真理が心に刻まれた弟子を生みだす
1 イエスはマタイ 12章34,35節で次のように語られました。「心に満ちあふれているものの中から口は語(ります)。善良な人は自分の良い宝の中から良いものを出し(ます)」。この聖句をわたしたちの教える業に当てはめるなら,どんなことが言えますか。それは,関心ある人々をエホバの賛美者とするために,わたしたちは真理を人々の心に達するように教え込まねばならないということです。
2 家庭聖書研究において,わたしたちはまとまった聖書の知識を研究生の思いの中に入れることができます。しかし,真理を生活に活用し,将来の命を目ざして,真理に基づいて行動するためには,真理が心の中に取り入れられねばなりません。すなわち,真理を心から認識することです。―詩 119:11。
3 どうしたら研究生の心を動かして,真理が心に達するようにすることができますか。一つの方法は,学んだ事を熟考するよう研究生を励ますことです。毎回の研究で要点を強調し,復習し,それを熟考するよう研究生を励ましましょう。
4 二番目の点として,研究中,時々実際的な質問をして,研究生が学ぶだけでなく,真理がその心に入っているかどうかを確かめることができます。例えばこんなことを尋ねることができます。「わたしたちが今学んでいることをあなたは信じますか。あなたの生活でこのことをどのように適用できますか」。
5 三番目の点として,エホバに対する関係という見地に立って考えるよう研究生を援助することができます。エホバの属性 ― 愛,知恵,公正,力などを強調し,エホバが憎まれることを憎悪し,エホバが喜ばれることを愛し行なうよう助けましょう。聖書の原則を生活に当てはめ,物事を決定する前にエホバの導きを求める習慣を培うよう援助しましょう。このようにして研究生はエホバを人格をもつ固有の方として身近に感ずるように助けられるでしょう。
6 それに加えて,いつもイエスの完全な模範を研究生の前に保つようにしましょう。み父に対する忠実さ,絶えずみ父に祈りをささげ,すべてのことにおいてエホバの導きを求めたこと,物事に対するエホバのお考えは何であるかイエスがいつも熟考されたことなど,このような模範に注目するよう研究生を助けるなら,真理は心の中にしっかり刻み込まれてゆくでしょう。その結果,わたしたちは,『火に耐える資材』をもって建てる業にあずかる,「神と共に働く者」であることを示すことができます。―コリント第一 3:9-15。
エホバの組織と交わるよう助ける
7 研究生が進歩するにつれ,エホバが用いておられる組織やその活動,地元の会衆の集会について積極的に知らせることは大切です。ある人は研究の最初の時から集会に出席し,他の人は定期的な集会の出席者となるまでにかなりの月日が経過することもあります。研究生が集会に出席するならその進歩は著しく早められるでしょう。会衆の集会では研究生を長老たちや他の仲間たちに積極的に紹介して,歓迎されていることを知らせましょう。
8 研究はどれ程の期間司会されるべきですか。はっきり言える一つのことは定められた期間はないということです。ある人は久しく読書から遠ざかっており,真理を求める気持ちはあるものの,物事を理解したり把握することが比較的遅いかもしれません。他方,別の方は読解力が優れているかもしれません。健康状態,生活環境その他の要素がみな違うので,すべての人に一定の期間を定めることはできません。ある特別開拓者たちは田舎の,農業や漁業に忙しい区域で,文字から遠ざかっていたものの,心から真理を求めていた人たちと長年にわたり研究を行なった結果,彼らの多くを真理に導き,今ではその地に強い会衆を設立することができました。
9 それで研究司会者は常に研究生の努力や動機を吟味することができます。良い動機を示し,その人なりに進歩を示しているならば,熱心に研究生を援助しましょう。予習すること,集会の出席を努力すること,学んだことを身近な人に語ること,さらに真理を吸収しようとする鋭い関心,霊的な事に示される認識やその他のことに研究生の努力や進歩を見極めることができるでしょう。
10 しかし,わたしたちすべてはいつも残された時が縮まっているという事実を見逃すことがないようにいたしましょう。それで平衡の取れた,健全な判断を下し,誠実な動機を持たない人,努力や進歩を示さない人々に時間を浪費することのないようにも注意したいと思います。多分このような人と聖書研究で個人的に時間を費やすことができないとしても,会衆の集会で学ぶよう勧めることができるかもしれません。
11 熱心に努力して進歩を示す研究生たちには,彼らが必要としている援助を惜しみなく与えてゆきましょう。身近な人々に真理を語ることで彼らはあなたの援助を必要としているかもしれません。資格を備えるとき,一緒に準備したり練習したりして共に野外で働くよう招待しましょう。研究生が献身し,それをバプテスマで表わした後でも,彼らが必要とする援助を惜しみなく与えてゆきましょう。(「王国奉仕」1977年4月号3ページ参照)
12 心に達するよう人々に真理を教えること,これには実に多くのことが含まれます。しかし,心に真理がしっかりと刻み込まれた弟子を生みだすこと,これこそわたしたちが目ざしているところではありませんか。(エフェソス 3:16-19)「事物の体制の終結の時までいつの日も」わたしたちと共にいてくださるイエス・キリストと共に,人々を弟子とする業に励み続けましょう。―マタイ 28:19,20。