世界展望
暴力犯罪の激増
◆ 米国の警官は,同国を総なめにしている新しい暴力犯罪の波に深い懸念を抱いている。米連邦捜査局の報告によれば,1979年の最初の3か月間に生じたあらゆる種類の暴力犯罪を合計してみると,1978年の同じ時期に比べて,17%増加している。これは過去4年間で最大の増加率である。強盗は19%,加重暴行は17%,強姦は11%,殺人は9%,それぞれ上昇している。この増加の報告は同国のあらゆる地域,大きな町や小さな町,そして田園地帯からも寄せられている。また英国では,デーリー・メール紙が「不法のなれだが我々の文明を呑みつくそうとしている」と述べたフィリップ殿下の言葉を伝えている。その発言によれば,英国の犯罪統計は,「興ざましの頭痛の種であり,気をめいらせるものである」。
ゴルファーの周期?
◆ 「ゴルフ」誌(英文)の伝えるところによると,ある学生は修士論文のテーマにバイオリズムを選び,その資料として,無作為に選んだプロゴルファーのスコアーを比較したとのことである。「バイオリズムと競技の出来不出来の間には何の関係もないことが明らかになったが,これはその学生にとって全く予期せぬ結論であった」と「ゴルフ」誌は述べている。その論文には次のように書かれていた。「優れたプレー,普通のプレー,まずいプレーのいずれもが,どんなバイオリズムの組み合わせの時にも見られる。それゆえ,『三重高調』(身体,感情,知性の各リズム)と優れたプレーとの間には必ずしも相関関係はない」。
つまらぬ支払い
◆ 半ダース一組みになった小びんのビールを買った場合,その価格のどれほどが原料費で,残りのどれほどが他の経費に使われているのだろうか。一組みで2ドル(約400円)するビールの実際原価は9セント(約18円)にすぎない,とニューズデイ誌の中でスチュアート・ダイアモンドは述べている。ダイアモンドはこう語っている。「残りの1ドル91セント(約382円)は,びん代や広告費,税金,運賃,労賃,諸経費,会社の利益になる」。この例の場合,びんの価格だけで,ビールそのものの原価の約5倍になっている点をスチュアートは指摘している。
ガソリン税
◆ ガソリン税は国によってかなり異なる。「税金ノート」と題する出版物によると,1㍑あたりのガソリン税は,イタリアで41セント(約82円),ベルギーで31セント(約62円),ドイツ連邦共和国で27セント(約54円),英国で18セント(約36円),スペインで15セント(約30円),米国で平均3セント(6円)である。
“光”ケーブル
◆ ベルシステム社は,ガラス繊維を用いた海底電線用のケーブルの特許を得た。これを使うと,電気の代わりに光によって,音声やデータ,画像を伝送できることになる。このケーブルの直径は現在使われているケーブルの半分にすぎないが,従来のものの二倍以上もの回線を収める能力を秘めていると言われている。海洋にケーブルを敷設する場合,従来であれば,敷設船に途中で五回も荷を積み込まなければならなかったが,このケーブルを使えば,作業途中の荷の積み込みは一回だけですむようになろう。
暗記の大記録
◆ 日本のエレクトロニクス関係会社に勤める友寄英哲氏は,円周と直径の比である円周率(π)の数値を小数1万5,151位まで暗記しており,暗記の世界記録保持者を自認している。三人の報道関係者がこの人の言う小数点以下の数字を一つ一つ確認した。
次々に生えるキノコ
◆ ロンドンのサンデー・エキスプレス紙によると,ソ連の都市オシで,大キノコが様々な芝の上に生え出している。中には,二㌔近い大キノコもある。暖かい雨の日と,太陽が照りつけるような日が交互に何日かあってからその並外れた大きさのキノコが生え出した。
速度制限に対する反応
◆ ドライバーの運転習慣を調べるために,最近,六か国で国際的な調査が行なわれた。速度制限規則に常に従うと答えた人の割合は次のとおりであった。スペイン,48.5%。フランス,39%。南アフリカ,38.8%。ドイツ連邦共和国,28.6%。英国,18.4%。日本,11.1%。
世界保健機関は喫煙を批判
◆ 国連の世界保健機関は最近,肺ガンや心臓病,気管支炎,胎児の疾患などの主因になるとして喫煙を痛烈に批判し,世界中で一切のたばこの宣伝を禁止することを呼びかけた。同機関の報告は喫煙を,「この習慣を断ち切れない少数の大人の個人的な行為というレベル」にまで変えるよう,一致して努力を払うことを勧めている。
解かれた謎
◆ アラスカとソ連にはさまれた極寒のベーリング海には,世界でも最良の漁場がある。しかし冷たく荒涼としたこの海がなぜこれほど多くの海生生物の産卵場となっているのかは,科学者にとって長い間の謎だった。米国とソ連は合同でこの謎を解き明かそうと,数年の間研究を続けていたが,水面下の海流を観察したところ,その謎が解けた。従来は知られていなかった海流が太平洋から北に向かって流れており,この海流が北米の大陸棚を通過する時に,海生生物の栄養分となる豊富な無機物を海底から北方へ押し流すことが発見されたのである。
軍備縮小の益
◆ 1949年にコスタリカの憲法が採択された時,国防の備えは残されたが,軍隊は廃止された。高価な現代兵器に多額の費用を投入しなかったことによって,コスタリカは他の発展途上国に欠けているものを備えることができた。例えばコスタリカ国民の約9割は読み書きができるが,これは中央アメリカの中でも抜群に高い数値である。一政府職員は,「旧式の軍用機一機分の費用で,8つの中学校の校舎と備品を備えることができる」と指摘している。栄養失調の問題も目立って少なくなり,同国の一人当たりの国民所得も,費用のかさむ軍隊を保持する近隣諸国と比べて急速に増加した。現在世界で軍備のために毎年費やされる4,000億㌦(約80兆円)のお金があったら何ができるだろうか。
時代の兆候
◆ 1970年代には結婚の形態が根底から変化した。同棲する人々が急激に増加していることはその一つの証拠である。米国の25歳未満の人々を例にとってみると,その増加率はここ10年間の最初の8年間の8倍以上となっている。独りで生活しようとする傾向も次第に強まっている。離婚は激増し,今では二組の結婚のうち一組が離婚する。そのため男手のない家庭が急増し,1970年の560万人から1978年の800万人へと43%の増加を見せた。国勢調査局員の意見によると,多くの結婚が破局を迎えているため,今日生まれるすべての子供たちの半数近くは,幼年時代の大部分を片親だけで送ることになる。黒人の子供たちの約45%は,すでにこうした不利な条件の下で生活している。
切符を紛失したときのために
◆ 航空券を紛失した人は不便な思いをするだけではない。代わりの切符を得る方法は航空会社によって異なるが,飛行機の旅を続けるには新しく切符を買い直さなければならない場合もある。さらに紛失した切符を払い戻すためには何か月もかかることがある。何か別の紙に切符の照合番号を控えておくとよい,と航空会社は勧めている。そうすれば切符がなくなって,その切符に対する支払い請求をしなければならない場合でも,必要とされる重要な情報が手元にあることになる。航空会社の一職員は次のよう語った。『お客様が元の切符の番号を教えてくださると,比較的簡単に代わりの切符をお渡しできます』。
マリファナに関する事実がいっそう明らかになる
◆ マリファナを非とする証拠が増え続けている。ごく最近の研究結果によれば,マリファナは脳を損ない,胎児に害を及ぼし,不妊の原因となり,肺を侵すなどの問題を引き起こしかねないという。ニューヨークのある医学会議の席上,「十代の若者たちは性的に成熟の過程にあって,体が侵されると元に戻らなくなることがあるため,がく然とさせられるような」影響が十代の若者の間に見られるとの発言がなされた。ニコラス・A・ペース博士は「マリファナはアルコールより安全だと何度も聞かされてきたが,これほど真実からかけ離れた話はない」と述べている。時間がたてば消化され排泄されるアルコール飲料とは異なり,マリファナの成分は脂肪層に蓄積され,何週間も排泄されないで残っている。
大きくはなっても進歩していない若者たち
◆ 日本の文部省が毎年34万人の児童・生徒を対象に行なう健康調査によると,今の子供たちは20年前の若者に比べて幾分身長も体重も増加している。平均すると,男子は身長が5㌢,体重が4.2㌔,女子は身長が3.1㌢,体重が1.7㌔それぞれ1958年よりも増加した。しかし他の点では,この20年間に衰える傾向を見せている。英文読売の報道によれば,およそ94%の子供たちに虫歯があり,3分の1が近視である。近視の元凶はテレビである。高校生の場合,1958年以来,近視は21.1%,虫歯は32.1%増加した。20年前には甘いものも豊富ではなく,テレビも今日ほど普及していなかった。
殴られる親たち
◆ 世界中で幾百万人もの子供たちが親に打ちたたかれたり,虐待されたりしている話はよく知られているが,親が子に殴られ,時にはひどく打ちたたかれているという事実はあまり知られていない。親に暴力を振るうのは,大抵の場合,思春期に入った子や成人に達したばかりの若者である。米国では,十人に一人が親に暴力を振るっているものと推定される。この種の暴力行為は,片親もしくは両親がともに親の権威を放棄した家庭で生じる可能性が最も強い。問題をいっそう深刻にしているのは,自分の子に襲われる親がたとえ命の危険を感じても,警察に通報しようとしないことである。しかも,だれかが警察官を呼ぶと,子をかばったり,外聞をはばかったりして,しばしばうそをつくのである。
昔ながらの方法でエネルギーを節約
◆ 電気代と燃料の節約のため,風車を利用して水を汲み上げようとする風潮が強まっている。風車は一時,多くの国々で個人や家畜のための水を地下から汲み上げる標準的な方法だったが,電動ポンプの出現でめっきり使われなくなった。ところが電気代や燃料費の高騰に伴い,より多くの人々,特に農村の人々が,水を汲み上げる風車を備えつけるようになってきた。電気代を払わないですむので,最初にかかる費用はやがて十分に取り戻せる。維持費もごくわずかですむ。
空調装置が出まわるようになる前は,大きな羽根のついた天井扇風機が一般的だった。今,その扇風機に対する関心がエネルギー問題に触発されてよみがえりつつある。この扇風機は60ワットの電球とほぼ同じ経費しかかからない。ある製造業者は,「わずか2,3年前と比べても,仕事量は68倍になっている」と語り,さらに,サーモスタットを華氏80度(摂氏26.7度)にセットしておいても,この扇風機は「華氏72度(摂氏22.2度)位に感じさせる」と説明している。