若い伝道者と一緒に海辺で伝道を行い,訓練している。3. シングルマザーが2人の子供に聖書を教えている。4. ゲリト・レッシュがベテルで朝の崇拝の司会をしている。5. 年配の姉妹が祈っている。膝の上に聖書と,投獄されている兄弟たちの名前のリストがある。6. 兄弟が王国会館のトイレを掃除している。7. 兄弟が大会ホールで駐車場係として働いている。8. 兄弟たちが遠隔翻訳事務所の録音スタジオで仕事をしている。

      神の組織の中でどんな役割を果たしているとしても,エホバは私たちが払う努力を高く評価してくださる。(11節を参照)

      2つの大きな相違点から学べること

      12,13. エホバは各部族に土地を割り当てることについてどんな具体的な指示を与えましたか。

      12 土地を割り当てることについてのエホバの指示の一部は,エゼキエルを戸惑わせたかもしれません。かつてモーセに与えられた指示とは異なっていたからです。2つの相違点について考えましょう。1つは土地に関すること,もう1つは住民に関することです。

      13 (1)土地。モーセは,大きい部族には小さい部族よりも多く土地を与えるよう指示されました。(民 26:52-54)しかし,エゼキエルが見た幻の中では,エホバは全ての部族が「平等に[「それぞれ兄弟と同じように」,脚注]土地を」得られるように具体的な指示を与えました。(エゼ 47:14)それで,12部族の相続地はどれも,北の境界と南の境界の間の距離が全く同じでした。どの部族の人であれ,全てのイスラエル人が,よく潤っている約束の地で自然の恵みを平等に受けることができたのです。

      14. 外国人居住者に関するエホバの指示はモーセの律法の中で述べられていた事柄を超越していた,と言えるのはなぜですか。

      14 (2)住民。モーセの律法の下では,外国人は守られ,エホバの崇拝に加わることができましたが,土地を与えられることはありませんでした。(レビ 19:33,34)しかし,エホバがエゼキエルに告げた内容は,律法の中で述べた事柄を超越していました。エホバはエゼキエルに,「外国人居住者には,その人が住むようになった部族の領地の中に相続地を与える」ようにと指示しました。その命令により,エホバは「生来のイスラエル人」と外国人居住者との間にあった大きな違いを除き去ったのです。(エゼ 47:22,23)エゼキエルが幻の中で見た,回復された土地では,住民は皆平等で,一致して崇拝を行っていました。(レビ 25:23)

      15. 土地と住民に関するエホバの指示は,どんな事実を示していましたか。

      15 エゼキエルが土地と住民に関して受けた,この2つの興味深い指示は,捕囚にされていたユダヤ人たちを安心させたに違いありません。皆がエホバから平等に土地を割り当てられる,ということを理解できたからです。生来のイスラエル人であれ,エホバを崇拝している外国人であれ,土地を得られるのです。(エズ 8:20。ネヘ 3:26; 7:6,25。イザ 56:3,8)これらの指示はさらに,永遠に色あせない,励みとなる事実を示していました。エホバはご自分に仕える人たち皆を等しく貴重なものと見ている,という事実です。(ハガイ 2:7を読む。)現代の私たちも,天に行く希望を持っていようと,地上で生きる希望を持っていようと,そのことをしっかりと心に留めています。

      16,17. (ア)土地や住民に関する事柄を考えることは,どんな点で有益ですか。(イ)次の章ではどんなことを考えますか。

      16 土地や住民に関するこうした事柄を考えることは,どんな点で有益でしょうか。現代の世界的なクリスチャン家族の中では平等と一致が際立っていなければならない,ということを思い起こさせられます。エホバは不公平な方ではありません。私たちは次の点を考えてみるべきです。「私はエホバの公平さに倣っているだろうか。どんな人種や境遇の兄弟姉妹にも心から敬意を示しているだろうか」。(ロマ 12:10)喜ばしいことに,エホバは私たち全員が平等に比喩的なパラダイスの恩恵を受けられるようにしてくださいました。そのパラダイスで私たちは,自分の全てを尽くして天の父への奉仕を行い,祝福を味わっています。(ガラ 3:26-29。啓 7:9)

      人種や年齢の違う姉妹たちが,体の不自由な姉妹の家で家族の崇拝を行っている。

      エホバの公平さに倣い,他の人に心から敬意を示しているだろうか。(15,16節を参照)

      17 では,エゼキエルが最後に見た幻の最終部分で与えられている,4つ目の保証について考えましょう。それはエホバが帰還する人たちと共にいるという約束です。その約束からどんなことを学べるでしょうか。次の章で答えが得られます。

      a エホバが比喩的な土地の中で祭司や長たちに与えている特別な立場や務めについては,この本の第14章をご覧ください。

  • 「都市は……『エホバがそこにいる』という名で呼ばれる」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 「エホバがそこにいる」という名の都市を上空から見た図

      第21章

      「都市は……『エホバがそこにいる』という名で呼ばれる」

      エゼキエル 48:35

      ポイント: 都市と寄進物から学べること

      1,2. (ア)約束の地の一部はどんな特別な目的のために取り分けられますか。(表紙と裏表紙の絵を参照。)(イ)幻のこの部分は,捕囚にされていたユダヤ人たちにどんな保証を与えるものでしたか。

      エゼキエルは最後の幻の中で,約束の地の一部が特別な目的のために取り分けられることを知ります。その土地は,相続地としてイスラエルのいずれかの部族に与えられるのではなく,エホバへの寄進物となります。エゼキエルはさらに,興味をそそる名で呼ばれる特異な都市についても知ります。幻のこの部分は,捕囚にされていたユダヤ人たちに,愛する故国に帰還したらエホバが共にいてくださる,という極めて重要な保証を与えるものでした。

      2 エゼキエルは幻の中で見た寄進物について詳しく説明しています。では,その記述について調べましょう。エホバを正しく崇拝する者として,多くのことを学べます。

      「寄進物全体」と呼ばれる土地と,「エホバがそこにいる」という名の都市を上空から見た図。エゼキエルが幻の中で見た神殿が非常に高い山の上にあり,エホバの栄光で明るく輝いている。川が山を下って流れている。

      「聖なる寄進物」と「都市」

      エホバが取り分けた「寄進物」と呼ばれる土地を示した地図。その土地の中の「寄進物全体」と呼ばれる部分が四角で囲ってある。

      囲み 21A: 「あなたたちは寄進物を取り分けなければならない」

      3. エホバが取り分けた土地全体と各部分は,どんな5つの名称で呼ばれていますか。それぞれにはどういう目的がありましたか。(「あなたたちは寄進物を取り分けなければならない」という囲みを参照。)

      3 取り分けられた土地の中に,東西南北の各辺が13㌔ある特別な区画がありました。その正方形の区画は「寄進物全体」と呼ばれています。その区画はさらに3つの横長の区域に分けられていました。上の区域はレビ族のためのもので,真ん中の区域は神殿と祭司たちのためのものでした。この2つの区域は合わせて「聖なる寄進物」と呼ばれています。下の区域つまり「残っている……区域」は他の2つより小さく,都市の「世俗の用途のためのもの」でした。(エゼ 48:15,20)

      4. エホバへの寄進物についての記述から何を学べますか。

      4 エホバへの寄進物についての記述から何を学べるでしょうか。エホバは,まずこの特別な寄進物となる土地を取り分け,次いで各部族に土地を配分することにより,約束の地の中で崇拝の中心地が最も重要であることを示しました。(エゼ 45:1)捕囚にされていたユダヤ人たちは,この優先順位から大切なことを学んだに違いありません。エホバへの崇拝を生活の中で第一にする必要があったのです。現代の私たちも,神の言葉を学ぶことや,クリスチャンの集会に出席すること,伝道を行うことなど,崇拝に関わる事柄を最も重要と考えています。エホバに倣って正しい優先順位を定め,エホバへの崇拝を中心とした生活を送ります。

      「その中央に都市がある」

      5,6. (ア)この都市は誰のものですか。(イ)この都市は何を表してはいませんか。そう言えるのはなぜですか。

      5 エゼキエル 48:15を読む。「都市」とその周囲の土地にはどんな意味があったのでしょうか。(エゼ 48:16-18)エホバは幻の中でエゼキエルに,「都市の所有地……はイスラエル国民全体のものとなる」と言いました。(エゼ 45:6,7)ですから,都市とその周囲の土地は,「エホバのために取り分け」られる「聖なる寄進物」の一部ではありませんでした。(エゼ 48:9)その違いを念頭に置きつつ,この都市の取り決めから何を学べるか考えましょう。

      6 都市から何を学べるかを考える上で,まずこの都市が何を表していないかをはっきりさせる必要があります。この都市は,再建されたエルサレムと神殿を表してはいません。なぜなら,エゼキエルが幻の中で見た都市には神殿がないからです。またこの都市は,回復されたイスラエルの土地の他の都市を表してもいません。なぜなら,帰還したユダヤ人たちもその子孫も,幻の中で描写されているような都市を建設してはいないからです。さらに,これは天にある都市を表してもいません。なぜなら,神聖な崇拝のために取り分けられた土地に建てられたものとは違い,この都市は「世俗の[または,神聖ではない]用途のための」土地に建設されていたからです。(エゼ 42:20)

      7. エゼキエルが見たのはどういう都市だと言えますか。何を表しているようですか。(冒頭の挿絵を参照。)

      7 では,エゼキエルが見た都市は何なのでしょうか。エゼキエルは,イスラエルの土地を見たのと同じ幻の中でこの都市を見ました。(エゼ 40:2; 45:1,6)神の言葉に示されているように,その土地は比喩的な土地なので,都市も比喩的な都市であるに違いありません。「都市」という言葉は,一般的にどんな概念を伝えるでしょうか。人々が共に暮らし,組織されている状態です。ですから,エゼキエルが見た,正方形の秩序立った都市は,よく組織された管理体制を表しているようです。

      「エホバがそこにいる」という名の都市を上空から見た図

      8. 管理はどれほどの範囲に及びますか。なぜそう言えますか。

      8 その管理はどれほどの範囲に及ぶのでしょうか。エゼキエルが見た幻によれば,この都市は比喩的な土地の中で機能します。ですから,現代において,その管理は神の民の活動にのみ影響を及ぼします。都市が世俗の土地,もしくは神聖ではない土地にあることは,何を示しているのでしょうか。この都市が天ではなく地上の管理体制を表していることを思い起こさせます。その管理は,比喩的なパラダイスにいる人全てに恩恵をもたらします。

      9. (ア)現代において誰が地上で管理を行っていますか。(イ)千年統治の際に,イエスは何を行いますか。

      9 誰が地上で管理を行うのでしょうか。エゼキエルが見た幻の中で,統治機構である都市において指導的な役割を担っていたのは「長」でした。(エゼ 45:7)長は民の間で監督として働きましたが,祭司でもレビ族の人でもありませんでした。ですから現代では,会衆の監督で,天に行くよう選ばれてはいない人たちを主に指すと言えます。「ほかの羊」の一員であるその愛情深い牧者たちは,キリストの天の政府のために地上で謙遜に仕えています。(ヨハ 10:16)やがて始まる千年統治の際に,イエスは「全世界で」,「高官」つまり資格ある長老たちを選んで任命します。(詩 45:16)その長老たちは千年統治の間,天の王国の指導の下,神の民を世話します。

      「エホバがそこにいる」

      10. 都市の名は何ですか。それはどんなことを保証していますか。

      10 エゼキエル 48:35を読む。都市の名は,「エホバがそこにいる」です。その名は,この都市でエホバの臨在が感じられることを保証しています。エホバは,回復された土地の中心部にある都市をエゼキエルに見せることにより,捕囚にされていたユダヤ人たちに対して,「私は再びあなたたちと共にいるようになる」と言っていたかのようです。何と励みになる保証でしょう。

      11. エゼキエルが幻の中で見た都市やその意味深い名からどんなことを学べますか。

      11 エゼキエルの預言のこの部分からどんなことを学べるでしょうか。この都市の名は,エホバが地上でご自分に忠実に仕える人たちと今共にいること,そして今後もずっと共にいてくださることを,私たちに確信させてくれます。また,その意味深い名は重要な事実を際立たせています。この都市が存在しているのは,人に権力を与えるためではなく,愛情深く分別のあるエホバの方法で管理が行われるようにするためである,という事実です。例えば,エホバはこの管理体制に,土地を分けるような権限を与えてはいません。単なる人間が良いと思う仕方でそれを行ってはならないのです。エホバご自身が,「立場が低い」人たちを含む民に比喩的な土地の中での場所や務めを与えており,管理を行う者たちにそれを尊重することを求めています。(格 19:17。エゼ 46:18; 48:29)

      12. (ア)この都市には,注目に値するどんな特徴がありますか。それは何を示していますか。(イ)幻のこの面は,クリスチャンの監督たちにどんな重要なことを思い起こさせますか。

      12 「エホバがそこにいる」という都市には,ほかにも注目に値する特徴があります。古代の都市の防壁に設けられる門の数は普通,できるだけ少なくされましたが,この都市には門が12もありました。(エゼ 48:30-34)そのように門がたくさん(正方形の都市の各辺に3つずつ)あったことは,都市で管理を行う者たちが近づきやすく,神に仕える人たち皆にすぐに応じることを示しています。さらに,12の門があったことは,都市が「イスラエル国民全体」つまり全ての人に対して開かれていることを強調しています。(エゼ 45:6)都市がとても入りやすいことは,クリスチャンの監督たちに重要なことを思い起こさせます。エホバは,監督たちが近づきやすく,比喩的なパラダイスにいる人全てにすぐに応じることを期待しているのです。

      王国会館で長老が子供たちと話しており,子供たちが描いた絵を見ている。

      クリスチャンの監督たちは近づきやすく,すぐに応じてくれる。(12節を参照)

      神の民は「崇拝のために……入」り,「都市で仕える」

      13. エホバは人々が行うどんな奉仕について述べていますか。

      13 エゼキエルの時代に戻り,土地を割り当てることに関するこの幻についてエゼキエルがさらにどんな情報を記しているか調べましょう。エホバは人々が行うさまざまな奉仕について述べています。「聖なる所の奉仕者」である祭司たちは,犠牲を捧げ,エホバに近づいて奉仕します。「神殿の奉仕者」であるレビ族は,「神殿での……奉仕やあらゆる仕事を行」います。(エゼ 44:14-16; 45:4,5)さらに,都市の周辺で働く人もいます。どんな人たちでしょうか。

      14. 都市の周辺で働くという取り決めは,どんなことを思い起こさせてくれますか。

      14 その人たちは「イスラエルの全部族」から来て,都市を支援する役割を果たします。「都市で仕える人たちの食物となる」作物を栽培するのです。(エゼ 48:18,19)この取り決めは,現代の私たちに与えられている機会について思い起こさせてくれます。いま比喩的なパラダイスにいる人全てには,天に行くよう選ばれた人たちや,「大群衆」のうち教え導く務めをエホバから与えられた人たちを支援する機会があります。(啓 7:9,10)支援する主な方法は,忠実な奴隷の指示に進んで協力することです。

      15,16. (ア)エゼキエルが見た幻からさらにどんな情報を得られますか。(イ)私たちは同様のどんなことを行えますか。

      15 エゼキエルが見た幻に含まれる情報から,私たちが行う奉仕についてさらに学べることがあります。エホバによれば,レビ族ではない12部族の人たちは2つの場所で務めを果たします。神殿の庭と,都市の牧草地です。それぞれの場所で何を行うのでしょうか。神殿の庭では,全ての部族の人たちが「崇拝のために……入」り,エホバに犠牲を捧げます。(エゼ 46:9,24)都市の牧草地では,全ての部族の人たちが土地を耕し,都市を支援します。このことから何を学べるでしょうか。

      16 現代において,大群衆の人たちは,エゼキエルが見た幻の中で行われていたのと同様のことを行えます。「神殿で」エホバを崇拝し,賛美の犠牲を捧げます。(啓 7:9-15)伝道に参加することによって,またクリスチャンの集会に出席してコメントや歌で信仰を表すことによってそうします。そのようにエホバを崇拝することを,最も大切な責任と考えています。(代一 16:29)加えて,神の民のうち多くの人は,さまざまな方法で神の組織を支援しています。例えば王国会館や支部施設の建設や維持管理など,エホバの組織の多くのプロジェクトを手伝っています。寄付を行うことによってそれらのプロジェクトを支援する人もいます。そのようにして,「神の栄光のために」いわば土地を耕しているのです。(コリ一 10:31)エホバが「そのような犠牲をとても喜んでくださ」ることを知っているので,喜びにあふれて熱心に働きます。(ヘブ 13:16)あなたは自分を差し出すさまざまな機会を逃さないようにしていますか。

      「エホバがそこにいる」という名の都市の門の周辺で,人々が穀物を運んだり牛や羊の世話をしたりしている。

      神殿や都市の周辺で行われていたことに関するエゼキエルの記述から何を学べるか。(14-16節を参照)

      「私たちが……待ち望んでいる,新しい天と新しい地があります」

      17. (ア)エゼキエルが見た幻は,将来もっと大規模に実現します。どのようにですか。(イ)千年統治の間,誰が都市のような管理体制の恩恵を受けますか。

      17 エゼキエルが見た寄進物に関する幻は,将来もっと大規模に実現するのでしょうか。実現します。エゼキエルが見た通り,「聖なる寄進物」は約束の地の中心部にありました。(エゼ 48:10)ハルマゲドンの後も,私たちが地上のどこにいようと,エホバは共にいてくださいます。(啓 21:3)千年統治の間,地上で神の民を世話するために任命される人たちから成る,都市のような機構は,地球全域を管理するようになります。「新しい地」つまり新しい人間社会を構成する人たち全てに,愛情深く導きや指示を与えるのです。(ペテ二 3:13)

      18. (ア)都市のような管理体制が神による統治と調和していると言えるのはなぜですか。(イ)都市の名は私たちにどんなことを確信させてくれますか。

      18 都市のような管理体制は,神による統治と常に完全に調和しています。そう言えるのはなぜでしょうか。神の言葉が明らかにしているように,12の門がある地上の都市は,12の門がある天の都市とよく似ているからです。その天の都市,新しいエルサレムは,キリストの14万4000人の共同統治者で構成されています。(啓 21:2,12,21-27)地上の管理体制は,天で神の王国が行う決定全てに従い,それを注意深く実行します。「エホバがそこにいる」という都市の名は,清い崇拝が存続し続け,パラダイスで永遠にわたって行われることを,私たち一人一人に確信させてくれます。何と素晴らしい将来が待ち受けているのでしょう。

  • 「都市は……『エホバがそこにいる』という名で呼ばれる」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
  • エホバからの祝福をもたらす川
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 川

      囲み 19A

      エホバからの祝福をもたらす川

      聖書の中で,エホバから来る祝福を描写するために「川」や「水」という言葉が使われている記述を幾つか調べてみましょう。ひとまとめにして考えると,エホバがどのように私たちを祝福してくださるかについて,とても励みになる点が学べます。

      ヨエル 3:18 この預言では,神殿の聖なる所から泉が湧き出ます。その水は流れていって,乾いた「アカシアの木の谷」を潤します。ですから,ヨエルもエゼキエルも,不毛の土地に命をもたらす川を見ました。どちらの場合も,川はエホバの家つまり神殿から流れ出ていました。

      ゼカリヤ 14:8 預言者ゼカリヤは,「生きた水」がエルサレムから流れ出るのを見ます。水の半分は東の海つまり死海に流れ,もう半分は西の海つまり地中海に流れます。エルサレムは「偉大な王の都市」,つまりエホバ神の都市でした。(マタ 5:35)ですから,ゼカリヤがエルサレムに言及していることは,将来エホバが地球全体を治めることを思い起こさせます。以前から説明されてきたように,この預言に出てくる水は,エホバがパラダイスで忠実な人たちの2つのグループを祝福することを示唆しています。大患難を生き延びる人たちと,後に復活させられる人たちです。

      啓示 22:1,2 使徒ヨハネは,エゼキエルが見たのとよく似た象徴的な川を見ます。とはいえ,それは神殿からではなく,エホバの座から流れ出ます。ですからこの幻は,ゼカリヤが見たものと同じように,千年統治の間に神からもたらされる祝福について主に述べているようです。

      もちろん,エホバの統治によってもたらされる祝福と,エゼキエルが幻の中で見た川によって表されている祝福には,ほとんど違いがありません。そうした祝福は全てエホバからのものであり,忠実な人たち皆に注がれます。

      詩編 46:4 この聖句は,崇拝と統治という2つの面のどちらにも言及しているようです。ここに出てくる川は,王国と統治を示唆する「神の都」と,清い崇拝を示唆する「至高者の聖なる偉大な幕屋」に,喜びを与えます。

      これらの記述は,全体として見ると,エホバが忠実な人たちを2つの方法で祝福してくださるという保証を与えてくれます。私たちは,第一にエホバの統治により,また第二に清い崇拝のためのエホバの取り決めにより,永遠にわたって恩恵を受けるのです。ですから今,エホバ神と子であるイエスから「生きた水」を得続ける決意を固めましょう。その水は,私たちが永遠の命を得られるようにお二方が愛情深く与えてくださるもの全てを表しています。(エレ 2:13。ヨハ 4:10)

  • 小さな流れが大きな川に
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 囲み 19B

      小さな流れが大きな川に

      エゼキエルは,エホバの聖なる所からちょろちょろと流れ出る水をたどっていきます。その流れは奇跡的に,わずか2㌔ほどの間に大きな川になります。川の両岸には,人を養って癒やす,青々とした木がたくさん生えています。この幻にはどんな意味があるのでしょうか。

      エホバの聖なる所から流れ出た川が徐々に大きくなっている。下流に行くにつれて深くなっていることが表示されている。約500メートル: くるぶしまでの深さ。約1キロ: 膝までの深さ。約1.5キロ: 腰までの深さ。約2キロ: 歩いて渡れない深さ。

      祝福をもたらす川

      古代: 捕囚にされていた民が故国に帰還し,神殿での清い崇拝の回復を進めるにつれ,祝福が注がれていった。

      現代: 1919年に清い崇拝が回復され,神に忠実に仕える人たちはかつてない規模で神から教えられ祝福されるようになった。

      将来: ハルマゲドンの後,エホバからの祝福は身体面にも及ぶようになる。

      命を与える水

      古代: エホバは,従順な民がどれほど増えようとも彼らを豊かに祝福し,ご自分への崇拝を十分に行えるようにした。

      現代: 拡大していく比喩的なパラダイスの中で,ますます大勢の人が,エホバからの祝福の流れが増していくのを味わい,エホバの教えの恩恵を受けて,いわば命を吹き込まれてきた。

      将来: ハルマゲドンを生き延びた人たちに,復活してくる無数の人々が加わり,全ての人がエホバから豊かに祝福される。

      食物と癒やしを提供する木

      古代: エホバは復興した土地でご自分の教えによって忠実な民を養い,長年にわたり崇拝の面でいわば病気を抱えていた民を癒やした。

      現代: 今の世の中では神との関係における病気や飢えがまん延しているが,そうしたものに対抗できるよう人々を助けるため,神からの教えという食物が豊かに提供されている。

      将来: キリストと14万4000人の共同統治者たちの助けにより,従順な人たち全ては完全になり,元気な体で永遠に生きられるようになる。

      第19章4-21節に戻る

  • 土地を割り当てる
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 姿が銅のように輝いている人が,エゼキエルに相続地を見せている。

      囲み 20A

      土地を割り当てる

      土地が厳密に区分されるという説明は,捕囚にされていたユダヤ人たちに,愛する故国が確実に復興するという保証を与えました。現代の私たちはこの幻から何を学べるでしょうか。2つの面について考えましょう。

      バビロン捕囚から帰還する人たちに割り当てられる土地の境界を,エゼキエルの記録に基づいて示した地図。各部族の相続地は均等に分けられており,北から南へ順に挙げると,ダン,アシェル,ナフタリ,マナセ,エフライム,ルベン,ユダ,寄進物(統治や管理のための土地),ベニヤミン,シメオン,イッサカル,ゼブルン,ガドとなる。

      居場所と貴重な務め

      帰還するユダヤ人はそれぞれ,回復される約束の地で相続地を与えられることになっていました。同じように,現代においてエホバに仕える人全ても,比喩的なパラダイスで場所を与えられています。エホバの組織の中での役割がどんなにささやかなものでも,私たちは皆,比喩的な土地に居場所があり,貴重な務めを委ねられているのです。エホバはご自分に仕える人たち全てを等しく貴重なものと見ています。

      土地の均等な配分

      エゼキエルが見た幻の中では,回復された約束の地のどの部族の領地に住んでいる人も,自然の恵みを平等に受けることができました。同じように,現代においてエホバに仕える人は皆,比喩的なパラダイスに伴う祝福を平等に受けることができます。

      第20章5-11節に戻る

  • 「あなたたちは寄進物を取り分けなければならない」
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 囲み 21A

      「あなたたちは寄進物を取り分けなければならない」

      エゼキエル 48:8

      エホバが取り分けた土地について,エゼキエルがどんなことを記しているか見てみましょう。その土地全体と各部分は,5つの名称で呼ばれています。それぞれどんな名称で,どういう目的がありましたか。

      エホバが取り分けた「寄進物」と呼ばれる土地を示した地図と,その土地の中の正方形の部分の拡大図。南北に13キロ,東西に13キロあるその部分は「寄進物全体」と呼ばれ,3つの横長の区域(上,真ん中,下)に分けられている。真ん中の区域には神殿があり,下の区域には「エホバがそこにいる」という名の都市がある。

      A. 「寄進物」

      この細長い土地は,統治や管理のために用いられる。

      エゼ 48:8

      B. 「寄進物全体」

      祭司とレビ族と都市のための区画。また,12部族の人たちがここにやって来て,エホバを崇拝し,管理のための取り決めを支持する。

      エゼ 48:20

      C. 「長の領地」

      「その土地は,イスラエルの中で長の所有地となる」。「それは……長のためのものとなる」。

      エゼ 45:7,8; 48:21,22

      D. 「聖なる寄進物」

      この部分は「聖なる分」とも呼ばれている。上の区域は「レビ族のために」あり,「聖なるもの」である。真ん中の区域は「祭司のための聖なる寄進物」で,「彼らの家のための場所,また聖なる所[つまり神殿]のための神聖な場所」である。

      エゼ 45:1-5; 48:9-14

      E. 「残っている……区域」

      「それはイスラエル国民全体のものとなる」。「都市の世俗の用途のためのもので,居住地や牧草地になる」。

      エゼ 45:6; 48:15-19

  • 「私は……民の中に永遠に住む」 エホバの清い崇拝が回復される
    エホバの清い崇拝 ついに回復される!
    • 姿が銅のように輝いている人が,正しい崇拝が回復された土地をエゼキエルに見せている。草木が青々と生い茂り,果物が豊かに実り,川が流れている。

      セクション5

      「私は……民の中に永遠に住む」 エホバの清い崇拝が回復される

      エゼキエル 43:7

      ポイント: 神殿の幻に含まれる幾つかの点から,清い崇拝について何を学べるか

      エホバが預言者エゼキエルに見せた幻と使徒ヨハネに見せた幻には,よく似ている点があります。それらの幻から,私たちが今エホバに受け入れられる崇拝を行う上で役に立つ貴重な事柄を学べます。また,神の王国が治めるパラダイスでの生活を垣間見ることができます。

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