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目ざめよ! 1976
目76 7/8 23–26ページ

森を造りましょう

西ドイツの「目ざめよ!」通信員

ドイツ人を“森林民族”と呼んだ一著述家は,古代ゲルマン民族の生活が,かつてはその居住地を覆っていた広大な森林の影響を強く受けていた,という点を念頭に置いていたのかもしれません。

古代ローマの歴史家タキトゥスは,チュートン族あるいはゲルマン族のある部族についてこう書いています。「一年のうちの定められた時期に,同じ先祖を持つ部族すべてが,代理人を送ることによって森の中に集まる。そこは,先祖たちの偶像崇拝の場所として,また古代の迷信的な畏れの対象として,神聖視されていた……その迷信すべてに共通する主旨と傾向はこうである。この場所から国は始まり,そこに世の至高の統治者である神が宿り,何であれ他のすべてのものは,その神に属している」―「ゲルマニア」。

ゲルマン民族は,原始林から食糧と衣服用の毛皮を供する野生動物を捕らえ,また,道具を作ったり家を建てたりする木材を得ました。同時に,タキトゥスが「陰気な森林」と呼んだものは,人々に畏敬の念を抱かせました。その結果,人々は,特定のかしの木などある種の樹木を特に聖なるものとみなす誤った考えに陥りました。ゲルマン民族の神話はこう述べています。「宇宙は,イグドラシルと呼ばれるトネリコの大木によって支えられている……イグドラシル樹の根は生者と死者のあらゆる世界に伸びている。その木は根元にある神聖な井戸によって潤され,そこでは……“運命の神”が人間の運命を定めている。その木の枝からは,はちみつ酒のような命を与える露が地上に滴り落ち,その葉を食べるやぎは神々のためのはちみつ酒を作り出す」―「大英百科事典」。

しかし,幾世紀も経て,森林に対するドイツ人の考え方はかなり変わりました。以前は恐ろしいもの,あるいは神秘的なものと考えられていた森林が,今では価値のあるものとみなされています。それは,現代文明の存在そのものの土台となる資産なのです。それゆえ,森林を大事にし,育み,保護しなければなりません。「森林」と題する本はこう述べています。「今日我々は,森林が建材の重要な供給源であると共に,現代の技術をもって,紙,プラスチック,テルペンチン,そしてアルコールなど貴重な産物を事実上無限に引き出し得る広大な貯蔵庫であることを知っている」。

しかし,森林にはそれ以上の価値があります。同書はこう続けています。「森林は人間の必要物の単なる倉庫ではなく,それ以上のものである。その保護となる覆いは,土壌や水分を保持し,土地の気候を和らげることでよく知られている」。ドイツの新聞に載った一記事は,この点を例証しています。「タイの南部四県で,水害のために87人が死亡し,6人が行方不明になった。一千戸余りの家屋,および24の学校が水につかったり,押し流されたりした。内務省の発表によると,同国政府は,豪雨に続く大規模な洪水の原因が,過去数年間にわたって同国南部で行なわれてきた広範に及ぶ伐採計画に少なからずあるとしている」― 1975年1月9日,木曜日付,ウィースバーデナー・クリアー紙。

どのようにして植林するかを学ぶ

以上の報道は,多くの証拠の一つにすぎません。そうした証拠は,人間による天然資源の乱開発が,いわば自業自得となっていることを示しています。しかし,ドイツでこの点が十分に認識されるようになったのは18世紀になってからのことでした。例えば,工業が発展し始めた当初は,ガラスを作る際の薪として森の樹木の大部分が伐採されたこともあります。しかしその当時にも,国土を樹木のない大平原に変えてしまう危険性について警告を発した,先見の明のある人はいました。森業学校が創設され,科学的な再植林が始まりました。

西ドイツのコロンからボンまでのライン川西岸の約2,500平方㌔に及ぶ亜炭の採掘場は,地を人間の居住に適したところにしておくため何ができるかを例証しています。亜炭(あるいは,かっ炭)は地表から直接採掘され,そうした露天掘りの跡には,大きなクレーターのある月面のような地形が残ります。ですから,そこには全く新たな地勢を造成する絶好の機会があった訳です。そうすることには,経済面の理由だけでなく,そこをレクリエーションの場とするなどの実用的な理由もありました。しかし,一体どのようにして,“森林を造る”のですか。

露天掘りによって荒らされた土地を回復させるには,まず最初に森林の必要に資するような土壌を準備しなければなりません。それには次の点が不可欠です。(1)様々なミネラルを含んでおり,(2)柔らかく,(3)通気によって十分に酸素を含んでいる,ことです。一般に森林砂れきと呼ばれる,砂,砂れき,石,および黄土を混合したものが,この三つの要求すべてを満たしています。土壌を肥よくにするため,若木と共にルピナスと呼ばれるマメ科の植物の種がまかれました。そうすることが,三つの点で有利であることが明らかになりました。まずルピナスは,土壌中の窒素を増やし,地面が太陽熱にさらされて乾燥するのを防ぎ,さらに最後の点として,腐植の形成に役立つ落葉が風に吹き飛ばされないようにします。

当初,造林を試みた人々は,試行錯誤によって学ばねばなりませんでした。当時は森林の植物相互の間の生態学的均衡が,今日ほど十分に理解されていなかったからです。しかしそれらの人々は,再植林の手始めとして,すぐに育つポプラが最適であることを認めました。ところが,ポプラの単一植林ほど危険なものはなかったのです。ポプラの単一植林はある種のこん虫の繁殖を促し,ひいてはそれが植林全体を台無しにしかねません。ですから,一種類だけでなく,数種類の木を植林するのが最善でした。

準備された土は非常に良質のものだったので,幾種類もの木を植林することができました。それで,ポプラの間にブナとカラマツを交互に植えることになりました。ポプラは一番早く育つので,別のより繊細な樹木を保護する覆いとなります。ポプラ,ハンノキ,ハリエンジュ,ヤナギなどの木すべては,大量の水を必要とするので,立派な根を持っています。森林を造る際,そのような根が有益なのはどうしてですか。それは,根が土をしっかりとつなぎとめ,水の浸潤によって引き起こされる土壌の侵食やなだれを防ぐからです。数種類の木を植えておけば,後日,成木が伐採されても,はげ山になることはありません。各種の樹木が適度に混ざっているなら,レクリエーションのためにも最善です。

今日,ドイツのこの地区では,再植林のために36種の異なった樹木が使われています。それらの樹木各々の育つ条件,およびそれら相互の関係について詳しい研究がなされました。広大な亜炭の鉱床を形成するのに一役買ったに違いない,まれに見るイチイモドキやセコイアの巨木も,特別な公園の中に植えられています。その景色は,ハシバミや各種のノバラを含む18種類の下ばえによって仕上げられているかのようです。

あたりの風景の中に美しく見え隠れする湖水は,どのレクリエーション地区にも付き物です。しかし,古い炭坑を,水泳や水上スポーツに使える湖に変えるのは,容易なことではありません。より複雑な形態の動植物が現われる前に,微生物の草分けとも言える,あの小さくて,丈夫で,素朴な形をした藻類で湖はいっぱいになりました。やがて岸辺は,ヨシ,ガマ,アシ,水草,そしてスイレンなどで縁どられるようになりました。それに続いて,動物性プランクトン,ミジンコ,貝,その他の生物など,後日湖に魚が放たれたときにその餌となるようなものが増えてゆきました。

湖ができたために,同地に生息する鳥の種類も以前より多くなりました。亜炭が採掘される前には見られなかった沼地の鳥や水鳥が生息するようになりました。再び森林となったこの地区には,やがて,美しい声でさえずる各種の小鳥が住むようになりました。春の日の朝早くそうした鳥がこぞってかなでる歌声に耳を傾けると,本当に気分がなごやかになります。小鳥は,こん虫が急激に繁殖するのを阻みますから,森林を保護する面でも一役買っていると言えます。しかし,均衡がとれてさえいれば,こん虫も森林を造成し維持してゆくのに役立ちます。

森林の土をひと掘りしてみれば,その中に数多くの異なった生物や生命体が見られることに驚かれるかもしれません。前述の「森林」と題する本は,それを「土の中の隠された世界」と呼び,科学者たちが地表面から深さ2.5㌢までの森林の表土を調べたことを述べています。何が見付かりましたか。「1平方フート(約0.1平方㍍)ごとに,平均1,356の生物が見いだされた。その中には,ダニ865匹,トビムシ265匹,ヤスデ22匹,成長した甲虫19匹,そのほか12種類の虫がそれぞれ数匹ずついた。微生物の数を推定すれば,わずか小さじ一杯の土の中にいるバクテリアの数は20億余り,菌類,原虫類,そして藻類の数は幾百幾千万に上ることであろう」― 131,132ページ。

こうした生物は,森林を造るのにどれほど役立ちますか。大いに役立ちます。そうした生物がいなければ,土はそれほど産出的にはならないでしょう。モグラ,ハリネズミ,そして益獣であるトガリネズミも,こん虫の数を減らすので生態学上の均衡を保つのに役立ちます。そうした動物は,露天掘りの跡に残された鉱石かすの山には住みつきませんでしたが,この森林の中では住み心地がよさそうです。

森と言えば,わたしたちの友である,ウサギやリスやシカを忘れてはなりません。そうした動物もやがて森に戻って来て,生態学上の均衡を保つのに各々の役割を果たすようになりました。ほかにもキツネ,テン,アナグマ,ニオイネコなどがやって来ました。そうした動物は,ウサギなどの動物が増えすぎて,木の若芽などをひどく荒らさないようにする上で役立ちました。

将来への展望

手入れの行き届いたドイツの森林の小道を散歩している人に,どうしてそれほど森が楽しいのかと尋ねるとすれば,様々な答えが返ってくるに違いありません。工業社会に住む人々は,静かで落ち着いた“自然”の中でくつろぐことを求めます。とりわけ森の澄んだ空気を楽しむ人は少なくありません。空気中のほこりの粒子は樹皮や葉に付着して,後ほど雨で地面に洗い流されるので,木は空気を浄化するということが証明されてきました。森林の静けさ,緑と青が基調をなすその色彩,風に吹かれた木の葉のかすかな音,小川のせせらぎなどは,気持ちを落ち着かせ,身体をさわやかにし,精神を高揚させる面で,何と効果があるのでしょう。

ですから,樹木が不必要に切り倒されたり,森が伐採されたりすることがないよう,以前よりも良心的に見守るようになった当局者がいることを感謝している市民は少なくありません。当局者の求めに従って,エホバの証人の西ドイツ支部事務所は,敷地内にある相当数のモミの若木を残せるような仕方で宿舎用の新しい建物を設計しました。こうして,それらの木々は,隣接する森林の立派な延長になっています。

新聞の報道によると,数多くの人は宗教に背を向けており,教会ではこれまでになく空席が目立っています。ここドイツでは,森の中の散歩を一種の“日曜礼拝”とみなす人が少なくないようです。そうした人々は,他のどこよりも森の中にいるときが,神をいっそう身近に感じると言います。しかし,彼らの古代の先祖たちが行なったように,自然を一種の神に仕立て上げてしまうという誤りを犯さないよう注意する必要があります。

とはいえ,「自然の本」を直視する人は,いわばそれを「一ページずつ」めくってゆき,森林の生態にかかわる複雑な相互の均衡に気付くとき絶えず驚嘆させられます。そうした生態学上の相互の関係は非常に緊密でしっかりしており,人間がちょっとしたきっかけさえ整えてやれば,奇跡を行ない得ることもお分かりでしょう。そうした生態学上の均衡を通して,一時は露天掘りの跡に残された鉱石かすの山であったものが,レクリエーションの場に変わり得るのです。しかし,人間が創意を働かせたり,耕作したりする余地も十分残されています。―創世 1:28。

ライン川流域の亜炭産出地域の再植林には,少なくとも30の異なった科学の部門が関係していました。そうした科学者たちすべては,観察や経験を通して「自然の本」から学びました。古代チュートン諸族が森の精や悪霊に対して抱いていた,人をとりこにするような恐れは過去のものとなりました。むしろ,森林に対する知識が増すにつれて,わたしたちは,偉大な創造者エホバ神に対して深い敬意を抱くようになります。そのエホバ神こそ,森林の中に見られるすばらしい相互の均衡を整えた方なのです。その方はまた,書き記されたご自分のみ言葉の中で,地球全体が間もなく世界的な実際の楽園になることを明らかにしておられます。あなたは生き長らえて神の新しい事物の体制を見,そこで森林を造る手助けをしたいと思われますか。

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