王国宣明者の報告
新しい人格を身に着ける
聖書はこう命じています。「古い人格をその習わしと共に脱ぎ捨て,新しい人格を身に着けなさい。それは,正確な知識により,またそれを創造した方の像にしたがって新たにされてゆくのです」。(コロサイ 3:9,10)今日エホバの証人である人々の中には,かつてサタンの不正直な世の一部であった人々が少なくありません。神がクリスチャンに求めておられる事柄に関する正確な知識を得てから,それらの人たちは変化し,新しい人格を身に着けました。次に挙げる二つの経験は,そうした変化がどのようにして可能になるかを示しています。
□ スペインに住む,盗癖のある常習的な泥棒がエホバの証人と聖書を研究するようになりました。この人の家は盗品であふれていました。聖書の原則についての正確な知識が深まるにつれてこの人は良心の呵責を感じるようになり,自分の盗んだ品物を持ち主に返すことにしました。
この人はかつての雇い主に近づき,自分が新品の洗濯機をその人から盗んだことを告白しました。態度を変えた理由に感銘を受けたこの元の雇い主は,洗濯機の代金を払うということで彼を許しました。代金は(米ドルで)292㌦(7万円)でした。そして,このことは警察に通報しないと言いました。
次に,町長を訪ね,自分がその町の高価な電球を二つ壊したことを告白し,それを弁償したいと申し出ました。この男の人が聖書研究によって「新しい人格」を身に着けたのを見て取った町長は,彼を許し,お金を受け取ろうとはしませんでした。
この人はまた,近所に住む他の人々をも訪れ,盗品を返却しました。近所の人たちはみな,聖書の原則を当てはめることによりこの人の態度が大きく変化したことに驚きを言い表わしました。
しかし,彼の手元にまだ残っていた品々の多くは盗んだ本人にも所有者が分かりませんでした。そこでエホバに祈ってから,警察本部へ行き,駐車してあった車から取ったカー・ステレオ6台を差し出しました。この人には前科がなかったので警察は驚きました。そこで,罰金を支払わせたうえで,短期間刑に服させました。
こうしてこの人はエホバの前で清い良心を持てるようになりました。エフェソス 4章28節の「盗む者はもう盗んではなりません」という言葉に従い,また盗む者が「神の王国を受け継がない」ことを認識して,この人は盗みをやめ,「新しい人格」を身に着けました。―コリント第一 6:9,10。
□ キリストに似た人格を持つ人々の正直さは,イタリアでの一つの経験にも見られるように,外部の人々からもしばしば認められます。一人のエホバの証人は,ひどい自動車事故を目撃しました。彼女は助けになれないかと思い,事故に遭った車のうちの1台に近づくと,男の人がひどい傷を負って血を流していたので,エホバの名を交えてその人に話しました。その人は頭を上げて,あなたはエホバの証人なのかと尋ねました。彼女が,そうだ,と答えると,その男の人はこう言いました。「お嬢さん,わたしはかなりひどいけがをしています。車の中にかばんがありますが,その中には現金で幾百万(リラ)も入っています。どうかそれをあなたの家に持って行ってください。あなた方に預けておけば大丈夫です。そうしないと,このお金はみなどこかへ行ってしまいます。私が回復したらお金を返していただきます」。このエホバの証人はお金を持って行き,その男の人が回復したときにそれを返しました。その人は深く感謝していました。
エホバは,『古い人格を捨て去り』,「新しい人格を着ける」人を祝福されます。―エフェソス 4:22-24。
「盗む者はもう盗んではなりません。むしろ,骨折って働き,自分の手で良い業を行ない,窮乏している人に分け与えることができるようにしなさい」― エフェソス 4:28。