世界展望
アドベンティスト派の“予言者”は“盗作者”?
◆ 昨年開かれたセブンスデー・アドベンティスト派の国際大会に出席した代議員は,エレン・G・ホワイトが「聖書の預言者たちと同じ意味において霊感を受けている」ことを再確認した。この女性は50冊以上の書物を著わしている。ところが,ホワイトの著作を2年にわたり調べたアドベンティスト派の一僧職者は,「彼女は盗作者であった」と言明している。アドベンティスト派の僧職者として36年間務めているワルター・レアは,証拠が極めて明白であるので,「通りから連れて来たトラックの運転手もそれを認めるであろう」とまで主張している。エレン・ホワイトの著作は大抵の場合,1800年代中期のアドベンティスト派以外の宗教著述家の文章をよりどころとしているとレアは語り,それを証明する実例を数多く挙げている。レアは,エレン・ホワイトの主要な著書のうち以前に出版された文書をよりどころとしていないものはこれまでに一つも見いだされていない,と断言している。レアの語るところによると,「重要なのはホワイト自身も教派も,ホワイトが何も模倣しておらず,だれからも影響を受けていないと常に主張していた点にある」。
テキサス州キーンの南西アドベンティスト大学の学長ドナルド・R・マックアダムズは,この盗作が明らかになったことに関連して次のように書いている。「エレン・ホワイトはセブンスデー・アドベンティスト派の信徒の生活の中で極めて中心的な役割を果たしているゆえ,その言葉はアドベンティスト派の教えと慣行のほとんどすべてに影響を及ぼしている。……ホワイトの言葉が他の人物からの借りものである可能性があり,必ずしも最終権威ではないということを考えるのは,アドベンティズム[キリスト再臨説]の本質そのものにある種の混乱を招くものとなる。これは我々すべてにとって穏やかならぬことである」。
売買される人間の胎児
◆ 伝えられるところによると,世界の資源に関するある月刊紙の編集長ジェームズ・リッジウェーは,世界貿易の最も珍しい商品の一つとして人間の胎児を挙げている。組織培養を行なう研究所や製薬会社が人間の胎児一体に対して支払う価格は,1976年の時点でほぼ75㌦(約1万8,000円)であった,とリッジウェーは語っている。胎児の最大の供給源は開発途上国のとりわけ下層階級である。リッジウェーの意見は,「地球を所有するのはだれか」と題するその著書の中に記されている。今や米国の女性からも「胎児が絶えず提供されている」とリッジウェーが語っていることも考え合わせると,彼の著書の題となっているその問いは答えを要する極めて重大な問いであると言える。事態がこのような新しい展開を見せているのはなぜだろうか。こうした変化が生じたのは,米国の法廷が妊娠中絶を合法的なものと認めて以来のことである。もちろん,これらの胎児の売買で父親や母親がお金を得るわけではない。では,だれが得るのだろうか。妊娠中絶を行なった医師や病院が,医療報酬のほかに利益を得ているのだろうか。地球とその上に住むすべての生物の所有者であられる方の目に神聖に映るものを誤用することは一体いつまで続くのだろうか。―出エジプト 21:22-25,新。
高くつく運動
◆ 日本のような人の多い国では,体調を保つ運動も,注意していないと惨事を招く恐れがある。ある人はジョギングをしていて71歳の婦人にぶつかり,その婦人は転倒して2か月以上の入院を余儀なくされた。ジョギングをしていた人は134万円の賠償金の支払いを命じられた。法廷はその人に過失があったことを認め,走る速度を緩めるか,一時的に止まるべきであったと告げた。別の裁判では,一人の少年とその父親が1,960万円の罰金をそれぞれ半分ずつ支払うよう命じられた。事の発端は,少年がボールを捕り損なったことにあった。そのボールは9歳の子供に当たり,子供は二日後に死亡したのである。その付近でキャッチボールをすることの危険性を十分承知していたはずであるとして,法廷はその少年に責任のあることを認めた。たとえキャッチボール程度の無害な行為に思えても,何かをする際には,あらゆる可能性を考慮に入れるのが賢明である。
“穴居人”に対する見方を修正する
◆ チュービンゲン大学がドイツ南部で行なった発掘によって,中部および西部ヨーロッパのいわゆる“穴居人”に関する新たな事実が明らかになった。ドイツのフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥンク紙が伝えたように,これまで,この「初期の人間」は「獣皮をまとって野生動物を捕らえ,マンモスや熊と戦う狩人」とみなされていた。今やこれまでのそうしたイメージは修正されねばならない。発掘物の示すところによると,どうくつは(ちょうど夏期用の別荘のように)初夏の間だけ使用され,秋には使われなくなったように思える。その暖かい時期の間も,“穴居人”とされる人々は悪天候の時だけどうくつにとどまったようである。
幾つかのどうくつで発見された残飯は,その主食が卵や魚や鳥であり,マンモスではなかったことを示している。同紙の記事によれば,「丸い真珠や,獣皮で作った衣に縫い付けたと思われる骨のボタンなど,興味深い品々」が発見された。これは,「当時でさえ,人々は生乾きの獣皮をまとっていたのではなく,装飾品で身を装う感覚<センス>を身に着けていたことを示している」。驚いたことに,象牙で作った動物の小像が幾つか発見された。これらの一時的などうくつ居住者たちは,「強大で危険な動物たち」に向かって「偶像礼拝を行なっていた」ものと今では考えられている。
進化論者も驚く
◆ 米国ニューハンプシャー州に住むある人からニューヨーク・タイムズ紙の編集長の下に一通の手紙が寄せられた。その手紙には,以前に掲載された「創造論への反論」と題する記事について次のような意見が記されていた。「進化論者である私は[その記事]に大いに驚かされました。……進化論者の理論には数多くの欠陥があるというのは事実です。それは,客観的に物事を考える科学者であれば(生物学者であると否とにかかわらず)だれもが認めるところです。創造論者の最強の証拠がこれらの欠陥であるからといって,ダーウィンの理論の正当性が立証されるわけではありません」。
だ液が病気を癒す
◆ 動物が自分の切り傷その他の傷口をなめている様子はしばしば観察される。米国フロリダ大学のマイケル・ヤング博士を中心とする科学者のチームは,それにはそれなりの理由があると考えている。だ液には治癒力を備えた物質が含まれているというのである。その物質はタンパク質の一種で“神経成長因子”(NGF)と呼ばれている。NGFが外傷に用いられると,科学者が実験的に用いた場合でも,傷を負った動物自ら,あるいはその仲間がなめてそうした場合でも,傷は4倍から5倍早く癒えた。同様に,オーストラリアの研究者たちは,ネズミに自分の傷をなめさせないようにしたところ,その傷が治癒する速さはなめることができたネズミよりはるかに遅かったと報告している。他の動物や人間のだ液の中にも,NGFが含まれていることが知られている。手術後に,また大やけどなどの外傷に用いる傷口回復用の治療薬の製造にNGFが用いられるかどうかを調べるため,現在様々な努力が払われている。
“一人もいなくなった処女”
◆ ジョンズ・ホプキンズ大学のメルビン・ゼルニック教授とジョン・カントナー教授が行なった信頼の置ける研究によって,米国の15歳から19歳の若い女性1,030万人のうち約半数までが,婚前性交,つまり淫行を行なっていることが明らかになった。この割合は,ゼルニックとカントナーが1971年に研究を始めて以来約2倍にはね上がっている。ゼルニックは,「過去において,処女であることをよしとした何かが……無くなってしまった」と述べている。米国ルイジアナ州のある高校最上級生は,自分の高校の1年と2年の女子について,「みんなが卒業するころまでには,処女は一人もいなくなると思います」と述べた。こうした不道徳行為の結果として,米国では毎年十代の少女100万人が妊娠しており,14歳以下の少女の間でそれが最も急激な増加を見せている。別の結果として,青少年の間で性病が流行しており,毎年新しく淋病にかかる100万人の25%は青少年によって占められている。
深刻化する司祭不足
◆ 「ローマ・カトリック教会の司教たちの行なったカナダの司祭に関する一調査は,同組織が老齢問題に悩まされていることを示している」とトロント・スター紙は述べている。同教会の調査によると,カナダの全司祭の82%は40歳以上で,その多くに退職の時期が迫っていることが分かった。しかし,スター紙はこう報じている。「それに代わる人材となる30歳以下の人々は,わずか2.4%にとどまっている。……神学校に入る男子の不足をふまえ,同調査は,人材に関するこの危機が以前考えられていたよりはるかに深刻なものであることを示している」。
例えば,カナダにあるサスカトゥーン市の定期刊行物「スター・フェニックス」はこう言明している。「過去5年間にエドモントンで叙任を受けたカトリックの司祭はわずか二人であった。ちなみに20年前には,1年に10人以上の人が叙任されている。今年,叙任される見込みを持つ人は一人もいない。セント・アルバート市の近くにあるニューマン神学校の校長,マイク・マッカフリー師は……教会に魅力を感じ,司祭の職を目ざす人は,数が少なくなっているばかりか質も落ちていると述べている」。
別の司祭,エドモントンの聖ヨセフ大聖堂のレ・ドレウィッキは,司祭の不足は重大な病弊の徴候であることを指摘し,「根本的な問題となっているのは,教会全体が,つまり個々のクリスチャンすべてが使命感を失っていることである」と述べた。同司祭は,教会のこの状況を,「信仰の危機」と呼んだ。
生長を遂げた古い種
◆ 100年以上昔に植物学者のウィリアム・ビールは,植物の種が発育できる年限を調べる実験を始めた。米国ミシガン州のイースト・ランシング市にある自分の実験室近くの土の中にビールは20種類の植物の種が各々1,000個入った20本のびんを埋めた。5年後にビールがそのうちの1本を掘り起こしてその種を植えたところ,それらは芽を出した。ビールはこれを1920年まで5年ごとに行ない,地中から掘り起こした標本のすべてが生長したことを見届けている。1924年にビールが死亡してからはその仲間たちが実験を10年ごとに継続した。100年以上経った1980年に別のびんを掘り起こし,その種を植えたところ,六つは枯れてしまったものの,29の種が生育した。生長を遂げた23の種は,三つの違った種類から成っていた。
国外にいる方が安全
◆ 全世界にいる米国の外交官を調査したところ,彼らの多くが,ワシントン特別区にいるよりも海外で仕事をしている時の方が安全だと感じていることが明らかになった。解答を寄せた人々のうち,国外にいる方が不安だと感じている人は243人いたが,その2倍以上の541人が,ワシントン地区にいると国外にいる場合よりもはなはだしい,あるいは少なくとも同程度の不安を感ずると述べている。国内で最も危険とみなされているのは強盗と路上犯罪である。