太りすぎの問題 ― その実情
やせ方を種にした商売は隆盛を極めています。それも不思議ではありません。現代の先進国に住む人のうち,五人に一人は太りすぎの問題を抱えているからです。特別な食物や美容食に加えて,太りすぎを扱った書籍やペーパーバック本や雑誌がどれを選んでよいか分からないほどあり,いずれも人目を引こうと互いに競い合っています。医師や心理学者やその他の“専門家”たちは,言いくるめたり,励ましたり,場合によっては脅したりして,人々をやせさせようと絶え間なく活動しています。
それはうまくゆくでしょうか。太っていたり,ちょっと太り気味だったりすることが,本当にゆゆしい問題になりますか。実情はどうなっていますか。また,それはわたしたちの健康で幸福な生活にとってどれほど重要ですか。
心配の種
太った人々は,古くから,思いやりのない数々の冗談の的になってきました。しかし,太りすぎは決して笑い事ではありません。自分と同じ身長や体格の人の平均体重を7㌔上回るだけでも,多ければ4年も寿命が短くなることがあるのです。
「肥満とその問題は今やガンよりも差し迫ったものになっている」と,スコットランドの家庭内科医イアン・リチャードソンは最近語りました。別の権威筋によれば,わずか4㌔太りすぎているだけでも,「一日に紙巻きたばこを25本吸うよりも大きな健康上の危険を身に負う」ことになります。高血圧・心臓病・糖尿病・背痛・静脈瘤・関節炎・胆石および他の種々の有害な病気は,体に脂肪の付きすぎている問題と直接関係していることがあります。もちろん,体重の多すぎることが必ずしもそうした身体上の機能不全の直接の原因であるわけではありません。しかし,そうした病気と太りすぎとの間にははっきりした相関関係がみられます。ですから,理由はともかく,余分の脂肪が身に付いているなら,問題,それもゆゆしい問題があるのです。
しかし,かくも多くの人々が太りすぎの問題を抱えているのはなぜですか。
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減量法