世界展望
太平洋の「平和」大会
◆ 昨年10月22日から26日まで,フィリピン共和国マニラ市の二つの大競技場で「地に平和」国際大会が8か国語で開催され,エホバの証人はもとより,聖書に関心をもつ人々6万4,715人が集まり,この大会の最高潮として,ものみの塔協会会長N・H・ノアの行なった「近づく一千年の平和」と題する講演を聞いた。浸礼式では,1,835人が,神への献身を象徴するバプテスマを受けた。
パプアにおける最初の,エホバの証人の国際大会に出席するため,31か国からの代表者がポートモーズビー市に集まった。大会に備えて,かん木地帯に新しい町が建設された。大会のプログラムは一つの演壇で3か国語で行なわれた。公開講演には1,116人が出席した。
オーストラリア,メルボルン市で開催された「地に平和」国際大会には,2万5,837人が出席し,1,315人もの人々が,バプテスマを受けた。大会の模様はテレビはもとよりメルボルン市の各新聞により詳細に報道された。
世界の25都市で催された,「地に平和」国際大会の21番目に当たる大会が,ニュージーランドのオークランド市で開かれ,8,400人の聴衆が,「楽園の平和に戻る道」と題する,N・H・ノアの公開講演を聞いた。この大会では421人の新しい奉仕者がバプテスマを受け,その模様は報道機関を通じて全国に伝えられた。
「筋力車」
◆ アメリカの自動車製造会社は,これまでスタイルと出力を売り物にしてきたが,今度は「筋力車」なるものを宣伝している。この種の車はスリルを求める若者に人気がある。デトロイトの自動車技師の話によると,今度の車は,他の車を追い越す時に十分のスピードを出せるうえ,ブレーキが改善されているため危険は少ない,とのことである。自動車事故のおもな原因がスピードにある以上,時速240キロも出せる自動車を製造することにより,事態が改善されるであろうか。このような車が若者に差し伸べられるからといって,安全性が増すわけではない,と保険会社は早くも指摘している。アメリカでは昨年だけで高速道路での自動車事故のため5万3,000人が死亡した。
国連は「おぼれ死ぬ」か
◆ 国連に対する信頼感は低下し,一般国民の自信も失われていると,カナダのミッチェル・シャープ外相が,最近の国連総会における一般演説で警告した。同外相は,126か国を擁する国連は,「ことばの海ででき死する」おそれがあると指摘し,こうした現状を改善しないかぎり,国連は「国際政治舞台で演じられる余興」と化し,「国連の活動は無視されてしまうであろう」と語った。
神学校で学生の受ける衝撃
◆ 神学校にはいる青年は,「衝撃に耐えるだけの信仰を持っていなければならない」と,長老派の神学者J・R・ボードーが語り,こう述べた。「かつて神学校は,青年の信仰の芽が,世の不信実な風土に耐え得るほどに成長するまで養われる温室のようなところであった。しかし,もはやそうではない」。さらに,今日の多くの神学校の青年は,「福音を現実の社会における『行動』と解釈する学生に取り囲まれており,個人の献身的な生活に専念するのは,まったくの変り者でしかない」とボードーは付け加えた。このため,牧師になろうとする学生は,「イエスが父と呼んだ神に,すでに自らをささげた者でないかぎり」,その信仰は「神学校で受ける衝撃に耐えることができないであろう」と述べた。
科学が真の解決策か
◆ 1969年10月18日付サイエンス・ニューズ紙は次のように述べた。「科学は知識の集大成したものであり,その知識は科学とその応用に関する1,000万冊の書物にまとめられると考えられている。そのうえ重要なことに,科学の知識は1年間に100万冊,1時間にすれば100冊の本の割合で増大している」。こうした知識の洪水は非常な速さで増大し,かつ知識の内容は変化しているので,教科課程をどのように編成し直しても追いついていけないほどである。しかし知識がこれほど増大しているにもかかわらず,大気や河川の汚染,土地の乱用はかつてないほど深刻をきわめ,病院は病人であふれ,人類は希望をまったく失っている。たしかに人類が必要としているのは,神に関する正しい知識と,人間の病気をいやすための定められた方法である。
性に対する考え方の退廃
◆ アメリカの母親の集まりで行なわれた話し合いを聞くと,性に関する考え方が大いに混乱していることがわかる。ある母親は次のように語った。「昔,自制は美徳でした。今は悪徳です。19歳になる私の娘は,『純潔は無用です。それは栄養失調と同様に無意味なことだわ』と言いますし,大学2年の娘は,互いに愛し合っていさえすれば,結婚していなくても,性関係を結んでさしつかえない,と考えています。大学4年の兄のほうは,もっと『進歩的』で,互いに楽しければ,愛し合っていなくとも,性関係を結んでかまわない,と考えています。そして,『愛し合う者の性関係はすばらしいが,愛していなくても,性関係を持つことのほうが,何もしないよりましだ』というのです」。純潔を守りたいと願う女子大生にとって,その意志を貫くことは容易ではない。「結婚のために純潔を守ろうとする」まじめな学生は,やがて周囲から疎外されてしまう。ヘイム・G・ギノット博士は,次のように語った。「周囲からこうした圧力が加わるのでは,純潔を守る学生は,自分の考えの正しさを疑うようになるであろう。誘惑と嘲笑に直面して,なお自分の考えを守り通し得るのは,堅固とした決意の持ち主だけである」。退廃した道徳観が広まっている今日,クリスチャンが純潔を守るには,友人を慎重に選択しなければならないことがわかる。
法王と避妊薬
◆ バチカンは,法王パウロ6世の非とした避妊薬を製造している製薬会社に,財政的な利権を有しているのではないか,という疑問が最近持ち上がった。1969年10月12日付,パレード紙にその答えが掲載された。「バチカンは,避妊薬を製造するセロノ製薬会社に財政面で利権を所有している。同社の社長は法王ピオ12世のおいに当たるジュリオ・パチェリ公である」。
懐疑主義の見られる理由
◆ 青少年の間に見られる懐疑主義的風潮を,僧職者の責任にする人が多い。これは当を得た評であろうか。ジ・オレゴニアン紙は,次のような報告を掲載した。「私の州で,反抗的な行動を取る牧師たちは,過去数年間のうちに,同性愛行為をそそるダンス・クラブを結成した。……他州では,流行牧師が処女出産を嘲笑しており……聖歌隊の代わりにロックを演奏する楽団を備え,スイング調の礼拝に合わせて,聖さん台の前を肩をゆすぶって歩き回る牧師もいる」。このような行為により,神への信仰を喚起しようとするならば,教会内が空席になることが,その結果というものであろう。